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衆議院外務委員会 2007/03/16

■山口委員長
次に、前原誠司君。

■前原誠司
おはようございます。民主党の前原です。

おとついの与野党国対委員長会談で、委員長が職権において委員会を開くということはしないという合意がなされた直後に、衆議院の憲法調査会で職権によって調査会が立てられ、そしてまた公聴会の議決が行われたということで、我々はそれに対して抗議をしているということでございます。

その観点から、本来であれば、質問項目のみならず質問内容について通告をして、実り多き議論を行うべきだというふうに私は思っておりますけれども、我が党の国対方針において、項目だけを通告して、しかしながらしっかりとした議論をしていきたいというふうに思いますので、その点、御理解をいただきたいと思います。

一番初めは在外公館関連の法律案について議論しますが、事務方の方、後でいわゆる従軍慰安婦の問題について議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、河野談話、それから米下院で出されようとしている決議案を大臣の手元にお渡しいただいて、後ほどそれを参照しながら議論させていただきたいと思いますので、その点の用意だけ事前にお願いをしたいというふうに思います。

それでは、在外公館等にかかわる給与法改正案について、丸谷委員とかぶらない形で議論をさせていただきたいというふうに思います。

まず、今回の法律改正案で、幾つかの大使館ができ、また総領事館を廃止する、また出張駐在官事務所というものを置く、こういうことでございまして、法律に関係するものとそうでないものがあるということでございますが、まずお伺いをしたいのは、総領事館と出張駐在官事務所の位置づけの違い、例えば人数的なものなのか、あるいは中身的に位置づけとしてどう違うのかも含めて、総領事館と出張駐在官事務所の違いというものを御説明いただけますでしょうか。

■麻生国務大臣
出張駐在官事務所というのは、既設の在外公館の館員が、大使館もしくは領事館ということになろうと思いますが、その管轄区域内の一つの都市に出張もしくは常駐する形をとるということで、所要の事務処理を行うために設けられる事務所というのが定義になっております。

■前原誠司
例えば、インドで今度バンガロールというところにいわゆる出張駐在官事務所ができることになっておりますけれども、当初、外務省の概算要求では、バンガロールには総領事館を新設したい、こういう要望をされておりましたけれども、結果的には今申し上げたように出張駐在官事務所ということになっているわけでありまして、その点、規模、予算、人員、そういった点でかなりの違いがあるんだろうと思いますが、その違いを教えていただきたい、こういうことであります。

■麻生国務大臣
何で出張駐在官事務所になったかという理由ですね。(前原委員「それも含めて」と呼ぶ)

御存じのように、バンガロールに今日本企業がとにかくわあっとふえてきておりまして、在留邦人でも約三百十人ということになっておりますので、在留邦人数が過去五年間で四割以上ふえておるというのがバンガロールの実態であります。

そういったことを含めまして、私どもとしては、ここに総領事館の開設というのを目指してやらせていただいたのですが、ここは一言に財政上の理由です。財政上の理由などから、平成十九年度においては、まずは出張駐在官事務所を開設することになったというのが背景で、基本的には財政上の理由が一番大きな理由だと御理解いただければと存じます。

■前原誠司
今外務大臣がおっしゃったように、バンガロールにおいては、デリーに次ぐ、二番目に多い日系企業五十七社が進出をしている、そして三百十名程度がそこに在住をされているということでありまして、それを考えると、総領事館というもので設置をすべきだというふうに私は思いますし、入口は出張駐在官事務所にまずはしておいて、そして将来的には、減ったところ、あるいは重要性が減じたところ、例えばニューオーリンズなんかは総領事館を廃止されて、ナッシュビルに今度は出張駐在官事務所というのを置かれるわけでありまして、そういう機動的な外交執行体制というもの、在外公館体制というものをとるものだというふうに私は思っております。

財務省とのいろいろな話し合いの中でこういうことに決まったということでありますが、例えばバンガロール一つとりましても、先ほどのアフリカの話もそうでありますけれども、真に重要なところ、あるいは重要性が高まっているところについては、やはり外務省は意思を持って、そういう総領事館あるいは大使館創設に向けてしっかりとした考え方を打ち出すべきだというふうに私は思っております。

その点について、そういう意思はおありだと思いますけれども、今後の、今すぐには、質問通告もしておりませんのでお答えにくいとは思いますけれども、この通常国会の間でも、恐らく六月にまた概算要求等があって、将来的な見通しも含めて外務省の中で検討されると思いますので、どういうスケジュールで、アフリカ、あるいはこういった、当面は出張駐在官事務所になったけれども総領事館にしたいんだというような全体像をぜひ我々外務委員に示していただきたい。それが、必要があれば与野党関係なく外務省を応援するということになると私は思います。

