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衆議院予算委員会 2008/02/12

前原委員 民主党の前原でございます。

 基本的には総理にお答えをいただきたいと思います。私から各大臣に対して個別にお願いすることがありますので、それ以外は、基本的に総理にお答えをいただきたいというふうに思います。

 前回の質問でも使ったパネルでございますけれども、もう一度、今、日本の置かれている状況というものを確認しておきたいと思います。

 お手元にお配りをしたグラフであります。人口は、現在が一億二千七百万、それが二〇五五年、二〇五〇年と言ってもいいですけれども、九千万人を割り込んで、六十五歳以上の人口は、今の二〇・八%が四〇・五%ということで倍になる、生産年齢人口、十五歳から六十四歳は一五ポイント減っていく、こういう状況にあるわけであります。

 そこで、総理にお聞きをしたいと思います。簡単な質問です。

 大田経済財政担当大臣は所信の中で成長ということをおっしゃっておりましたけれども、今のこの前提条件に立てば、相当努力しなければ日本の成長路線というのは確保できないと私は思います。これからも日本はこういう客観情勢の中でも成長路線を歩むのか、それとも、これはなかなか、ずっと成長し続けるということは大変だ、いつかは天を迎えてGDPも縮小傾向に入るのはやむなしと考えるのか、まず、福田総理としての考え方を聞かせてください。

福田内閣総理大臣 今、表をお示しいただきました。これは二〇五五年ということで、まだ先で、まだちょっと間があるんですね。その間にどういうふうにするかということが問題だと思います。

 これは、傾向線でいえば、こういうふうになってしまうんだろうと思いますよ。そうならないようにすべきなのかどうかということも含めての御質問だというふうに思います。

 私は、人口がどんどん減るというようなことは、日本全体の国力という観点からいうと余り好ましいことではないと思います。だからといって、これをふやさなきゃいかぬというので目標をつくってというわけにもいかないようなことはあります。問題は、そこに住んでいる人がいかに幸せな日々を送れるかということに着目してこれからの経済政策をする必要があるんだろうというふうに思います。

 ただ、そういうことを考えた上でも、やはり人口が余りに急速に減るというのは好ましくないというように思っておりますので、少子化対策というものをもちろんしっかりやらなければいけないし、また同時に、働く意欲のある人には定年制など設けないでしっかりと働いていただく、こういう社会も必要なんだろうし、また、個々の生活がより充実したものであるように、それを目指していろいろな経済政策をやっていかなければいけないと思います。

 そんなふうなことでございまして、これは答えになるかどうかわかりませんけれども、おぼろげながらわかっていただけると思います。

前原委員 私がお伺いしたかった核心は、日本のGDPというのがこれからも拡大し続けるための政策をとり続けるのかどうなのか、あるいは、今おっしゃったように、これはもうこういう客観情勢、もちろん、これをいかにつなぎとめるか、あるいはブレーキを踏むかという努力はしなくてはいけないけれども、しかし、いずれはそういった拡大傾向にも限界が来るというふうにお考えになっているのか、それによって私は全然経済政策が変わってくると思うんですね。

 今私がお伺いしているのは、こういう客観情勢であるけれども、これからも日本の経済というのは、拡大、つまりは成長路線というのを維持し続けるかどうか、その点をお伺いしているわけです。簡単で結構です。

福田内閣総理大臣 GDP、日本の全体の経済力ということで申し上げれば、これは人口が減るということによって小さくなる可能性はあるんですね。ただ、問題は、一人当たりということになりまして、一人当たりの経済力がGDPよりもより大きな成長をするということがあるならば、これからGDPも人口も減るかもしれぬけれども、全体として減るということにはならないかもしれぬ、しかし、当面は減る可能性があるということを考えた方が合理的だというふうに思っております。

前原委員 きょうの議論の前提なので、しつこいようですがお伺いします。

 成長戦略というのは、とにかく、こういう所与の前提でも、経済の拡大を続けるためにいかに努力をするかという前提で今までの安倍政権はあったと思うんですけれども、福田政権はそれは不変なのか、変わったのかということを伺っているわけです。

福田内閣総理大臣 これは、国全体と個々人の問題と、ちょっと分けて考えなければいけないかと思いますね。

 やはり、一人当たりの所得が減るという状況というのは、生活のレベルを落とすということにつながる可能性がありますね。というのは、人口減が激しければ、そういう日本全体のGDPも人口の減少とあわせておっこちてしまう。しかし、それを食いとめるということは必要だと私は思いますよ。少なくとも、一人当たりが減るというようなことは想定しにくい。むしろ、してはいけない。そういう意味では、一人当たりがふえ、かつ、GDPがふえればいいんですよ。ですけれども、そこのところは、先ほど申しましたように、なかなか厳しい状況にあるかもしれないというふうな感じがいたします。

