衆議院安全保障委員会
2007/05/18
■木村委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。前原誠司君。
■前原誠司
民主党の前原でございます。
きょうは、久間大臣に、主にミサイル防衛、PSI、そして、時間があれば米軍再編に伴う基地再編について質問させていただきたいと思います。
まずは、このミサイル防衛を議論するに当たりまして、北朝鮮のこの間の軍事パレードの中で確認をされたムスダンという新しいミサイル、これはいろいろなところで報道されて、アメリカも確認をしたということでございますが、これについて、事務方で結構でございますが、今、日本で知り得る情報というものをお教えいただきたいと思います。
■大古政府参考人
北朝鮮の新型中距離ミサイルということで、射程としましては、はっきりはわかりませんけれども、大体三千キロから五千キロぐらいと言われているというところが防衛省として把握している情報でございます。
■前原誠司
何基ぐらい今あると想定をしていますか。それと、テポドン2とこのムスダンとの違いは、どういう把握をされていますか。
■大古政府参考人
この新型中距離ミサイルにつきましては、開発中ということで、配備されて、その機種は何かということについては防衛省としては確認しておりません。
それから、テポドンとの違いでございますけれども、テポドンにつきましては、北朝鮮がノドンで使った技術を踏まえまして自主開発しておりますけれども、この新型中距離ミサイルについては、ソ連からの技術を供与されたというふうに一般に言われていると思います。
■前原誠司
安全保障委員会で、特にミサイル防衛という巨額な費用を使って日本のミサイル防衛網を整備しているわけでありまして、その想定している国は北朝鮮であります。したがって、北朝鮮の新たなミサイル開発の動きについては、やはりしっかりと逐一国会に報告をしていただくということで、これからそういう姿勢で臨んでいただきたいということをまずはお願いしておきたいと思います。
久間大臣、ゴールデンウイークにはアメリカに、ワシントンに行っておられて、タンパにも行かれたということでありまして、2プラス2の会合、そして日米防衛首脳会議を行われたということでございます。その中で、私も同時期にアメリカ・ワシントンにおりまして、ミサイル防衛についてさまざま意見交換をしてまいりました。
その中で、これは以前から言われていたことでございますけれども、北朝鮮が発射をすれば七、八分で到達をするということの中で、それは、日本のものであろうがアメリカのものであろうが、イージス艦、あるいはセンサー、衛星、あるいはPAC3、あらゆるアセットというか道具を投入して遺漏なきように対処するということが必要なんだろうと思います。
そのときに、C2BMCということがよく言われます。コマンド、コントロール、バトル、マネジメント、そしてコミュニケーションということで、C2BMCであります。
私もローレス国防副次官とお話をしたときに、彼が言っていた言葉で頭に残っている一つの言葉は、日米の協力というものは、技術的な問題というよりも政策的な問題であるという言い方を彼はしておりました。つまりは、お互いのC2BMCをどのように具体的にできるだけ早く詰めていくのかと。つまりは、ハードをそろえていっても、このC2BMC、日米の統合運用というものがしっかりなされなければいけないんだろうというふうに思います。
そこで、質問をしたいわけでありますけれども、ミサイルを撃ち落とすに当たってのC2BMCを具体的に、まだアメリカとは話ができていないと思います。もちろんPAC3も入間に一ファイアユニットだけしか配備されていませんし、日本のイージス艦もまだSM3が搭載されていない。したがいまして、現段階においては、センサー、これはアメリカ、日本両方、衛星、これも両方あります、それとPAC3は嘉手納にアメリカが持っている、あとはSM3配備のイージス艦は、横須賀に配備している米軍のシャイローというイージス艦、これだけになるわけであります。
これから整備をしていく中で、このC2BMCというものが大変重要になってくると思いますが、このシステム設計をいつまでに完成させようとされているのか。その点について、まずお伺いしたいと思います。
■久間国務大臣
