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◆ 070501「安倍版NSCの致命的弱点を問う」
(『ワールドインテリジェンス』vol.6(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー) ◆

「『縦割り』『情報』『憲法解釈』で骨抜き必至?
安倍版NSCの致命的弱点を問う
日本版「合同情報委員会」(JIC)を早急に創設せよ!」

取材・構成 牧野憲次郎(『軍事研究』編集部)

安倍版NSCでは縦割りが打破できない

―― いよいよ4月6日に日本版NSC法案(安全保障会議設置法改正案)が閣議決定され、国会に提出されました。この安倍版NSCを、前原さんはどう評価しますか?

「日本版NSCを作るべきだというのは、もともと我々民主党が言ってきたことでもあります。一昨年に民主党が出した緊急事態基本法案にも、『日本版NSC』『日本版JIC(合同情報委員会)』『日本版FEMA(危機管理庁)の3つを作れということを法案のなかに入れています。その意味では、日本版NSCを作ることについては、取組みとしては評価したいと思いますし、総論は賛成です。ただ問題は中身です』

―― 具体的にはどのような点が問題でしょうか?

「主な3点のポイントに絞って言いますと、まず1つは、これで本当に縦割りの打破が出来るのかという点です。先に触れた民主党案の日本版NSC、日本版JIC、日本版FEMAにしても、その成否は省庁の縦割りの弊害をどう払拭するかということが大前提でした。『安倍版NSC』についても、いかに省益あるいは各省の既得権益に横断的にメスを入れて、総合調整ができるような仕組みにしていくか、ということが大事なポイントなのですが、その点でまだ疑問が残ったままだということですね。

 官邸の危機管理体制を簡潔に言いますと、首相がいて、内閣官房長官がいて、内閣官房副長官がいて、危機管理監がいて、その下に内閣官房副長官補、更に内閣情報官ということになります。これを出身省庁でみると、危機管理監は警察のポストですね。その下の官房副長官補は2つのポストがあって、これは防衛省と外務省です。内閣情報官はまた警察です。これらのポストが出身省庁の既得権益化していて、その関係が非常にややこしくなっています。

ところが政府案では、今の危機管理を司る役職の仕組みにはまったく手が触れられていません。この組織構造の見直しなくしてNSCがはたして機能するのかどうか、ということについては、極めて疑問と言わざるを得ません」

情報の支援なしでは日本版NSCは機能しない

―― 結局、出身省庁の代理人の寄り合い所帯のままでは、独自には何も決められないということですね。現行の危機管理体制とほとんど変わらないということでしょうか?

「このままでは、そうなってしまう可能性は非常に高いですね。

それから2つ目のポイントは、NSCへの情報提供体制です。さらに言えば、情報機関です。将来的にはCIAとかMI6のようなものが必要だということを、私は従来から申し上げて参りましたが、その前提として“日本版のJIC”が必要だと思っています。

日本版JICと日本版NSCとはコインの裏表です。つまりは国家戦略とか、あるいはその時々の、例えば北朝鮮の問題、テロの情報、エネルギー安全保障、食糧安全保障・・・こういうものについては、インテリジェンスというものを組み合せてやらないと機能しません。NSCという箱モノを作ってもうまく機能しないと思いますね。

今回、日本版JICの創設が結局、見送られることになりました。となると、NSCは今まで通りに警察、公安調査庁、入管、海上保安庁、防衛省、外務省、あるいはマネーロンダリングの案件だったら財務省等々というように、各省庁から情報を上げさせるということになると思いますが、はたしてキチンと情報が上がってくるかどうかわからないですよね。とくに警察情報などは疑問ですよ。

これらは先程申し上げた、縦割りの仕組みが壊れていないということと関係しますが、法律によって、各役所に嫌が応でも情報を上げさせる仕組みを作らなければなりません。もちろん全部上げてきたら情報の洪水になってしまいますので、そこはJICがしっかり監督する。そして、『JICが決めたものについては、法律で必ず上げさせる』という仕組みを作っておかねばならない。

いま私が考える大事なものは、北朝鮮の核・ミサイル等の大量破壊兵器と運搬手段、テロ関連、中国関連などですが、『こういうものについては必ず上げて来い』というような法律、または内規でもいいと思いますけれども、それをしっかりと決めておかないと、いくら箱を作ってもうまくワークしていかないと思います」

憲法 66 条の解釈変更が不可欠

―― 今回の政府案では、日本版JICは見送る替わりに、既存の合同情報会議を強化・発展させていくというものですが、これでは意味がないと?

