前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第193回国会 衆議院予算委員会2017/01/26

前原委員 民進党の前原です。

 総理に伺いますが、施政方針演説の中で、格差を示す指標である相対的貧困率が足元で減少しています、特に子供の相対的貧困率が二%減少し、七・九%、十五年前の調査開始以来一貫して増加をしていましたが、安倍内閣のもと、初めて減少に転じましたと述べておられます。

 まずお伺いしますが、こういうことを施政方針演説に御自身の実績として書かれるということは、相対的貧困率を下げることは大切である、政策目的としては重要である、こういう認識を持っておられるということでよろしいでしょうか。

 

安倍内閣総理大臣 相対的貧困率については、この委員会でも何回か議論になったことがございました。

 その際に、いわば日本の傾向あるいは先進国の傾向として、相対的貧困率がどんどん伸びていっているのではないかということを前提に、前の岡田党首と議論したことがございます。

 そのときに、安倍政権がやっている政策を前に進めていっても、それはむしろこの差は拡大していくのではないかという議論があったわけでございまして、私が言わんとするところはそうではなくて、この相対的貧困率についてもこのように改善が今回見られたということを申し上げたわけでございます。つまり、当然それは、傾向としては、相対的貧困率がいわば政策の結果の全てではもちろんございませんが、指標の一つとしてはしっかりと見ていきたい、このように思っております。

 

前原委員 大事な点なので確認をさせていただきますが、相対的貧困率は低い方がいい、下げることをしっかりと政策の目標にすべきだというふうにお考えですか。

 

安倍内閣総理大臣 この相対的貧困率については、まさに中位の半分以下がどれぐらいになっているかという比較でございますから、絶対値ではないわけであるということは申し上げておきたいと思いますが、その中で、その年々の絶対値ではなくて傾向がやはり大切であろう、こう思うわけでございますから、傾向としては、いわばこれは上がっていくということは社会の安定性から見てふさわしくない、このように思っているわけでございます。

 

前原委員 それでは、一枚目のパネルをお願いします(配布資料)。

 全国の皆さん方は御存じないかもしれませんが、相対的貧困率と言われるものが実は二つございまして、総理が今回おっしゃったのは、下の方の、全国消費実態調査と言われるものなんですね。上が、これは筆頭理事をされている長妻さんが厚生労働大臣のときにこれを入れようということで導入をした、こういうものでございますけれども、OECDはこちらを採用しているわけなんですね。

 そして、総理が使われた全国消費実態調査においては、確かに二ポイント下がっているんです。しかし、国民生活基礎調査というものについては、これは三年に一度ですから、ことしの夏が発表時期なんですね。いや、下がっているかもしれませんよ、いわゆる国民生活基礎調査も下がっているかもしれないですけれども。

 この二つを今、厚生労働省、総務省が使っているということの中で、一つをもって下がったんだ、下がったんだということを言われるのは、少し私は、余りにも早計ではないか、踏み込んで言うと、謙虚さが足りないのではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。

 

安倍内閣総理大臣 現在は、この二つの調査ともOECDで認定をしていただいているわけでございます。当初は前原委員がおっしゃったとおりでありますが、今は二つともでございます。

 そこで、まずは二つを見てから考えるべきではないかということでございますが、やはり、グッドニュースについては早く国民にお伝えをしようということでございまして、謙虚さが足りないというお叱りは謙虚に承りたい、このように思います。

 

前原委員 私が申し上げたのは、これは総理は百も御承知だと思いますけれども、この下の全国消費実態調査というのは、一般の調査員が、あなたの所得とそれから消費はどうですかということを調べるわけです。そうすると、言ってみれば、所得が少ない人は恥ずかしいから言わないとか多目に言うとか、こういうような傾向にある。これは総務省の担当者がおっしゃっていました。

それに対して、この上の国民生活基礎調査というのは、福祉事務所の人間が行って、そしていわゆる生活の実態調査というものを行うということでありまして、だから高目に出ているわけですね。しかも、下の方は単身の学生は入っていないんです。上は単身の学生が入っているんですね。

 そういうようなことを考えれば、やはり、真摯に、謙虚であるべきだということを受けとめますということをおっしゃっていただいたので、これ以上は申し上げませんが、二つのものをしっかりと捉まえながらやるということが大事で、一つだけで私は判断するというのは早計ではないかということをまず申し上げたいと思います。

 ただ、先ほど、この相対的貧困率というものをはり傾向として下げることが大事なんだとおっしゃったことは、大いに評価をさせていただきたいというふうに思います。

ここから本格的な議論をしたいというふうに思いますが、総理、二枚目の資料をごらんいただけますか(配布資料)。

これは、いわゆるOECDが発表したもので、二〇一〇年です。二〇一〇年ですので、これは民主党政権のときですので、今から申し上げることについては、今の政権がどうのこうのということではなくて、今までの、自民党政権、民主党政権も含めた傾向として言えることでありますので、その点は、批判をするということではないということはまず前提で申し上げておきたいと思うんです。

