前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第189回国会 衆議院予算委員会2015/02/04

前原委員 民主党の前原でございます。
昨年の十月の三日にこの場で質問をさせていただきまして、アベノミクス五つの誤算ということで質問をいたしました。
 これだけ円安になっているのになかなか輸出が伸びない。それから、これだけ金利を下げて、そしてマネタリーベースをふやしているのにもかかわらず、法人向け貸出が伸びない。他方で、内部留保がどんどん積み上がっている。それから、実質賃金、実質可処分所得が減少している。悪いインフレが起きている。そして、財政出動によって復興、民間建設投資への悪影響が起きている。この五つの誤算というものを前回やらせていただいたわけでありますが、きょうは、誤算ではなくて、アベノミクスのリスクについてお話をいただきたいと思います。
 この国会でも、外交、安全保障を含めて、正しいかどうかという判断は別にして、何かやったときのリスクというものがやはりあって、そして、それについて本当に国民に対して説明ができているのかということについて問われるケースがあるわけでありますが、今日は、このアベノミクスのリスク、あまり国民に語られていないリスクについてお話をさせていただきたいと思います。
 さて、日銀黒田総裁、きょうは二月四日ですから、ほぼ二年前の四月四日に異次元の金融緩和というものをなされました。二年で二%の物価上昇ということは達成できそうですか。そして、目標は変わっていませんか。

黒田参考人 日銀の金融政策決定会合の最近時点での議論及びその後の公表文でもお示ししておりますとおり、最近の原油価格の下落というものが足元の物価上昇率を押し下げていくということではあるけれども、長期的に見ると、経済成長率を引き上げ、需給ギャップを縮小していくということによって物価の押し上げ要因として働くということを述べております。
 そうした下で、二〇一五年度の物価上昇見通し、昨年の秋の段階では一・七%と見通しておったんですけれども、これを一%に引き下げました。
 ただ一方で、二〇一六年度の物価上昇見通しは、二%台に乗るという見通しを変えておりません。したがいまして、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに、急速に上がるとは思っておりませんが、緩やかに上昇していくという前提に立ちますと、原油価格下落の影響が剥落するに伴って消費者物価の前年比は伸び率を高めていくというふうに見ておりまして、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いという見通しを維持しております。
 したがいまして、二%の物価安定の目標を、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するという量的・質的金融緩和の考え方は変わっておりません。

 

前原委員 黒田総裁、二年前は、二年で二%、しかも、できるだけ早くとおっしゃった。そのときは多くの国民、マーケット関係者は、四月までに二%上がる、二%に物価上昇がなるというふうに考えていたんですよ。原油価格のことをおっしゃいましたけれども、それだけでは原因になりませんよ。後でお話ししますけれども、内政的な要因でうまくいっていないことがある。
 しかし、原油価格の下落ということについて言えば、例えばリーマン・ショックのようなときも起こり得るし、そしてギリシャに端を発するユーロ危機のようなことも起こり得るし、東日本大震災のようなものも起こり得る。常に何か起こるんですよ。そのことを理由に、自分が二年で二%と、自らがおっしゃったんですよ。こちらが言ったんじゃない。
 二年で二%達成するということを今ほやらほやらと答弁されましたけれども、結局二年で二%はできていなかったんじゃないですか。二年で二%はできていませんということをまずお認めになることから始められて、ごまかすことではなくて、まず二年で二%はできませんでしたということから始めるのが筋じゃないですか。

黒田参考人 これは、二〇一三年の四月に、現在の量的・質的金融緩和を導入した際の決定事項、それからその後の公表文で一貫して申し上げているわけですけれども、きっちり二年で二%に達するということではなくて、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いという見通しを申し上げております。
 それから、量的・質的金融緩和を導入した際の公表文でも、二年程度を目途に、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に二%を達成するために量的・質的金融緩和を導入したわけですけれども、その政策自体は、きっちり二年でやめますということではなくて、これもそのときから申し上げておりますし公表文にも出ていますが、一種のフォワードガイダンスと言われるものですけれども、二%を達成し、それが安定的に持続するようになるまで量的・質的金融緩和を継続するというふうに申し上げているところでございます。

前原委員 多くの人たちは、二年で、つまりは二〇一五年の四月の段階で二%に上がるという意思表示をしたと思っていた。それをいろいろと理由をつけておっしゃっているけれども。
 では伺いますよ。はっきり答えてください。二〇一五年度を中心とする期間とはいつですか。二年程度とはどのぐらいですか。それにちゃんと答えてくださいよ。
つまりは、二年程度というのは、二年と三百六十四日も二年程度なんですか。それは普通三年というんですよ。二〇一五年度を中心とするといったら、二〇一三年の四月から二年だったら大体半年前後ですよ、中心とするとは。自らがおっしゃった。我々が言って聞いているんじゃないですよ。総裁がおっしゃったんです。総裁がおっしゃって、それでマーケットもそれについていろいろ判断しながら動いている。
 では、二〇一五年度を中心とするというのはどこからどこまでですか。二年程度というのはどれぐらいですか。はっきり答えてください。