前原委員 若干弱気というか、私はやはり、いかに成長力を高めるかといったところに中核を置かないと、地域の格差の問題とか、あるいは個人の生活のレベル、特に少子高齢化が進んでいくわけですから、医療、年金、介護、こういった社会保障の費用というのは、いかに無駄を削ったとしてもふえていくと思うんですね。そうすると、成長というものを、されど成長と言う方がおられますけれども、いかに確保していくかということが私は大事な基本認識じゃないかというふうに思っております。

 その中で、では、今私が申し上げたことの前提に立つならば、この人口減少、少子高齢化が進む中で成長路線をとり続けようと思った場合に何が必要なのか。これは総理、何が必要だと思われますか。

逢沢委員長 額賀財務大臣、簡潔にお願いします。

額賀国務大臣 前段だけ。

 これは、御承知のとおり、人口が減っているわけでありますから、当然、ほっておけば成長は低くなっていく。我々が今直面している課題、人口減少とか環境問題だとかエネルギー問題だとか、そういうものにきちっと真正面から取り組んで、それを乗り越えて解決策を見つければ日本はフロントランナーですよ。そういうことをきっちりとやっていくことだと思います。

前原委員 その解決策を聞いているんじゃないですか。その中身を聞いているんです。そんなものは、だれだって言えますよ。財務大臣じゃなくたって言えますよ。

 本質の議論に入りたいので、ちょっとはしょります。

 大田大臣だったらこう答えていただくと思いますけれども。つまり、人口は減るわけですよ、ポピュレーションは減る。そうなると、イノベーション、それからグローバリゼーションへの対応、そして、やはり人ですよね、人への投資というものをどのように高めていくか。この三つが不可欠なんだろうというふうに私は思うわけです。

 そこで、私が申し上げたその三つのところで、グローバリゼーションというところできょうは議論していきたいというふうに思っているわけであります。

 私なりにグローバリゼーションということを考えたときに、二つのポイントが必要だと思います。これは大田大臣にお答えをいただきたいと思いますが、やはり日本は資源が乏しい。教育水準は落ちているといっても、やはり資源は人である、技術力であるということを考えたときには、FTAやEPAを推進して自由貿易の中で日本の強いところを目いっぱい生かしていくということ。FTA、EPAの推進が一つ。あとは、これも後で具体的に議論していきたいと思いますけれども、日本としては、いかにこれから外国の資本を受け入れていくかということがこのグローバリゼーションの波に日本がしっかり乗っていくためには必要かと思いますが、この認識、どういうふうに思われますか、大田大臣。

大田国務大臣 先ほど総理は、二〇五五年ということを念頭に置いてGDPが減少するかもしれないということを答弁いたしましたけれども、やはり、少なくともここ十年ぐらいは現在程度の成長率を維持したいということで福田内閣の成長戦略を立てております。

 そのかぎは、今先生がおっしゃいましたように、グローバリゼーション、それからイノベーション、そして人です。グローバリゼーションに関しましては、外の成長エネルギーを国内に持ってくるということは極めて重要なかぎになっております。

 政府では、平成二十二年までに対内直接投資残高を対GDP比で五%程度まで倍増させるという目標を立てております。現在、十八年末にGDP比二・五%だったものが、十九年九月末時点では約三%のところまで順調に伸びてきております。今後も引き続き、投資環境の整備といった包括的なプログラムを実行したいと考えております。

 あわせて、さらにその目標達成を着実なものにするために、対内直接投資を阻害している要因は何であるのか、少し集中的に点検したいと思いまして、先月末に私のもとに有識者会議を設置いたしました。春ごろまでに集中的に点検して取りまとめたいと考えております。

前原委員 外資を日本へどう引きつけてくるかということは後で詳しく議論させてもらいたいと思いますが、総理、去年の十一月に韓国の全国経済人連合会の趙錫来会長という方とお会いをされていると思います。趙錫来、忘れられましたか。全国経済人連合会、日本でいうと経団連みたいなものでしょうか。その会長が、要は、日本に対して、アメリカに先を越されましたねという話をされている。つまり、日韓FTAの話であります。

 李明博政権が二月の二十五日に誕生するわけであります、総理も行かれるという話を聞いておりますけれども。この新しい大統領が誕生する、そしてシャトル外交も復活をさせる、こういう話をされているやに聞いております。

 私は、きょうは安全保障の話は直接にはいたしませんけれども、六者協議の中の核の国というのは、やはり日本、アメリカ、韓国、そして中国ということで、特に韓国との関係改善、連携強化というのは、私は、これは李明博政権で特にやっていかなくてはいけない問題だろうと思います。