 OECDは何を見ているかといいますと、左の二列は、少なくとも一人が就業する世帯で暮らす貧困率というものが書かれているわけですね。それで、左側が、税と社会移転を考慮に入れない、つまりは、再分配をする前の貧困率というものが書かれている。真ん中の列は、では、その少なくとも一人が就業する世帯で、税と社会移転を考慮に入れた、つまりは、再分配政策を行った後にどれだけ改善したかというものが書かれているのが真ん中であるわけであります。もちろん、再分配政策をするので、日本だって一三・五から一二・九に改善をされているわけなんですけれども、この改善度合いというのが少ないんですね。

 つまりは、再分配政策というものを行っても日本はそれほど相対的貧困率が改善されていないということについて言うと、再分配政策の中身を見直した方がいいのではないかと私は思うんですが、総理はどのようにお考えですか。

 

塩崎国務大臣 いささかテクニカルなことも入っておりますのであれですけれども、この数字だけで全てを判断するというのは、必ずしも正確に実態を捉えることにならないと思います。

 特に、歴史的に見ますと、日本は失業率が非常に低いわけでありまして、雇用を広く確保して、再分配前の所得格差が比較的低くて、社会保障は、高齢期の保障を中心とした経済社会システムが日本の場合には形成されてきたということでありまして、社会保障給付の中で高齢者向けの給付の割合が高くて、現役世代の再分配による改善度が他国に比べて今御指摘のように小さいというのは、このような理由であって。

 近年、雇用システムの変化によって、稼働年齢層における格差の拡大傾向が指摘をされている。ですからこそ、働き方改革で、同一労働同一賃金で非正規の報酬を上げよう。そのことによって、こういった、今お示しをいただいたような、例えば、二人働いていても低くなっているというのはそういうところにもあるのかもわからないということでありますので、そしてまた、一人当たりのGDPを見ていただければ、先ほどお配りいただいたものでもいろいろな形がありますので、貧困問題は、さまざまな指標を同時に見ていくことが大事だということだというふうに思います。(発言する者あり)

 

前原委員 今、長妻筆頭がおっしゃっていただいたように、これは二〇一〇年の統計ですから、民主党政権のときの統計ですし、トレンドとしてどう考えるかということなので、今の政権を私は責めているわけじゃないんです。つまりは、再分配政策をどう見直していくかということを私はこれから議論していきたいというふうに思っていますので、ちょっと弁解がましい答弁は控えていただいて、前向きにどうしたらいいか。

 今、塩崎大臣がおっしゃったように、これだけで全てを考えていいとは私も思っていないんですよ。ただ、これが一つの傾向をあらわしているのは間違いないんです。

 後でまた資料をお見せしますが、まずちょっとこれを見ていただきますと、例えば、さっき失業率をおっしゃっておりましたけれども、ドイツなんかは非常に失業率の低いところですけれども、ドイツは、再分配政策前の八・一から三・三に改善しているんですね。デンマークは九・八から四・〇に改善している。そして、イギリスは一一・六から四・三に改善していて、フランスは一八・〇から六・七に改善しているということで、再分配政策を行うことによって貧困率が改善をしているということで、やはり再分配政策の中身というものを、一つの指標ではありますけれども、私は見直した方がいいというふうに思うんです。

 三番目のパネルを見ていただきたいんですが(配布資料)、総理、三枚目の資料をごらんいただけますか。

 これはまさに、先ほど塩崎大臣が御答弁をされたことなんですね。これは何が書いてあるかといいますと、緑は当初所得のジニ係数。ジニ係数というのは、ゼロから一までで、ゼロに近いほど格差がない、高いほど格差が拡大している、そういうグラフなんですけれども、再分配政策をして緑が赤に変わるということを年齢別に書いてあるわけですけれども、これを見ていただくと、圧倒的に六十歳以上からジニ係数が改善されていくわけです。これは、これも先ほど塩崎大臣が御答弁されたように、一番大きいのは年金ですよ。賦課方式ですから、現役世代の保険料も含めて、高齢者、年金生活者に対していわゆる所得が移転される、年金制度において。そのことによって、言ってみればジニ係数が改善されていくというのがおわかりをいただけるというふうに思うわけですね。

 そして、四枚目をごらんいただきたいと思いますが(配布資料)、これは、OECDの国々の中で、どれだけ再分配政策の中で現役世代向けの給付と高齢者向け給付の割合の差があるかということを示したものなんです。これを見ていただくと、日本は圧倒的に高齢者向け給付の割合が高い、それに対して現役世代向けの給付の割合が低いんです。OECDの三十三カ国の中でいうと、トルコに次いで低いんです。