黒田参考人 これも以前から申し上げている点で、委員も御承知と思いますけれども、政策委員会で決定し、それを公表文で示し、さらには私も記者会見等で申し上げておりますけれども、一貫して二年程度の期間を念頭に置いてということを言っております。
 その程度がどのくらいかというのは、まさに二年程度ということ以上のものはないわけでして、どこの国の中央銀行も、十八カ月から二十四カ月程度と言ったり、中期と言ったり、いろいろな言い方をしておりますけれども、ピンポイントして、二年間できっちり二%にします、あるいはなりますというところはないわけでして、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現する、そのために量的・質的金融緩和を導入した。
 その下で、二〇一五年度を中心とする期間ですので、二〇一五年度いっぱい、その前後に若干はみ出るところもあるかもしれませんが、二〇一五年度を中心とする期間、これも一貫してそういうふうに申し上げているわけでして、従来から言っていることと現在言っていることとは全く違いませんし、今、同じことを申し上げているわけです。
 ただ、何回も申し上げますが、金融政策は金融市場を通じて実体経済への影響を与えるものですから、一定のタイムラグとか、あるいは不確実性というのを常に伴っているわけです。そうした中で、先ほど申し上げていますように、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現する、そのために、必要であれば常に調整を行う用意があるということで、そうした考えの下で、昨年の十月に量的・質的金融緩和を拡大したということでございます。

前原委員 今の答弁の中で若干尻尾を出されたのは、やはり二〇一五年を目途に、ちょっとはみ出るかもしれないということをおっしゃったわけでありますが、つまりは、三年にはならないというのが今の話だったら、二年程度ですから、三年になったら二年程度じゃないんですよ。ということは、今の話でいうと、まあ、普通は四捨五入だけれども、切り捨て、つまりは二年と三百六十四日、これも二年程度というところに入るのかなというところで、ごまかされているのではないかと思いますね。
 先ほど申し上げたように、いろいろなイベントが起きるんですよ。まだこの二年弱は起きていない方ですよ。まだまだいろいろなイベントが起きるかもしれない。岩田副総裁なんか二年で二%上げられなかったらやめるとおっしゃったじゃないですか。これはやめてもらわなきゃいけない。
 つまりは、自らが言ったこと、変わらないとおっしゃっているけれども、どの世界で二年と三百六十四日が二年程度ですか。それは三年程度というんですよ。そういう意味においては、まさに、自らの政策的な実現ができていないということをはっきり認めないで、なし崩し的にこの施策を続けてやっている。まあ、続けると言わないといけないんでしょう。
 だけれども、これは、総裁、今から別の形で質問していきますけれども、この二年で二%について、三年たってできていなかったら、これはもう言い訳できませんよ。三年たって、言い訳できませんよ。このことについては明確に申し上げておきます。これは、後で別の質問で答弁があれば、三年たってできていなかったら、それで二年程度と言うんだったら、そんな大嘘つきはない。
 さて、物価上昇率、パネル(配布資料)をちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは今〇・五なんですね。だから、二カ月で二%なんかとてもじゃないけれども無理だということであります。
 先ほど、総裁は原油価格のことをおっしゃいました。右側の上が原油価格でありますけれども、今、一バレルが五十ドル前後ですね。底を打ったような感じもいたしますが、これがどうなるのかというのはわかりません、誰もわからないと思いますけれども、下を見ていただくと、九十ドルになった場合は何とか、一年たったら二%ぐらいになるかもしれない。七十ドルだったら、一・五を割り込むぐらいであります。
 しかし、こんな物価上昇というのは誰も望んでいないわけであって、もともと、物価上昇が望ましいものというのは、需給が逼迫をして、そして、いわゆる景気が過熱をする中での物価上昇というのはいい物価上昇で、外的な要因で、例えば原油価格が上がる、無理やり円安にして輸入価格が上がる、それで物価を上げるなんというのは、これはまさに悪い物価上昇、誰も望まない物価上昇であります。
 さて、ここで、先ほどの話、二年程度ということになれば、二〇一六年の四月までに本当に二%になるのかどうなのかということが大きなポイントになってくるわけであります。
 次のパネル(配布資料)をごらんください。
 これがこの間も議論しました実質賃金、実質可処分所得でありますけれども、これには十七カ月連続と書いてありますけれども、きょう発表されて、十八カ月連続マイナスですよ、実質賃金。マイナス一・四%、連続十八カ月マイナス。しかも、一年間で見ると、実質賃金は前年比マイナス二・五%。これは、リーマン・ショック発生時の、二〇〇九年のマイナス二・六%と同等の下げ幅ですよ。つまりは、リーマン・ショックの後と同じぐらい、この一年間で実質賃金が下がっている。
 先ほど山本幸三委員が質問をされました。あたかも消費税を上げたから実質賃金が下がったようなことをおっしゃるけれども、そうじゃない。これは、グラフを見ていただくと、十八カ月連続ですよ。今は二月ですね。消費税が上がったのは去年の四月ですね。ということを考えると、その前から、七、八カ月前から実質賃金は下がり始めているんです。つまりは、消費税の影響じゃないんですよ。
 これを見ていただくとわかりますけれども、輸入物価が上がっていることが相関しているわけですね。ということは、まさに異次元の金融緩和ということに伴うことも大きな要因として円安が進み、輸入物価が上がって、そして結果的に多くのいわゆる実質賃金が、実質可処分所得が下がっているということであります。
 総理、この十八カ月連続実質賃金マイナス、そして一年で見ると、リーマン・ショック以来の同等の下げ、本当に好循環ですか。そして、こういう内政的なところがよくならないと本当の物価上昇というのはないんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 まず、先ほどの日銀総裁との議論でございますが、これは、政府と前総裁の白川さんと合意をして、二%の物価安定目標を定めたわけであります。政府と中央銀行が同じ目標を持った。その上において、手段は日本銀行に任せたわけでございますが、要は、ポイントは、それに向けて進んでいるかどうか、あるいは遅れているかどうかについて中央銀行がちゃんと説明責任を果たしていくことが重要であろう、そこが一番のポイントだろうということ。
 先ほど、そういう意味においては、石油価格の下落等について説明をされ、我々としては、いわば政府と日本銀行がここで合意をしたわけでありますから、その点では、我々政府としては納得しているところでございます。
 そこで、実質賃金について言えば、この国会でも何回も議論したわけでございますが、景気が回復局面になりますと、人々は仕事が得やすくなるわけであります。しかし一方、スタートする時点においては短時間のパートから始める人も多いと思いますし、また企業側も、なかなか正規の雇用はしない、慎重な姿勢がまだ残っているのも事実であります。その中で、働く人の数はふえている。しかし、働く人の数は増えていきますが、いきなり一千万円とか五百万円という収入にはならない、パートからスタートする。
 例えば、安倍家において、私がそれまで三十万円の収入を得ていて、しかし、女房がどこかで仕事をする、残念ながらそういう経済状況ではない中において、しかし、私が三十万円の収入であれば、いわば平均すれば三十万円なんですが、では、景気が良くなって、女房がパートで十万円の収入を得たとすると、安倍家としては四十万円なんですが、平均すれば二十万円に減ってしまうという現象がまさに今起こっているのがこの実質賃金の説明であって、ですから、総雇用者所得で見なければいけない。総雇用者所得、いわば働いている人の全員の稼ぎ、ここで見れば、これはずっと上昇しているということは申し上げておきたい、こう思うわけでございます。
 この総雇用者所得で見れば、消費税の引き上げ分を除けば、総雇用者所得はプラスになっておりますし、消費税分を入れても、十二月にやっと全体でもプラスに、消費税分を入れてもプラスになってきたということであります。
 実際、雇用の分野においては、二十二年ぶりの、まさに有効求人倍率が高い水準にあるのは事実でありますし、名目賃金はずっと上がっているのも事実であろう、このように思いますし、高卒、大卒、それぞれ内定率は上昇しているわけでありまして、間違いなく我々は好循環の中に入ってきている、これをしっかりと回していくことが今求められているんだろう、このように思います。

