前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第189回国会 衆議院予算委員会2015/01/30

前原委員 民主党の前原でございます。
 補正予算の締めくくり総括質疑ということで、同僚議員が行った質問観点をおさらいして、さらに政府に改善を求めるという視点で質問をさせていただきたいと思います。
 今回の補正予算の質疑で、我が党の議員、特に補正予算にかかわって質問した議員は、小川淳也議員、階猛議員、そして後藤祐一議員、この三名であったわけでありますけれども、この三名に共通する問題意識というのは何だったかといいますと、一つは、本来は当初予算に計上すべき予算を補正予算に回しているのではないか、こういう観点がまず一点でありました。つまりは、プライマリーバランス目標の達成のためとか、あるいは補正予算の総額ありきということで、要は本予算から補正に回しているということがまず一点。
 それから、予算要求、査定のプロセスが余りにもずさん過ぎないかということが二つ目であります。特に緊急性が乏しい、何でこれが補正なんだと。そして、後でお話をしますが、効果というのが不明であったり、あるいは類似、重複のものが存在をしているということであります。
 あと、きょうは一月三十日でございますが、年度内というと、あと二カ月ちょっとなんですね。そして、参議院の審議があるということになると、二カ月足らずで本当にこれだけのものが執行できるのかという、実効性の問題から極めて問題が多いということが我々の問題意識であったわけであります。
 二十分という限られた時間での総括質疑でございますので、二つだけ具体的な事例を指摘した上で、全体として少し建設的な提案をさせていただきたいと思います。
 まず一つは、小川淳也議員が指摘をいたしました、各府省のUターン・Iターン事業ということについてお話を聞きたいと思います。
 まず、経済産業省の中小企業・小規模事業者人材対策事業ということであります。
 宮沢大臣、ちょっと簡単にお答えをいただきたいんですが、これは概算要求は二十億ですよね。そして実際に、概算要求ということは平成二十七年度の概算要求が二十億で、補正でついたのが六十・一億円、そして二十七年度の当初予算についているのが十億円。つまりは、概算要求が二十億円で、補正と本予算を合わせると三・五倍になっているわけですよ。
 これについて、まあ、これは財務大臣に伺った方がいいのかもしれませんが、役所が要求したものの三・五倍になっているということで、しかも、これは本予算で二十億円だったものが補正で六十億円余りも要求されているということで、これは要求大臣、査定大臣、両方からこの説明をしてください。

宮沢国務大臣 簡潔に御説明いたします。
 中身が実は違っております。
 補正でついた方は、地域人材コーディネート機関というのを四十七都道府県につくりまして、そこで、大企業のOBのシニアなどを中心に人材を発掘して、地域の中小企業と結びつけるという事業。そして、当初の方は、これは都市部の若手人材を広域的な地域との間で結びつける。対象とやり方が少し違う事業であります。

 

麻生国務大臣 今、宮沢大臣のお話のありました経産省のいわゆる中小企業・小規模事業者人材対策事業につきましては、これは緊急経済対策ということにおいて、地方創生に向けた総合戦略の先行的実施の一環に位置づけられたものだということを受けまして、他省庁に関係します関係事業との重複を排除しつつ、事業内容を拡充させていただいたということだと理解しております。
 これに伴って、概算要求の対比で、予算措置額が今言われたように増加をいたして、二十、十、それで今言われましたように補正で六十ということになっておるのは事実であります。具体的には、各地域ごとに、事業実施機関における人員数をふやし、説明会の開催回数をふやしておりますほか、事業実施機関における人員に対する研修の拡充も図っておると私どもは理解しております。

前原委員 時間が限られていますので、それは話を伺った上で聞いているわけでありますが、宮沢大臣がおっしゃったことは若干違って、事業の内容が違うことはないんですよ。
 つまりは、地域人材バンク拠点というものについては、これは当初の方にやっているんですけれども、概算要求の中にも入っている中小企業・小規模事業者の人材確保支援ということは、補正にも当初にも入っているんですよ。
 つまりは、要求した経済産業省よりも御丁寧に、新たなものも確かに加わっておりますけれども、拡充をしているということで、補正でこれだけとるから、何とか弾がないかということで弾出しをしたということに私はほかならないと思いますね。
 では、この六十・一億円ということは今年度内に使い切れるんですか、二カ月弱で。経済産業大臣。