 これも、先ほどお話ししたように、いわゆる高齢者が多い高齢者先進国ですから、年金制度は賦課方式であるということですから、高齢者向けの給付がある意味高いというのは当たり前の面があるわけでありますが、それにしても現役世代向けの給付が余りにも少な過ぎるのではないかというふうに私は見ているわけです。

 これは総理、どう思われますか。これは全体の話ですから総理に、お答えください。

 

安倍内閣総理大臣 確かに、我々の社会保障制度の設計自体が、年金制度、今賦課方式と言われました。そして、これは全体額でございますよね。全体額については、特に、高齢者がその中でふえてきている中において、また、医療費に対する補助、高額療養費の仕組み自体等も含めまして大変高齢者に手厚くなっている結果であろう、このように思います。

 

前原委員 私がお尋ねしたのは、高齢者に対して厚いというのは、それはそのとおりだと思いますし、私はこれを減らせと言っているわけじゃないんです。むしろ、後で申し上げるように、例えば、この間、年金カット法案、そんな法案はないというようなやじが与党から飛んでいましたけれども、我々もやはり、あれは対案をちゃんと示さなきゃいけなかったと思うんですね。

 例えば、基礎年金部分についてはマクロ経済スライドから外すということの中で、例えば基礎年金については減らないような仕組みをつくるとか、最低保障機能を強化するとか。そうすると、さらにまた新たな財源が必要になるわけですよ。したがって、私は高齢者向けの給付を減らせということを申し上げているのではなくて、むしろ高齢者向けについてもある程度充実をさせなきゃいけない。

 例えば、先ほど申し上げた年金の充実以外に言うと、もうすぐ介護と医療のダブル改定というのがありますけれども、介護従事者の給与というのは余りにも低過ぎるということの中で、なり手がないということを考えれば、例えばこういったところにもしっかりと手厚くサポートをして、そして高齢者の方々が安心できるような仕組みをつくるということも私は大事だと思いますので、何も高齢者の方々の給付を減らすということ、それをつけかえろということを言っているわけではないんですが、私が総理に伺いたいのは、現役世代向けの給付が余りにも少ないんじゃないか、それが、私の見立てにおいては、相対的貧困率が解消していない一つの大きな理由になっているんじゃないかと思われますが、総理は私の見立てに賛同されますか。

 

安倍内閣総理大臣 平成二十六年の所得再分配調査では、再分配による改善度は三四・一%と過去最高になっているわけでありまして、高齢者は年金が生活の主たる糧であるので、高齢世代の改善度が現役世代より高くなるのは当然のことであろうと思いますが、長期的なトレンドで見ると、現役世代においても改善度は上昇しているのも事実でございますが、しかし、同時に、それは民主党政権時代も含めて、我々も現役世代への給付に力を入れてきているわけでございまして、今回の給付型の奨学金あるいは無利子の奨学金の成績要件を外す等々も含めまして、あるいはまた幼児教育の無償化を進めていく等々も含めて、この現役世代への支援ということについても財源を確保しつつ進めていきたい、このように思います。

 

前原委員 三四・一%という改善、これはジニ係数の話をされていると思うんですけれども、これは、平成二十六年度に再分配政策でどれだけジニ係数が改善をされたかということを今総理はお答えをされたわけであります。

 それで、直接的にはお答えになられませんでしたけれども、若い方々への施策を充実させているということについても言及されましたので、やはりこういった世代に対する支援が必要だということについては御認識をされているというふうに思います。

 直接数字については質問通告しておりませんのでお答えにならなくても結構なんですが、もし御存じであればお答えをいただきたいと思うんですけれども、五年ごとに国勢調査がありますね。この国勢調査ごとに、男女の未婚比率、結婚されていない方、一度も結婚されていない方の比率の調査をやっているんです。

 それで、二〇一五年に調査をやったんですね。男は今どのぐらいで女性はどれぐらい、いや、いいんですよ、質問通告していませんから、おわかりにならなかったらおわかりにならないで結構なんですが、実は、男性が二二%ぐらい、そして女性が一四%ぐらいなんですね。一九七〇年、大阪万博があった年は、男性が一・七%だった、女性が三・三%だった。

 それで、この二〇一五年の国勢調査においては、二〇三五年の推計値も出しているんです。どのぐらいだと思われますか。男性は三割、女性は二割がこのままいったら未婚ということになるということなんですね。ただ、若干まだ救われるのは、この方々の約九割、男女とも九割は、いずれは結婚をする、結婚をしたいと思っておられるんですね。いずれは結婚する、結婚したいと思っておられる。では、何で結婚していないのかという理由は、一つは適当な相手が見つかっていないというのがあるんですが、もう一つの最大の要因というのは経済的な理由なんです。経済的な理由で結婚できていないという方々が多いんですね。これは同じぐらいです。

 先ほど、これから働き方改革の議論があると。そして、本当の意味での同一賃金同一労働の話があるかどうか、こういう話になってくると思いますが、一つは、こういう賃金がどう上がっていくかということと同時に、もう一つは、やはり若い方々には二つ壁があるわけです。一つは今申し上げた結婚の壁、もう一つは子供を持つという壁。

