前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第198回国会 衆議院安全保障委員会2019/06/06

○岸委員長 次に、前原誠司君。

 

○前原委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。前原です。きょうは防衛大綱、中期防についての質問が主ということでございますので、そもそもの話から少しさせていただきたいと思います。

前々回だったと思いますけれども、岩屋大臣とお話をいたしましたが、もちろん自衛隊の自前の能力を向上させるということも大事でありますが、それだけではなかなか日本は守れないということで、日米同盟を強化していく、維持強化していくということは大事なことであります。

その中で、私が何で日米同盟が必要なんだと聞かれたときにお答えをすることについて中身を申し上げれば、それについて評価をいただきたいんですが、まずは、核を含めた抑止力、日本は核を持っていませんから。それから、さまざまな打撃力も含めた抑止力。それから二つ目には、矛と盾の関係と言われている、いわゆる敵基地の攻撃能力。それから三つ目は、情報収集能力。これは、衛星の数、あるいは分析、あるいは後で質問いたしますが、情報収集のためのヒューミントの組織、こういうものも含めてアメリカは絶対的に優勢であろう。それから四つ目は、装備です。こういった装備というのは、装備をつくる能力を持っている企業がある。こういうことでありますが、この四つ以外に岩屋大臣が、日米同盟関係においてこれが日本には足りなくてアメリカにはあるから日米同盟が必要だというものがあれば、おっしゃってください。なければ、それを前提にしてお話をしていきたいと思います。

 

○岩屋国務大臣 いきなり難しい御質問ですけれども、おおむね、前原委員がおっしゃったような米国の能力、質的にも量的にもというものが同盟の前提になっていると思いますけれども、あえて言うと、米国というのは世界全体にさまざまな拠点を持ち、プロジェクション能力が非常に高い。それは日本を守るということだけに限った能力ではございませんけれども、ともに自由で開かれたインド太平洋を目指していこうというパートナーとしては、米国との関係が最重要であるというふうに、そういう意味からも考えているところでございます。

 

○前原委員 おっしゃる点については私も同意をいたします。

その上で、今回の防衛大綱で、私は常に申し上げているのは、アメリカの力をかりることは大事だし、日米同盟関係は重要だけれども、しかしながら、みずからの主体性、自主性というものをどう高めていくかといったことが大事でありますが、今回の防衛大綱、これは、どこが主体性、自主性が高まったというふうに言えるものですか。

 

○岩屋国務大臣 新しい領域について、これも最終的には米国としっかり連携協力をしていかなければいけない分野でございますけれども、宇宙、サイバー、あるいは電磁波といった新領域について、我が国が本格的に自分たちの能力を獲得すべく努力をしていくということを銘打っているわけでございますから、これも自主的な努力の一環というふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

それから、これまで以上に防衛交流、あるいは、防衛関係を友好国との間で拡大していこうという努力も、これも日本の主体的な取組だというふうに思います。

あるいは装備に関しても、将来戦闘機につきましては、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」というふうにしております。

これも我が国の主体的な取組の一つではないかというふうに思っているところです。

 

○前原委員 おっしゃるように、宇宙、サイバー、新たな領域というものと、それから、他国の日本みずからの防衛交流の拡大、それから、後で伺いますが、装備、こういったものについての主体性がやはり強まっているということについてはおっしゃる面もあると思いますが、まず、先ほど私は四つ申し上げました。核を含めた抑止力、それから敵基地攻撃能力、そして情報収集能力、そして装備ということでありまして、私も大臣も恐らく前の二つについては、なかなかこれは難しいなという思いを持っておられると思います。核を持つわけにはいかない。持つべきではない。そして、敵基地攻撃能力については、これは相当慎重に判断をしなくてはいけないという中で、今回の防衛大綱については、この二つは当然ながら外れているわけです。

となると、この情報収集能力やあるいは装備というものについて、どういう観点での主体性を増すかということについて考えたときに、不断の努力をやはりやっていかなくてはいけない、こういうふうに思います。