そういう意味では、ぜひ、現時点のお考え方も示していただくと同時に、後日で結構ですので、今どういう将来的な、大使館をふやす、あるいは今の領事館、出張駐在官事務所、こういうものを考えているかということを示していただきたいと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

■麻生国務大臣

基本的には、今、日本の大使館は百十何公館だと存じますけれども、これをせめてフランス、中国並みに百五十ぐらいのものにはしたい。また、人員も、フランスが約七千五百人ぐらいだと存じますので、そういう意味では、中国、フランスはほぼ同じだと思いますが、七千五百人ぐらいのものまでにはしたい。基本的には、今現状は五千五百人ぐらいだと思いますので、それが数字的なことでいえば大まかな数字であります。

ただ、今前原先生おっしゃいましたように、このところ、ITの発達また資源等々、いろいろなことから、日本人の出ていくところというのが、バンガロールとかいうのがよく例に出ますけれども、そういうところを含めまして、今まで余り日本人のいなかったところにわっと人が出ていっている。インドでいいますれば、とにかく、十二月時点で三百四十八社、うち、今言われましたように五十九社がバンガロールに行っております。そういった形になっておりますので、人の行く先が、昔はアメリカということだったんでしょうけれども、なかなかそういったようなところばかりではなくなってきているというのが実態であります。

したがいまして、邦人保護の関係から何から考えたって、企業に対する応援やら何やら考えましたときには、そういったところに私どもは人を、もしくは大使館をつくるのが当然のことなんだと思いますので、そこらのところは機動的に考えていかねばならぬというのは全くそうだと思います。私ども、あらかじめ、こうこうこうと順番を決めても、五年たったら全く状況が変わるということは十分にありますので、柔軟に対応せねばいかぬという御指摘は全くそのとおりだと思っています。

基本は、先ほど申し上げたように、全体のものとしては、数からいったら七千五百の百五十というのが、私どもとしては基本的にそこを念頭に置いて考えております。

■前原誠司

ぜひ、先ほどお話ししましたように、今おっしゃった全体像をどのぐらいのタイムスパンで実現をしていくのか、また優先順位はどうなのかということをこの委員会にできるだけ早く私は提示していただきたいと思うんですが、いかがですか。

■麻生国務大臣
これは、今ちょっと言われましてもすぐ出せるわけではありませんので、検討した上で出させていただきます。

■前原誠司
この通常国会の中でのこの外務委員会で、ぜひ資料提出をしていただきたいというふうに思います。

先ほど申し上げたように、我々、与野党関係なく、日本の外交執行体制ということでありますので、必要なものについては協力をするのは当然だというふうに思っておりますので、そういう観点であるということを付言しておきたいというふうに思います。

もう一点、先ほど在外勤務手当等のお話がございました。これを透明化を図っていくということ、人脈構築関連経費もそうでありますが、外務省の皆様方にとっては余り愉快な、あるいは心地よいお名前ではないかもしれませんが、この間、我が党で佐藤優さんをお呼びしてお話を伺いました。それはいろいろな評価があるんだと思いますけれども、彼が言っていたことで一つ私は非常に気になったことがありました。

それは、外交官の語学能力が極めて低いということを彼は言っていたわけであります。彼はロシア語の専門家で、私は専門家ではありませんからどのぐらいできるかということもよくわかりませんが、恐らく、あれだけいろいろな人脈を持って、そして入り込んでいたというからには、ネーティブに近いようなそういった語学能力を持っていたのではないかというふうに思いますけれども、外務省の中で語学力のチェックをどのようにされているのか。つまりは、外交執行体制、情報収集能力というものは、言ってみれば語学能力にかなりパラレルになる部分があるわけでありますが、その点、しっかりとチェックする仕組みに今外務省としてなっているのかどうなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

■麻生国務大臣
これは、前原先生、物すごくおもしろい指摘だと思うんですが、日本で、あなた、英語、フランス語、何やるんですとどうやって決めているか。希望を聞くんですよ、二十人なら二十人入ったら。その希望で大体そこそこみんなはめていくという形になっているんだと思います。

では、ほかの国はどうしているのか。私はすごく興味があったので、イギリスの外務省で選んでいるのは、今フライというんですけれども、これは日本語がやたらうまいでしょう、御存じのように。その前のスティーブン・ゴマソールというのも、これもうまかったですよね。こういうのは、奥さんが日本人とかいう者は別ですよ、シアソンみたいに。シアソンというのはフィリピンですけれども、こういうのは別にして、そういうのをどうやって選ぶんだと聞きましたら、入省したときに、こういう部屋に入れられて、全員リンガホンを乗っけるんですって。聞いたこともない言葉を流すんだそうです。それを一番よく書き取れた者、総じてモンゴル語をやるんだそうですけれども、モンゴル語とわかるとみんなモンゴルをやるものですから、わからない言葉を持ってきて、それをリンガホンで書き取らせて、一番書き取れた者が、はいといって出される先が日本なんです。ということは、日本語が一番難しいわけですよ。その次にできた者が韓国、その次が中国、一番能力のなかった者がフランス語、ドイツ語といってはめるんですって。これがイギリスのやり方だというんです。