これも国勢調査で行われているんですけれども、結婚している方々の予定子供数は二を超えているんです。そして、先ほど申し上げた約九割の方々、結婚したいと思っている方々の理想子供数、結婚した場合に持ちたいという子供の数は二を超えているんです。ということは、総理、結婚している方、そして結婚していない中の九割の方が、結婚する、したいと思っておられる。ということになると、その方々の予定子供数、そして理想子供数は二を超えている。これを実現できる社会がつくれれば、簡単に一・八は超えてくるわけですよ、合計特殊出生率は。

 こういうようなことを施策の中で、若い方々の、もちろん先ほど塩崎大臣が答弁をされたように、賃金を上げる、働き方を安定させる。一九八五年が全労働者に占める非正規雇用の割合が一六・三、今は約四割ですね。賃金は上がらない、ボーナスはない、退職金はない、いつ首を切られるかわからない、そういう不安の中で過ごしている方々が四割いるわけですよ。こういう方々を変えていくということも大事ですけれども、総理の新たな的というのは三つでしたよね。GDP六百兆円、一億総活躍、そして一・八の合計特殊出生率実現。私は、これについて何も文句は言いません。

 一・八を本当に実現するということになれば、こういう現役世代、働き方、そして行政の支援というものをより充実させていって、この二つの壁を越えるような施策をもっともっと充実させるということが必要だと思われませんか、総理。

 

安倍内閣総理大臣 それはまさにそのとおりでありまして、希望出生率一・八ではあるけれども、実際の出生率は一・四ちょっとである。

 この差は何かというと、それを阻む壁があるわけでありまして、その壁をまさに我々が行政において取り除いていく努力をしていかなければならない、このように思っております。

 

前原委員 これは家族向け支出をあらわしたものです(配布資料)。この家族向け支出というものの対名目GDP比というものを書いておりますが、一番左が日本です。一・二六%。一番右がOECD平均、二・一四。五ページです、総理。これだけやはり低いんですね、家族向け支出というのが。

 したがって、今回、ある程度のメニューを整えられて、そして予算をつけられたということはわかりますけれども、私からすると、メニューは多くて、そして看板は立派、そして量は少ない。では、どれだけ一・八に近づくための実効的なものになり得るかどうかということは極めて疑問だと私は思っておりまして、やはり、これをまずはOECD並みに上げていくような努力をしていく、そして中身について、まさに与野党でしっかり、政府も検討していただき、我々も提案をし、そして、実は家族向け支出が上がれば上がるほど、一番下の数字を見ていただいたらわかるように、出生率は正の相関関係が出てくるということは明らかになっているんですね。

 家族向け支出、現物給付がいいのか現金給付がいいのか、それは国によってそのあり方というものをしっかりと見きわめていかなくてはいけませんが、こういうものをまずはOECD並みに目指していくというような一つの目標を立てる、中身についてはしっかりと議論をしていく、そういう方向性が、本当に一・八というもの、一億総活躍というものを実現するためには、総理、必要だと思われませんか。やはり何らかの目的がないとだめだと思うんですよ。いかがですか。総理、総理、総理。いや、大きな話ですから、厚生労働省とか文科省に……

 

浜田委員長 加藤担当大臣。

 その後に、加藤さんの後に。済みません。

 

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、私どもも、少子化あるいは人口減少という問題には正面から取り組まなきゃいけない。そして、そのために一億総活躍プランを出させていただいて、三つの目標、一つは希望出生率一・八というのを明確に出させていただいております。

 ですから、私どもの目標というのは、むしろ、先ほどお話がありましたように、結婚したい、あるいは子供を持ちたい、こういう壁をどう取り除いていくのかというところがポイントなんだろうというふうに思います。その結果としてどういう予算になるかというのは後の姿なんだろう。

 そういう意味で、今回も、保育士の処遇改善、受け皿整備等々をやらせていただきましたし、さらにこれから、働き方改革、または、そういった意味での子育ての環境整備、こういうのを一つ一つやっていきながら、大事なことは、今申し上げた、希望が実現できる社会をどうつくり、その壁をどう排除していくのかというところに力点を置きながら施策を組み上げさせていただきたいと思っています。

 

前原委員 総理にお答えいただきたいんですが、私、加藤大臣がまとめられた一億総活躍社会のあのレポートを読ませていただきました。中身はすごく立派ですよ。一つだけ大きく足りないものがあるんです。何だと思われます、総理。

 財源が書いてない。つまりは、これを実現するためにはどれぐらいの規模の財源が要るか、そして、そのいわゆる手当てをどのような形にするかということが書いてない。まさに絵に描いた餅になっているんですよ。