その中でまず情報でありますけれども、衛星で情報収集をするということについて、日本は自前の衛星というのは数が限られていますよね。そして、私も外務大臣をやらせていただいた経験からすると、他国から購入しているわけですよ。アメリカとかフランスとか他国から購入しているということでありますが、これはやはり一次的にみずからが情報収集をできる能力というものを高めるということは大事です。他国は全部日本が欲しい情報をくれているかどうかもわかりませんし。

そういう意味では、一義的にみずからが情報収集をできるという意味においては、まず一つは、衛星というものについて今回は基本的に入っていませんね、防衛大綱については。情報収集能力の向上ということについて。新たにこの分野について力を入れるということは入っていませんね。

それからもう一つは、この情報収集をどう分析し、政策決定に生かしていくかということが大事なんです。

大臣も御存じだと思いますけれども、日本には内閣情報会議というのがあるんです。内閣情報会議というものがあって、その下に合同情報会議というのもありますけれども、これは隔週に集まって話をして意見交換をするということなんです。

例えばイギリスにはJICというのがありまして、これはジョイント・インテリジェンス・コミッティーというんですけれども、合同情報委員会あるいは統合情報委員会、こういう両方の訳がありますけれども、これは、各情報機関、例えば外務省は外務省、防衛省なら防衛省、警察なら警察、あるいはイギリスにはMI5とかMI6とかがあるわけですけれども、そういった情報機関が集めた情報について、例えばテロ情報とかいうものは法律で定めて上げなきゃいけない、そのJICに。そして専属のスタッフも持っていて、そして、分析をし政策にそれを反映させるということで、この情報収集については、一義的な情報をしっかりと受け取り、縦割りに情報機関が陥らずに情報をちゃんとみんなで共有をして、そして分析をし、そして政策決定に反映をする、こういうものがあるわけですけれども、私は、こういう点からすると、まだまだ日本の先ほど申し上げた自前の主体性、そして自主性を高めていくということについては足りない部分があると思うんです。この点についてどう考えられますか。

 

○岩屋国務大臣 前原先生がおっしゃるのは、言うまでもなく、インフォメーションという意味ではなくてインテリジェンスという意味の情報ということだろうと思います。

防衛省の中にも御承知のとおり情報本部がございますし、そこはそこで私はしっかり仕事をしてくれているというふうに思っております。また、主要な国には防衛駐在官が派遣されております。

防衛省は防衛省として、インテリジェンスに関する能力を高めるべくこれからもしっかり努力をしていきたいというふうに思っておりますが、政府全体としては、これは先生御指摘のように、イギリスのような仕組みになっているかどうかはなかなか判断が難しいところですけれども、やはり、外務省そして我々防衛省、経産省等々の情報が今は内閣に集約される形になってもおります。しかし、インテリジェンス能力全体が我が国は十分であるかどうかといえば、まだまだ課題はたくさんあると思いますので、防衛省としても、我々ができることをしっかりやっていきたいというふうに思っています。

 

○前原委員 私が今質問をしているのは、防衛省の中でしっかりやられるというのは、これは当たり前のことであります。それはしっかりやっていただかなくてはいけませんが、しかし、防衛省が集める、大臣のお言葉をかりると、インフォメーションというのは限られているわけですよ。では、外務省なら外務省がインフォメーションを持っている、あるいはそれをインテリジェンスに変えている部分もあるでしょう。あるいは警察もそうだし、あるいは麻薬とかそういうことについて言うと厚労省とか、あるいは入管ということについては法務省とか、さまざまな役所があるわけです。あるいは海保だって警察機能を持っている。国土交通省です。

だから、こういうものを政府全体としていかに情報共有をし、そして、高い情報収集能力、統合能力、分析、政策決定に変えていくかということについて、国務大臣ですよ、防衛大臣は。つまりは、自分の省の中でそれを高めるということは当たり前のことであって、国務大臣としてそういうものをしっかりと高めていくということについてイニシアチブを発揮されませんかと。今回の防衛大綱には少なくともそういう観点というのが私は抜け落ちているというふうに思うんですが、いかがですか。

 