「内閣情報会議は次官級の、合同情報会議は局長級の情報集約・共有のための会議なのですが、いずれにせよ各省庁による摺り合わせを超えるものではないわけです。やはり根本的に縦割りを打破しなければ、それがいずれ発展していってJICの機能を持つということにはならないと思います。

ともかくいちばん重要なことは、なによりも各省庁の縦割り体質を壊していくことです。日本版NSCを真に実効性のあるものにするということは、NSCが国家戦略なり、危機管理をやっていくうえでの政策立案機能、総合調整機能を担うことであり、外務省も防衛省も執行機関として機能することなのです。

それに、国家戦略を決めるのに情報は最大の問題ですよね。ですから、そういうことをなおざりにして、形だけ作っても意味がありません。『何をするのか』ということの大きな裏付けはやはりインテリジェンスで、そういうものに対する意識の欠如が最大の問題点だと思います」

―― 縦割りの打破とインテリジェンス体制、この2点が充分でないということですが、では3番目のポイントは何でしょうか?

「憲法上の解釈を変える必要があるということです。そして、これも今回の政府案は不明確なままです。

例えば、憲法 66 条3項に『内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う』とあり、閣議は全会一致でなければならないとされています。つまり、この憲法 66 条の憲法解釈では、閣議決定は全員が賛成しなければいけないんですね。

一方で、日本版NSCのメンバーをどうするかという議論がありましたよね。総理と官房長官と外務大臣と防衛大臣。それに財務大臣を入れるか入れないで揉めていましたが、 66 条問題に比べれば瑣末な議論だと思います。

同じ議院内閣制のイギリスの場合はどうかというと、まず日本とは閣議決定の意味合いが違います。イギリスでNSCに相当するものは『国防・海外政策委員会』という内閣委員会ですが、あちらでは、その決定を最終的な決定とできることになっています。イギリスの場合は、このメンバーで決めるといったら決まるのです。

ですが日本では、閣議決定での全会一致の原則がありますから、NSCのメンバーが何かを決めても最終的な決定にはなりません。これはやはり憲法 66 条の解釈を変える必要があるのではないかと思います」

内閣官房長官は忙しすぎる

―― 憲法解釈の変更となると、かなり大掛かりな話になってしまいますね。

「いえ、閣議決定は全会一致でなければいけないとは、 66 条には書いていないのですよ。これは単に内閣法制局が 66 条の憲法解釈を『閣議決定は全会一致』ということにしているだけの話です。ですから、それを変えるということは、政府がそう決断すれば出来ることです。

仮にNSCが大事なことを決めたとしても、『最終的にはすべの閣僚がいるところで決めなければならない』という、この 66 条の解釈が致命的なネックになります。ですから憲法改正が待てないのであれば、 66 条の憲法解釈を変えるということが大事になってきます」

―― 当初は、日本版NSCの仕切り役として首相補佐官をうまく使おうという議論もありましたが、政府案ではその役割も不透明になってきました。塩崎恭久官房長官と小池百合子補佐官の軋轢などもよく耳にしますが、どう思いますか?

「首相補佐官はよく機能していないような気がしますね。小池さんと塩崎さんが衝突したというのは、両者の位置づけの問題、権限の問題でしょう。とくに安全保障担当補佐官の役割分担は不明確ですからね」

―― どうすべきだと考えますか?

