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◆ 講演会の写真を活動写真館で公開しております。
◆「ホームランドセキュリティ/NBCテロ対策問題」(『第8回日米安全保障戦略会議』における基調講演・2006年8月11日)◆ ご紹介いただきました前原でございます。民主党の所属ではございますけれども、危機管理・安全保障につきましては、これは与党も野党もないという観点から「今どういうところに問題意識を持っていて、どう改善していくべきなのか」という事についてお話をさせていただきたいというふうに思っております。 今までいろんな方々からお話がございましたけれども、私も日本の危機・脅威というもの、人為的なものを考えた場合には、もはや大規模着上陸侵攻というような旧来型の脅威ではなくて、ミサイルが飛んでくるとか、あるいはテロが極めて隠密裏に、そして多発的におきるということが考えられるわけでありまして、そういう意味では、今までの対称的な脅威から非対称的な脅威、そしてまたユビキタスなものであると、脅威というものはそういうものである、という認識を持った上での対応策というものが必要であるということは、今までおっしゃった皆さん方と私も同じ意見でございます。その意味で、議員でございますので、以下 3 点にわたりまして、体制それから法律、これに関わる問題点についてお話したいと思います。 3 つのポイントというのは、まず「情報」、それから PSI ( Proliferation Security Initiative :拡散に対する安全保障構想)、そして対領空侵犯措置、この 3 つについてお話をさせていただきたいと思います。 まず「情報」でございますけれども、今回のイギリスのケースを例に挙げるまでもなく、いかに、テロあるいは本土攻撃というものを、本土防衛というものに対して、未然に防ぐかということについては、「情報」が命であることは論を待たないところでございます。翻って、日本の情報収集体制というもの、あるいは法律というものについて、果たして万全なのかということを問いただしたときに、私は極めてこの点については脆弱であると言わざるを得ないと、このように考えております。そういう意味では、この「情報」について、どう現状認識をし、どこを変えていくかについて、この「情報」についても 2 つの点で申し上げたいと思います。 1 つは、収集体制の問題あるいは分析も含めての問題と、もう 1 つは機密漏洩防止の観点からのポイントについて、この 2 つをお話させていただきたいと思います。 まず情報収集体制でございますけれども、情報収集にソフト・ハードを明確に分けるということはなかなか難しいわけでございますが、あえてハードの部分で大事なところの 1 つは、これは情報収集衛星であります。日本は現在 2 基の多目的情報収集衛星を飛ばして、今年の 9 月に 3 基目、そして来年の春までに 4 基体制ということで情報収集衛星を持つということでございますけれども、分析能力というものについては、むしろ抑制をしているという面もございますし、あくまでもそういった危機管理のみならず、多目的衛星でございますので、情報収集というもののみに特化されたものではありません。また 4 基というものについて言えば、アメリカについて比較をすると、アメリカほどの軍事費そしてまたハードが揃っている国家はないわけではありますけれども、 100 基を超える情報収集衛星を持っておりまして、それから比べますと、日本の体制というものはまだまだスタートをし始めたばかりでございまして、そういう意味ではもちろん、同盟関係でございますので、すべて日本が自前で持つということは、私は予算的な面から見ましても非現実的だというふうに思っておりますけれども、さはさりながら、自前の情報収集能力を向上させる為に、この情報収集衛星というものをどう考えていくのかということは、政治においては極めて重要な、私は議題の 1 つだというふうに思っております。 また、ミサイル防衛というものを考えたときに、これは熱感知の高高度の静止衛星・早期警戒衛星というものが大事になるわけでありまして、これを今もっているのはアメリカとロシアのみでございますけれども、これも私は当面はアメリカに、同盟関係として頼むと、そしてまた今後航空自衛隊との横田での情報共有というものが高まっていくわけでありますけれども、おそらくアメリカ側は、日本のバッジシステムのいわゆる日本の防空情報というものを求めてくると思いますし、日本はリアルタイムでこういった早期警戒衛星の情報というものをしっかりともらえるような取り決めというものを、ギブ・アンド・テイクでやっていくということが、シビアにやっていくということが、極めて大事な点ではないかというふうに思っております。 