前原委員 全然拍手するところじゃなくて、だって、一番のポイントはGDPでしょう。この一年間、GDPはマイナスじゃないですか。それで好循環が続いているといったって、何の説得力もないですよ。しかも、十八カ月連続、実質賃金が下がり続けているわけですから、どんどんどんどん、だって、先ほどの総雇用者所得にしたって、プラスになった十二月はボーナス月だから上がりますよ、ある程度。だけれども、実質賃金はそれでもマイナスなんですよ。その中で、実際にGDPがこの一年間はマイナスになっているんじゃないですか。
 だから、そういうことを含めて考えると、今日はこの指摘をしておく中で、私が今日一番申し上げたいことは、つまりは、原油価格がどうのこうのじゃなくて、異次元の金融緩和が長くなればなるほど、つまりは国債引き受けというストレスがたまっていっている、そのことに対するいわゆる暴発リスクというものをどんどんどんどん高めていっているということを今日はお話ししたかったので、これについては指摘をするにとどめておきます。
 さて、日銀総裁、黒田さん、二〇一七年の四月、消費税を八から一〇まで上げる。それから、総理は、景気弾力条項は削除するということをおっしゃっています。仮に、日銀の予想ということで、先ほどおっしゃったことを総括すると、二〇一五年については一・七%のCPI上昇だったけれども一・〇に落ちる、しかし、来年は二・二まで上がる、こういう見通しですよね、これが日銀の見通しですよね。
 これは、私、黒田総裁の責任だけではないと思うんですが、消費税が一年半先送りになったことによって、より難しい金融政策を求められるということになると思うんですね。私はなかなか難しいと思いますよ。一九八五年から八九年の一番バブルの最盛期でCPIは一・二%ですから、そういう意味では、二%というのはなかなか難しいと思いますけれども、これは結論が出る話で、出たときにまた厳しくやらせてもらったらいいわけですから、それはそれでまたやらせていただくとして。
 仮に、日銀が言われるように、こうなったとしましょう。そうすると、市場は出口が近づいたのではないかということを織り込み始めますね。そうすると、今、国債を大量に買う中で、イールドカーブ全体を抑え込むということで金利を抑え込んでいるわけでありますが、金利上昇リスクというのが出てくる。
 しかし、消費増税というものを何とかやり遂げるためには、これは五から八にするときもそうでしたけれども、いかに消費税を上げやすいような環境、つまりは、勢いをつけて消費増税に突入するかというのが二〇一六年になるわけですね。そして、二〇一七年の四月以降については、今度は反動減が来ますから、反動減が来るということになると、これはまた金融政策も含めて後押しをしなきゃいけないということになりますよね。
そうなると、言ってみれば、去年の十月三十一日に追加緩和をされて、かなりの勢いがついた国債購入というものを、この消費増税の前後では続けざるを得ないような状況になるんじゃないですか。
 これは、総裁、日銀の想定するCPIに基づき、そして、安倍総理が一年半延ばされた消費増税の前後の財政金融政策の金融政策を扱われるお立場として、今私がお話をしたことについてどうお考えですか。