 お互い言い分があるにしても、この日韓FTAはしっかりまとめ上げるということが私は日韓関係の強化の大前提のような気がいたしますが、これについて総理の御決意をお聞きをしたいと思います。

福田内閣総理大臣 日韓FTAは数年前に交渉を始めました。しかし、いろいろな事情があったんだと思います。経済的、そしてまた政治的な事情もあったかもしれない。そういうことで、ちょっと立ち消えになってしまったんですね。それで、韓国も政治情勢がこれから変わるわけでありますので、こういう機会にまた日韓でその話を再開したいと思っておるところです。

前原委員 再開してぜひまとめ上げる、そういう決意をいただきたいと思いますが、いかがですか。

福田内閣総理大臣 相手のあることですけれども、努力したいと思います。

前原委員 おっしゃるように、これは相手もありますし、ただ、これはお互い、国家戦略としてFTA、EPAを結んでいくということで、お互いに言い分があると思いますけれども、それを乗り越えていかないと、アメリカと結ぶ、そして韓国はヨーロッパともそういった交渉をやはり行っているわけでございまして、そこはしっかりと政治が意思を持ってまとめ上げるということが必要なんだろうというふうに私は思います。

 そこで、きょうの中心テーマの一つのファンドについて話を移していきたいというふうに思います。

 先ほど大田大臣がおっしゃったことでありますけれども、倍増させていくということでございますね。

 日本を初め他国の対内投資の表をちょっと見ていただきたいと思います。お配りをしているお手元の資料でいえば四枚目であります。左側が一九九〇年、右側が二〇〇六年ということでありますけれども、極めて低いですよね。日本の海外からの対内直接投資残高というのが極めて低い。イギリスと比べると、もう何十倍も違うような状況になっている。これを進めていくということで先ほど大田大臣からお話があったわけであります。

 ただ、昨年の実績で見ますと、株式を中心に日本の資産に投資するヘッジファンドだけで申し上げると、ヘッジファンドからの資金流出、約九千億円の流出がある。これはシンガポールの調査会社、ユーリカヘッジというところが調査をしているところであります。先ほど、実績が上がってきましたよという話はされましたけれども、しかし、昨年をとってみれば、株、ヘッジファンドだけ見れば、資金流出は九千億円。これはまた株価が下がる一つの大きな要因になっているわけであります。

 大田大臣、いわゆる資産が逃げていっている、資金流出の原因は何だと思われますか。

大田国務大臣 今まさに、何か、阻害要因がどういうものがあるのか、制度的な要因であるのか、あるいは運用上の問題であるのか、そこの検討を集中的に始めたところです。

前原委員 では、幾つか私もそれに資するような質問をさせてもらいたいと思いますが、一つは司法判断、それから先ほどお話があった規制、こういったものが日本に存在をするのではないかということであります。

 司法判断について、少し事例を申し上げたいと思います。

 まず大田大臣にお伺いをして、そして鳩山法務大臣にお話を伺いたいというふうに思いますけれども、村上ファンド事件のときの東京地裁の判決であります。判決文の中でこう書かれている。安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前との利益至上主義には、慄然とせざるを得ない。

 スティール・パートナーズによるブルドックソースの買収事案、これは東京高裁の判決でありますが、創業以来百年余の歴史の企業が解体される理由はない。

 これは一般論で結構です、大田大臣。私から見ると、安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前というのは、利益至上主義には慄然とするんじゃなくて、当たり前のことじゃないですか。当たり前のことだと私は思うんですが、三権分立ですので、これは司法判断ですから、それにコメントを加えてくれということではなくて、こういう言葉についてはどう思われますか、大田大臣。

大田国務大臣 司法の判断ですので、一般論とはいえ、コメントは控えさせていただきます。

前原委員 司法の判断が問題にされるわけですよ。これは大田大臣が一番よく御存じだと思います。これでかなりの外国人投資家というものは、日本というのは極めて閉鎖的、何だ、この司法判決はというふうに思っているわけですよ。私も立法府の人間ですから、司法に対して介入をするつもりはありません。しかし、申し上げましょう。

 要は、これは二〇五〇年の経済大国ということで、先ほど福田総理や大田大臣からは少し寂しい話がありました。十年間は成長だ、だけれどもその後はようわからぬという話がありましたけれども、ゴールドマン・サックスの推計でいうと、二〇五〇年の経済大国は中国。これは、今GDPが二・七兆ドルです。それが十六・四倍になるんですよ。そして、アメリカは、今世界第一位のGDPですけれども、中国に抜かれて、二・七倍、三十五・二兆ドル。そして、第三位がインド。そして、日本とかブラジル、ロシア、あるいはここには書いていませんけれどもメキシコ、こういったところが大体一緒ぐらいになってくるんじゃないかということになるわけですね。ということは、これだけBRICsを中心に経済が飛躍的に伸びていくと、当然ながら外貨準備高あるいは手持ち資金も含めて莫大なものになっていくわけですね。