○岩屋国務大臣 前原先生の問題意識はしっかり共有させていただいているつもりでございますけれども、そういう政府全体のインテリジェンスに対する取組方を大綱、中期防に記すことが適切かどうかということはあろうと思いますが、これからもしっかりその点に留意をして、政府全体のインテリジェンス能力を高めるべく、我々としても、言うべきことは言っていく、提案すべきことは提案をしていきたいと思っております。

 

○前原委員 外務大臣、いかがですか。

 

○河野国務大臣 専守防衛をうたう日本でございますから、それはウサギのような長い耳が必要だということはそのとおりなんだろうというふうに思います。もちろん、耳だけでは生きていけませんから、歯や爪というのも持っていなければいけないんだろうと思いますが、基本的には長い耳が必要だ。その長い耳をきちんと活用するためには体の各部分がきちんと結合されていなければならないというのは、委員御指摘のとおりだと思います。

 

○前原委員 ぜひ、お二人の大臣は国務大臣として、そういう政府全体の要は情報収集能力、分析能力を高めて、そして、それぞれが言ってみればタコつぼに入らないような形での、言ってみれば日本全体のレベルを上げていくようにリードしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

二つ目は装備です。具体的に次期戦闘機の話をさせていただきたいというふうに思います。

F4の後継機がF35です。F15については、改修して残すものとF35にかえるものというのがある。そして、F2については、これは二〇三五年ぐらいからですか、退役が始まるということで、新たな後継機の選定が行われて、先ほど大臣が答弁をされたように、この防衛大綱には「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」ということが書かれているわけです。この書かれていることを言ってみればお題目にしないために、幾つかやはり私は整理をしておかなきゃいけない点があるというふうに思っているわけです。つまりは、気合いはある、意志はある、だけれども結果的にはそうなりませんでしたというのでは、これは防衛大綱の信憑性にもかかわる話ですので、こう書いた以上は、次期戦闘機というのは、やはり日本が主体的にかかわるということにならなきゃいけないというふうに思います。

その上で、幾つかのやはり反省も含めて考えなくてはいけないわけですが、まず事実確認で、事務方でも結構ですから御答弁いただきたいんですけれども、他国との協力を前提として、つまりは自前だけでつくるというのはなかなか難しいということで、関係国の軍需産業に情報提供依頼書をもう発出をしている。その結果として、大体三つに絞られてきているのではないかという一部報道があります。一つは、米空軍のF22の機体をベースにF35の電子機器を搭載した混合型の高ステルス機、二つ目は、F15の技術を活用した派生型、三つ目が、イギリスの空軍の主力戦闘機ユーロファイター・タイフーンの次世代戦闘機、これはテンペストというんですか、これを共同開発する、こういう三案にほぼ絞られたというふうに報道されていますが、これは事実でありましょうか。

 

○深山政府参考人 お答え申し上げます。事実関係として申し上げますと、将来戦闘機に係る検討の一環といたしまして、これまで、国内外の企業からさまざまな情報収集を行ってきております。

このうち、既存機の派生型、派生型というのは既にあるものの改造型というべきものですが、これについての情報を得るべく、米国や英国の企業に対して情報提供依頼、RFIと申しますが、これを発出しまして、米ロッキード・マーチン社、米ボーイング社及びイギリスBAEシステムズ社から回答を受領しておるところでございます。ただ、これは、いわゆる海外から来た派生機型- 4 -ということに関しましてはこういうものであるということでございます。

現在、これらの回答内容を確認、分析しておるところでございます。

 

○前原委員 私が一番初めに申し上げたF22の機体をベースにするというのが、これはロッキード、それからF15の派生型がボーイング、それからユーロファイターの次期戦闘機テンペスト、これがイギリスのBAEシステムズということで、今、深山長官がお答えをされたところというのはほぼ報道内容と合致しているんだということはわかりました。

じゃ、その上でこれからそういうものを中心に選定作業に入っていくんだというふうに思いますが、F2の後継機として今まで防衛省が重要であるという条件を幾つか出されていると思うんですが、時間の関係上、私が申し上げます。

まず一つ目は、将来の航空優勢に必要な能力、二つ目、次世代技術も適用できる拡張性、三番目、改修の自由度、それから四番目、国内企業の関与、五番目が開発、取得コスト、こういうこと。これはこれで大臣、よろしいんですね。はい、もう結構です。