黒田参考人 日本銀行の金融政策は、あくまでも二%の物価安定目標を実現し、しかも、それを安定的に持続できるようにするということが目標でございますので、その考え方のもとに必要な調整を行っていくということに尽きると思います。財政の問題は、委員御指摘のとおり重要でありますし、消費税の問題も極めて重要だと思いますけれども、それは基本的に、政府、国会において議論され決定されることでありまして、私どもとしては、そういったことで決まってくることを前提にして、いかにして二%の物価安定目標を実現し、安定的に持続できるようにするかということに尽きると思います。
 委員の御指摘の趣旨はよく理解いたしますけれども、あくまでも中央銀行としての役割は、やはり物価安定、具体的には二%の物価安定目標を安定的に持続させるということに尽きると思います。

前原委員 今総裁がおっしゃったように、二%の物価安定目標、これはなかなか難しいと思いますよ。一般では、展望レポートは願望レポートと言われていますから、二%にするというのはなかなか難しいわけでありますが、そうなるにしても、あるいは日銀が言っているように二%になるにしても、消費税引き上げの時期というものが非常に複雑な要因になってきたということは、先ほど申し上げたとおりであります。
 となると、このグラフ(配布資料)を見ていただきたいんですね。これは、国債発行のうち誰がどれだけ持っているかというものの推移をあらわしたものです。右の丸を見ていただきますと、一四年の九月末の全体が八百六十・七兆円ということで、日本銀行は五分の一なわけでありますけれども、これはまだ年末ではないですね。これだと大体百八十兆円ぐらいですかね。だから、一四年末が二百兆円になるということですから、二一%よりも比率は今高くなっているわけですね。
 しかも、QQE1というのは、これは約二年前、一年十カ月前の異次元の金融緩和を日銀が始められたころ、これで角度が上がって、そして去年の十月三十一日にまたさらに買い増しの角度が上がって、今これを前提に国債を買っておられるわけですよ。
 となると、先ほど私が申し上げたように、まず二%にするために緩和は続けられるでしょう、金融緩和、量的緩和は続けられるでしょう。そして、消費税の前というもの、速度をつけなきゃいけない、金融政策としても、その前に出口というのはなかなか考えられない、消費税を上げた後も、反動減があるから、そのときに出口ということも考えられないということになると、一七年の末まで今のものをやり続けるとしたら、何と日銀が持つ国債の量というのは四百四十兆円ぐらいになるんですよ、四百四十兆円。
 これは、要は、国債の大体半分ぐらいを日本銀行が保有するということになりますし、そして、対GDP比でいうと八割ですよ。GDPの八割を日本銀行が国債として持つということで、これは異常中の異常ですよね。
 つまりは、これはまさに国の借金の肩がわりを日本銀行に実質的にやらせているという、財政ファイナンス、財政法第五条で禁止をしている財政ファイナンスに実質的になっているということじゃないですか。
 これは財務大臣、種々の答弁がありますので、時間がもったいないので省略しますが、直接引き受けじゃないと。つまりは、直接引き受けじゃないからいいんだ、直接引き受けを禁止しているんだ、こういう答弁を今までされていますが、一日後に引き受けていますよね。つまりは、民間の金融機関に買わせて一日後に買わせている、こういうことであります。
 違う質問をします。仮に、今私が前提とした、消費増税の前後というものに、これだけのいわゆる負荷を、国債購入、日銀に負荷をかけさせるということが、それまでにできるかどうかもわかりません。
 つまりは、後でお話をしますけれども、二つのリスクがあるんですよ。一つは、それまであるいはその後に国債が暴落して金利が急騰するリスクがある。つまりは、それだけ、発行量の半分近くを国が持っているということになったら、これは中央銀行と日本の政府というのはずるしているんじゃないかと市場が判断した段階で、国債価格は暴落し、そして金利は急騰しますよね。それまでに来る可能性がありますね。その可能性が、財務大臣、ないと言い切れますか。