「内閣官房長官は忙しすぎるのですね。ですから、NSCあるいはNSCとJIC両方を兼轄するような担当大臣を新たに置いて、これは内閣官房長官の補佐的な大臣になると思いますけれども、つまり危機管理や国家戦略についての担当大臣として置く、ということも必要かと思います。

小池さんがやろうとしていたのは、まさにNSC、JICの担当大臣のようなものなんですよね。大臣としての位置づけを与えれば、そこは内閣官房長官と密接な関係がとれると思うんですよ。

現制度では、内閣官房長官がすべて危機管理の決定をやり、スポークスマンもやる。つまり官房長官の権限が多すぎるんです。ここはやはり官房長官の負担を減らすために担当大臣を作り、内閣官房長官はスポークスマン的なものに特化していくべきでしょう。

防災担当大臣なども全部ですね、新たな日本版NSC、日本版JIC、日本版FEMAの担当大臣に収斂していき、『何か起きたらこの大臣が対応する』というようにするのが望ましいと思います」

まず必要なのは日本版JIC

「NSCを作るという発想は非常にいいわけです。だいいち役所というものは執行機関でなくてはならないのですね。もちろん政策提案してもらってもいいのですが、それは最終的にNSCや内閣官房でまとめ、そして決定されたものを各省庁が執行する。役所は基本的には“執行する機関”でなければいけない。

それが、政策も立案するし執行もするということになると、頭脳が多頭化して足も身体もいっぱいあるというキングギドラのような状況になってしまうのです。それの最たる例が、FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)での交渉で、外務大臣と経済産業大臣と農林水産大臣の言うことがいつもバラバラになってしまうという悲喜劇です。

農水大臣は生産者保護の観点で話をする。経産大臣は通商関係でモノを言い、外務大臣はトータルな相手国との良好な関係を考えて話をするので、それぞれスタンスが全然違う。国家として外国と交渉する場合には、まずこういうところを排さなければなりません。いったん内閣官房の中にNSCを作り、国家戦略として例えばFTA、EPAを決め、そして決まったことについては違う役所の大臣でも同じ発言をする、という仕組みにしていかなければならないと思いますね」

―― ところで、先ほど2番目に挙げられた、将来的には日本版CIAや日本版MI6が必要になるということについてですが、内閣情報調査室をうまく使うなり、発展・強化してゆくゆくは情報機関とすることが出来るという論者もいますが、いかがでしょうか?

「それは無理だと思います。内調は基本的に警察が握っていますから。先ほど申し上げた危機管理監、内閣情報官は警察ポストということになっており、根本から変える必要がある。そこは思い切って突破しないと、日本版CIAのようにすることは出来ないと思いますね。CIAやMI6のようなものを作ろうと思っても、まずJICを作って、そこからだと思いますよ」

―― それについても、結局は人材をどこからか引っ張ってこなければならないわけですが、内調をはじめ、防衛省、外務省などから集めるということになるのですか?

「人材は育てないとダメでしょうね。私はイギリスのJICの本部を訪問し、事務局長の話を聞いたことがありますが、イギリスもJICを作ってうまくワークするのに5年かかったといいます。つまり人材の養成期間ですね。

ヒューミントのみならず、衛星情報も解析するのは人ですから、人材を養成するということはいちばん大事です。そこは日本ではこれから育てなければいけないので、器を作ってもすぐには機能しないですよ。

人材面も含め、新しい組織を作るには当然、時間はかかります。内調を発展させるとか情報コミュニティを拡大するとかが謳われていますが、このままではかなり骨抜きというか、器を作って魂が入らないようなものになる可能性があると思います」

―― 他方、情報機能強化検討会議からは情報分析官新設を柱とする報告書が出ています。これは各省庁からエース級の人材を持ってくるという触れ込みですが・・・。

「ですから、その人たちがどちらを向いて仕事をするかですね。いずれ本省に帰るのならば、本当に情報を上げるかどうかはわかりません。イギリスのJICは片道切符なんですよ。優秀な人間を集めて、いわば“生え抜き”の人材を作っていき、それにステイタスを付け加えていく。本籍がどこかということについても意識も変えていっているのです。