 もう一つ図を見ていただきたいと思います。オイルマネーによるSWF、つまりは国家ファンドの話であります。

 これも私が申し上げるまでもありませんけれども、アラブ首長国連邦は八千億ドルから一兆ドルぐらいあるんじゃないか。サウジ、ノルウェー、ノルウェーも北海油田、シンガポール、これは三千億ドルずつぐらいあるんじゃないか。クウェートも二千億ドルぐらい。ロシアは一千億。中国も二千億ドル。こういうように、国家ファンドというものが今物すごい勢いで伸びてきているわけですね。一般的には、今、全体のSWF、ソブリン・ウエルス・ファンド、政府系ファンドの資産規模は、推定で二兆五千億ドルぐらいあるんじゃないかと言われているわけです。

 大田大臣、これは、二〇一五年には十二兆ドルに達する見通しなんです、十二兆ドル。オイルマネー、BRICsによる経済発展、もう世界は目まぐるしく変わっていく。その中で、私は、今の日本というのはかなり幕末と相似形なんだろうと思うわけですね。つまりは、これだけ他の国が経済発展をしていってお金を持っている。ソブリン・ウエルス・ファンドなんかが今運用のお金を積み上げていっている状況ですね。ここで閉鎖的になるのか、あるいはオープンになるかによって、磁石のように引きつけられれば相当私は日本の企業は発展することになると思うわけです。

 ですから、大田大臣、石橋をたたいて渡るような答弁ではなくて、別に司法に対して判断を下してくれと言っているわけじゃないんです。私の言った言葉に対してどう思われますかと言っているんです。

 もう一遍言いますよ。安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前でしょう。当たり前かどうか、イエスかノーか、それだけでいいですよ。あるいは、創業以来百年余の歴史の企業が解体される理由はない。経営努力を怠れば、創業百年余だって解体されるわけですよ、買収されるわけですよ。それが今の日本の置かれる状況じゃないですか。

 司法判断を求めているんじゃないんですよ。今申し上げたことについて、経済財政担当大臣としてどう思われるかということをお伺いしているわけです。

大田国務大臣 まず、一点だけ。十年間成長して、あとはどうでもいいということは全く申し上げておりません。成長戦略として、この十年間、現在程度の成長を続けるということをまず目標にしているということを申し上げます。

 それから、司法判断とは全く別にしまして、やはり経営努力というものは必要ですし、収益を追求していくということは当然のことであると考えます。

前原委員 鳩山大臣、司法がこういう判断を下している、そしてまた、英訳をされて、世界じゅうの投資家に、日本の司法判断はこうだということが全世界で知れ渡っているわけですね。

 ここは立法府です。だから変えろということではありませんけれども、所管をされる大臣として、裁判官なり司法判決のあり方というか、尊王攘夷じゃないですけれども、開国をしなければいけない状況にあるわけですよ、今、日本は。そういう中にあって、司法判断が鎖国状態のままではないかと私は思うわけですけれども、法務大臣、どう思われますか。

鳩山国務大臣 御指摘の問題は大変難しいことだと思います。

 確かに、外国が日本に投資したくなるような環境であるべきだとは思いますが、アメリカの例を出すまでもなく、日本のさまざまなものを守らなくちゃならぬ、こういう感覚も当然必要なわけでございます。

 例えば、ブルドックの問題、スティール・パートナーズがTOB、テークオーバービッドをしかけた、そのときに、現在の制度で許されるものとして、新株予約権の株主への割り当てをして企業防衛をやった、こういうことだと思うんですね。それを、差しとめ請求をしたスティール・パートナーズに対して、これはたしか地裁、高裁、最高裁と、全部判断したんだと思うんです。結果としては、先ほど先生が指摘されたような判決の文章は、私はびっくりいたしましたけれども、適法性を認定をしているということだろうと思いますから、私が、司法判断がいい悪いというのはもちろん言えないわけで、立法府、そしてこれからどういう道があるかということは、政治家の皆さんで判断をしていかれることだと思っております。

 ただ、余計なことを申し上げますが、私は、安ければ買う、それはよくわかるのですが、梅原猛先生とノーベル賞候補と言われた松井孝典東大教授が対談している本を見ておったら、アメリカにはフロンティアがあった、今やニューフロンティアもなくなった、宇宙にフロンティアを求めるならばいいけれども、金をフロンティアの世界として求めていって、金で金を買う、そのもうけでTOBをしかける、MアンドAだ、こればかりの実体経済を離れた経済になったら人類はおしまいよ。そういう文章も読んだことがありまして、いつも参考にはいたしておりまして、日本に投資したくなるような、そういう環境は新たな立法等が必要であろうと思いますけれども、そんな点も少しお考えください。