麻生国務大臣 この金融緩和の一種の出口戦略みたいな話なんだと思いますけれども、これは具体的に言及……(前原委員「え、出口戦略?」と呼ぶ)出口戦略でしょう、基本的には。(前原委員「いやいや、金融政策の話をしているんです。出口というのは最後の話ですよ。出口じゃないですよ。今はオンゴーイングの話をしているんです」と呼ぶ)ああ、オンゴーイングね、オンゴーイングで、それについて。済みません、じゃ、出口じゃない。出口じゃないかと思って聞いていたので……(前原委員「出口じゃないです、違う答弁しないでください」と呼ぶ)はい。
 日銀の国債引き受けというのは禁じられているという話なんだと思いますが、これは、御存じのように、戦前もしくは戦中において日銀引き受けにより発行した結果、強烈なインフレになったということに基づいて、他の主要国も同様なものですけれども、公債の日銀引き受けというのを原則として禁止をしておるということはもう御存じの状態なんで、これは市中消化の原則というものを定めたものなんですが。
 他方、日本銀行の量的また質的金融緩和の下で今行っている国債の買い入れというものは、二%の物価安定目標というものの実現のための金融政策が目的ですから、日銀自らの判断でこれは行っておられるということだと理解をしております。
 全て、マーケットに流通している国債を対象に、金融機関を相手方にして実施しているものだと理解しておりますので、いわゆる財政法で言います日銀の国債引き受けには当たらないというように理解しておかないといかぬのじゃないかと思いますけれども。

前原委員 ちょっと、財務大臣に質問しない方がよかったと今思いましたが。
 総理に聞きます。
 総理は、好循環を生み出すんだ、そして、要は思い切ってやるんだ、後で高橋是清さんの話をさせてもらいますけれども、思い切ってやるんだということで、そして有効求人倍率も上がった、株価も上がった、好循環になったということをおっしゃっています。
 我々はそうでないことを、格差の問題、実質賃金の問題、様々な問題を言っておりますが、仮に総理がおっしゃっていることが正しいという前提に立ったとしても、こういう、つまりは日銀に国債を買わせるというストレスをずっとためていく中で政策を行っていて、日銀が国債引き受けができなくなるような事態になったときには全てオジャンになるというリスクについて、国民に説明されてきましたか。そして、財政破綻は絶対にない、国債暴落リスク、そして金融、金利高騰リスクは絶対ないんだということを言い切れますか、この政策は。

安倍内閣総理大臣 日本銀行が市場を通じて国債を買っている、これはまさにただいま財務大臣が答弁したとおりでありまして、我々が日本銀行と結んだ政策合意というのは、二%の物価安定目標をいわば定めて、それに向かって様々な政策をとっていく、その中で大胆な金融緩和という政策をとっている。その中で何を買うか。国債を買うのか、何を買うか、これはまさに日本銀行が定めることであります。
 我々はまさに、財政需要の中で税収との関係で公債を発行しているにすぎないわけでありまして、我々が日本銀行にこれだけ国債を買えと言ってはいない。そういう意味では、財政ファイナンスでは全くないということは申し上げておきたいと思います。
 同時に私たちは、経済の再生と財政の健全化、この二つを同時に達成するという、この道しかない、こう考えているところであります。
 私たちが進めている政策によって、皆さんのときよりも税収は十二兆円、十二・二兆円ふえました。その結果、皆さんのころの二十五兆円のいわばプライマリーバランス赤字が約半減して、全くの半分ではございませんが、半減して十三・四兆円かな、に圧縮しているわけでありますし、一〇年と比べて一五年のプライマリーバランスの赤字をGDP比で半減するという目標も大体、おおむね到達できるというところまで来ているわけであります。
 いわばそのことによって国債に対する信認も維持できている結果が、今の国債の金利、低い金利としてあらわれているんだろう、このように思います。
 ただ同時に、もちろん前原委員が指摘をしておられる点にも十分に私たちも留意をしながら、国としての信認を維持していきたい、こう思っているところでございます。

