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第42回衆議院議員総選挙

◆中央公論04.10 特集「日本の領土・日本の防衛」

座談会:不安定化する世界と新しい脅威
西元徹也(「日本地雷処理を支援する会」会長)
前原誠司(衆議院議員・民主党)
渡邉昭夫(平和・安全保障研究所理事長)
司会・勝股秀通(読売新聞東京本社編集局解説部次長)


防衛大綱見直しの背景
−現在、1995年以来9年ぶりに防衛大綱見直し作業が進められ、時期を同じくして、米軍の再編・再配置が進められています。今なぜ防衛大綱の見直しなのか、日本を取り巻く国際情勢はどう変化してきているのか、そのあたりから伺いたいと思います。

西元 前回の「大綱」見直しのころと比べると、明らかに安全保障環境と自衛隊に求められている役割に変化があります。今日の脅威は、弾道ミサイルを含む大量破壊兵器の拡散、国際テロ組織の活動、無法国家の存在などであり、これらがリンクしているために抑止力がなかなか作用しない。それが大きな危惧になっています。
  また、95年当時は日本に対する他国からの大規模本格的な武力攻撃、武力侵攻の可能性が完全には否定しきれなかったのが、いまではその可能性は大きく遠のきました。その一方で、朝鮮半島有事や、台湾海峡を挟んだ中国と台湾の緊張関係など、重要な対立要因は依然として残っています。
  このような環境の中では、日本がある国と一対一の形で武力衝突するようなことは考えにくい。それよりも朝鮮半島有事や台湾海峡有事、それに関連する日本とアメリカの関係から紛争が生じる蓋然性が最も高いし、妥当な考え方だと思います。となると当然、日本の防衛だけでなく、この域内における秩序維持が重要な目標になりますし、さらに広く国際社会における安定の維持に取り組む必要もあります。これに関して、我が国の防衛力をどのように使うのか、そこが今回の見直しの焦点だと思います。
  米軍の再編についても、単なる基地の問題に特化して捉えるのではなく、新たな脅威への対応、同盟国との関係をどうするかという米国の戦略の根底が表れたものだと考えて対応する必要があります。

渡邉 仮想敵国に備えるというのではなく、不確実で予想しがたい危険に備えなければいけないという考え方は、私が議論に関わった細川内閣の防衛問題懇談会のころからありました。その後も、その流れに沿って、防衛力の在り方を検討する作業は続けられてきました。しかし、9・11テロが起きたことで、不確実な危険というものが具体的にどのような形で現れるか、実例が示され、当時一般的な形で考えていたことがいっそうはっきりした。
こうした脅威に対して、防衛力のあり方を考え直さないといけないという点で、今後の検討作業は、より焦点の合ったものになってきたと思います。

前原 かつて防衛大綱は不磨の大典のように見られていました。私は自社さ政権の時に新党さきがけの一員として95年の「大綱」見直し作業に関わったのですが、冷戦が崩壊して、脅威の対象や戦略環境が変っているにもかかわらず、「大綱」がそのままなのは絶対におかしいという議論がそのころになってようやく出てきたました。アメリカは4年に1度国防計画の見直し(QDR)を行っていますが、日本もそのぐらい頻繁に見直しをすべきだと思います。一度決めたら何十年もそのままでいくのではなくて、臨機応変に見直す位置づけにしないといけない。
  渡邉先生がおっしゃったように、テロの脅威については国内ではオウムの事件がありましたが、9・11テロが起きたことで、現実感をともなって見られるようになってきました。そういう脅威に対して日本の備えは十分かというと、まだまだしっかりしていない。自衛隊の部隊の態勢についてもそうだし、有事法制や国民保護法制も徐々に整備はされてきましたが、まだ不十分です。
  われわれは与野党を超えて、自民、公明、民主の三党で来年には緊急事態基本法を制定しようとしています。その真の狙いは、「大綱」の見直しと連動する形で、制度面の整備をしっかりやっていこうということです。また、われわれが「危機管理庁」の設立にこだわるのは、緊急事態が起きたときに本当にいまの警察、消防、防衛庁、海上保安庁等々の体制で対応できるのかという心配があるからです。現在は、危機管理体制を司るはずの官邸の権限強化がなされていませんし、防衛庁なりほかの役所が予算要求をしやすい形にするためにも、柱になる防衛大綱のようなものが必要です。
  もちろん、アメリカとの防衛関係の変質、また有志連合という形も出てきているなかで、日本の果たすべき役割が変化してきていることが今回の「大綱」見直しの大きな柱であることは間違いありません。