それを、では日本に置きかえましたら、我々にとって一番難しいのは英語ということですから、そうすると、やはり英語のうまい者は確かにそんなにはいないというのはこれはむべなるかなと、まず自分なりに納得したわけです。

そこで、次に、では、本当か、それはイギリス人だけかと思って、海外青年協力隊で調べてみたら、三カ月の研修で、いわゆるインドネシア語がべらべらになる者は毎年一人ぐらい出てくるんだそうです。そういう意味では、似ている言語というのと似ていない言語というのがありますので、ここのところはちょっと選び方に、一番指先の器用じゃない者が歯医者になってもらったら困るのと同じで、やはり語学の感性のある程度ある者がきちんとやるようにしてもらわないかぬなというのは、我々、これはある程度反省点として覚えておかないかぬのじゃないのかな。日本人は語学の才能がないという話は違っているというのが、青年協力隊からはっきりしていると思っております。それが一点です。

二つ目は、今言われましたように、どれぐらい研修しているか。二年とか出したり、アラビア語だと三年ぐらいの研修になっていると思いますが、そういったのを出して、終わった後、研修の試験というのをやっておりますけれども、あとは時々、出すまでに一律、検査、試験なんかをやっている。

あと、どれぐらい磨き上げているかといえば、同通なんかやらされるところは、結構、これは現場がそういうことになりますので、彼らは自分たちでリンガホンを聞いてやったりなんかしている場面はよく見かけますので、自分なりにそれは磨いているんだと思いますが、研修から帰ってきて、もうずっと条約のあればかりで会話なし、とにかく文書だけなんというところに長くいると、それはヒアリングの、聞く能力は落ちてくるんだというような感じがいたしますので、そこらのところは、どうやって刺激をさせていくかというのは、海外に出したりなんかするということでやっているというのであって、特にその段階ごとに試験をやっているというようなことではないと存じます。

■前原誠司
これは恐らく、今質疑を聞いていただいた委員の皆さん方も同意していただけると思うんですが、レベルが高いのかもしれません、低いのかもしれません、それは私はつぶさによくわかりません。しかしながら、やはり教師の質を高めていくために、ですから、今、いわゆる教師の評価制度みたいなものを導入しようということをまさに安倍内閣がやっておられるわけですよね。そしてまた、議員も、選挙だけじゃなくて、筆記試験を一遍やらせてみて、どんな状況なのかということで、本当に国政を任すのにたえ得るかどうかという議論もあるぐらいであります。

そういう意味では、外交官というのは、もちろん能力の高い人が外交官になっておられるのでありますが、たまたまそういう話を聞いた、それが本当かどうかはわかりませんが、しかし、仕組みとして、語学のレベルが常に一定以上、そして特に、英語とかフランス語、ドイツ語、中国語というのはたくさんの方がおられると思いますけれども、かなり特殊言語というのがあるじゃないですか、そういう方々のスキルもちゃんと上げておかなくてはいけない。やはり、そういう評価の仕組みを外務省としては持たれるべきなのだろう、定期的にそういった外交官の言語能力をチェックする仕組み、評価する仕組みというのがやはり必要じゃないかと私は思うんですが、いかが思われますか。

■麻生国務大臣
語学能力につきましては、今、基本的には外務省は、たしか四十一カ国語、いわゆるウルドゥー語とかタガログとか、いろいろみんなあわせてやっていくんですが、研修期間が終わったときにいわゆる試験があるのと、在外にいる場合は年に一遍試験があるというのは、たしか今でもそうなっていると存じます。

そのほかに、若手に関しては、試験がもちろんあるんですが、やたらうまいのがいますので、そういった者は同通のいわゆる資格というか、そういった研修で通訳研修というのがありますので、そういったことも今しているところであります。

そういった意味では、今言われましたように、語学力だけを見た場合につきましては、その部署の上司が語学力のテスト、試験をやっているというのが今の状況であります。

おっしゃるように、語学能力というのは、機会を与えないとなかなかだめなものですから、何となくそういった機会に恵まれる部署と恵まれない部署と分かれるところでもありますので、そこらのところは不断の努力が必要だというのは確かだと存じます。