この中、全て重要なんですけれども、私がきょう特化して質問したいと思うのは、やはり改修の自由度というものをどうやって担保していくかということなんです。

以前、この場で私、F35について、特に百五機の追加購入機について苦言というか、問題提起をしました。全部FMSに変わったじゃないかということで問題意識を私はここで申し上げました。

確かに、我々が決めた組立て型というのも、単なる組立てです。したがって、じゃ、重要な情報とか機密情報に触れられるかというと、なかなかそれは触れることができない。しかし、まずはこれは三菱重工というところが組立てを行うということの中で仕事をすることができるということなんですが、先ほどの話からすると、改修の自由度ということからすると、大事なことは、いかにこの機密情報にアクセスできるか、そして、そのアクセスできるものについてみずからが改修することができるかということがすごく大事なことだというふうに私は思っております。まず事実確認いたします。これも事務方で結構ですが、米政府は、F35のエンジンなどの部品やミサイルを制御するために機体に組み込んだソフトウエアについて機密を解除する意向を示しているという報道がありますが、これは事実ですか。

 

○深山政府参考人 お答え申し上げます。御指摘のような報道があることは我々も承知しています。これにつきましては、F35は我々現有の装備品でございますので関心を持っておりますけれども、現在までのところ、報道には濃淡がございますけれども、少なくも私どもは、その全てを開示してくれるというようなことがなされたということは承知しておりません。

 

○前原委員 長官の正直な御答弁で、全ては開示ということは、一定の程度のものについては、報道の部分というのはそれは間違っていない部分もあるんだと思いますが、問題はここからなんです。

おっしゃるように、本題はここからでして、要は、別の報道では、このF22をベースとするものについても、開発、生産については五〇%以上日本の企業にかかわらせるというような話もあるというふうに聞いておりますが、ただ、それでも五〇%を超えたらいいというものじゃなくて、つまりは、みずからが自由に、先ほど大臣が、私が質問する前に、国際協力を視野に、だけれども我が国主導の開発に早期に着手する。私が列挙させていただいた、これは防衛省が言っておられるように、この後継機で大切だと考える条件というのは、改修の自由度も含めた五条件をずっと防衛省としておっしゃっているわけです。これがしっかりやはり担保されなければいけないということなんだろうと思います。

ここで専門的なことに入っていくことは私は差し控えたいと思いますけれども、しっかりそういう意識を持って、パーセンテージの問題ではなくて、まさに防衛大綱に書いてある「我が国主導の開発」というものは、技術も含めて、そして、そういう機密情報も含めてしっかり我々が関与し、そして、改修というものの自由度が担保されるものでなければいけないということはやはり防衛大臣に明言していただかないと、この防衛大綱に書いてあることというのは私は空文化すると思うんですが、いかがですか。

 

○岩屋国務大臣 将来戦闘機については、先ほど前原委員がもう既に五つの我々が重要視している点について触れていただいておりますが、これを実現するために、開発に当たって我が国が主導的な役割を果たす、すなわち、我が国主導の開発であることが必要だというふうに考えております。

したがいまして、今、さまざまな情報を集め、検討しているところでございますけれども、やはり、航空機の統合、インテグレーションにかかわる部分に日本がかかわっていなければ、これは改修の自由度も将来ないということになろうかと思いますので、そこが極めて重要なポイントだと思っております。

既存機の購入というのはもう選択肢からは排除されていくということだと思っておりますが、また、派生機についても、今申し上げた我が国主導の開発、そして改修について我が国が主体的、主導的にやれるということでなければ、その提案を受け入れるというわけにはいかないというふうに考えております。

しかし、同盟国米国との間では、我が国がどのような航空機を開発しようとも、相互運用性というのはもう絶対に必要なことでございますから、それはもうしっかり意見交換をしてまいりたいと思いますけれども、重ねて申し上げますが、我が国主導の開発を目指してまいります。

 