前原委員 若干、要らぬ答弁だったなと私は思いますが。

 要は、今からちょっと空港とか電力会社についての議論をさせていただきたいと思うわけでありますけれども、先ほど来申し上げているように、日本を取り巻く環境はすさまじい変化を遂げているということなんですね。

 例えば、昔は、企業買収といえば、アメリカが有名なエクソン・フロリオという条項をつくった。これはユノカルなんかで規制強化したというのがありますけれども、もともとは、やはり経済大国になってきた日本に対する牽制という面が多かった。しかし、今や、日本の企業が、欧米ではなくて、オイルマネーやBRICsといった国々のファンドによる投資をされる、ひょっとしたら買収をされる。

 私が最近読んだ本で一番ショッキングだった題名の本は、「ガスプロムが東電を買収する日」という本が出ているわけです。それがあり得るかどうかということは別にして、しかし、そういうことも想定をしながら物事を考えていかなくてはいけない時期に至っているんだろうと思います。

 話をもとに戻しますが、総理、先ほどのような司法判断、大田大臣、それから鳩山大臣から御答弁がありましたけれども、やはり司法において、グローバリゼーションの中でのいわゆる企業のあり方というものが私はついていってないような気がするんですね。ついていくためには、例えば金融裁判所みたいなものも含めて考えていかないと、これから日本はもっとおくれていくのではないかというふうに思いますけれども、先ほどのやりとりを聞かれてきた感想でも結構ですので、今の私の、金融裁判所というものをつくる、そうしないと日本はまさにお金を引きつける一つの力というものをなくしてしまうのではないか、その点についてどうお考えか、御答弁ください。

福田内閣総理大臣 これは大変難しい議論が国内で起こっていると思います。私も、海外に開かれた国というのであれば、それを受け入れやすい環境を整備しなければいけないということは当然あると思います。それがほかの国並みということなのかどうかは別にしましても、そういう対応の仕方はとっていかなければいけないと思います。

 一方で、お金だけでもって日本の市場が混乱するような、そういうようなことになっては元も子もないということも思いますので、そこのところは、まだ日本全体なれていないんですね。そういうような世界の動向になれていない。やはり早くなれなければいけない。そして、その中で知恵を出していかなければいけないと思います。その知恵の一つが、今おっしゃった金融裁判所という形であるかどうか、これは別にいたしまして、やはり日本はそれを受け入れる、そういう姿勢をしっかりと持たなければいけない、持つべき努力をすべきだと思っております。

前原委員 今、総理がお答えをされたように、これは悩ましい問題です。つまりは、お金を引きつけることによって日本は成長する可能性というものが大きく広がると同時に、何を守るのかというところの線引きというものが私は極めて大事なんだろうと。それが政府・与党の中で、例えば成田空港の民営化ということに大きく議論が分かれていると聞いていますし、閣議決定が先送りをされているということであります。

 ためにする議論で聞くつもりは全くありませんので、自由にお答えをいただきたいというふうに思いますけれども、まず総理、成田国際空港の完全民営化という閣議決定の方針にはお変わりありませんか。

冬柴国務大臣 変わりありません。

前原委員 これは、一九六六年に公団が設立をされて、小泉政権の二〇〇二年の特殊法人改革で、完全民営化に向けて特殊会社にする、こういう閣議決定が行われていて、二〇〇四年に一〇〇%政府出資の特殊会社としているということで、今、国土交通大臣は閣議決定は変わりないということで、総理、これもよろしいわけですね、国土交通大臣のお答えで。いいんですね。はい。

 そこで、今議論になっているのは、ここに渡辺大臣と大田大臣、お二人おられますけれども、閣議決定はまだされていませんので、閣内不一致なんて意地悪な質問をするつもりはありません。つまりは、お金をしっかり受け入れなければいけないということと同時に、守らなきゃいけないものは何かということで、お二人の大臣は、出資規制というものを行うということ、三分の一以下、外資に対して出資規制を行うということに対しての異論を述べておられると思います。

 では、出資規制をしなかった場合に、この成田空港、あるいは、後で質問いたします例えばJパワーのような電力会社、あるいは羽田空港のターミナルビル、こういったところは日本の極めて重要なインフラで、特に空港、滑走路だと、これは有事の際に使わなきゃいけないという話にもなるし、また、ターミナルビルは、単なる土産物を売っているだけではない、入管という、例えばテロリストを水際で防ぐとか、そういう大事なことを担っていかなくてはいけないわけですよね。電力も、自由化だといっても、特にJパワーなどというのは、各電力会社の送電線、それから、水力発電、石炭発電、今、大間の原子力発電所もつくるという話になってきている。