 繰り返し申し上げますけれども、やる方向性については我々は必要だと思っている。それをやるためには財源が必要なんです、財源が。その財源というものをしっかりと確保してふやすというような目的を、それはすぐでなくても、ずっとやっていく。そしてその財源についても、税のベストミックスもどうしたらいいのか、あるいは社会保障の保険料と組み合わせるのがいいのか、そういう議論も与野党で闘わせていきましょうよ。

 しかし、そのためには、まずはこの家族向け支出というものについて、何らかの、OECD平均目標までをまずやるというような政治の意思がないと、どれだけ立派なことを文章で書いていても、その原動力となる財源がなければ、まさに絵に描いた餅ですよ、今のものは。

 総理、いかがですか。これは総理がお答えください。

 

安倍内閣総理大臣 金額だけで家族向けのいわば支出とGDP比について書かれているわけでございますが、確かにそのとおりでございますが、中身について、私もきょう資料を初めて拝見をさせていただいたわけでございまして、精査をしていく必要もあるなと。

 また同時に、OECDの中において、それぞれの国はそれぞれの国の中においてさまざまなそうした家族向けの支出をしているわけでありますし、また、それぞれの国の成り立ちも、社会の成り立ちもあるんだろうと思いますが、我が国においても、限られた財源の中において、ではどのような政策が効率的かどうかということも含めて、よく検討をしていきたいと思うわけでございます。

 お示しをいただいた資料は、まさに世界においてはどれぐらい支出がなされているかということにおいては参考にさせていただきたいと思います。

 

前原委員 六枚目を出してもらいたいんですけれども(配布資料)、先ほど細野議員が全ての子供にチャンスをという観点からいい指摘をされていたというふうに思いますが、これは何かといいますと、総理、一番上の折れ線グラフだけ見ていただきたいんですよ。この一番上は何かというと、四年制大学の進学率が所得に応じてどれぐらいかということが書かれているんです。

 前提で申し上げると、私は、別に四年制大学に行くことが全ていいことだ、必ずしもいいことだと思っていません。中学を出て、高校を出て、専門学校を出て、自分の手に専門性を、手に職をつけて立派にやっている方はいっぱいおられる。また、そうでないと社会が、みんな四年制大学に行ったら頭でっかちの社会になってしまうというところがあると思いますよ。だから、みんなが行くべきだということではないけれども、これは、四百万円以下の所得の子供の四年制の進学率三一・四、一千万円以上だと六二・四になるんです。ほぼ倍ですよ。これをフラットにする。

 きのう、参議院の本会議で教育の無償化というものに言及されました。憲法改正が必要かどうかというのは、まさにこれは議論したらいいというふうに思いますけれども、少なくとも、どの地域に生まれようが、どのような所得の家に生まれようが、子供にはひとしくチャンスが与えられると総理がおっしゃったようなことをやるためには、まずは、この教育というものについてしっかりと、きのう前向きな答弁をされたように、無償化というものを前提に、ベースに、与野党、スタートラインで考えて、そしてお互い財源を出し合うというようなことを始めませんか。我々はぜひそれをやりたいと思っているんですよ。いかがですか。

 

安倍内閣総理大臣 まさに無償化に向けて、大切なのは、今委員がおっしゃったように、財源を確保できるかどうかでございまして、これはまさに政府と国会ということと同時に、政党間でいわば政策を競い合う、その中でお互いに学び合うことがあればそれはすばらしい、このように思うわけでございます。

 

前原委員 もうちょっと何か温かい答弁をしていただきたいなというふうに思いますが。

 それは財源が要りますよ。だけれども、きのう、維新に対してはかなり心のこもった答弁をされているような気がするんですが、党は関係なく、仮にそれは方向性が同じだという答弁については温かみのある答弁をしていただきたいなというふうに、いや、別に私だけに特別扱いしなくても結構ですけれども、それはそういうふうに思います。

 最後のパネルをごらんいただきたいんです(配布資料

 私、実は消費税を二回先送りにしたというのは個人的には反対だったんです。上げておくべきだったというのが私の考えです。いろいろな意見があったと思いますし、党としても、最終的には、まとめた考え方に私は賛成をいたしましたけれども、個人的には、しっかり上げるべきだった、こう思っているわけです。

 その前提にあるのは、もちろん経済というのは生き物ですから、その景気の状況を判断するということは大事なんですが、これは日本の国民負担率というものを見たときに、最後のページです、所得に占める税と社会保障の保険料を足したものがどのぐらいの比率なのかということを示すものが国民負担率ですが、日本という国は相対的に低いんですね。四三・九なんですね。下から数えて八番目、これは消費税を八%にしたものです。低いんですよ。

 ルクセンブルクは九五・五。九五・五も取られたらどうするんだということなんですが、でも、下を見ていただくと、一人当たりのGNI七万七千ドル、そして五年当たりの平均成長率、実質成長率二・九。ここは非常に小さな都市国家ですから日本とは単純に比較はできませんけれども、国民負担が高ければ経済がだめになるかというと、そうではない。これはまさに、どのような形で国民に負担をいただくか。

