前原誠司(民進党京都府第2区総支部長 衆議院議員)

新たな社会像「All for All」とは?

Q1「All for All」とは何ですか?

A1高齢化や人口減、所得減、財政難など国民の不安がどんどん強まるなか、「格差是正」の枠を超えて、「あらゆる生活者の不安を解消する」ことを目指す政策理念のことです。“All for All(みんながみんなのために)”の旗印のもと、私たちは、生活困窮者だけではなく、だれもが尊厳を持って生きていけるように、すべての人びとの基本的な生活ニーズを満たす「尊厳ある生活保障」を実現して行きます。
 痛みを分かち合い、社会に「たくわえ」を作りながら、就学前教育の無償化、大学授業料の無償化や大幅減免、職業訓練・再就職支援の拡大、保育士・介護従事者等の待遇改善、医療・介護の負担減、住宅支援などのサービス強化を検討していきます。


Q2アベノミクスではダメですか?

A2歴史的な金融緩和や株価対策、さらにオリンピック景気が重なっても、国民の不安は一向に取り除かれていません。デフレからの脱却や賃金の上昇は極めて限定的で、反対に日銀が保有する国債残高は膨らむ一方です。
 私たちは、成長→所得増→貯蓄増→安心という戦後のフレームとは違い、徹底的な「尊厳ある生活保障」をつうじて、成長に依存しない社会、そして、結果的に成長を誘導する社会をめざします。


Q3バラマキではありませんか?

A3多くの人びとが生活に不安を抱え、将来の見通しを持てなくなっています。所得制限をつけ、「貧しい人」だけを「救済」して社会を分断するのではなく、だれもが必要とする基本的ニーズを社会の全員に満たしていく発想が不可欠です。また、私たちは、そのために求められる財源についても真摯に議論を行います。
 政治が陥りがちな単なる人気取りのバラマキ、借金の積み増しではなく、仲間の未来のために「痛みと喜びを分かち合う」社会像を示します。


Q4スウェーデンのような重税国家を目指すのですか?

A4私たちが目指すのはいわば「中福祉中負担」の社会です。現在、わが国の国民負担率(国民所得における租税負担額及び社会保障負担額の割合)は42.5%(2017年度見通し)と、OECD諸国では下から数えて7番目です。
 最終的には国民の皆様の選択ですが、スウェーデン(56.0%)やデンマーク(70.7%)のような高負担をいきなりめざすのではなく、主要先進国で平均的な税負担であるドイツ(52.5%)と軽い税負担であるイギリス(45.9%)の間くらいの国民負担を軸に、今後の負担のあり方を議論していきます。


Q5財源はどうするのですか?消費税は貧しい人に負担が大きいのではないですか?

A5税制改革などの組合せを総合的に議論していくことになります。
 税制改革については、消費税を回避すれば、極端なサラリーマンの負担増、中小企業も含めた企業の負担増、あるいは生活保障の不徹底、いずれかの結果に終わるでしょう。
 痛みを分かち合いながらも、給付付き税額控除や住宅支援をつうじた低所得層対策、さらには、法人税、相続税、金融所得課税等で補完する税のベストミックスを考え抜きながら、今後議論してまいります。


Q6国民負担の議論の前に行政改革や議員定数削減などの身を切る改革をやるべきなのでありませんか?

A6その通りです。私たちは、不要な歳出の見直しや議員定数削減などの身を切る改革についても、不断の見直しを進めて行きます。
 ただし、これらの財源効果が限定的であることは過去の反省でもあり、国民の信頼と納得を得られるよう、丁寧に議論を進めていく必要があります。


Q7給付が増えると、勤労意欲や競争意欲が低下するのではないでしょうか?

A7尊厳ある生活保障は「現物給付」が中心であり、勤労意欲や競争意欲を減ずるものではありません。
 例えば、大きな政府で生活保障も徹底しているスウェーデンは、日本よりも国際競争力が高く、経済成長率も高いことで知られています


Q8社会主義や共産主義とは異なりますか?

A8私的な所有を否定し、結果の平等を追い求めるのが社会主義、共産主義思想です。“All for All(みんながみんなのために)”の理念は、「機会の平等」を保障することで、いかなる環境にあろうとも競争の輪に加われるようにし、最終的には「結果の平等」も促します。
 格差のない社会を目指すのが社会主義や共産主義ですが、格差のない社会は実際にはありません。
 私たちは、フェアな競争を促すことで、格差を受け入れられるものに変えていきます。
 信頼感と公正さが埋め込まれた「温かくも、研ぎすまされた社会」をめざします。


Q9国民負担が増えると景気が落ち込みませんか?

A9確かに増税を実施した年度は景気が落ち込むでしょう。しかし、その前年度は駆け込み需要によって景気が上向いている事実を見逃すべきではありません。
 また、これ以上国民の不安を放置すれば、将来不安におびえ、消費がさらに控えられるため、景気や経済が本格的に良くなることはないでしょう。
 暮らしの安心、中間層を含めた全国民の安心の底上げが、結果的に経済にも良い影響を与える。そんな社会を目指します。


Q10成長がなければ、分配政策は行えないのではありませんか?

A10私たちは成長の価値を否定しません。しかし、成長に支えられた所得増、貯蓄増がすべての矛盾を解消するという「成功の記憶」にはもう頼れません。
 むしろGDPが少々増えるのか、増えないのかに一喜一憂することなく、確実に尊厳ある生活保障を行っていくことで、生活の質を高め、結果的に良い経済の循環を生みだす道を目指します。IMFやOECDの最近の報告書でも、小さな政府が成長を生むものではないこと、適切な格差の是正こそが経済成長を生み出すことを示す分析結果が出されており、この考え方は世界的にも少しずつ広がってきています。


Q11ベーシックインカムとは異なりますか?

A11ベーシックインカムとは、一般的に、国がすべての個人に対して、所得あるいは資産の状況にかかわらず必要最低限の「現金給付」を行う制度をさしています。
 ですが、お金は「払った分」と「もらう分」の差が明確になり、人びとを疑心暗鬼にします。また将来不安におびえていれば、消費を控え、貯蓄に回す可能性も大きいでしょう。
 「尊厳ある生活保障」は全世代のニーズに応える「現物給付」を中心にし、生活不安の解消と同時に、人びとの雇用の機会をも生み出していくことをめざしています。


Q12民主党政権の時のことを考えたら、民進党のやることは信用できません。

A12私たちは、かつて支出の削減によって16.8兆円ものお金が捻出できると考えていました。それが机上の空論と分かったとき、マニフェストにない、受益感に乏しい増税を行いました。
 これらが生んだ国民の過去のマイナスイメージを払拭するにはさらなる努力、徹底した自己批判が必要です。

 こうした深い反省のもと、今度は負担と受益のバランスを明確に示し、税の使いみちを徹底的に明らかにすることで、国民の理解と信頼を獲得できるよう全力を尽くします。私たち民進党の覚悟と決意が問われていることを強く自覚しています。

資料~「All for All」が目指す社会像~

政策「All for All」についての資料です。
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資料~「All for All」が目指す社会像~

 


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