−米軍は、世界規模のトランスフォーメーション(再編)によって、北朝鮮問題、テロとの戦い、台湾海峡危機という三つの火種にどう向き合おうとしているのでしょうか。

  西元 アメリカは再編について六つの目標を掲げていますが、これから推測しますと、東アジアにおいて、アメリカがどのような意図を持っているのか、恐らく次の五つが上げられると思います。
第一は、朝鮮半島、台湾海峡における軍事的対峙や、フィリピン、インドネシアなどのテロ組織の活動に対応するための体制を構築すること。
  二つ目は、冷戦時代の固定的な戦力配置、代表的なものは在韓米軍ですが、これを見直して、西太平洋全域で柔軟かつ機動的に対応できる態勢を構築すること。
  三つ目は、それぞれの地域に合致したプレゼンスのあり方を考えるということ。あくまで予測ですが、アメリカが戦力を置くべき骨幹の場所あるいはハブ基地として考えているのは、アジア・太平洋地域においては日本とハワイとグアムだと思います。そして韓国、フィリピン、タイ、シンガポールなどは前進拠点といえます。
  四つ目は、米本土を中核として、右に挙げた日本、ハワイ、グアムに、機動的な戦力を配置することによって、グローバルな事態に迅速に対応するということ。
  最後は、このような態勢の変換にともなう、日本、韓国、フィリピンといった同盟国や、シンガポール、タイなど友好国の、この地域の秩序維持のための役割増大への期待だと思います。私達は日本の安全保障という観点からこのような点も考慮して、アメリカとの戦略協議に臨まなければならないと思います。

前原 この問題を考えるときには、二つのアプローチをしないといけないと思います。
  日本は民主主義国家で、選挙で選ばれた多数が与党を構成し、その中から総理大臣が選ばれ、内閣を組織する。つまり独裁国家と違って、国民の理解のない外交はありえません。先日、沖縄で大学構内に米軍ヘリが墜落する事故がありましたが、機体そのものに対する日本側の現場検証が拒否されてしまいました。地位協定があるというアメリカの言い分も分りますが、私は事故直後、アメリカ大使館で駐日臨時大使にお会いして「地位協定で、あるいは合意書でこうなっているからと紋切り型の対応をしていては、日米同盟はうまくマネジメントできませんよ」と申し上げました。このようなことでは日本は、西元さんがおっしゃったアメリカの戦略に沿って、果たすべき役割を押し付けられているというイメージで国民は捉えてしまう。だから日本側も、同盟関係はこのようなものにしたい、こうしてもらいたいとアメリカにしっかりすることが必要です。そして、国民に外交、安全保障、防衛について説明し、同盟関係が本当に必要であれば、説明責任を果たし、うまくマネジメントしなければならない。そこが一つ目のポイントです。
  二つ目のポイントはその前提として、基地問題に関して、日本がいま不利益を被っていると思われる点について、アメリカにしっかりものをいえるかどうかということです。私は、普天間基地は代替施設なしで返還交渉を進めるべきだと思いますし、主にアメリカが握っている航空管制についても日本が主体的に行えるように主張すべきだと思います。もちろんコインの裏表として、日本は同盟国として何をするかということも語らないといけない。周辺事態において集団的自衛権を行使できるのかどうか、あるいは今後食糧、エネルギーも含めたアジア太平洋地域におけるシーレーン防衛が非常に大事になってきますが、その集団安全保障に日本は積極的に関与していくということがいえるのか。
  これらをベースにした上で、憲法改正の議論を行うことが大切です。形而上学的な議論に陥らず、地に足のついた議論に持っていけるかどうか、そこがわれわれ政治家の持つべき大事な観点だと思います。