 ただ、我々も実は反省があるんです。社会保障と税の一体改革のときに、二段階で五%上げるということを申し上げた。しかし、充実に充てるのは一%だった。五%上げて一%だったら、国民は全然受益感はないんですよ。取られて終わりみたいな感じで、税だけがふえたという感じなんですね。これがせめて半分とか戻ってくるような状況になれば、あっ、これだけ負担は上がるけれどもこれだけ受益がふえるんだ、つまりは、国民負担率は上がるけれども我々が行政サービスを買う負担は減るんだ、そういうものを国民にしっかりと認識してもらうようなバランスが必要だったなという反省は私自身はあるんですけれども。

 そういう中にあって、これでこの国民負担の話は終わりますけれども、例えば五〇%にする。五〇%だったらそんなに高負担の国じゃないわけですよ。しかし、総理、五〇%まで段階的に引き上げるということをやってどれぐらい国民負担がふえるかというと、今の国民所得は三百七十四兆円ですから、六・一掛けると二十二・八兆円なんですよ。

 二十二・八兆円あって、例えば、十兆円ぐらいは財政健全化に使う、でも十一・八兆円ぐらいは教育の無償化。就学前教育、保育の無償化だったら一・二兆円、高等教育の無償化だったら四兆円かからない、あるいは、国公立大学の文系並みにまず、授業料、先ほど話があった五十四万円ぐらい、これを全て国が肩がわりをまずしようということになった場合に一・六兆円。

 そうすると、本当に教育の無償化というのは現実的に、国民負担を上げて、しかし皆さん方に、負担をしてもらう分、その分しっかりと還元をして、皆さん方がその分行政サービスを買わなくていい、誰もが、全ての子供にチャンスが与えられる社会をつくっていく、こういうような私は考え方、総理、どう思われますか。

 国民負担をしっかり示して、それまでは上げていく。しかし、財政健全化とそして行政サービスの充実で全ての人に希望を与えて、安心を与えて、やる気を与える、高齢者も含めて。こういうような方向性というのはいかがですか。

 

安倍内閣総理大臣 五〇%に上げていく上において、税をどれぐらい上げていくかということと社会保険料をどれぐらい上げていくかということもあるんだろうと思います。

 その中で、主に税として上げていくのであればやはり消費税を上げていくということになるわけでありますが、我々、二回にわたって消費税の引き上げを延期したわけでございますが、一回目の消費税の引き上げにおいて、GDPの落ち込みが非常に大きかったわけでございまして、消費が冷え込み、結果として名目GDPの伸びが大変鈍化をしたわけでございます。

 そこで、ではなぜかということで、前原委員は、国民が、消費税を引き上げるということについて、みんながこれは利益を享受する、それは均てんされるんだなということで前向きに捉えることができないことが、消費がむしろ鈍っていくことにもつながったのではないかという考え方かもしれないなと思ったんですが、むしろそれがちゃんと理解されていれば、いわば現役世代も含めて自分たちにとってそれは返ってくるんだということを持てば、その壁は、いわば消費者の衝撃はより弱くなるということだろう、こう思うわけでございます。

これは、将来的にはさまざまな御議論の中で、今前原さんが提案されたような考え方というのも十分に議論されるべきだろうと思いますが、現下においては、まだ残念ながら、デフレから脱却をしたという状況ではない中において負担を引き上げていくということの課題は十分にあるのかな、このように思っております。

 ただ、その中で、例えば、先ほどの議論になるんですが、高齢者の皆さんを一律に高齢者ということではなくて、ある程度の収入のある方からはそれなりの負担をさらにお願いをし、いわばお年寄りの中でそれをさらに使っていくのではなく、これをまさに若い世代に振り向けていくという努力も、我々は、今回もしたところでございますが、

 これからもそうした努力も含めながら、さらに負担を求めるときには、それは基本的には現役世代の皆さんがその新たな負担に対する給付を享受できる、そういう仕組みを考えなければいけないんだろう、このように思います。

 

前原委員 デンマークという国は、消費税が二五%ぐらい、しかし、何に使われているかということについて国民に明確に示す、そのことによって、租税抵抗を弱めて、税への理解を深めていく。つまりは、負担増は負担減になるんだ、そして、それがみずからの安心や、あるいはさまざまなやる気などにつながっていくということをしっかりやはり示すことが大事で、我々はそういった考え方をまたしっかりとまとめていきたい。

 そして、選挙のときには、ただ単に与党がだめだということではなくて、我々がどういう社会を目指していくのかということの中で、社会像を選べるような選択肢を示すということをやはりしっかりとやらせていただきたいというふうに私は思っています。