前原委員 二〇一三年六月に、イギリスで安倍総理は講演されて、高橋是清さんのことを取り上げて演説されたのを、御自身の演説ですから覚えておられると思います。高橋是清さんという方が一九三一年に大蔵大臣につかれたわけでありますけれども、このリフレ政策を称賛されているのが安倍さんであります。
揚げ足をとるつもりはありません。確かに、第一次世界大戦の後のいわゆる需要不足で不景気になって、そして関東大震災、そして金融恐慌、世界恐慌、この中で、大変な状況にある中で高橋是清が出てきた。そして、経済の回復を見事にやり遂げたというのは、その時期で見たら事実です。
 これは何をやったかというと、いわゆる緊縮財政から積極財政に変えた。積極財政に変える手法として何をやったかというと、今のお話の国債の引き受けをやった。国債の引き受けをやって、そのかわり、今と逆ですよ、高橋是清は、逆に、民間の金融機関に引き受けさせた。売りオペをやったわけですね、今は買いオペをやっていますけれども。つまりは、民間に買わせて買いオペをやっていますけれども、そのときは、国債を大蔵省が引き受けて、そして買わせるということをやっている。その違いはもちろんありますけれども、実際問題、積極財政をやったからよくなった。
 しかし、何が起きたかというと、まずインフレが起きた。今と同じですよ。つまりは、インフレが起きて、何が起きたかというと、一般の労働者の実質賃金がずっと下がり続けた。高橋是清のときも同じことが起きている。これがまず一つ。これは事実であります。
 そして、二・二六で殺される。そして、いわゆる財政の出動というものに対して歯どめがかけられなくなって、どんどんどんどん、軍部の暴走も含めて収拾ができなくなって、結果的には国家財政は破綻するわけですよ。
 つまりは、戦争があったからとか軍部があったからなかったからということではなくて、その一時期を見たら、確かに見事なまでに経済を回復させるのが高橋是清なんですよ。
 ただ、きょう私が申し上げたかったことは何かというと、国債をずっと買い続けて、そして、どんどんどんどん日銀の国債保有が膨らんでいっている中で、今申し上げたように、突然やってくるんですよ。例えば、ある国債格付会社が、日本国債の格付を、これは実質的に財政ファイナンスじゃないかと。直接引き受けしていないから財政ファイナンスじゃないと言われますけれども、実態的に見ていったら、これは財政ファイナンスじゃないですか。
 実態的に見たら財政ファイナンスだというふうなことを、先ほどの有志連合の説明と一緒ですよ、政府が幾ら説明をしたって、外形的にどう見えるかが大事であって、財政ファイナンスと見られて、そして、ある時期に、例えば国債の格付が下がる、そのことによって国債が暴落し金利が急騰する。そういうストレスをためる政策をして、今、良くなっている、なっているだろうと言われても、それは国民は知らないわけですよ、リスクをためてやっているということについては。
 つまりは、そういうリスクを抱えているということについてちゃんと説明をしていないし、先ほど答弁は、それは政府はちゃんと財政規律に基づいてやっていますから、国債を買っているのは日銀ですからと、何か日銀のせいにしているような話をしている。
 では、日本銀行総裁に伺いますけれども、この政策を本当にずっと続けていって、途中で国債の暴落とか、あるいは金利急騰のリスクはないと言い切れますか、自分の政策をやっていて。つまりは、この政策というのは、国民全体を巻き込んだギャンブルのような政策じゃないですか。

 

黒田参考人 日本銀行の金融政策は、あくまでも物価の安定を達成するために行っているわけでありまして、財政ファイナンスのために行っているわけではないということは、従来から申し上げております。
 もとより、委員も懸念されておられるように、財政構造を健全化し、国債に対する信認を確保していくということは極めて重要であり、これは日本が国全体として取り組まなければならない課題であるということは、そのとおりだと思います。
 現に政府も二〇二〇年の財政構造健全化目標の達成に向けて夏までに具体的な計画を策定するというふうに言っておられますし、私どもといたしましても、国債の信認を確保し、財政構造の持続可能性を確保するということが具体的に進展するということを強く要望したいというふうに思います。

