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与野党対決 語る人・前原民主党前代表(下)郵政総選挙は茶番だった=沖縄知事選、与党候補勝利に安堵
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2006年12月18日「時事通信ニュースサイトJanet」より掲載
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◇普天間移設案、再修正の可能性も
−日米関係に関連して言えば、沖縄県知事選で与党推薦の仲井真弘多氏が当選し、在日米軍再編での進展が期待できると与党は見ているが。
前原氏 民主党は糸数慶子さんを応援したが、わたしも含めて糸数さんを応援して国益に照らして本当にいいのかと・・・。沖縄に応援に行かなかった民主党の議員はかなりいます。そういう意味ではほっとしている議員も多い。
糸数さんが当選すれば、反安保で、かなり日米関係がぎくしゃくする可能性があった。そういう意味では、仲井真さんが勝って良かったと思う。われわれが推薦した人ではないが、正直そう思っている。基地再編の整理縮小もある程度、進むと思う。
沖縄はものすごく難しい地域だ。唯一地上戦が行われ、米国が占領した地域に基地が残っているという、複雑な心情もある。かといって、基地問題をぬきにして、日本政府が経済的なコミットメントをするかというとしないだろう。そうしないと沖縄経済も立ち行かない。だが、沖縄には、札束で頬をひっぱたいて言うことを聞かせるのかという気持ちもある。
ポイントは普天間飛行場の移転で、仮に再々修正を行ったとしても、何とか一番危険な基地である普天間の返還にこぎつけるまで、政府は責任を果たさなければならない。
−普天間移設案の骨格は変わらないだろうが、修正はあり得るか。
前原氏 ラムズフェルド国防長官は辞めるし、ローレス国防副次官もどうなるか分からない。ひょっとしたら、顔ぶれが変わる可能性もある。自分たちの面子にこだわらない形になれば、再修正で進む可能性はある。
もう一つ言えることは、基地の負担軽減はしっかりやらなければいけない。政府はグアム移転、基地の整理縮小、北部振興を着実にやってもらいたい。
−安倍首相は沖縄問題にあまり関心がないように受け止められているが。
前原氏 あまり関心は高くないと思う。山口県の岩国基地は米軍再編のポイントで、安倍さんが幹事長の時だったか、しっかりとまとめないと駄目ですよという話をしたことがある。なかなか感覚的に分かっていないなという感じがあって。岩国ももめている部分はある。
一時が万事で、沖縄もそんなに関心がないのかなと。そういう意味では、もう少しリーダーシップを発揮して基地問題を進めるという意欲とメッセージを出してほしい。
−防衛庁の省昇格についての見解を改めてうかがうが。
前原氏 わたしは賛成。国防というのは、政治の基本的な役割、基本的な柱の一つ。防衛庁が内閣府の外局にあるというのはおかしいし、やはり省にして、予算要求をしっかり行う形が必要。防衛庁も省に昇格して何が変わるのかという説明を付けるときに、国際貢献の「本来任務化」というややこしいものを入れてきた。
それにテロ特措法やイラク特措法を含めて、われわれの党内がまとめにくい仕組みにした。それで難しい対応をせざるを得なかったが、2大政党制は良識ある保守中道を取り合う形でなければならないし、外交・安全保障政策でぶれてはいけないと思う。この法案に賛成することで、民主党は政権政党足り得るという見方を持たれる。大事な法案だ。
◇党政策委、集団的自衛権行使は「意味不明」
−民主党政権政策委がまとめた政権政策原案の中では、「急迫不正の侵害を受けた場合に限って」集団的自衛権行使を一部容認する見解を示したが。
前原氏 わが国への「急迫不正の侵害」というのは、個別自衛権の話。それは集団的自衛権に当たらないし、論理矛盾ではないか。そんなときの集団的自衛権ってあるのか、一体何なのか(原案は)意味が分からない。