宮沢国務大臣 もちろん、今年度内に最大限に使う努力はいたしますけれども、繰越明許をつけておりますので、来年度にも使うことがあろうかと思っております。

前原委員 何か、頼りない、弱々しい答弁でありまして、六十・一億円も積んでおいて、留保つきです、使えないかもしれません、もごもごと言う。それが真実だと思うんですよ。無理ですよ、そんなの。だって、当初で十億でしょう。
 しかも、人材をIターン、Uターンさせるという事業は大事なことじゃないですか。だから、この事業自体について我々は必要ないと言っていないんですよ。わざわざ、この二カ月弱のところで六十・一億円。そして、当初で堂々とやるべきところで十億円。余りにもおかしい。私は宮沢大臣というのは正直な方だなと。これは使えないですよ。
 それから、厚生労働省。これは類似のものがありますよね。地域しごと創生プランの推進ということで、六十一億円ということであります。これも、言ってみれば、地域経済に必要な人材を大都市圏から各地方に呼び込むために、大都市圏における地方就職希望者を掘り起こし、そして人材還流を促す。これは全く一緒ですよね。一緒のことをやっているということですね。
 石破大臣、塩崎さんは、答弁するのは嫌だと言っています、創生大臣に答弁してくれと言っていますが、本会議において地方創生のときに渡辺周議員が質疑したときに、まず総理が、各省が概算要求を行った事業については、施策の効果検証を厳格に実施するとともに、重複を排除しますとおっしゃっているんですよ。これは同じ内容じゃないですか。

石破国務大臣 それは、対象とする人材、あるいはそういう人に来てほしいと思っている地方の企業、それが異なっております。対象とする人材も、またそういう方々を欲している企業も違いますので、それは事業としては異なるものだと理解をしていますが、それはこちらの理屈なのであって、実際に使う人にしてみれば、何を使ったらいいのかよくわからぬということは当然生じることでございます。
 それが納税者あるいは国民に対して親切な行政だと私は全く思っておりませんので、ワンストップという形で、仕事を求めている人がいる、そういう人が、東京に一カ所つくります地方移住促進センターというところへ行く、あるいはアクセスすれば、一体どの事業が自分は活用できるのかということがわかる。そうすると、では例えば京都府京都市のこういう事業であるというふうに出ますと、今度は京都府に設けましたそういうものを支援するセンターというものをつくります、そこへアクセスする、あるいは行けば、ここなのだということがわかる。
 ですから、ばらばら事業が重複しているのは、これは事業の性質上やむを得ないことかと思いますが、それが本当にユーザーフレンドリーかといえば、それはそうではない。こっちの理屈じゃなくて、職を求めている方、あるいはそういうのを欲している企業、そういう方々にとって使いやすいものとは何だということをまず第一番に追求しなければいかぬのは当然のことでございます。

前原委員 では、そのために、使い勝手が悪かったら一つにするんですか。
 それともう一つ、そういう答弁があると思っていましたので伺いますが、石破大臣のところは地方創生事業ですから、これだけの予算を使ったら大都市から地方に何人戻ったのか、これを検証してもらいたい、そして国会に報告してもらいたい。
 その場合に、経済産業省の予算で何人戻ったのか、厚生労働省の予算で何人戻ったのか、ダブルカウントなしでやってもらえますか。答弁してください。

石破国務大臣 それは、重複しているものはなるべく統合したいと思っております。
 ですから、例えて言えば、地方において働くという事業が総務省、農水省別々にございます。一方は補助金で、一方は交付金でという形で、事業の性質そのものは異なっておりますけれども、それは、例えば訓練、トレーニング、そういうものを統合するとか、募集を統合するとか、そういう形でやってまいりたいと思っています。そこは目指していくべきだと思います。
 そして、検証についておっしゃいました。それは、それぞれの地域においてKPIというものを設定する、それに基づいてどのような効果が上がったのかというのを検証する。それは役所の中だけではなくて、可能な限り第三者を交えた形でなければ甘い評価になってしまいます。それを統合した形で、どの事業でどのような効果が上がったのかということは、説明する責任は私どもにあろうかと思います。

前原委員 与党が多数を握っている中で、この予算は通りますね。そうすると、経済産業省のこのIターン・Uターン事業、厚生労働省、ほかにもあるんですよ、ほかの役所にもありますね。しかし、これについては、大都市から地方へもう一度戻ってもらって、職についてもらう。
 さっき石破大臣は、対象の人材が違うから経済産業省とそして厚生労働省の予算が違うんだとおっしゃったけれども、しかし、では、検証したときに、同じかもしれない、同じものは統合するということをおっしゃった。それは、やはり使う者にしては非常に使い勝手の悪いものだということをみずから認めた答弁じゃないですか。
 ですから、これについては通るんでしょう。だから、私はここで石破大臣に前向きな答弁をしてもらいたいのは、運用でしっかりこれをうまく、利用者にとって使い勝手のいいようなものにする、そして、それを検証した結果、例えば経済産業省が検証してこれだけ戻ってきました、あるいは厚生労働省でこれだけ戻ってきました、それがダブりが多いということであれば、次の予算からは、しっかりと地方創生という部署が、石破大臣のところがちゃんと統合して、縦割りの省庁のものにしないということを約束してもらえませんか。

石破国務大臣 それは約束をいたします。ダブルカウントというような、そういう詐欺みたいな、納税者をだますようなことをするつもりは私どもは全くございません。
 そして、使い勝手がいいということは、こっちが勝手に思っていてもしようもないことで、実際にそれを使ってみた人が、何だい、これはと言われることがないように、そういうお声があれば、即刻改善するという姿勢が必要であります。

