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第42回衆議院議員総選挙

◆2004年(平成16年)11月29日(月)毎日新聞・朝刊

「依然好転しない現地の治安、政府は12月14日の期限切れ前に決定する構えだが」

    イラク・サマワで活動中の自衛隊の派遣根拠となっている基本計画は、12月14日で期限切れを迎える。民主党は派遣延長に反対し、できるだけ早い撤退を求めている。

    理由はいくつも挙げられる。まず、米国によるイラクの占領統治は、失敗しているといっても過言ではない。確かに多くのイラク人はフセイン政権の崩壊を喜び、米国を中心とする国際社会による復興を期待していた。しかし、その期待はもはやない。2度にわたるファルージャでの掃討作戦に象徴されるように、外国人武装勢力の捕捉に多数の罪なき市民を巻き込み、殺傷した米国への憎悪は、今や頂点に達している。

    フセイン政権時に経済制裁の例外とされた「オイル・フォー・フード」の確執は今なお残り、仏露などを含めた国際協調の枠組みはできていない。いや、米国は真剣に作ろうともしない。「血を流した者だけが利益を得ることができる」というわけだ。「数次の国連決議が採択されたのだから、加盟国は協力すべきだ」という意見は、現実の国際政治における過去の確執と現在の国益の前では、単なるお題目に過ぎない。

    日本は米国に次ぐ総額50億ドルの支援を表明し、債権放棄に応じ、有志連合の一員として自衛隊まで派遣した。なぜその実績をてこに米国に直言し、国際協調の枠組みを再構築するよう努力しなかったのか。現状では、来年1月に予定されている議会選挙の実施もおぼつかない。

    自衛隊がサマワで活動する法的根拠も、極めて希薄だ。テロ組織が散発的に爆弾テロを仕掛け、市民に紛れてゲリラ活動を行う。政府の言う「国、もしくは国に準ずる組織が武力を行使する地域」など、初めから今のイラクには存在しない。「戦闘地域」「非戦闘地域」に分けること自体フィクションであり、言葉遊びに過ぎない

    自衛隊の宿営地内にもロケット弾が打ち込まれるようになった。イラク特措法第9条には「自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない」とあるが、人的被害が出てから「9条の要件が満たされなくなった」と判断したのでは遅い。そもそも、陸上部隊は撤退が一番難しいというのは軍事の常識だ。

    また、自衛隊が現在行っている最大の活動は給水だが、草の根無償資金協力でサマワを含むムサンナ県に5基の浄水施設が供与され、自衛隊員が行ってきた活動を地元に引き継ぐ環境も整った。
    今がイラクから自衛隊を撤退させる千載一遇のタイミングだ。「選挙前に撤退すれば日本としての使命を果たせない」という意見は、単なる精神論に過ぎない。

    日米同盟が大切だと考えるのは、われわれ民主党も同じだ。だが、大切だからといって、米国と最後までお付き合いし、それが失敗したときに同盟関係が被るダメージを、小泉純一郎首相は考えたことがあるのだろうか。中長期的視野で見た日米同盟のリスクマネジメントも今、実は問われている。