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与野党対決 語る人・前原民主党前代表(上)訪中で安倍首相は変節=電撃訪朝の可能性も
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2006年12月11日「時事通信ニュースサイトJanet」より掲載
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安保・外交の論客である前原誠司前民主党代表が、活発な発言を展開している。訪中、訪韓など安倍晋三首相のここまでの安保・外交政策をどう見るか。民主党の政権政策はどうあるべきか。また、郵政造反組の自民党復党問題についても、前原氏の見解を聞いた。
◇安倍訪中、結果的に良かったが・・・
−これまでの「安倍外交」をどう見るか。
前原氏 中国、韓国訪問は結果的に良かった。北朝鮮の核実験前の訪中になったわけだから。訪中前に核実験があったら、それまで日中の首脳交流がなかったことで批判を浴びる可能性があったが、非常にいいタイミングで訪中した。今までが不正常だったので、当たり前の状況に戻っただけだが、日中、日韓両首脳と話し合いできる環境をつくったのは良かったと思う。ただ、問題点は、安倍首相が今まで言ってたことを変えたこと。わたしに言わせれば「変節」だ。
−首相は、持論を封印しているようだが。
前原氏 封印というより、変節。例えば、日中関係は政経分離と言ってたが、政経両輪と言うようになった。靖国神社参拝については、次の首相も、次の次の首相も参拝すべきだと言ってたにもかかわらず、「行くか行かないか、行ったか行かなかったかは明らかにしない」と。
われわれの考え方に近くなってきたのは、それはそれでいいが、やはり首相になる前に言ってきたことと、首相になってからの発言があまりにも違い過ぎる。その説明責任を果たしていない。国会で問いただすと、首相は「変わっていない」と抗弁する。それは卑怯だ。
では、首相というポストが非常に重みのあるもので、今まで言ってたことを「変えた」と明確に言うのであればいいが、「変えてない」と言う。わたしから言わせれば、堂々としていないと思う。誰が見ても変わっているわけだから。
◇「あいまい」戦術の評価はこれから
−首相が自らの靖国参拝についてあいまいにしたことは、中韓外交では結果的には成功したのではないか。
前原氏 今のところはね。「あいまい」戦術は成功するか、将来的に破綻するかどちらかだが、わたしの感覚では、首相は靖国に行かないというメッセージを既に中国に送っているのではないか。行くか行かないかを明らかにしないというだけではなく、行ったか行かなかったかを明らかにしないという。
例えば、来年の12月末。その時でも(首相は)靖国には行ってないだろう。「行ったのかどうか」と聞けば、首相は「『行ったか行かなかったか明らかにしない』と言ったはずでしょう」と逃げるつもりだ。
でも、わたしの分析では、首相は「行かない」という決断をしたんだと思う。そして中国もある程度そのメッセージを受け取ったのであろう。そうでなければ、中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相、呉邦国全国人民代表大会常務委員長(国会議長)は安倍首相に会わなかっただろう。
しかし、それにしても首相は説明責任を果たしていないし、自分が過去言ったことと、今言ってることのぶれを批判されることを恐れ、あいまいなままにしているのは、非常にずるい。
−安倍首相の中韓訪問が実現し、民主党としては外交で安倍首相を攻撃しにくくなったのでは。
前原氏 国益に照らし合わせると中韓訪問は良かった。しかし、首相が言ってきたことと今やってることは違う。そこは国民に対して逃げずに説明すべきだと思う。
◇対北朝鮮、最優先は核問題
−安倍首相の対北朝鮮政策、拉致対策をどう見るか。
前原氏 わたしの感覚から言うと、拉致問題に重きを置き過ぎている。拉致問題は大事な問題であり、被害者家族の心中を思えば、一刻も早く解決しなければならないと思うが、今の北朝鮮問題でしっかり取り組まなければならないのは核問題だ。
将来、おびただしい数の人命被害、環境汚染が生じる可能性がある。この問題解決に6カ国協議を含め日本はコミットメントすべきだと思う。先日、外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長が中国の武大偉外務次官に拉致問題解決をお願いしていたが、優先順位を考えていないと感じる。
繰り返すが、拉致が重要ではないということではない。核問題は将来大きな禍根を残す可能性があり、ここでしっかりやっておかなければ、テロ組織に核を横流しされる恐れがある。世界が不安定化する問題だ。今の優先順位は核問題解決と思うが、拉致問題にあまりにグリップし過ぎている。
二つ目のポイントは、 中朝関係があまり良くなくて、北朝鮮が最終的に日本の経済支援がほしいという状況で、日本が拉致問題解決をと言ってるからではなく、北朝鮮が6カ国協議の分断を図るために、拉致を前に動かす可能性があるとわたしは思っている。かなりあけっぴろげに拉致の実体を知らせ、ひょっとしたら何人か拉致被害者が戻ってくる可能性があるという気がしている。これが分断工作になる可能性がある。安倍政権が拉致問題にこだわり、北朝鮮がこれを逆手に取る形でやってきたときは、6か国のうち(北朝鮮を除く)5カ国の協調が乱れる可能性があるのではないか。
ひょっとしたら、来年の統一地方選や参院選前に安倍首相の電撃訪朝も否定できないと見ている。これはショッキングな話になるかもしれない。何人か死んでいる可能性もあれば、何人か帰って来る可能性もある。(小泉首相訪朝時の)あの時の効果を一番知っているのは安倍さんだから。北朝鮮と安倍首相の思惑が一致する可能性はある。
◇対米外交、民主党との人脈作り重要
−米中間選挙後のブッシュ政権、安倍政権での日米関係をどう見るか。
前原氏 イラク問題でブッシュ政権に対する批判が強く、民主党が上下両院で過半数を取ったので、イラク政策の変更は不可避だろう。2年後の大統領選を考えると、民主党も何でもかんでも一蓮托生でブッシュ大統領の相談に乗れと言われても困るが、民主党のブッシュ政権への批判の歯切れが悪くなる可能性はある。
一方、いま米軍がイラクから撤退するということは状況をさらに悪くするだけだ。しかし、アメリカがイラクからかなりの兵を減らす可能性はある。その結果として、中東の不安定化が考えられる。極めて不透明な状況だ。
日米関係では特に「ブッシュー小泉関係」があり、その裏に「加藤(駐米大使)−アーミテージ(元国務副長官)関係」が大きかったと思う。外務省は民主党とのコネクションをあまり築いてこなかった。共和党人脈ばかりだ。アメリカは政権交代が起こり得る2大政党制だから、両政党にグリップしておかなかったことは極めて大きな問題だと思う。
米議会は中国シフトだ。去年、中国に行った上下両院議員の数は150人以上。それに対して日本に来た上下両院議員の数は約10人という状況だ。本当にこちらが努力しないと、日米関係もうまくいかないし、アジアにおける発言権もなかなか担保できない状況だ。今までの小泉政権、安倍政権含め、こういう状況をないがしろにしてきた。
日米関係は相当不透明になっていくと思う。これからブッシュ政権としっかりコミットメントを首脳同士でつくることも大事だが、民主党サイドも誰が(大統領候補に)出てくるかを考え、ブッシュ政権を刺激しないように水面下でしっかりコネクションをつくることが必要ではないか。
(聞き手 政治部次長・村田純一、インタビューは11月28日)
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