 さて、その中で、次は、トランプ大統領が就任をされたということで、主に二つのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど小野寺議員の質問において、TPPと並行に二国間のFTA、EPAは妨げないということを日豪、日加を例に挙げられたわけでありますけれども、これについては、時間も限られておりますので、先ほど玉木議員が質問をされたことの答弁と同じような答弁になると思いますので、ちょっと違う観点から質問したいと思います。

 私は、トランプさんという方については、それは総理という立場からすると、同盟関係にある大統領ですから軽々なことはなかなか言えない、そして、しっかりとこれからマネジメントしていくという意思を持っていただいていると思いますし、持っていただかなきゃいけないというふうに思うんですが、EUに対する発言を聞いていると、極めて心もとない。EUからイギリスが離脱したことはよかった、EUについては、あれはドイツだけが得する仕組みでだめだ、こういうことをおっしゃっている。まさに、自由貿易、これからどんどんどんどん進めていこうという自由貿易そのものを否定されている論者ではないかという気が私はするわけです。

 つまりは、二国間のFTAについても、徹底的に相手の弱いところを突き詰めて、そして自分たちの考え方をのませるという道具でしかないのではないか、この二国間協議については。だから、全部二国間協議に持ち込もうとしているのではないかというふうに思います。

 APEC二十の国、地域も含めて、ボゴール目標というのがありますね、経済統合。十日に会われるんですか、総理。十日に会われるということになると、TPPもさることながら、自由貿易というものは、第二次世界大戦をくぐって、二度と戦争を行わせない、ブロック化をさせない、そして、平和を保つための、みんなが繁栄をするための大事な大事な礎なんだということをやはりしっかりと私はトランプさんに安倍さんは示されるべきだと思いますが、いかがですか。

 

安倍内閣総理大臣 まだ日米首脳会談は最終調整の段階でございますが、米国は、かつて、戦前には、恐慌に入っていく中において、彼らはいきなり大きく関税の壁をつくったこともあるわけでありますし、そして戦後はガットというものをつくった。しかしまた、その中においてNAFTAをつくり、これはいわば地域の経済連携の協定をつくったわけでございますが、これはまた新たな一つの大きな動きになっていって、WTO、みんなでやろうということだったんですが、この動きをアメリカがつくり、それが今回は、例えばTPPという形でアジア太平洋地域のものをつくっていこうとしたわけでございますが、その都度アメリカは新たな提案をしてくるわけでございまして、我々はこれに正しく対応していく必要があるんだろう。日本の国益を守り、また世界の経済をよりよい方向に導いていかなければいけないと思います。

 まさにグローバル経済を進めていく中で、フェアで公正なトレードのルールをつくっていこうというのは、大体これは基本的な考え方として確立をする。それをさらにTPPにおいて確かなものとしようと我々は考えていたわけでございますが、トランプ大統領が、そうではなくて、二国間のFTA中心でということを考えているのではないかという今推測をされている。

 これからずっとそれを進めていかれるかどうかということでございますが、最終的に、貿易政策自体が、どういう体系的なものを考えておられるかということはまだ明らかに、スタッフも決まっておりませんから、なっていないわけでございます。その点のところも次の首脳会談でよく話をしてみたい、こう思っております。

 その際、今の段階ではそれはそう簡単なことではありませんが、TPPの意義はどこにあったかということは、もう既に私も申し上げておりますが、さらにお話をしていきたい、このように思います。

 今はWTOがあるわけでございますから、その中で、恣意的に関税をどんどん、おまえの会社は不愉快だからということでかけることは基本的にはWTO上はできないということは、これはアメリカ側もよく承知をしている、トランプ大統領も含め承知をしておられるんだろうな、こう思うわけでありますが、いずれにいたしましても、いわば日本の国益を守り、そして世界の自由な貿易を、フェアなルールをつくっていく、また維持していく上において、建設的な会談を行いたいと考えております。

 

前原委員 臨まれる総理としては、そういう方向性、気構えで臨まれるということはそのとおりだと思いますが、多分総理も私は腹の中は同じだと思いますけれども、相当大変だと思います。

 とにかくディール、そして相手の弱いところから譲歩を引き出す、二国間に持っていく、そういうやり方をやられていくと思うんですが、ただ、これを本当にやり過ぎると、そしてEUもこれからどうなるかわかりません、下手をすればEUが崩れるかもしれない、ことしのいろいろな選挙において。そうなると、本当に自由貿易が、EU離脱、ブレグジットとトランプ誕生において世界の戦後の秩序が変わるような、非常に私は悪い意味での節目になる可能性がある。

 これを何とかとどめなきゃいけないという意味においては、もちろんしっかりと話をしていただくということは大事なんですが、例えば日本・EUのEPAとかあるいはRCEPとか、そしてTPPについても、ほかの国々としっかりと、どういうやり方をするかどうかは別にして、そういう議論をする中でしっかりと脇を固めて自由貿易体制の流れをつくる、そういうものの中で逆に交渉されないと私は自由貿易というのが死に至る可能性があると思っていますが、いかがですか。