内閣情報分析官に着任した者が、そのポストを腰掛けと思ったとすればどうなりますか? それがキャリアアップの1ルートであればあるほど、その出身省庁の意向に従いますよね。その点をどうするかが問題です。ですからイギリスのJICなどは、そこを法律で裏付けているわけです。いずれにせよ情報機関を作るというのは、人材育成を含めて、すぐにはできません。ですから、私はまずステップ・バイ・ステップで、まずはJICのようなものを作ることが先だと思います」

守秘義務がない日本の国会議員

―― 日本とイギリスはともに議院内閣制ですし、国情もある程度似ていると思います。ですが、日本版NSCやインテリジェンスを論ずる場合、よく言われるのは、『イギリスの国民には危機管理の共通意識があり、インテリジェンス向きな政治文化の土壌が出来ている』『例えば与党も野党も情報の機密保持が出来る』ということです。それに比べて、同じようなことが、はたして日本の国会でも出来るのかということが気がかりですが。

「おっしゃる通りで、例えば、憲法 51 条には『両議院の議員は、議院で行なった演説、討論又は表決について、院外で責任は問われない』とあります。つまりは何をしゃべっても、秘密をしゃべっても、国会議員は責任が問われないのです。

ということは、国家公務員法あるいは地方公務員法には守秘義務を課したものがありますが、国会議員にはそうした縛りがほとんどないということになる。憲法 51 条の背景には、言論の自由、発言の自由があって、国会議員を機密保持のための機密漏洩罪みたいなもので縛ることはできないのです。議員を機密漏洩で縛るには憲法を改正しなければなりません。 

私もアメリカには2年に1〜2回行きますが、向こうの知人と話をすると『日本の国会議員はよくしゃべる。だから彼らとは秘密の話は出来ない』という言い方をされますね。ですから、ここを根本的に見直す。同時に、例えば衆参両院に情報委員会のようなものを作って、そこでは秘密会を義務付ける。

情報委員会というのは、べつに内閣委員会の中の小委員会でもいいと思いますけれども、いずれにせよ情報を司るところでいわゆる守秘義務を課すという仕組みを作るという施策が必要だと思います。まあ、憲法を改正するのがいちばんいいのですけれども、改正しなくても、そういうものは作らないといけないですね」

―― これから日本版CIAや日本版MI6を作るということになりますと、その活動について、それは国会議員であれば自民党であれ民主党であれ、また共産党であれ、機密情報の報告を受けるということになりますよね。

「それは当然のことです。それこそまさにシビリアン・コントロールですからね。共産党も民意の一部の反映ですから、それはしかたがないわけです。

しかし、重要なのは、その代わりに誰にも守秘義務は守らせるということです。ですから 51 条はネックなんですよ。そういうところも見直していくなかで、日本全体の安全保障体制の適正化を図っていくということが必要だと思います」

核武装には百害あって一利なし

―― ところで、日本版NSCの問題とは離れるのですが、最後に、日本の国防問題についての意見も少々伺いたいと思います。いま日本では核武装論が議論されるようになってきていますが、これについてはどのように考えますか?

「核武装の問題というのは、現在のNPT体制に日本が入っていること、それから今の対北朝鮮の外交努力、そしてもっとも大きいのは日米同盟関係をどうしていくのかという観点からみて、私は否定的です。純粋にアカデミズムとして議論するのはいいとして、政治レベルで論じられるのは百害あって一利ないことだと思います」

―― しかし、その気になれば核武装は可能ですよね。

「それはその通りです。日本にはプルトニウムが 40 トン以上ありますし、衛星打ち上げの能力も持っています。日本の技術レベルからすると、核弾頭を弾頭化して積める能力を持つということも可能だとは思います。

そういう意味では、自前で出来るとは思いますが、ただその時に、まさにいま話題にしたインテリジェンスをどうするのかという大きな問題があります。いま日本にはインテリジェンス能力はほとんどないわけですよね。アメリカの情報を鵜呑みにしているのが現状です。そうした状況で核武装しても、持つことは出来ても自力で運用することは出来ません。

日本の核武装にアメリカが賛成するわけがないですから、日米同盟関係にももちろん悪影響が出ます。通常装備にしても、イージス艦やミサイル防衛、戦闘機も日本はすべてアメリカから買っていますから、核兵器を自前でやりますと言ったときに、アメリカが従来のような日米同盟関係を拒否すればどうなりますか? 情報も取れなくなる、装備もアメリカから買えなくなるという状況になりかねない。それはどうしてもということになれば、装備は他のところから買うことも出来ますが、まさに日本の戦略的な大転換になります。その覚悟をしてからということでしょうね」

―― マイナス面のほうが多いと?