私も、変な話ですけれども、外務大臣になってからというものは、少なくとも、聞いたこともないような英語をいっぱい聞く機会がふえましたものですから、ヒアリングの能力だけはちょっと上がったなと自分でもそう思います。

■前原誠司
ちょっと委員長、ぜひこれは理事の皆さん方でお話をしていただいて、これは委員会として、外務省の中での語学能力を一定以上に保つためのチェックの仕組みというものをどのように立法府の立場として求めていくかということを、やはりしっかりと提言した方がいいと私は思うんですね。

もちろん、外務省の中でも、そういった自助努力の中でそういう仕組みを担保していただくということは重要だと思いますけれども、特に、野党の筆頭理事は外交官でいらっしゃいましたので、建設的な提案もしていただけると思いますので、ぜひ理事会で少しお取り計らいいただいて、そういうものをしっかりと我々委員としても外務省に対して求めていくということを御議論いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

■山口委員長
後日、理事会で協議をさせていただきます。

■前原誠司
ぜひ、外交力、情報収集能力、これを高めるということで、皆さん方が優秀だということはわかっておりますので、ただ、そういうものを常に一定レベル以上に高めるための仕組みというものは組織として必要だという観点からお話をしたということであります。

さて、次に、いわゆる従軍慰安婦の問題についてお話をさせていただきたいというふうに思っております。

たびたび国会でもいわゆる従軍慰安婦の問題については議論がなされてきているわけでありますけれども、この問題というのは、アメリカの下院で決議案が出される、こういうところから問題の発端が起きているわけであります。大臣は、この外務委員会だったと思いますけれども、過般の外務委員会で、この米下院で出されている決議案には事実誤認が多いということをおっしゃいました。私も実はそう思っております。どこが事実誤認なのかということは、やはりしっかりと指摘をしておかなくてはいけないんだろうというふうに私は思います。

ただ、私の立場を少しお話しさせていただきたいというふうに思いますけれども、私の立場というよりは民主党の立場でありますが、慰安所あるいは慰安婦というものが存在をしたということは、防衛研究所の中から膨大に出てきた資料等を調査した政府の調査結果からも明らかだろうというふうに私は思っております。そしてまた、戦争でありますので、さまざまな、口ではあらわせないような行為があって、そういったものを防ぐために慰安所、慰安婦というものを設けるべきだという軍の指令というものも文書として残っているのも事実であろうというふうに思います。

そういう意味では、強制性という言葉の意味というものが国会で議論されておりますが、これについては私自身は余り大きな意義を見出すことはありません。つまりは、慰安婦というものが存在をし、慰安所というものがあり、そしてまた甘言とか、あるいは連れてこられた場所で強制下に置かれた、監視下に置かれた、そしてひどい仕打ちを受けたというのは事実でありますし、数の問題でもないし、そして、強制連行のみ一つとって、それはなかったということを言うことが、この問題の解決、あるいは被害に遭われた方々に対する謝罪の意を表することにはならないというふうに私は思っています。

私はそういう立場で話をしていますし、また、そういう意味では、河野談話というものは当然ながら踏襲をされるべきであるし、官房長官談話というものが、逆に言えば、なぜ総理ではないんだと。アジア女性平和基金からいわゆるお見舞金を出すときには、総理のお手紙が出されていて、それに対しては、総理大臣、小泉さんだったら小泉純一郎という名前でお手紙が出されているということもよく存じ上げております。しかし、談話として発表されたことが官房長官だったということも、何かダイレクトでない、つまりは総理が言っていないというふうなイメージを持たれているというのもこれまた事実だというふうに私は思います。

そういう意味では、歴史のいわゆる狭義か広義かの強制性というところで議論をするのではなくて、実際に慰安所があって、慰安婦がいて、被害を受けられた方々がおられる、そして意に反して来て、そして違う仕事だった、そしてまた強制下、管理下に置かれてひどい仕打ちをされたような方々がおられるというのが事実でありますので、そういった観点に基づいて、真摯にやはり河野談話を踏襲して、被害に遭われた方々に対するおわびの気持ちというものを持ち続けることが大事だというふうに私は思っております。

それが私どもの基本的な認識でありますが、しかしながら、言うべきことは言わなきゃいけない。だから、決議案については事実誤認がある、この点は事実誤認であるけれども、しかし、バット何々というところも必要だと思うんですが、この決議案を見られて、どのところ、余り言葉にしたくないような言葉もありますので、どのパラグラフだということでも結構でございますので、どの点がやはり事実誤認であって、それはしっかりと言わなきゃいけないけれどもというところをお話しいただければと思います。