前原委員 総理、今、石破大臣が前向きな答弁をされたんですが、今はもう本当に一つの事業のことについてお尋ねしました。
 ただ、そういった重複事業が、総理は、渡辺周議員の本会議での代表質問に対して、重複を排除する、その前提として、施策の効果検証を厳格に実施するとおっしゃっているんです。これは、今、石破大臣は、今の事業について責任を持つとおっしゃいましたけれども、全体についてそうじゃなければいけないということで、総理がやはりリーダーシップを発揮していただけませんか。

安倍内閣総理大臣 これは本会議でお答えをさせていただいておりますように、重複を排除していくということでございますし、そもそも、これは国民の皆さんにとって、各事業が別々、重なっていてわかりにくいということがあってはならないわけでありますから、できる限り、今御質問のあった、あるいは御指摘に沿う形でいきたいと思っております。

前原委員 もう一つの事業は、これは我が党の後藤祐一議員が質問されました農水省の農地中間管理機構関連予算、西川大臣、いわゆる農地集積バンクであります。
 これについては、きのうお話がありましたように、二十五年度の補正で四百億円、二十六年度当初で三百五億円、そして今回の補正で二百億円、そして百九十億円ということで、どんどんどんどん二十七年度の当初予算で積み上がっているわけでありますが、お話を伺いますと、これについても、借り受け事業は二十三万ヘクタールで、現在の時点での機構側からの貸し出し面積は、貸せるものが二十三万ヘクタールあるのに対して五百六ヘクタールということで、極めて低い状況になっていながら予算を積んでいっている。
 ただ、これは、農水省の御説明ですと、都道府県にもう執行しているから執行率は一〇〇%なんだ、こういうことでありますけれども、これは恐らく、国民からすると理解は得られないというふうに思います。
 先ほどの話と同じように、これはもう執行されるものになりますから、できるだけ早く都道府県から執行状況をちゃんと報告させる。そして、本当にこれだけの予算が必要だったかどうかということを、やはりまずは中間検証を例えば半年ぐらいかけて、あるいは四十七都道府県で検証された時点で、西川大臣が例えば予算委員会に御報告いただく、こういうようなことをしっかりされるべきだと思いますよ。
 そうじゃないと、我々の手は離れました、都道府県にはお金を出したから執行率は一〇〇%です、そして二十三万ヘクタールのうち五百六ヘクタールしかまだできていない、これは理解されませんよね。
 ですから、ここはしっかりと、やはり各都道府県の進捗状況を報告されるということが必要だと思いますが、される御意思はありますか。

西川国務大臣 今の話ですけれども、ことし初年度、こういうことで、確かに九月末時点では二十三万ヘクタール、こういうことですが、これから貸してくれるという人をしっかり掘り起こしはやっていきます。
 それで、今も各県から状況はとっておりますけれども、まだどこも途上、こういうことでありまして、必ずしも期待どおりには来ていない、こういうことは私も承知しております。
 ですから、これから各県から報告をいただき、適宜、適当な時期にこの報告をさせていただきます。

前原委員 最後に、総理、去年の十月六日、衆議院の予算委員会、当時は恐らくみんなの党だったと思いますけれども、浅尾委員の質問に対して、それはあれですね、二十五年度補正予算の効果は一体どうだったんだという質問に対して、総理はこう御答弁されております。「五兆円の対策を打ったところでございますが、この対策について、どういう効果、成果、あるいはそれほど効果がなかったかということも含めて、当然、検証をしていきたい、」こうおっしゃったんですね。
 今回の補正も、今後、この補正というのはできるだけ私は抑制的であるべきだというふうに思うのでありますけれども、総理はこうやって予算委員会で、ちゃんと成果、効果を上げたか上げなかったかということを検証するとおっしゃっていますし、まず、これについても検証するという御答弁をいただきたいのと、それについて適宜適切な時期に御報告を具体的にいただいて、今、進捗状況、進捗率だけなんですよ、政府でやっているのは。進捗率だけではなくて、効果がどうあったのかという政府の分析も含めて予算委員会に提出していただきたいんですが、いかがですか。総理、最後なので。

安倍内閣総理大臣 浅尾議員に対して答弁をしたわけでございますが、この二十五年度の経済対策については、今は進捗というお話だったんですが、各府省の調査によれば、経済対策は順調に実施をされているというのが我々の検証の結果でございます。
 そこで、今、効果も含めてということでございました。我々といたしましては、検証結果については、先般の補正についての検証結果については、反動減に対する補正についての効果等々についてでございますが、検証結果については内閣府において近く公表することとしております。

前原委員 この補正予算についてもそういった御報告をしていただくということでありますし、それをもとに、本当に、先ほどの重複、あるいは本当に補正で必要だったのか、どういう効果があったのかなかったのかということも含めて、ちゃんとしっかり国会で議論できるような材料を政府から提出をしていただけるということでありますので、真摯に対応していただくことを求め、そして、我々は初めに申し上げた理由からこの補正予算には賛成しかねるということも申し上げまして、質問を終わります。

(国立国会図書館ウェブサイトより)
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