渡邉 いまアメリカが進めているのは単に基地をどうするといったことではなく、新しい脅威に対する安全保障をどう捉えて、いかにしてグローバルな環境を作るかという大きな話です。その上で一番大切なのは、同盟国や他のパートナーとの関係をうまく作ることだと、アメリカの関係者は強調している。アメリカは、基地問題に関しては、われわれが何かを決めて押し付けるのではなくて、同盟国との話し合いをして決めていくのだとしきりに強調しています。しかしその精神があるなら、やはり沖縄での事件に関して、ああいう態度をとってはいけないと私も思う。そういう点に関しては日本もきちんと言っていかないといけない。

「不安定の弧」
−米軍の部隊編成を見ると、中国、台湾海峡を強く意識しているように見えますが、そのあたりについてはいかがですか。

渡邉 八月十六日にブッシュ大統領が表明した米軍再編成方針を見ると、アメリカが関心を持っているのは、ヨーロッパと中東とアジアなんですね。そして、重心は徐々にヨーロッパより東に移ってきている。中東から南アジア、東南アジア、北東アジアという連なりが、アメリカが一番気にしているところだと思います。
  そこで北東アジア、日本はどういう位置づけになるのかという問題があって、よく中国の友人から「アメリカが日本にこれだけ重点を置くということは中国を敵視しているからだろう」といわれます。実はアメリカはもっとグローバルなことを考えていて、当分は中東に重点を置くだろうし、インド洋と太平洋をつなげて広く考え、より有効な対応ができる態勢を整えるために北東アジア、日本を重視しているのだと思うのですが、そういっても中国の友人は、なかなか納得してくれない。(笑)

西元 アメリカは最新のQDRで「不安定の弧」という言葉を使っています。西端は中東から東端は朝鮮半島まで、西太平洋の弧状の地域をそう呼んでいる。アメリカの軍事戦略は、この「不安定の弧」における非常事態を抑止し、万一、事態が生起した場合にいかに迅速に対応するか、そこに絞られてきている。特に、朝鮮半島有事と台湾海峡有事、イランの今後の動向とサウジ王朝の崩壊は、アメリカにとっても西側諸国にとっても非常に重大な問題です。
  だからアメリカは、自国の領土であるハワイ、グアム、それに同盟国である日本とオーストラリアを拠点とした態勢を作り上げようとしているのだと思います。その中心的な狙いはあくまでも非常事態の抑止にあります。

−個別のテーマについていえば、ミサイル防衛(MD)の導入が現実のものになると、米軍の情報ネットワークとの緊密化が急速に進み、法的な問題なども出てくると思いますが。
前原 われわれはミサイル防衛は必要だと考えていますし、たとえば朝鮮半島からハワイ、グアムに向けて発射されるミサイルは日本の上空を通過するわけで、同盟国である日本が何もしなくていいのかという議論は当然出てきます。
  そうなると同盟関係というのは諸刃の剣で、日本はどこまで踏み込む意思を持つのかということを、同盟関係のおかげで経済的にも大きな恩恵を受けているということと合わせて、相当しっかりと国民に説明しないとなかなか理解は得られない。
  ミサイル防衛に関しては集団的自衛権の議論を行うべきですが、二つの懸念があります。一つはミサイル防衛には金がかかるということです。ミサイル防衛を進める上で、財務省にオーケーを言わせるためには仕方のなかった部分もありますが、陸海空のいわゆる通常戦力の縮小が前提となっています。自分の国は基本的に自分たちで守るという観点から見ても、こちらを縮小して大丈夫かという心配があります。
  もう一つの懸念は、ミサイル防衛によって、アメリカの情報ネットワークにより深く入ることになると、自前で情報を収集して、分析する能力を持てなくなる恐れがあるということです。同盟関係を強めることも大事ですが、自前で情勢判断する能力を持つことが前提になければならない。そう考えると、そのための予算を削ってまでミサイル防衛導入を急ぐ必要はないのではないかとも思います。