■麻生国務大臣
前原先生、この話は、こういうところでやりますと、また往復になってきて、何となく話をさらに広げるのは、我々としては余り望むところではありません。

したがって、問題点を一つ一つ言っていくというのは、これはちょっと正直申し上げて私どもとしては避けたいと思っておりますが、全体として言えるところで思っていましたのは、歴史的な責任を明確であいまいでない形で何とかかんとか公式に認め、これはもう既に十分にやっておると思っております。それから、公的な謝罪を日本の首相が声明をすべき、これもしておるわけでありまして、国会でもありましたし、答弁でもありましたので、こういったところはいかにも違うなと思いましたし、いかにも強制的で、ただでみたいな話で、ちょっとそれは、強姦とか奴隷とか、何かいろいろな表現がありましたけれども、そういったものとは少し違うんじゃありませんかというようなことは、一つ一つ挙げていけばいろいろあろうかと存じますけれども、私どもは基本として、今申し上げたようなところでは、この文書の内容に関してはいろいろ疑義があるのは率直なところであります。

■前原誠司
アメリカ社会、すべて私は存じているわけではありませんが、やはり日本人以上に、日本人という言い方をすると、おまえはそうなんだというふうにおしかりを受けるかもしれませんが、私なんかよりはやはりアメリカの方々というのは人権意識というのが非常に強いんだと思います。また、いろいろな人種の方々がおられて、それで国家を構成しているという意味で、またそういう意識を持たなければいけない国であるというところも非常に大きな意味を持つんだろうと私は思います。

あるアメリカの友人が言っていたのは、拉致の問題に対して極めて日本に対してシンパシーを持っているというのは、やはり人権問題である、拉致というのは人権侵害、主権侵害の最たるものであって、許すことができない、ですから、アメリカ、特にブッシュ政権は日本の拉致問題に対する態度を支持しているんだと。

しかし、大臣御承知のとおり、この下院決議案の共同提案者というのは、拉致問題で日本に対してバックアップをする発言をされている方がかぶっている人もいるわけですよ。そういう意味では、こういう人権問題というものは、拉致の問題で我々に対して理解をしてくれている人たちが、同時に、我々は今国内で、先ほど外務大臣が、余り言い過ぎるとまたそれがハレーションを起こすという趣旨のことをおっしゃいましたが、私もそうだというふうに思いますが、ただし、事実誤認だけはやはりしっかり言っておいて、その上で、先ほど申し上げた、バット何々というところもしっかりとあわせて話をすべきではないかというふうに思います。

したがって、二つのことをお聞きし、御答弁いただきたいわけであります。

一つは、今具体例を挙げられましたけれども、やはり政府として、この決議案については、どこが事実誤認ではないかというふうに考えるかということをしっかり示すべきだと私は思うんです。しかしながら、河野談話については政府として踏襲するということをおっしゃっているわけでありますから、そのことをまた強いメッセージとしてアメリカ側に出していくということ、それが私は、知日派、親日派、そしてまた人権派と言われる人たちの理解を広げていくのではないかというふうに思います。

確かに、いわゆる従軍慰安婦の決議の問題、マイケル・ホンダ議員というのが中心的にやられていて、彼はカリフォルニアの州議会議員のときからこの問題についてずっとやっている。彼の選挙区事情というのが非常に色濃くあって、支持者もそういった方々が多いというのは事実でありますけれども、それを言っても仕方がありません。

したがって、今申し上げたように、決議案の内容について事実誤認があることはしっかり言う。それについて政府として、ぜひ私は、どこが違うのかということをまとめていただきたいということが一点と、あとは、やはりもう一度大臣からも、河野談話というものは踏襲するんだ、そして強制性の議論については、私は余り意味を持たないと思っておりますが、大臣はどうお考えなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

■麻生国務大臣
慰安婦問題で女性の尊厳を傷つけたというところは、これはもう間違いない事実なんだと思います。したがって、それに伴って河野談話であり総理の書簡というのがこれまでの経緯だったと存じます。

それから、今言われましたように、河野談話に関して、事実誤認のところ等々、お話しの点については、いろいろ今やっております。正直なところ、大使館また大使等々でいろいろやっておりますので、どの人にやっているかまでは、ちょっとそこらのところまで申し上げるわけにいきませんけれども、やらせていただいております。

それから、この問題で国内的に見て一番反論の多かったのは、多分、従軍という言葉だったと記憶をします。従軍は、医者とか従軍記者とか従軍看護婦と従軍慰安婦と一緒かと言われると、従軍というと軍属になりますので、そこで、この話にはすべて、いわゆる従軍慰安婦といって、いわゆるという言葉がたしか河野談話にはつけられておったと私は記憶いたします。そういった意味では、当時の御年配の方々はここが一番ひっかかられるところだったと記憶をいたしますので、その方たちと、当時、私、副幹事長か何かしていたんだと思いますが、そのころいろいろ対応させていただいたのがそれだったと記憶をします。