 出資規制をしない場合に、では、どういう形で日本のインフラを守れるか。よく行為規制という言い方がされますけれども、お二人はこの閣議決定に反対されたと伺っておりますが、どういう行為規制だったら今私が申し上げたことは守られますか。あるいは、それ自身は守る必要はないという御意見なら、それでも結構です。渡辺大臣。

渡辺国務大臣 今まさにその点を政府の中で詰めている最中でございます。

前原委員 閣議決定の直前まで行って、渡辺さん、慎重になられるのはわかりますけれども、ただ、もし反対されるのであれば、対案を持っていなければいかぬわけですよ。つまりは、行動規制というものが、では、どういう行動規制だったらそれが守られるかというところがなければ、三分の一の外資規制というのは間違ったメッセージを与えるからだめだということにならないでしょう。

 だから、検討しているところだけれども、御自身の考え方でいいですよ、どういう行為規制というものが、行動規制というものがあり得るのか、御自身の考え方を開陳してください。

渡辺国務大臣 資本規制という手段を使わなければ達成できない目的なのか、まさに目的と手段との関係において、他のとり得る手段はないのか、そういう議論をやっているものと思います。

前原委員 まだ閣議決定されていない、それで、国会の場でこれから行為規制の内容について議論していく、詰めていくわけでしょう。その御自身の考え方をおっしゃったらいいんですよ。

 大田大臣、堂々と言ってください。そんなの、今から考えるんじゃなくて、議論するところが国会でしょう。そのことについてしっかりと、閣議決定に反対されて、今、閣議決定、延長されているんでしょう。どういうようなお考えが、その行為規制、あるのかどうなのか。私は、その出資規制で外資に対して間違ったメッセージを与えないというのは、一つの見識だと思いますよ。そうだったら、それにかわる行為規制というのはどういうものがあるのかということを示されるのは、やはりお務めでしょう。

大田国務大臣 安全保障や危機管理と外国に対してオープンであるということをどう両立させるかというのは、大変重要な課題だと考えております。

 それをどういうやり方でやるのがベストであるのか。有事法制あるいは外為法の対象にするのかということもあるでしょうし、仮に出資の場合にしても、国土交通省が審議会で出しております答申の中には、外資規制のほかに、例えば、一株主当たりの保有比率を制限する方法、あるいは黄金株といったような方法も出されております。そういうものを総合的に今政府の中で検討中であるということでございます。

前原委員 甘利大臣、Jパワーのことについて、同じ文脈の中でお伺いをしたいと思います。

 TCIというイギリスの投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメントというところが、一月の十五日に、今九・九%の持ち株比率、これを二〇%まで高めたい、こういうような申請をしていて、普通ならば三十日以内ということでありますけれども、十五日から三十日以内であればもうそろそろ。しかし、新聞報道で見ると、少しじっくりと、それこそ今話のあったようなことで延長していかなくてはいけないということであります。

 甘利大臣に伺いたいのは、私もJパワーさんにいろいろ話を伺いました。そうすると、過去の例で、このTCIというところが、要は、水面下で他の外資系のファンドと連携をして、自分たちが、単独でない、つまり連携の、いわゆる協力関係を持って企業の比率を高めていって、結果的には、例えば、申請するよりも多くの持ち株比率を持つのではないかという懸念がある、こういう話もございました。

 九月に外為法の運用改正がなされましたよね、政省令で。ここでは、そういった協力関係にあるところも含めて、外資のいわゆる出資比率というものを勘案するということになっていると思うんですけれども、大臣、このTCIのJパワーに対する投資の話について言えば、そういったところについては、今の外為法、九月で運用改善したものでクリアをされるのかされないのか。

 例えば、ドイツ証券取引所、オランダのABNアムロ、あるいは香港のリンクリート、こういうところでTCIが行ったさまざまなやり方、他の外資と連携を実は水面下ではしていたということ、こういうことについて今の外為法では排除できるんですか。九月の政省令でいわゆる運用改正されたものについては排除できるんですか。

甘利国務大臣 まず、現状だけ申し上げますと、TCIの方から、一〇%以上の株式取得について、その用意があると。その場合には事前に届け出なければならないことになっておりまして、これは御案内のとおり、OECDの資本移動自由化コードの中で、国の安全と公の秩序という項目の中に電力というのはきちんと位置づけられております。そのOECDルールに従って、今、外為法、最初の三十日間をやっているわけであります。