渡邉 ミサイル防衛にはいくつかの問題点があります。一つは今前原さんがおっしゃった財政の問題で、限られた予算の中で優先順位をどうつけるかということ。次に、外交面で、中国が神経質になるのではないかということがある。中国が一番気にしているのは台湾海峡の問題に事が及ぶかどうかということだと思うので、決定的な障害になるとは思いませんが、中国からすると面白くないことには違いないでしょう。

西元 ミサイル防衛を含め、この先、防衛力をどのように構築していくかは、実に難しい問題を多く含んでいます。一国が軍事力を持つ目的は、不確定な将来に備え、周辺国との力のバランスを保って、地域の不確実性に備え、国にとってもっとも深刻な武力侵攻を抑止するということです。ヨーロッパはNATOに二六ヶ国が参加し、その上にOSCE(全欧安保協力機構)があり、さらに欧州大西洋パートナーシップ理事会がある。そういう多重的な安全保障構造に恵まれていても軍事力を持つというのが現実なのです。その上で、テロ、武装工作員などによる重要施設攻撃・離島の占拠など、新たな脅威への対応や国際社会の平和と安定を保つための、国際平和協力活動という新たな要請もある。
  限りある資源の配分の中で、このバランスをどうとるか。新たな脅威、多様な事態に的確に対応するために、今もっている機能を新しい機能にどのようにトレードオフすべきかといったことを、政治の世界から発信することが大事だと思います。

自衛隊と国際貢献

−日本はどのような形で国際協力に参加すべきか、そしてその際に自衛隊をどう位置づけるべきか、前原先生はどうお考えですか。

前原 二つの側面があると思います。
  一つは国連加盟国であり、近い将来の安全保障理事会の常任理事国入りを目指す国として、応分の平和構築・平和創造・平和維持活動に参加する姿勢が必要だということです。
  もう一つは、同盟関係の多様化にともなって、国際貢献が同盟関係をマネジメントしていくための手段の一つになるということです。単に基地を提供し、思いやり予算を出すといった狭い意味のものではなく、大きな意味でのバランスを同盟関係の中でとっていかなければならない。そのために国際貢献は必要になってきます。
  わが党でも、平和維持活動について、国連待機部隊構想など自衛隊と別組織にしてはどうかという議論も出ていますが、私はまったく枝葉末節の話だと思います。主権国家として日本がこの活動をすることが必要だと判断するわけですから、別組織であろうが自衛隊であろうが、国際社会に対してはまったく同じ意味を与えると思います。
  問題はどこまでの活動を行うかという事ですが、いきなりトップギアに入れないほうがいい。何でもやれることを前提にしながらも、まずはロー、そしてセカンドに入れていけばいいと思う。なかでも、できるだけ早くやらなければならないのは、マイナー自衛権の問題の克服です。
  いまサマワで自衛隊が活動していますが、その治安面の面倒を見てくれているのはオランダ軍です。しかし、オランダ軍が攻撃された場合、今の法律では自衛隊が加勢することはできない。これではまさに国際貢献の名が廃るというか、まともな国際貢献はできない。復興支援であっても、マイナー自衛権を付与して、自らの活動は自ら責任を持てる態勢にすることが大事です。

西元 武器使用については、自分の身はもちろんのこと、周辺にいるよその国の人たち、それから国際機関などが危険であれば、それを守るのは常識だと思います。今の解釈では明らかに限界にきていますから、解釈を変えるか、安全保障基本法によって集団的自衛権を認めることが必要です。さらに本質的なことをいいますと、現在の武器使用についての法律の解釈はすべて個人についてのことで、部隊の任務遂行のために考えられたものではない。これは部隊行動をとる自衛隊としては致命的な問題だと思います。