○前原委員 大事なところで少し曖昧になるんです。もちろん、具体的に議論が煮詰まっていかない限りは、その主体性というものがいかなるものなのかということについてはなかなか具体的に言えないということはあるというふうに思いますが、もう少し定性的に、この主体、我が国主導の開発というものがどういうことなのか、やはりそこをしっかりリードしていただかないといけないというふうに思います。恐らく、今改めて質問しても同じような御答弁だと思いますので、少しそこを整理していただいて、今御答弁されたことを更により具体的に踏み込んで、つまりは、アメリカとの交渉にもかかわるわけですよ、ここは。最後は政治決断になる可能性はあります。私が心配しているのは、防衛大臣がそういう意図を持っておられても、最後は総理が、そのとき誰が総理をやっているかわかりませんが、総理がアメリカの大統領と簡単に決めちゃって、それで気がついたら主体性が持てないようなものになっていたというのが一番私はいけないと思っていますので、やはり、防衛省として、あるいは防衛大臣として今は責任を持ってやられるお立場として、どういう意思で、防衛大綱に書かれた我が国主導性というもの、そして、五つの先ほど大切だと言われた要点を担保するかというその政府の見解をこの委員会に提出をしていただけませんか。委員長。

 

○岸委員長 後刻、理事会で協議いたします。

 

○前原委員 ぜひ防衛大臣、それは前向きに考えていただけませんか。

 

○岩屋国務大臣 これから、各国というか、候補になり得る選択肢について子細にやりとりをしていかなければいけないというところでございますので、あらかじめ余り詳細をつまびらかにするのもいかがなものかなというふうに思いますが、もう前原先生の問題意識はよくわかっておりまして、我々も、刻々と変わり行く安全保障環境に適応する戦闘機をつくるために、そのソースコードにアクセスができない、自由に改修ができないなどということでは、これは将来戦闘機をつくる意味がないというふうに思っておりますので、そのことはしっかりと腹に据えて取り組んでいきたい。

ただ、物すごくチャレンジングな事業であるということは承知をしておりますので、しっかりとした決心がなければできないというふうに思っております。

 

○前原委員 いや、だからこそ、その意思を示してほしいと言っているわけです。

もう時間がないですから私が申し上げるだけにしておきますが、やはり、日本の防衛産業がついてこれるかどうかということなんですよ。例えば政府がそういう意思を持っても、今の日本の防衛産業というのは、これは何度かここでもやらせてもらいましたし、同僚議員も言われているように、果たして大丈夫か。三菱重工ですら全体の売上げの六%ぐらいでしょう。だから、そういうようなところで本当に我が国主導の、今の国際環境に、しかも十年先、二十年先に対応できるようなものがちゃんとつくれるのかということも含めて、しっかりリードしてもらわなきゃいけない。

そしてまた、やはりアメリカあるいはイギリスどちらにしても、他国が日本に対してそういたソフトウエアとか、今大臣がおっしゃったソースコードとか、そういうものを開示しようと思ったときに、特定秘密保護法だけで大丈夫なのかといったところは、逆の、提示する立場からするとあると思うんです。そういうものをまとめた上で、しっかりとやはり日本としての方向性をちゃんと位置づけて、そして防衛産業をまとめる。そして、アメリカやイギリスの懸念というものも払拭する。その中で、防衛大綱に書かれている我が国の主導性というものをどう担保するか。そういう文書をまとめていただきたいということを申し上げているわけです。

何も、微に入り細に入り、何か細かいことを決めろじゃなくて、やはり、そういう問題意識の中で本当に我が国主導の次期戦闘機をつくってもらいたい、我々としてつくりたい、そういう思いを、ぜひ問題意識をまとめてもらいたいということですので、委員長は理事会で諮るということでしたので、大臣、ここは前向きに考えていただきたいと思います。

さて、残りの時間は、米中問題、そして日本のかかわりということについてお話をしたいというふうに思います。

これはもう皆様方、この委員会でも何度も話をされていますし、私もさせていただきましたけれども、完全な覇権争いですよ。技術覇権、それがいわゆる軍事技術にも転用できるということの中での覇権争いに入っているということであります。