情報収集衛星と同時に私がハードの部分で大事だと思っておりますのは、現在日本の情報コミュニティ、これをどうより上手く活用していくかということであります。もっと具体的にいえば、情報コミュニティというものが極めて縦割りで閉鎖的であるという認識を持っております。自民党と公明党と民主党 3 党で、組織横断型の情報収集あるいは分析コミュニティというものを作るべきだと、こういう提案をし、政府がこれを検討した結果、それはいらないと、今のシステムで十分だと、それを強化するので十分だという話でございましたけれども、私はそうは思っておりません。やはり縦割りの情報を共有しない仕組み、それをしっかりと上に上げない仕組というものが、私は広く役所のムラ社会の中で存在しているのではないかというふうにおもっております。 そういう意味では、イギリスにあります JIC (ジョイント・インテリジェンス・コミッティ)のような組織を横断的につくって、以下 3 つの点を JIC に倣って私は取り入れていくことが必要なのではないかと思っております。 1 つは法律によって、その JIC に上げる「情報」のテーマというものを決めるということであります。多くの情報がすべて自動的に上げられるということになると、情報の洪水になりまして、むしろその JIC は機能しないということになりますので、イギリスもテロ情報であるとか、あらかじめある危険な地域の情報とかそういったテーマを決めて「情報」を上げる仕組みを持っておりますので、そういったテーマを絞るということによって、 JIC の役割をより鮮明にすることが私は大事なのではないかと思っています。 2 つ目のポイントは、「強制をさせる」ということになります。法律で強制すると、テーマを決めるとともに必ず上げなきゃいけないと、上げなかった場合には罰則を科すと、つまりは役所が情報を専有していて上に上げなかった場合においては、その役所または担当者、責任者に罰則を科すというようなことをやらなければ、情報は上がってこないと、このように思っております。 もう 1 つは「人事」でございます。腰掛でいずれは本国に帰るのだと、こういう人事でありますと、結果的にはその情報収集あるいは分析、そしてそれをデータ、インフォメーションからインテリジェンスに変えて政策決定を行うという大事な部署というものが、まさに腰掛、そして優秀な人材を送らないと、こういうことになってしまいますので、優秀な人材を送るような登竜門にすると同時に片道切符でその人を育てる意味も含めまして、この分析情報収集、分析というもの、いわゆるプロパーを育て上げるというような意識をもつということも大事なことではないかというふうにおもっております。 ソフト面で申し上げると、 HUMINT (ヒューミント)、別に情報収集衛星のみならず、あるいは既存の情報コミュニティの統合だけでもいけないというふうに私は思っておりまして、やはり少なくとも対外情報というものをしっかりと専門的に捉える組織というものが、今後日本においては必要ではないかと、本来外交安全保障・危機管理を行う上では、対外情報を専門的に収集する組織というものが、私は重要だというふうにおもっております。そういう意味では、アメリカの CIA やあるいはイギリスの MI 6のような対外情報組織というものを、日本も真剣につくっていくということを、政治の議題として挙げていくことが、今後私は非常に重要になっていくのではないかというふうに思っております。 次に、その情報の部分でもう 1 つ申し上げた機密漏洩防止の話でございます。中国で外交官、そして海上自衛隊の海佐が立て続けに、女性との関係を種に揺さぶられて、そして自ら命を絶たれるという痛ましいことが起きました。機密漏洩というものに対して、どういう体制を取るのかということについても、私は極めて、そういった女性の美人局のみならず、例えば確信犯も抑止するような仕組みにならなければいけないと思っております。例えば、国家公務員法あるいは自衛隊法 59 条においても、「職務において知りえた情報を、辞めた後も漏らしてはいけない」ということになっているわけでありますが、その罰則というものが、私は極めて緩い、弱いと、このように思っております。そういう意味では、罰則の強化をする中で、機密漏洩というものの抑止を行っていくということも大事なことではないかと思っておりますし、またアメリカの友人と話をするときに、「一番機密漏洩をするのは日本の政治家である」ということが言われているわけであります。