 引き続き審査をする必要性を判断した時点でさらにということになりますけれども、その判断は、ぎりぎりですから、あしたのしかるべき時刻になろうかと思っております。

前原委員 総理、この問題は、これから成田空港の問題、あるいはTCIにかかわるJパワーの問題を含めて、ここがまさに幕末の、尊王攘夷なのか開国なのかという大きな岐路だと私は思うんですね。

 ただ、チャンスでもあるし、これだけ日本の経済規模より大きな経済大国がたくさん出てきて、その背景でソブリン・ウエルス・ファンドのようなものが生まれてくるということになれば、ウエルカムをすると同時に、いかに守るかという二律背反のことを一緒にやっていかなきゃいけないという、大変難しいかじ取りをこれからやっていかなくてはいけないと私は思います。

 基本的な線は、行為規制をしっかりしいて、あとはオープンだという形にしていくのが大事なポイントだというふうに私は思いますけれども、総理の基本的な考え方を述べていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今回は空港という、そういう施設なもので安全保障上の問題がある、こういうことなんです。安全保障で、特に外資だということなんですけれども、安全保障といったら何も外資だけじゃないですよね。国内だって安全保障上いろいろ対応しなければいけないことは幾らでもあるんだろうというふうに思いますよ。これから何が起こるかわからないということも含めて考えてそういう配慮もしなければいけないということですから、これは、内外ともに十分将来を見通して考えていくべき問題だというように思っております。

前原委員 今、総理おっしゃったように、外資だけではないと思うんですよ。国内の投資家だって、それは安心かといえば、外資だけ悪者で国内の投資家がすべて善かというとそうではない可能性もあるわけですから、そういう意味では、単なる外資脅威論というものに偏ることなく、しかし安全保障の根幹にかかわるようなものについてはしっかりと、今申し上げたような行為規制というもので網を張って、基本はオープンだというところで私は臨んでいただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、安倍政権のときに掲げたものでうやむやになっているものが三つあるんです。きょうは余り時間がなくなってきましたので、三つ挙げて、そして一つか二つ聞ければいいなという思いを持っておりますが、少し質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、オープンスカイ、アジア・ゲートウェイ構想、これがどうなっていくのかということ。これは、きょうはちょっと質問はいたしません。それから二つ目は、日本版NSC。これは安倍政権の肝いりでしたよね、日本版NSC。それから、柳井元駐米大使を座長にしたいわゆる法的懇談会というもの。この三つについて、私は、どちらかといえば、福田総理が政権につかれてから、やめるとも聞いていないし、さりとて積極的にやるとも聞いていないし、何かうやむや、宙に浮いているような気がしてならないわけでありますが、まず石破防衛大臣に伺いたいと思います。

 法的懇談会で議論している四点、ありますね、集団的自衛権、ミサイル防衛とか、あるいはPKO活動なんかをしているときに他国の部隊を守れるかどうかといったあの四点、四類型と言われるもの。皆さん方のお手元に資料としてお配りをしています、最後のページであります。産経新聞社さんの絵も拝借をしておりますけれども、この四類型。

 私は、これからさまざまなまさに危機を想定してこの四類型というのを整理しておくことは極めて大事だというふうに思いますけれども、防衛大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 それは、委員のおっしゃるとおりだと思っております。

 集団的自衛権の行使は自衛の必要最小限度を超えるので我が国は行使できないという立場を我が国としてはとっておりますし、それは現段階において、変えるという方針も全くございません。しかし、それはそれとして、時代の進歩とともにいろいろなことが起こってくるであろう、そのことについてどうなのだという御議論をこの懇談会でしていただいているものというふうに承知をいたしております。そういたしますと、集団的自衛権とはそもそも何だという定義も含めて、時代に合ったような議論をするということは、それはそれで意義のあることだというふうに考えております。

 この四類型についてそれぞれ申し上げるのが委員の御質問の趣旨だとは思っておりませんので、そのような根本的な御議論をしていただいておるものというふうに承知をしております。閣僚としてコメントする立場にはございません。

前原委員 福田総理、この法的懇談会、四類型の議論をされてきたわけですけれども、総理のもとでこれをまとめられるという御意思はありますか。安倍さんがやろうとされていたこと、これをまとめられる御意思はありますか。福田総理。

福田内閣総理大臣 御指摘の安保法制懇ですか、ここでは、いろいろな例示をして、そして結論を予断することなくさまざまな観点から議論している、こういうふうなことのようでございます。これはまだ我々として報告書を受け取っているわけではございません。

 今後の安全保障のあり方というものを考える上の参考になるかなどうかなということで、ただ、集団的自衛権の問題につながりますので、これは憲法論議なのか、こういう事例でもって具体的にやった方がいいのかというところは、結果が出てきてから考えたいと思っております。

前原委員 ということは、福田総理のときに結果をまとめられて、そしてその法的懇談会の結論をもとにどういう対応をとられるかということは、総理御自身が御判断をされるということでよろしいんですか。