そして、どんどんどんどんハードルをアメリカは上げていっているということだと思います。

アメリカのポイントは私は三つあるというふうに思っていまして、対中政策は関与から競争にシフトして、そして、軍事力や産業力、第三国への地政学的な影響力をめぐっても競争が行われているというのがベースにあって、そして三つ、先端技術や知的財産を次世代の軍事力や産業力の構築にどう生かすか、それから、米国で生み出される先端技術や知的財産から中国が不当に利するのをどう封じるか、それから、米国の利益を不当に損ねる政策の停止を中国当局にいかに確約、履行させるか、これがもうアメリカの対中政策の三本柱に私はなっている、こういうふうに思っているわけであります。

そこで、トランプ大統領はこの五月十五日、今月の十五日に大統領令を出しまして、ファーウェイを念頭に、米国に情報通信技術面から安全保障上のリスクを引き起こす中国企業との取引を禁じる方針を打ち出した。これは日本企業も当然影響が出てくるわけでありますが、こういった、いわゆる特定の企業を踏まえて、そして取引を禁じるということについて、きょうは経済産業副大臣が来られていますけれども、日本政府としてのスタンスをまずお聞かせいただきたいと思います。

 

○磯﨑副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。今委員御指摘のとおり、トランプ大統領、情報通信技術などに対する脅威に関する国家緊急事態を宣言をされまして、米国の国家安全保障を脅かす取引を禁止する大統領令に署名した、このことは承知をしているところでございます。

この内容につきましては、既にアメリカの政府調達につきましては、ファーウェイを含む五社、これは明記をされているというふうに認識をしておりますが、この民間への拡大につきましては、これから百五十日以内に、商務省が、具体的な対象の技術であるとか国であるとか主体であるとか許可基準、こういったものを公布をしていくということでございますので、民間への拡大については、現時点では、ファーウェイ等の特定の国、これが限定されているわけではないということでございます。

そういった意味では、国としての考え方ということでございますけれども、やはり日本の国、米中の貿易、これがどういう状況にあろうとも、やはり日本の国、きちんとセキュリティーを守っていく、こういう考え方はやはり常に米中の関係にかかわらず持っていなければいけないということでございますので、日本の国としましては、国際の情勢とか技術革新の動向等を注視をしながら、安全保障上の観点から外為等々の取扱いについてはしっかりと取り組んでいく、そういうスタンスでございます。

 

○前原委員 違う観点で質問いたします。

米連邦議会は、二〇一八年の八月に外国投資リスク審査近代化法というのを定めて、外国主体による安全保障上の支障が出かねない対米投資を規制する対米外国投資委員会の権限を強化しました。それから、輸出管理改革法というのを制定して、商務省による新興技術の輸出管理を強化する、こういう措置もとり始めています。

このことについては御存じだというふうに思いますが、この中身について言うと、例えば対米外国投資委員会、審査対象なのは、バイオテクノロジーとか、AI、測量技術とか、先進コンピューティングとか、ロボットとか、こういったものが入ってくるわけです。これについて厳しく外国企業というものを、特に中国を念頭に置いて、より管理を厳しくしていく。

もっと言えば、これは副大臣の所管ではありませんが、例えば中国人の留学生についてもその背景をしっかりと調べるような、本当に中国に対して、先ほどお話ししておった三つの観点での言ってみれば選択というか、言ってみればスクリーニングをしっかりやるということなんです。これは同盟国に対してもそういうことを求めてくる可能性というのは私はあると思うんです。このように、つまり、これは別にアメリカから言われてではなくて、先ほど副大臣が御答弁されたように、米中の問題にかかわらずということをおっしゃいましたよね。アメリカが何をしているかというと、要は、覇権争いをしているということもありますけれども、その裏側にあるのは、技術の窃盗であるとか、あるいは、後で佐藤副大臣に伺いますけれども、5Gなんかの問題で、今のまま野放しにしておくと、完全にコントロール下に置かれる、あるいは物事が全て引き抜かれる、あるいはハッキングなどの言ってみれば攻撃を受けやすくなる、これに対する防御という形でこういうものを強化していっているわけです。

こういう認識の上で日本もそういったいわゆる必要性というものを感じるかどうかということを、別にアメリカから言われてではなくて、日本独自に、それについてこういう輸出管理というものをより強化するということについてはどうお考えですか。

 