 

安倍内閣総理大臣 日本としても、日・EUのEPAを進めていきたいと考えておりますし、日中韓のEPAも、経済連携協定もございます。こうしたものの交渉を進めていきたい、こう思っております。

 そして、RCEPでございますが、RCEPは米国が入っていないわけでありますが、しかし、TPPは結実をしているわけでありますから、交渉としては、この中で決めたルールが反映されるような、志の高いものにしていきたい、こう思うわけでございます。

 そして、その先にはFTAAPがあるわけでありますが、TPPについては、関税ということももちろんありますが、それ以上に、ルールをつくったということの重要さがあるんだろうと思います。

 これはまさに、日米でリードしてルールをつくった、そのことの意味、意義について、米国にもよく理解をさせていく。ルールに基づいて、いわば法の支配を貫徹させていくということの重要性、これは、世界の経済だけではなくて、世界の平和と安定にもつながっていくんだろう、このように思います。

 

前原委員 総理、これは国益に照らして私は総理から答弁を引き出そうと思いませんが、このトランプさんが一番日本の弱点としてどこをついてくるのかということについて言えば、例えば貿易の問題一つとっても、最終的には私は安全保障だと思うんですよ。

 つまりは、日本の防衛義務というものをアメリカは持っている。尖閣についての五条の適用、これを認めてもらって今まで来ました。北朝鮮、先ほど小野寺議員との議論の中で、打撃力を持っていない、やられたらやり返す能力がない、危険を察知しても日本からその危険を除去する力がない、これがまさに日本の最大の弱みですよね。こういうものを絡ませてくる中で、アメリカがさまざまな要求をしてくる可能性がある。私は、トランプ大統領はそれぐらいの人だと思った方がいいと思いますよ。

 ということを考えたときに、一朝一夕にはいきませんけれども、安全保障も含めて、みずからのいわゆる交渉能力を高める上での自国の防衛のあり方の見直しということは、早晩どこかでやらなきゃいけない話だと私は思うんですね。それをしっかりとやはり、アメリカとうまくつき合いながら。そんなにいきなり日本だけで守りますよなんということは無理なわけですから。

 これは本当に、総理はこれから大変難しいハンドリングをされるということになると私は思いますけれども、そういった長い目で見たリスクマネジメント、あるいは、吉田茂さんでさえ、ここまで、戦後七十年もたって、アメリカにおんぶにだっこの安全保障体制になっているとは思っておられなかったと思うんですね。

 そういう意味においては、私は、日本のいわゆる弱みというものをできるだけなくしていく、そして、うまくアメリカとつき合いながら、そして交渉能力というものを高めていくということが必要だと思いますが、総理、いかがお考えですか。

 

安倍内閣総理大臣 日米同盟については私は揺るぎない同盟だと思っておりますが、その中でも、やはり同盟というのは、お互いに助け合うことのできる同盟でなければこれは長続きしない、こう考えてまいりました。

 その意味におきましても、先般、平和安全法制を制定させたわけでございますが、日本を守るという中においては、日米はお互いに助け合うことができるということにはなったわけでございます。そしてガイドラインも見直しをされたわけでございまして、そういう意味で、お互いに、お互いがそれぞれの役割をしっかりと果たしていくということにおいては相当向上することができたんだろう、こう思いますが、しかし、基本的にはみずからの国をみずからしっかりと守っていくという精神のもと、日米同盟を有効に機能させていくことが重要だろうと思います。

 ただ同時に、在日米軍は多くは海兵隊で構成されているわけでございますが、日本を守るわけでございますが、同時にこれはアジア太平洋地域に展開をしていく部隊でありまして、それはアメリカにとって極めて国益を守る上で重要であり、そして、米国の航空母艦の母港として横須賀以外の港をアジアで探すことは恐らくできないんだろうと思います。

 つまり、アメリカのプレゼンスを維持するのは、日米同盟があって初めて維持できる。いわば、米国のアジア太平洋戦略のかなめが日米同盟であるということについても理解をしていただきたい、このように思います。

 その意味において、来週、マティス国防長官が来日をされますが、稲田大臣との間で会談が行われますが、私も会って、日米同盟の意義についてよく意見交換をしたいと考えております。

 

前原委員 これで最後にしますが、トランプの言葉です。強い同盟であるためには、必要なときに確かにそこにいると期待できる相手でなければいけない。これはトランプの言葉です。

 私は、その意味においては、安全保障法制はあれほど日米の間合いを詰めるべきではなかった。何で周辺事態にとどめておかなかったんですか、重要影響事態まで広げたんですか。特措法でよかったじゃないですか。恒久法にしたら、いつでも協力しろということで、トランプのような大統領が出てきたときにはより危険な状況になる、危険な任務を担わされることになる、そういう可能性があるということを指摘して、私の質問を終わります。

(議事速記録より)

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