例えばどういうときに集団的自衛権が必要か。わたしは3つ挙げている。一つは周辺事態。次に将来的に出てくるミサイル防衛。いまはSM3含め、能力的に大陸間弾道ミサイルを撃ち落とすまではいってないが、エアボーン・レーザーの配備など、どこへ飛んで行くか分からないミサイルを攻撃する可能性はあり得る。そういった議論はちゃんとしておくべきだ。もう一つは、集団安全保障活動のようなものに。例えば、共同でのシーレーン防衛をやるとか、国際貢献活動で他の国を守れるようにするとか、そういうのも必要になってくるだろうと。
周辺事態で言うと、周辺事態が認定された時が、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害になるかどうか。そうならないと思う。
将来的には周辺事態法を改正しないと機能しないと思っている。例えば、後方地域支援と後方地域救援活動があるが、後方地域で自衛艦が給油しているとき、そこが戦闘地域になると、武力行使の一体化とみなされ、給油は中断しなければならない。そんな馬鹿な話はない。その時は、給油している護衛艦を別の自衛艦も防衛しているわけで、攻撃されたら一緒になって反撃するのは本来はあるべき姿だ。そういう形に周辺事態法を変えるというのは当然だと思う。
◇日本版NSC、組織いじりの可能性も
−日本版NSC(国家安全保障会議)の構想についてはどう思うか。
前原氏 それを一番最初に言い出したのはわたしですから。わが党が既に国会に提出した緊急事態基本法案に、日本版NSC、日本版JIC(統合情報委員会)、日本版FEMA(緊急事態管理庁)をつくるべきだとして自民党と交渉してきた。
つくるべきだと思う。何がポイントかと言うと、各役所を執行機関にして、安全保障、外交、環境、資源外交も含めて、内閣で立案して、防衛庁、外務省で対応できるようにする。省庁横断的な組織にしなければならない。
今の議論は、組織をいじり、権限をどうするとか、極めて複雑な議論になるような気がしてならない。だから、今の政治のすべての問題点は、縦割りの組織に横串を入れて、省庁横断的に国家戦略をまとめられるようなものにするということが必要だ。例えば、エネルギー安全保障の政策や食糧自給率を高める政策などをNSCでまとめ、各省庁に執行させるような体制にするというイメージだ。
−内閣に集中的に機能、権限を集めると。
前原氏 塩崎恭久官房長官と国家安全保障担当の小池百合子首相補佐官さんがけんかしているようでは話にはならない。官房長官も省庁横断的な内閣官房を強化し、その中にNSCを入れ込んで、官房長官とNSC担当補佐官が協力できる仕組みにしなければいけない。役割、権限を議論しているような話ではない。
◇復党問題は来夏の参院選目当て
−ところで、郵政民営化造反組の自民党復党をどう思うか。
前原氏 簡単に言えば、(昨年)9月11日の選挙は何だったのか、ということ。選挙区に「刺客」を送ってでも、改革を象徴するものとして郵政民営化を打ち出し、古いものを追い出したわけだ。その人たちを参院選が大変だからということで戻すというのであれば、あの「郵政解散−総選挙」はまさに、国民をだまし討ちにして、改革という幻想を与えて、莫大な公費、選挙費用を使って、結果的に自民党を太らせたという茶番劇でしかなかった。
自民党としては参院選の応援がほしい。刺客を送られた造反組の無所属議員は、企業献金も受けられないし、政党助成金もないから干上がってきた。カネがほしいので年内に何とかしてくれという、志の低い部分の手打ちでしかない。国民から大きなしっぺ返しを受けるだろうし、そうしないといけない。国民を馬鹿にした話だと思う。
−なぜ安倍首相は復党を認めたと思うか。
前原氏 安倍さんは、支持率が下がることは織り込み済みだろう。自民党は、都市部ではまだ自民党への支持が堅調だと思っている。だが、地方は地域間格差が出て疲弊しているから、改革路線には非常に批判的だ。そういうところは参院選の「1人区」ばかり。民主党に苦戦すると思っている。だから一人でも余分に応援がほしいと。
来年の参院選直前に批判を受けるよりは、今批判を受けてもいいと。「あの時、支持率は下がったが、選挙では勝った。あの時、戻さなかったら大変だった」としたい。そう織り込んでるのだと思う。
−参院選の頃は国民は復党問題のことを忘れてしまうと。
前原氏 われわれは、国民が忘れないようにしなければならない。
(聞き手 政治部次長・村田純一、インタビューは11月28日) |