したがって、きちんと言うべきことは言う、しかし認めるところは認めないと、これは事実だったという点は確かですから、そこの点は、傷を受けられた方々の痛みというものを十分に知った上で話をしないと、その点だけ取り上げていくとちょっとまた話がおかしなことになりかねぬというところは、私ども同様に危惧するところでもありますので、今言われた点は十分に踏まえて対応したいと思います。

■前原誠司
しかるべきルートを通じて、決議案における事実誤認の点については伝わるようにしてあるということでございますが、ぜひこれも、委員長、理事会でお話をいただいて、それを表に出すかどうかは別にして、やはり外務委員会のメンバーぐらいはそういったものを、どこが事実誤認と政府が考えて相手側に伝えているのかということがわかるようなお取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

■山口委員長
これも理事会で後日協議をさせていただきます。

■前原誠司
その上で、先ほど申し上げたように、河野談話を踏襲するという政府の姿勢というものは、これからもしっかりと大臣も発信をし続けていただきたい。こういうことで無用の外交問題、そして労力を使わなきゃいけないというのは、私は本当に不毛だと思うんです。建設的ではないと思っておりまして、そういう意味では、やはり我々が責任を負っているものですから、加害者という言い方をしていいのかどうかわかりませんが、加害者の立場としてのやはり遠慮深さ、慎重さ、思慮深さ、謙虚さというものが必要なんだろう、そういうものを踏まえて、これからも議論をしていくべきではないかということを申し上げたいと思います。

次に、六者協議のことについてお話をさせていただきたいというふうに思います。

先ほど丸谷委員からもお話がございましたが、バンコ・デルタ・アジアの金融制裁の解除の方向性が示された。しかしながら、アメリカ政府、財務省は、大量破壊兵器関連の取引、そしてまた覚せい剤、麻薬類、そしてまたにせ札、こういったビジネスを北朝鮮が行っていて、その取引の関連口座があったということを認めているわけですね。認めた上で、最終的にはマカオ当局に、凍結解除については、その情報をアメリカ側がマカオに渡して、後はマカオで決めてくれということと、あともう一つ大事なところは、バンコ・デルタ・アジアとのアメリカ金融機関のいわゆる取引を禁止する。

これはかなり厳しい措置だというふうに私は思っておりまして、私もまだ消化不良でございますけれども、あとは、先ほど大臣が御答弁されたように、中国はそうじゃないと言うかもしれませんが、特別区ではありますけれども、マカオはやはり中国の影響下に置かれているわけでありますので、中国がどう判断をするかというところが大きいわけでございますけれども、これが果たして金融制裁解除になるのかどうなのか。むしろ、あめとむちという報道の観点がありますが、どうも、あめというよりは、後の判断はおまえたちに任せるよ、しかし、我々はその不法取引は認定するし、しかもバンコ・デルタ・アジアとのアメリカの金融機関の取引は禁止するということで、むちというのがかなり強いような感じがするんですが、大臣の感想として、これが金融制裁解除につながると考えられるのかどうなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

■麻生国務大臣
基本的に、私どもの立場としては、これはアメリカとマカオ特別区というか政府との関係であって、我々が直接関与する話でもないし、コメントも差し控えたいと思いますが、この話が出たときから、外務省アジア局というか我々としては、大体必ずこうなるであろうと予想した想定内の範疇です。

少なくともお金というものは、ちょっと前原さんの前職を知りませんけれども、商売しておられたとするとわかるんですが、商売をしていますと、基本的には預金の出しおろしなんて大した話じゃないんです、こんなものは。どこか安全なところの金庫にやって、出したりおろしたりするのと同じことですから。

問題は、送金とか決済というのが銀行業務の一番大きいところでして、そこが押さえられたら何のあれだか全然意味がわかりませんので、アサリを売ったはいいけれども金の回収はできないわけです、振り込みが使えませんから。そうすると、わざわざ現金決済で取りに行かないかぬなんて話では、とてもじゃないけれども不便を来しますので、そこのところをついてこやせぬか、凍結だけを解除しても、その後の決済をさせないようにすると言われたらどうにもならないんじゃないのという話は、これはもうこの数カ月間よく話をしたとおりになっておりますので、我々としては、そうなるであろうという予想の範疇でした。

ただ、これは財務省と国務省というところが、これまたうまく使い分けてきているところだと思いますので、これを今後、最終的に、北朝鮮の態度を見て、アメリカ政府としては結論をこうするとかああするとかいうことも別のルートとして考えられると思います。これはアメリカ政府のなさることなのであって、こっちのかかわりのあるところではありません。