「それはもう非常に大きいでしょう。私は短期的には北朝鮮の核や大量破壊兵器の問題、北朝鮮をどうマネジメントするかという問題が、日本の安全保障にとっていちばん大事なことだと考えています。

また、中・長期的には中国とどううまく付き合っていくのか。中国の防衛力整備は極めて目を見張るものがありますから、そういう意味では中国の軍拡にしっかり対応して、日本の主権をしっかり守ることが大事だと思います。そうした状況に置かれているというときに、独自の核武装というのは得策ではないでしょう。

短・中期的には北朝鮮、中・長期的には中国の問題で、日本の主権をどう守るかを考えた場合、財政的な制約や技術的問題を勘案しながら、それらを含めた戦略環境のなかで、日本の自立性を維持することを模索していかねばならないと思います」

武器輸出三原則を元に戻せ

―― 昨今の核武装論をみると、対北朝鮮、対中国ということだけではなくて、一部にはアメリカに対するフラストレーションもあるように思います。国防に関して“何でもアメリカ頼み”でいいのでしょうか?

「日米同盟は日本の安全保障環境のなかではきわめて重要だとは思います。けれども、何でもアメリカに任せていればいいというわけではありません。ですが、現実問題として、今の日本の防衛はアメリカに決定的に頼っている部分があります。まず情報、それから技術装備ですが、これらの面で自立していくことは大事なことです。

あとは負の遺産の払拭です。つまり、アメリカが太平洋戦争のときに占領したところがそのまま基地になっていて、地位協定で治外法権になっているのですが、それはおかしな話で、将来的には日本が管理することが望ましい。管理権を日本に返還させて、日本が管理してアメリカに貸与すると。これは空域についてもそうですね。横田もある程度は戻りましたが、まだ大部分がアメリカの航空管制ですし、岩国も嘉手納もそうです。

戦後 60 年経って未だに首都の上空を他国の軍隊が管制していて、他国の軍隊が占領地をそのまま治外法権化している。これを許してきた政府はいったい何なんだと。そういった主権の回復をしっかりやっていくのは、あたりまえのことです。

情報もおんぶに抱っこ、装備もおんぶに抱っこ、そして負の遺産はそのままということにして、そうして国民のフラストレーションが溜まっていくと、将来的に日米同盟関係がマネジメントできなくなる可能性があります。これは日本にとってもアメリカにとっても不幸なことになります。日本がしっかりと自立して、そのうえでアメリカと真のイコールパートナーとして同盟関係を構築していくべきです」

―― 主力装備について、国産で揃えるのはなかなか難しいのではないかと思うのですが?

「これも時間がかかる話だと思います。情報もそうですし、装備もそうですけれども、数十年のタームで考える必要があります。

一気呵成に転換するのは無理だと思いますが、ただ、そういう意味では、私はぜひ武器輸出三原則を本則に戻したいと考えています。もともと、なぜ武器輸出三原則かというと、紛争国、国連決議による制裁国、あとは対共産圏のこの3つのところには武器を売ってはいけない、というものだったのが、今は武器輸出全面禁止みたいなものになっているわけです。

ですから、これを元に戻し、そのなかで共同開発くらいはできる仕組みにしてコストを下げる。F -35 JSFがヨーロッパを中心にアメリカもやっていますが、ああいうものに参加するなかで、日本の装備のコストを下げ、技術も日本のものとして蓄積できるような仕組みを作っていくことが大事だと思いますね」