前原委員 総理、さっき笑っておられましたけれども、これは笑うような話じゃないんですよ。つまりは、本当にそういうストレスをためながら、今の指標がいいというふうにおっしゃっているかもしれないけれども、それは、未来永劫続く施策をやっておられないんですよ。それまでに本当に実体経済がよくなって、そして、いわゆるこの出口が、先ほど聞いていないのに答弁されようとされた出口について、本当にうまくいくということは、私は、ナローパスだと思いますよ、すごく。そういうようなことを、つまりはギャンブルのような政治をやっているということをちゃんと国民に対して説明しないと、今の経済がいいから、そうしたら、民主党政権とはこう違いますと言っていて、二年後、三年後、五年後、どうなっているかということになったら、今笑っていることについて、まさに、国の財政を破綻させた張本人は安倍さんだということになる危険性を私は指摘しているわけです。そうなったら、もう国民の生活は元も子もないですよ。そういうことを私は指摘しているわけです。
 去年の十月三十一日の追加緩和のときに日銀から説明をいただきました。そのときにどういう説明があったかというと、原油価格が下がった、原油価格が下がることは中長期で見れば国民にとってボーナスではあるけれども、しかし、デフレマインドを変えるためにここで追加緩和をして、そして、二年で二%という道筋をつけるんだ、こういうことをおっしゃっていた。
 私はそのときに聞いたんですよ、その日銀の方に。総理と手を握っているんですか、つまりは、ちゃんと消費増税をするということについて約束をしたんですかと言ったら、していない、しかし、実際に消費税を上げてもらわなければ財政ファイナンスと見られてしまう、こういうことだった。つまり、日銀は総理にはしごを外されたというふうに私は思っています。
 総理、この消費増税のときに、これは本会議でも質問しましたけれども、今回は、経済は生き物だと言って消費増税を延期されました。しかし、二〇一七年四月には必ずやるということは、総理、先ほど笑っておられたけれども、総理自身も、これは財政再建ということをちゃんとやらないと、ストレスをためる施策で大変危ないんだということをわかっておられるんじゃないですか。御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 いろいろと前原委員が指摘をされましたが、しかし、この三本の矢の政策によって、どういう目的を持っているかといえば、デフレからの脱却であり、そして、雇用状況の改善でもあります。そして、給与を上げていく。その目的に向かって着実に進んでいるのは間違いないわけであります。
 いわば金融政策によっても雇用状況をよくしていただきたいというのが私の思いでありますが、まさに、黒田総裁のもとの金融緩和政策によって雇用状況が改善されているのは間違いのない事実であろうと思います。高卒者の内定率も、これは十一年ぶりの改善になっているのは間違いないんです。つまり、高卒の皆さんも大卒の皆さんも、これは改善されているんですから、喜んでおられる。また、有効求人倍率が上がっていくことによって、当然、待遇の改善に結びついていく。そして、給与も、まさに昨年、十五年ぶりに二%以上に上がったのは事実であります。
 こうしたように、政策の成果が出ているのは間違いないんですよ。立ちどまっていて何もしないリスクの方が大きいということははっきりと申し上げておきたい、そう思いますよ。
 失業率がどんどん悪化していく、あるいは、収入がどんどん減っていくという状況を私たちが変えたのは事実であります。そして、働く人の数はふえたじゃありませんか。つまり、このようにしっかりと前に進めていくと同時に、国債の信認も確保しなければなりません。
 ですから、我々は、来年度の予算編成においても、四兆四千億円の国債発行の減額を行いました。過去三番目の、これは大きな減額であります。ちなみに、一番大きかった減額は第一次安倍政権の時でありますが、今回は三番目の減額をしっかりとしている。
 そういういわば財政規律を守るための努力を世界に示しているわけでありますし、そこで、我々は、再来年に消費税を引き上げ、これはリーマン・ショックのような事情の変更があったら別でございますが、基本的には今回のような景気判断は我々は行わないという意思を示し、そして同時に、既に、その意思を示す上において、しかし、政労使の会議をやりまして、今年の四月はいわば給与を引き上げるという約束を得ているわけでありますし、下請企業に対しても、いわば原材料費等の価格転嫁も行うように企業側も努力をする。今年の四月、来年の四月、またさらに再来年の四月もしっかりと引き上げていくことによって、ここは一番大切なところですから、引き上げていくことによって、我々は、消費税を引き上げていく環境を整えていくことができる、このように思うわけであります。
 出口戦略等々については、これはまだ二%の物価安定目標に達していないわけでありますから、当然、時期尚早なんだろう、このように思うわけであります。

前原委員 質問に答えないなら長々としゃべらないでください、しかも、同じこと、いつも同じことを。
私がきょう言っているのはそういうことじゃない。短期的に成果が上がっているかどうかを言っているんじゃなくて、この成果を得るためにどれだけストレスをためてやっていって、それがたまっていったときのリスクというものを国民に話していないということを言っているわけですから、そんな、今の状況をべらべらしゃべったって意味がないんですよ。
 もう一つ、総理……(発言する者あり)いや、やり過ぎているということですよ、簡単に言えば。黒田総裁……(発言する者あり)いや、やり過ぎですよ。我々だって、別にやじに僕が答弁する必要はないんだけれども、デフレはいけないですよ、デフレはだめ。しかし、我々は、一%までのプラスの領域、そこで抑えるということをやって、こんな、国民をギャンブルに入れて、どんどんどんどんストレスをためるような政策をやらなかったですよ。
 つまりは、デフレ脱却というのは、魔法の杖はないんですよ。何か魔法の杖があるようなことを言っているけれども、結果、それが破滅になったら大変だということを、私は警鐘を鳴らしているわけです。そのことを言っている。
 そのもう一つのことを黒田総裁に質問します。
 昨日、株価が二百二十円下がりましたね、今日は上がっていますけれども。何で昨日株価が下がったかというと、新発十年国債が入札不調になったということで二百二十二円下がった。そして、昨日の日本国債の利回りは、〇・二八五から〇・三五五に上がった。今日の午前中も〇・三八五まで上がっているんですよね。三ポイント上がっている、こういうことであります。
 つまりは、金利急騰、そして暴落のリスクとともに、このいわゆる異次元の金融緩和というのが成り立つのか、つまり、買う国債があるのかというところがこれから問われてくるんじゃないかと思うんですね。GPIFがうまいこと、国債のポートフォリオを減らして株を増やすということをやって、渡りに船になっているところがありますが。
 五の資料(配布資料)を見てください。パネルはありません、五の資料を見ていただいて。
 新発国債の八割が日銀によって吸収されている。しかも、五年から十年は、何と、発行されているより多くの国債を買い続けているわけですよ。
 つまりは、この国債の品薄状況の中で、今後の、言ってみれば、先ほど申し上げたように、それはしばらくは大丈夫でしょう、しかし先ほどの消費増税の前後の話も含めて申し上げれば、本当にこの国債を買い続ける政策というのがサステーナブルと考えておられるかどうか、そのことについて御答弁ください。