二つ目は、手口としては、このバンコ・デルタ・アジアをどこかの銀行に吸収合併というのも、別の方法としては、元商売人の方の感覚からいけば、それは一つの方法だな。別に何も手口を教えてやるほどの立場に、それほど人もよくもないんですが、そういったようなことも考えられるかなというように思いますし、それをどういうぐあいにやろうとしているのかというのは、私は正直わかりません。

わかりませんけれども、ただ、これによって北朝鮮は、ちょっとこれは話が違うじゃないかということになって、いわゆる核に関する方の交渉に支障を来したり、また後ろに下がったりするというのは余り他が望んでいるところではないと思いますので、そこをアメリカとしては、ちゃんとやったらこの話も解除するというのか、そこらのところが、交渉のやり方として、これは財務省のやっているところなので国務省も読めていないと思いますが、なかなかいま一つ読めないというのが正直な実感ですが、やられている北朝鮮側としたら、前よりきつくなったじゃないかと言われかねないほどというのが今の現状だと存じます。

■前原誠司
六者協議の作業部会が五つですか、つくられて、そして、日朝はこの間やられたわけでありますけれども、きょうからですか……(麻生国務大臣「エネルギーがきのう」と呼ぶ)きのうから。作業部会がいろいろと動き始めているということでございます。

六者協議のそもそもの目的は、先ほど大臣が御答弁をされていたように、北朝鮮の核開発の放棄そして朝鮮半島の非核化というもの、これがもう大前提であったわけでありますが、北朝鮮としては、ミサイルを持ち、そして核開発を行って核実験もやった。そして、どこまで定かなのか、どのぐらいの量なのかわかりませんけれども、核関連物質を持っていて、それとミサイルが結びつくと、近隣諸国、特に日本には相当な脅威になるというのは間違いないわけであります。そういったものを六者協議の中で解決していくということがメーンだったというふうに私は思います。

ただ、これは政府の方針としてもうおっしゃっていることですので、ある意味水かけ論になるかもしれませんが、私は、大きな外交的ないわゆるカードというか幅というものを考えたときに、これは先般の予算委員会でも申し上げましたけれども、拉致問題は大切な問題です、非常に重要な問題、主権侵害の問題。我が党も、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ない、そして、大々的なバイでの、つまりは二国間における支援というものはすべきではない、これは私も同じ考え方であります。

ただ、いつの日にか、政府も、拉致の問題解決なくしては日朝国交正常化はあり得ないという、日朝平壌宣言の精神もそこだったと思うんですが、知らない間に、拉致の問題の進展がなければ六者協議の中で決まったことについての支援も行わないというふうにハードルは上がったような気がするんですが、いつの時点でそれは上がったのか、その点については非常に私は不可解なんですね。

いや、それは方針で上げたんだと、それは総理の一存かもしれません。しかし、私、事外交ということに関して言えば、これからどういう経緯で推移していくかわかりませんけれども、最初の日朝平壌宣言からすると、今回の日本のとっているスタンスというのはかなりハードルを上げた、ハードルを上げたということは、すなわち日本の選択肢は少なくなった、日本の外交カードは少なくなったというふうに思うわけですが、その点についてどうお考えなのか。そして、いつそれが上がったのか。

■麻生国務大臣
全くごもっともな御指摘だと思います。

前原先生、ここのところはぜひ、日朝平壌宣言によって、あれは基本的には、我々の言っているのは、拉致問題の解決なくして正常化はありませんよと言っておるのと、こちらは拉致問題の進展なくしてと言って、解決と進展と言葉を二つ使い分けているところが、これは結構外務省の知恵を使っているというように御理解をいただける方は、ちょっといろいろ表現は難しいんですけれども、ただ、我々もアメリカに言っておりますのは、この問題がどれをもって解決とするのかと言われると、これはなかなか、いろいろ人によって御意見が違うところだということも我々はわかっております。しかし、今のように誠意を全く見せない態度では我々は対応のしようがありませんよということに関しては、ほかの四者もそれは全くと言っていい、これは中国に至るもみんなのんでおります。

世界じゅうでこの拉致の話というのは、韓国に限らずいろいろあちらこちらであるんだそうですが、この問題を正面切って政府が取り上げてやっている国というのは世界じゅうで日本だけですから、ほかの国から見ると何となく日本だけがという感じがあるというのは我々もわからぬわけではありません。しかし、ほかの国にしてみれば、例えば、核、ミサイルによる仮想被害国としては日本が一番確率が高いんじゃないの、その日本の役に立つおれたちのやっている仕事におまえは一銭も出さないで、何にもしないで、そしておれたちだけにというのはちょっと都合がよ過ぎやせぬかという話がおなかの中にあるというのは、我々としては十分にそういう雰囲気があるのも理解をしております。