渡邉 自衛隊の任務として、防衛出動と治安出動、災害出動、それに警護出動がありますが、今イラクでやっているのは、防衛出動ではなくて、一種の災害出動のようなものです。自衛隊が過去五十年、一番経験を積んできたことのいわば海外版をやっている。
  重要なのは、国内では基本的に治安が維持されている中で災害出動をやるわけだけれども、イラクのような場合は、その前提が必ずしも守られていないということ。だから治安を守りながらやらないといけない。それをオランダ軍に守ってもらいながらやるというのは、いくらなんでも問題なので、どうにかしようという話になってきている。
  また、オランダ軍が攻撃された時に何もできないのかという問題を拡大すると、いわゆる多国籍軍の一員になるかどうかということにつながる。今のところ、それはいけないことになっているけれども、両方をクリアしないと本当の意味の国際協力活動はできない。
  そこをクリアするのに障害となっているのは、集団的自衛権を認める・認めないの問題ではないと思います。例えばイラクの自衛隊に関しては、そこで活動している人にとっての自衛になるわけで、日本の国の自衛の話ではないので、集団的自衛権とか個別的自衛権というときの自衛権とはカテゴリーが違うはずです。
  むしろ問題は武力の行使についての考え方で、武力の行使はいついかなるときでもいけないという考え方をとれば、国連のためであってもいけないということになる。一定の目的のためには武力の行使をせざるをえないということを国民が納得するかどうか、そこが一番基本的な問題です。
  もちろんこれは大問題ですが、少なくとも憲法を改正して、集団的自衛権をクリアして、どこへでも自衛隊が行きますという話ではない。あくまで日本はアメリカとは別のやり方で国際貢献をする。そのためには、いついかなるときも武力行使をしてはいけないということでは国際貢献はできない、ということなのです。そういうことをはっきりさせれば、周辺国からの評価も高まると思います。

−「大綱」見直しを、恐らく来年に議論されるであろう安全保障基本法にどういう形でつなげていく必要があるのか、どのような基本法が制定されるのが望ましいのか、前原先生はどうお考えですか。

前原 恐らく安全保障基本法ではなく、緊急事態基本法の議論になると思いますが、そこで有事、大規模テロ、自然災害についての国の基本的な考え方が問われることになります。これは単に法律の議論ではなくて、どのような体制を整えるかということにつながる。私は、官邸が主導して情報を分析し、データやインフォメーションをインテリジェンスに高めて、最終的にポリシーにしていく、そういう体制整備を行うべきだと思っています。
  安全保障基本法は、憲法改正のときに必要になってきます。憲法はできるだけ平易な書き方がいい。例えば九条でいえば、自衛隊の存在を認める、しかし専守防衛、あるいは平和主義は今までと変わらないということをしっかりと書く。あるいは国際貢献をすべきだと書く。そのうえで、どこまでやるかということに関しては、安全保障基本法を同時に作って、集団的自衛権は持っているし、行使もできるけれども、周辺事態とかミサイル防衛などに限定すると定める。非核三原則もあってもいいし、武器輸出三原則ももともとの解釈、つまり共産圏、紛争国、そして国連決議で定められた国々に対しては武器を輸出しないという解釈に戻したうえで、安全保障基本法に入れればいい。自衛隊が任務遂行上、自衛のために武器使用ができるといった項目も入れる。
  こうした議論は憲法改正の議論と同時並行でやっていくのが望ましいと思います。

西元 日本という国はGDPや国連の予算分担金、ODA支出額においてアメリカに次いで世界第二位です。そういう国になれたのは、資源へのアクセス、海外市場の確保、海上交通路の安全の確保といった要因が維持されてきたからです。だから、域内の秩序維持や世界規模での安定化に関与していくことが、日本の繁栄と発展を助けることになる。
  そのためには、緊急事態基本法のようなものに日本が各種の事態に対応するときの理念を明らかにすることが最も重要だと思います。理念を明らかにすることで、国際的に理解を得られる。それが自衛隊が国内だけでなく、国際的にも認められていく一つの道だと期待しています。

渡邉 安全保障についての議論は、ナショナル・セキュリティ(国の安全保障)からインターナショナル・セキュリティ(国際安全保障)に移りつつあります。軍事力はもちろん最悪の事態を想定したものですが、日常的には本格的な戦争ではなく、国際社会全体に対する撹乱要因−典型的な例がテロですが、これにどう対処するかという事が求められている。
  これは日本だけではなくて、アメリカを含めたすべての国が直面している問題です。この大きな流れの中で、日本も「大綱」を見直したり、新しい安全保障基本法制定の議論を進めたりしていると捉えることが大切だと思います。

以上