福田内閣総理大臣 これは、中身がどうなのかということについて、まだ承知しているわけではありません。ですから、それは、出た段階で判断するしかないと思います。

前原委員 これは宙に浮いていますので、どういう結論を出されるかは別にして、やはり、まとめた上で、そしてその中身を判断される、それはそのとおりだと思います、安倍さんが総理のときとまた違うわけですから。しかし、この結論について、どういう議論を国民的にもしていくかということをやはり明らかにしていただきたい。何か知らぬ間にお蔵入りになっているような、そういうことがないようにお願いをしたいと思います。

 それからもう一つ、これは閣議決定までされました日本版のNSCの設置でありますけれども、私は決してあの法案がベストだとは思っていません。しかし、日本は、やはり各省庁の縦割りというものが非常に強くて、統一的な国家意思をまとめるのはなかなか難しい。怪獣で例えればキングギドラみたいなものですね。頭がたくさんあって、そしてどちらの方向に向いていくかということがなかなかわからない。ちょっと古いかもしれませんが、キングギドラというたくさん頭のある怪獣でありますけれども。それを、しっかりと頭を一つに統一していく、つまり、横ぐしを刺して国家の統一的な戦略をまとめていくということが私は大事だというふうに思います。

 ですから、あの法案自体はベストだと思いませんけれども、そういう意味で、国の安全保障、これから安全保障というのは防衛だけじゃないですよね、特に、逆に言えば、環境とか、あるいはエネルギー、省エネ、あるいは食料、こういった総合安全保障的なものを各省庁調整しながら国としての方向性をしっかり持つということが私は大事だと思います。

 そういう意味では、この日本版NSCというのは私は第一歩であると思いますけれども、これは閣議決定されたのに、どうされるんですか。これは、また出し直してやるんですか、それとも、自分の内閣ではやらないということなんですか。どちらですか。

福田内閣総理大臣 この問題は、確かに必要だといえば必要な部分があるかもしれません。ただ、おっしゃったように、指揮命令系統とか、また、それなりの大きな組織を持たないと完璧には動かないというような事情もありますから、それは欠陥もあるんですよ。では、今現在も、安全保障は何もやらないのか、官邸中心でやらないのか。それはそうじゃない。今でもあるんですよ、実際に。そして、安全保障会議がございますけれども、安全保障会議は形式的だという議論もあります。だから、その安全保障会議を形式的でなくするというのも一つの解決方法だと思います。

 今現在、いわゆる安全保障的なことにつきましては、官房長官、外務大臣、防衛大臣というような三大臣が集まりまして適宜協議をするという体制をとっておりまして、また、そういうふうな体制のもとに情報収集とかそういったようなことも準備するとかいうようなこともしているわけでありまして、この問題については、我々は非常に重要な関心を持っております。特に、今おっしゃったような食料の安全保障とか、少し中長期的な問題も含めて考えるような場がやはり必要なんだろうというようには思っております。

前原委員 先ほどもお話ししましたように、いかに官邸主導で、そして省庁の縦割りの弊害を排除しながら統一的な国家的な戦略をまとめていくか。環境、省エネルギー、食料、そして何よりも地域の安全保障、こういった問題、私は大事だと思います。

 そのためには、NSC、先ほど欠陥があると申し上げました。私は、二つ申し上げます。これは御答弁は結構です、また議論させていただきたいと思うので。

 一つは、生意気ながら、これは総理おっしゃったので、よくおわかりをいただいていると思うんですが、情報というものがコインの裏表でなければ、やはり戦略というものを立てることはできません。その情報というものが、また、これ、縦割りになって、お互いの役所が共有できない、あるいは上がらない仕組みになっていっている。そこの弊害を、NSCはあわせて情報のところも統合するようなものでなければ、なかなか機能していかないんだろうということが一つ。

 あと、NSCをつくったとしても、今の憲法六十六条だと、閣議決定というのは全閣僚、全員でやらなきゃいけない。そうすると、NSCなるものをつくって、ある一部の大臣で安全保障にかかわる問題について合意をしたといっても、今の憲法六十六条の解釈だともう一遍やり直さなきゃいけないということになって、NSCというものは屋上屋を重ねるようなものになる可能性があります。

 ですから、そういったマイナス点もありますので、大事だという総理のお言葉については私はぜひそれは信じたいと思いますし、とにかくこれから莫大な借金、そして少子高齢化、人口減少社会、環境問題、食料、エネルギー、こういった、まさに国家百年の計を考えながら考え出すような仕組みについては、官邸の中に統一した国家戦略がまとめられるような、情報の裏づけを持ってできるようなことで、ぜひ頑張っていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

逢沢委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。