黒田参考人 日本銀行は、量的・質的金融緩和の政策のもとで、マネタリーベースが年間約八十兆円に相当するペースで増加するような形で国債その他を購入しております。
 これまでのところ、こうした方針で進めている国債買い入れ等につきまして、特別に支障を来すような状況は起こっておりません。市場の流動性その他も、さまざまな指標を見る限り、特に流動性が低下したということにはなっておりません。
 したがいまして、今後ともこういった形で、二%の物価安定目標を達成し、安定的に持続できるようになるまで続けるということは十分可能だと思っておりますが、市場の状況につきましては、常に市場関係者と対話をして、必要な調整はこれまでも行っておりますし、今後とも行ってまいります。

前原委員 このやりとりはこれで終わります。つまりは、私が今日申し上げたかったのは、仮に今いい成果が出ているとしても、それは相当ないわゆるストレスをためながらやっていて、それが爆発をしたら元も子もなくなるような危険なギャンブルをやっているんだということ、そのことを指摘させていただきたいと思います。
 さて、石破大臣含めて、少子化の問題を、ちょっと時間が少なくなったので大変申しわけありませんが、質問をさせていただきたいというふうに思います(配布資料)。
 人口問題について、二〇六〇年に人口一億人程度ということでありますが、これは必ずやり遂げるということかどうかということと、あとは、二〇六〇年に一億人というのは通過点であって、どれぐらいで下げどまらせるということを政府として考えているのか。その二つを御答弁ください。

石破国務大臣 これは、一億人、二〇六〇年というのは、達成しなければならないと私どもは思っております。それは、産めよ増やせよみたいな形で家庭に国家が介入するというよりは、国民が、できれば結婚したい、できれば子供は二人以上持ちたい、そういうふうに思っていらっしゃるので、それを妨げる要因をとにかく取り除くということによって達成しなければならないと考えております。
 それから、一億人というのは、それは通過点でございます。これで最終というわけではございません。問題は、人口の数のみならず、そこにおいて高齢化比率というものをどれだけ下げていくかということだと思っております。人口は下げどまりました、しかし高齢化がずっと続きましたということを私どもは企図しているわけではございません。もちろん、健康で長生きをしていただくことは重要でありますが、若年の比率をふやしていく、人口の若返りというのもあわせて、数と同時に必要なことでございます。

前原委員 後者の質問にお答えをいただいていないと思うんですけれども、どれぐらいで下げどまらせるということなのか。それは、やはり大きな政策目的だと思うんですね。
 この政府からいただいているものだと、うまくいった場合においては九千万人ということになっていますが、九千万人で安定させる、これ以上は下回らせないというのは政府の意思なのかどうなのか。その点を確認させてください。

石破国務大臣 九千万人というのは一つの目標だと思っております。
 そして、そこにおいて必要な若年の比率、若返りというのをあわせて達成しなければならないということだと承知をしております。

前原委員 もう時間がないので、また本予算の質疑のときにも譲りたいと思いますけれども、他国の事例を見ますと、出生率を結果として回復しているところ、出生率を目標にしている国というのはあまりないんですね、出生率を結果として回復している国というのは、家族向け支出、子供向け支出というものが対GDP比で大体二%ぐらい使っているんですよ。今、日本は〇・九七ぐらいだと思うんですね。一%いっていないですよ。ということは、対GDP比でいうと、あと五兆円ぐらい。
 一〇%になったときには、子ども・子育てが七千億、一兆円を目指すという話になっていますけれども、それではなかなか人口減少というものに歯どめがかけられないと思いますね。もちろん、中身を精査しなくてはいけませんが、それぐらいの規模を、やはりOECD並みにやらないと、とてもじゃないけれども目標は達成できないと思いますが、その認識はいかがですか。

石破国務大臣 ありとあらゆる方策は講じなければいけないと思っております。
 ですから、これは有村大臣の所管でもありますが、どうやって子育てがしやすい環境をつくるかということは、もちろん財政的な規模というものも当然必要なものでございます。

前原委員 ある程度、財政支出を伴い、また中身を詰めていかないとこの国家目標というのは達成できないということですので、相当、予算の組み替えも含めて思い切ったこと、あるいは歳入改革も含めて思い切ったことをやらないと、本当にこの国家目標は達成できないということ、このことを申し上げ、また質問をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

(議事速記録より)
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