○磯﨑副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。まず、日本の国とアメリカとで法制度が違っておりまして、日本の国は、貿易も投資も御存じのとおり外為法で規定をしている。アメリカの場合には、輸出につきましては輸出管理改革法、ECRA、それから、投資については米国外国投資委員会、CFIUSですか、こういったところが所管をしているということでございますけれども、まず輸出入のところにつきましては、これは今委員御指摘のとおり、例えばそのエマージング技術であるとか基盤技術、こういったものを追加をするために今商務省の方で作業中というふうに認識をしております。

もともとこの分野につきましては、国際輸出管理のレジームがございますので、アメリカの方で、例えば商務省で、エマージング技術であるとか基盤技術、こういったものを追加をした場合には、アメリカ国内で、これを国際輸出管理レジームの方で国際的に同じ歩調をとるようにというこういう動きが出てくるというのは当然予想されるところでございます。

そうなった場合には、日本におきましても、やはりこの国際輸出管理レジームの中で当然私どもも議論をしているところでございますので、その議論に加わって、これを国内の規制に反映をしていくということになっていくんだろうというふうに思っております。

また、FIRRMA、外国投資リスク審査近代化法につきましては、これは既にアメリカにおきましては、機微技術に関しては先行的に実施をしているというふうに承知をしております。これにつきましても、これからそれが、今まではいわゆるマジョリティー規制だったのがマイノリティー規制にもなっていくということで、審査の対象が拡大をするというアメリカの考え方だろうというふうに思っておりますけれども、ただ、基本的には、輸出管理等々につきましては、その個別の内容に日本が追随していくかどうなのかということにつきましては、外交にかかわる問題でありますから、コメントは差し控えさせていただきたいなというふうに思っております。

 

○前原委員 総務副大臣に伺いますけれども、特定の企業を日本は名指しをしておりませんが、今のしかし日本の考え方、また日米関係、そしてトランプ大統領の大統領令を含めて考えると、5Gのいわゆる基地を含めて、中国企業が参入することは可能ですか。

 

○佐藤(ゆ 副大臣 お答えいたします。現時点では、外国企業、国籍によって条件は付しておりません。

 

○前原委員 いや、わかっていますが、事実上できますかという話を聞いているんです。

 

○佐藤(ゆ)副大臣 外国の国籍によってそれを除外するような規定はございません。

 

○前原委員 時間がそろそろ差し迫ってまいりましたので、最後に一点だけ指摘をしておきたいというふうに思います。

中国というのは、二〇四九年が建国百年なんです。そして、その百年に向かって、例えば一帯一路、これは言葉をちょっと選んで言わなきゃいけませんが、戦前の日本がとっていた大東亜共栄圏に私はイメージがダブるわけです。一帯一路ということで、みずからの言ってみれば影響力エリアを拡大していくということ。それから、中国製造二〇二五ということで世界一の製造強国になる。そして三つ目には、それを踏まえて軍事力はアメリカも上回り、それを完成させることが中国の夢だと。

そして、気になるのはもう一つありまして、そのときにはやはり分断国家ではいけないだろう、こういう話がいわゆる習近平の理論的な基盤をつくっている軍部からは出ているわけです。つまりは、それまでに台湾も統一しなきゃいけない、こういう話です。

我が国の中国と台湾にかかわる話というのは、これは日中共同声明を含めて四つの文書で規定されているということでありますけれども、今後、日米同盟関係、そして、アメリカと台湾の関係法を含めたさまざまな難しいハンドリングを迫られることになるだろうというふうに私は思っています。

具体的に今これがどうなのかということを申し上げることはできませんけれども、防衛大臣や外務大臣、今されている中で、アメリカチーム、中国チームというものに分けられるような世界情勢ということがこれは出てくると思います、今の技術分野も含めて。では、そういう中にあって、米中のかけ橋になるあるいはバランスをとると口で言うのは簡単でありますが、これはなかなか難しい状況になってくるというふうに私は思っています。

今度議論するときには、こういった機微に触れたところもこれから日本は直面をしていかなくてはいけない。それがまさに今の米中新冷戦の大きな背景にあるんだということを私は申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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