政治家は憲法 51 条におきまして、発言が憲法上保障されているということもありまして、なかなか政治家の機密漏洩防止策というものは憲法論議にも行き着くという指摘もございますけれども、そういった公務員、政治家も含めた公務員の機密漏洩防止の仕組みを、法整備を、どうしっかり整えるか、あるいは現在ある罰則を強化する中で、しっかりと行っていくということが大事なことではないかというふうに思っております。 次に、 PSI につきまして簡単にお話をさせていただきたいと思います。物資が、日本から、技術も含めて海外に行渡る、あるいは第 3 国から横流しをされる等々、あるいは海賊行為も含めたテロ行為を防止することも含めての PSI 活動、そしてまた多国間の協力というものは、私はこれから必要になってくると思います。そういう意味では現在、訓練という形ではそれが行われているわけでございますけれども、これを正式な仕組みにしていく為には、地域的な集団安全保障、法理的には集団的自衛権も含めたそういった法的な整備、あるいは多国間の協力という枠組みを、日本もしっかりと推進をしていくということも含めて、私は進めていくということがこれから大事なことなのではないかというふうに思っております。 シーレーン防衛の重要性というのは、何も有事に限ったことではありません。平時のシーレーン防衛というものをどのように、そういった集団安全保障の体制というものをつくっていくのかということも含めて、法理的なところ、あるいは仕組み、そしてまた海保・海自の協力も含めた、そういった具体的な取り組みというものも、しっかり考えていかなければいけない点だというふうに思っておりますので、その点についてもしっかりと国会の中で議論をし、方向性を見出す為の努力をしっかりしていきたいと、このように考えております。 最後にテロについて、従来から言われている事で、なかなかこれについての整理がなされていないことにつきまして、問題提起をさせていただきたいと思います。それは対領空侵犯措置についてであります。皆さん方もご承知の通り、領空侵犯措置が明示されている法律というのは自衛隊法の 84 条でございます。ここで 2 つの問題が大きく言ってあると私は思っております。 1 つは、この 84 条には「外国の航空機が〜」ということが書かれておりますが、例えばハイジャックをされた日本の航空機に対して、どのような措置を取るのかということについては、この 84 条では読めない仕組みになっております。実際にそういうことが起きれば、治安出動をすぐに下命をして、この対領空侵犯措置ではなくて治安出動などで対応するということでしか取り様がないのではないかというふうに思っておりますけれども、この 84 条の、その外国の航空機に限定をすることが果たしていいのかどうなのかということもしっかりと考えなくてはいけないポイントではないかというふうに思っております。 2 つ目の問題点と致しましては、「わが国の領域上空に侵入したときには〜」ということでございまして、領空侵犯でありますので、領空侵犯した時に初めて実効性のある対応策ができるという事になるわけであります。言うまでもありませんけれども、非常に速いスピードで戦闘機あるいは飛行機というものは飛行するわけでありまして、毎秒にそれに対応する措置というものは、当然ながら必要になってくるわけでございまして、領空外でどういう措置をしっかり取り得るのかとうことを、法的な背景も含めてしっかりと考えていく必要性がございます。当然ながら今、 ROE 、あるいは内規によって、もちろんその手前での措置というものも、もちろん決められているわけでありますけれども、基本的にはこの 84 条での対領空侵犯措置というのが、警察官職務執行法の準用というところでございまして、警察権の作用ということがベースになっているわけでありますので、そういう観点も含めたこの 84 条の法案、法律そして内規、 ROE の見直しにおいては、想定されうる航空機のテロに、どう対応するのかというようなことも、しっかりと今後議論していく事が、 NBC テロ対策のひとつの、私は大きなポイントになってくるのではないかというふうに思っております。 以上、情報そして PSI 、そしてまた、対領空侵犯措置、航空機テロなど、 3 つのポイントを、現状認識と、そしてまた体制法整備を含めて、今後私としても、超党派の議員の同士の皆さん方と、こういう点については取り組んで行きたいということを申し上げて、私の基調講演を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 以上 |
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