ただ、この問題に関しては、少なくとも進展なくしてとてもということを申しておりますので、少なからぬ進展があれば、今ちょっとドルが下がったり、約百万トンの値段が当時は三百五、六十億円であったんですけれども、今ちょっと、大分下がったり上がったりしていますので、三百億ちょいぐらいのもののうち、少なくとも、我々として払わないということではありませんと。ただ、全く進展しないというままで出せというのはそれはとても通らぬよという話でみんな納得しておるというのが今の段階です。

したがって、これは北朝鮮の態度にかかってくると思いますが、ほかの四者がいよいよずっと進展していったということになったときに北朝鮮に関して日本一国が言ったって、なかなか限度が知れておりますので、ほかの国も、これはおまえ、きちんとやってもらった方がいいという声がアメリカから出、ロシアから出、中国から出、韓国から出るというのが我々がこの六者協議でやっているものの最も大きな意義だと思って、そこのところのさじかげんが難しいというのは全くおっしゃるとおりだと思って、心してかかりたいと思っております。

■前原誠司
先ほど、解決と進展は使い分けているんだとおっしゃいました。確かに使い分けておられるんだと思いますが、ただ、この間の日朝の作業部会において原口大使が、進展の意味は何かということにおいて、拉致の問題があるということを向こう側が認めて、そして新たな情報提供も含めて何か前向きな姿勢を行ったときに進展ということだったと思います。

ただ、彼らは、けしからぬことに、一切それについては認めない、問題もないんだということで席を立ってきていて、六者協議のいわゆる相場観からすると、先ほどお話をしたバンコ・デルタ・アジアの問題も含めて、ひょっとしたら金融制裁解除になっていないかもしれないという問題になるかもしれないと私は思っているんですね。実は、アメリカのより強硬な財務省の原則論が知れ渡ったときに、バンコ・デルタ・アジアだけではなくて、ほかの銀行もびびって北朝鮮の口座というものを言ってみれば自主的に凍結してくる、そしてもっともっと北朝鮮包囲網が強まる、それはそれで私はいいと思うんです。だって不法行為をしているんですから、それに対しては罰せられるというものを彼らに見せしめるということは当たり前。

ただし、繰り返し申し上げますけれども、六者協議というのは核開発をとめて非核化にしていくということになったときに、平壌宣言はいわゆる拉致の問題解決なくして国交正常化はなしだったのに、解決から進展だとおっしゃいましたけれども、進展も向こうは認めていないという中で、なぜ日本の外交カードが狭まるようなことになっているのかということについては、私は、拉致問題も解決しなきゃいけない、そしてまた一番核の脅威を感じなきゃいけないのは日本であるがゆえに、今の立場については懸念を持っているということを申し上げているわけです。

その上で、私は最後に大臣には、原理原則で固まって外交が柔軟にできないということは国益に反することでありますので、これは考え方を柔軟に見直すこともあり得るということを言うことがまた日本の外交の幅を広げることになっていく。原則論を曲げるわけじゃない、拉致問題は極めて重要な問題だ、平壌宣言には拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ないということ、これはもう絶対なんだ。しかしながら、日本のいわゆる外交プレーヤーとしての幅を広げる、カードを持つためのゆとりを持つために、方向、方針転換が私はあってしかるべきだというふうに思いますが、いかがですか。

■麻生国務大臣
今、六者で協議をしております段階ですから、今の段階ではまだ圧力を上げていく段階だと思っております。

ただ、最終的に、四月の十九日になりますかそれ以後になりますか、ちょっと今の段階ではわかりませんけれども、どこかの段階で、これはおっしゃるように核の問題がもともとの話ですから、その核の問題が進展をする、核を非核化させるというのが究極の目的ですから、そこのところが六者協議の優先順位の一番というのははっきりしておりますので、その点については態度としては幅を持つべきだという御指摘は当然なことだと存じます。

■前原誠司
時間が来ましたので終わりにいたしますが、とにかく、核の問題を解決する。そして拉致の問題を解決する。拉致被害者の方々にとっては、一分一秒でも早く我が子を、そして身内を帰してもらいたいという気持ちはわかりますけれども、相手のある問題でもありますし、特に核の問題については、これはかなり腰を落ちつけて、十年、二十年でも粘ってでもやってやるぞというぐらいの腹構えを持って、完全廃棄に向けて、この外交的な枠組みをしっかりとキープしながら、そして粘り強くやっていくということが必要だと思いますので、そういう観点から、今おっしゃったようなフレキシビリティーを持って臨んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。