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◆社団法人京都経済同友会・青年政策研究部会2月度例会(第3回経営フォーラム)◆
平成18年2月4日 於京都東急ホテル
「経済政策の今日的課題」
民主党代表(当時) 衆議院議員
前原 誠司 氏
2割の違い
私の大学時代の恩師は高坂正堯先生で、与野党が8割同じ考えでも、2割の違いをしっかりと国民に伝えることが野党の仕事であるとおっしゃっていましたが、代表にならせていただいて、まさにその通りであると痛感しています。その点を踏まえて4点お話させていただきたいと思います。
財政問題
まず内政です。国・地方合わせて、長期債務が 770 兆円を超しました。日本のGDPが約 500 兆円ですから、こんなに借金を抱えている国は他にありません。一方、出生率は 1.26 、加えて高齢化社会に対する社会保障費が拡大する。こういう状況の中で私は5つの分野で取り組むべきことを申し上げております。
一つは公共事業です。日本の場合やはり道路が問題です。特定財源を設置し、揮発油税は暫定税率で通常の倍額となっており、これを本則に戻す、またこの税を一般財源化する等、道路特定財源を見直していくことは不可避だと考えております。
二つ目は特別会計の問題です。特別会計は一般会計の6倍もあり、無駄の温床となっています。例えば雇用保険という財源が年間1兆円近くありますが、これを 581 億円使って京阪奈に立派な「私の仕事館」を作りました。年間経費は 20 億円程度かかっており収入は年間1億5千万円です。しかも「私の仕事館」は雇用につながる施設というよりもアミューズメントパークの様相を呈しています。こういうものは徹底的にメスを入れていかなければならないと考えます。
三つ目が公務員制度改革です。公務員の人件費は年間、2年前で 380 万人に対して 38 兆円でした。つまり一人1千万円でした。現在、民間の従業員の平均年収は 440 万円です。しかも、公務員の数は余剰気味です。これを削減できれば、相当な税金の無駄遣いが省けるはずです。
四つ目は分権の問題です。例えば、京都市は政令指定都市です。政令指定都市というのは都道府県並に権限を与えられています。ということは京都市は京都府からほとんど権限を委譲されていて、京都市における府会議員および知事の仕事はほとんどありません。にもかかわらず、府会議員は人口比例で選出されています。このように国と地方の役割分担が不明確であるのにもかかわらず結果的には費用がかなり出されているのが現状で、このような無駄遣いをなくすためには、国と地方の関係をしっかりと見直す必要があると考えます。
五番目は省庁再編です。今の役所というのは行政が効率的に税金を使う仕組みになっていません。例えば本来、治山と治水というものは一緒に行われるべきものです。しかし、治山は農林水産省管轄、治水は国土交通省河川局の管轄で、相互に相談をせずにやっています。こういう部分の是正が必要です。
野党としての提案
では、野党として内政でどの部分に違いを提案していくかと申しますと、今の政治は霞ヶ関の既得権をどう守っていくかということと表裏一体・不可分になっていると思います。この部分を壊すことが大切だと思います。耐震偽造の問題でも官から民へという流れが問題ではなく、耐震強度を保障するためのガバナンスやマネージメントをどう確立するかという問題だと思います。それから規制緩和によって光の当たらなかった部分がたくさんあると思います。このことと堀江氏の問題もかかわっていると思います。格差の問題もあげられていますが、有効求人倍率が1になったことは歓迎すべきことでしょうが、正社員の有効求人倍率はいまだに低レベルのままです。このことによる年収格差はどんどん拡大していますし、これが子供の教育にひびいてくることが最大の問題だと私は考えています。我々の政治の基本というのは教育に尽きると思います。一般論で言えば、親の教育力、学校の教育力が落ちてきているというのが実際問題であろうと思っています。それ以上に大切なのは地域で子供を育てるということだと考えています。京都はコミュニティース
クールという地域分権型の学校運営システムを先駆的に取り入れておりモデルケースを創造しています。 2007 年からいわゆる団塊の世代のリタイアが本格化します。ノウハウもあり元気でありながら家でごろごろされると家族に困られる方々を活用できる高サービス・低コストの人材の受け皿としてコミュニティースクールは機能していくと考えています。こうして既に、地域分権型の拠点として学校などのモデルケースが生まれているなか、いかに市民参加型分権社会を政策誘導していくかということが我々の今後の提案の大きな軸になると考えております。
安全保障
もう1点だけ外交について申し上げておきたいのは、安全保障だけではなく、治安と国防の措置が我が国に整っていなければ、海外からの国内への投資は安定して望めないということです。仮に政権交代があって、日本が非武装中立でいきましょうとなったときに最初に起こることは株価と為替の暴落です。また、外国企業の日本からの撤退や日本企業の海外進出促進に伴う空洞化の増長も起こると考えます。つまり安全保障というのは国の全ての活動の根本であり、政権交代でころころ変えるべきものではないと重ねて申し上げます。
質疑応答
質問者 1 :財源をどのように使うかという前提にどういう日本にしていくのかというビジョンがあろうかと思いますが、その辺をお聞かせ願えればと思います。
前原 :これだけ膨れあがった財政赤字の返済は 50 〜 100 年くらいのスパンで考えるべきだと思います。減らすべきモノは減らし、拡充するべきものは拡充して、尊厳のある国家を目指したいと考えています。先人が示しているように、ナチュラルリソースは乏しいがヒューマンリソースを富ませて、日本の存在感を構築するという手法の中で、現在は教育などのレベル低下により国際競争の中で日本は置いて行かれています。技術力、道徳力を取り戻し、日本を世界のトップレベルの国にするというのが私の尊厳ある国家作りのビジョンです。
質問者 2 :今後どのような選挙制度がふさわしいのか。さらに選挙民の方も感情に流されやすい部分があると感じますが、選挙民教育的な部分はいかがお考えでしょうか。
前原 :どんなに素晴らしい組織でもずっと権力を持ち続けると硬直化し腐敗していきます。ですから議員の資質よりも政権交代可能な選挙制度を目指すべきだと考えます。そういう意味では現行の小選挙区制を中心とする選挙制度は良い制度だと思っています。ただ国会議員が地方と国の間に入って取り持つスタイルは変えて、地方分権化を推進すべきだと思います。選挙民の件ですが、有権者のレベル以上の政治家は出てこないと思います。ですから選挙民教育というよりは国家の教育レベルを上げていく方が遠いようで近道ではないかと考えます。
質問者 3 :談合などの様々な問題が生まれている公私混同の体質の是正にはどうしたらよいとお考えでしょうか。
前原 :結論としては先述した教育になると思いますが、その前提として見直すべきことが2つあると思います。一つは憲法です。憲法には権利と義務が示されていますが、どちらかというと権利が重視されています。国民として果たさなければならない義務を憲法にどのように明記していくのかということが大切なことだと思います。もう一つは教育基本法です。愛国心というのは自然に醸成されるものだと思いますし、愛国心よりも大切なのはやはり「公」の部分だと思います。
質問者 4 :消費税のアップについてのお考えを聞かせていただければと思います。
前原 :私の考えでは歳出見直しが7割、でも増税が3割必要だと思います。ですから将来的には消費税も含めた税の見直しは不可避だと考えます。ただ、増税を安易に認めると、歳出カットがおろそかになる危険性があります。それで少なくとも歳出削減の全体的具体像を示さないと増税は許さないという意味で「行革なくして増税なし」と申し上げているわけです。 |