たしか十六年度の予算からこれは始めたんだと思いますけれども、我が国が全部を完備しますのは二十三年度ですけれども、それをもう少し前倒しして二十二年末にはある程度のことは進めなきゃならないと思ってやっております。
とにかくその完成前には、すべて運用面まで含めてうまく機能しなきゃなりませんから、今回の2プラス2でも、こういった情報をどういうようなスケジュールで、どういうふうにお互いが持ち合ってまた運用していくか、こういうことについても、やはりロードマップをつくってやっていかなきゃいかぬ。これはもちろん、BMDについてだけじゃなくて、ほかの面も含めてですけれども、そんなことを言っているわけであります。
今言うように、我が国が急げば急ぐほど、早目に完備しなければならない、そう思っているところで、今、いつまでということをちょっと私の方から言いにくい状況で、できるだけ早く、我が国にPAC3、SM3を配備するテンポに合わせてこれも完備したい、そう思っているところであります。
■前原誠司
その際に、前提として大事になってくるのは、三自衛隊の統合というか、情報交流が自動的に円滑に行われるということが大事なんだろうと思います。
海上自衛隊においては、米海軍とかなり密接に連携をして、ネービー・ツー・ネービーで情報がリアルタイムに流れるということもやっている。しかし、アメリカと日本のネービー・ツー・ネービーではうまくいっていても、では、海上自衛隊と陸上自衛隊あるいは航空自衛隊、この三自衛隊、特にミサイル防衛になれば、先ほど申し上げたように、すべてのアセットを投入して七、八分で飛んでいるものを撃ち落とさなきゃいけないということになるわけですね。
ということになれば、その情報がアメリカの情報であろうが日本の情報であろうが、あるいは撃ち上げるのがアメリカのイージス艦であろうが日本のイージス艦であろうが、とにかくたたき落とす、迎撃をする、これが最終の目的でございまして、どちらがどうなんということを言っていられない。
ただ、そのときに、自衛隊の中の情報交換というものが果たして、ちょっと特異な言い方になるかもしれませんが、同じ言語で、共通言語でやりとりされているのかという問題点があるわけでありますが、この陸海空のいわゆる情報交換においてそごはあるという認識を私は持っております。しかしこれは、共通言語が使われるようにしなくてはいけないと私は思っておりますけれども、その点について、大臣の現状認識、取り組みをお教えいただきたいと思います。
■久間国務大臣
今の時点ですべてうまくいっているかどうか私も自信がございませんが、やはり、部隊の統合運用という形で統合幕僚長を置いてやっとスタートしたばかりでございますけれども、我が国の場合は比較的早くそういう運用は可能になってきていると思いますので、現時点で、何かそごがあるのかどうか、具体的なケースとしてまだ聞いておりませんけれども、これから先、その辺をもう少し詰めていこうと思います。
最近は大分変わってきているんじゃないかなと思います、特にそういう情報面での連絡等については。その辺は、もしあれだったら、現在の運用状況について事務方から答弁させます。
■前原誠司
今の状況について、結構です。とにかく、私の認識では、統合は確かに進んでいる、しかし、陸海空の共通言語というものはまだ確立をされていない。特に、時間を争う、一分一秒を争うミサイル防衛を前提とした場合においては、先ほど大臣がおっしゃったように、すべてのアセットがある程度整ってくる段階までには、まずは身内の情報交換というものが自由に行われるようにしなくてはいけないということで、御努力をいただきたいと思います。
それから、次に大事になってくるのは日米の情報交換ということであります。ここで私が若干気になったのは、これももし大臣が御存じなければ事務方で結構でございますけれども、ローレス国防副次官が言っていたのは、これは私の認識と違ったんですけれども、早期警戒衛星、熱感知の高高度の警戒衛星、これはアメリカしか持っていません。この情報と、あとは青森県の車力に置いてあるXバンドレーダー、これの情報は今でもリアルタイムに日本に流している、こういう言い方をしていました。本当かと言ったら、確認をしてそうだというふうに言っていましたけれども、私が制服の方から聞いたら、そうではありません、こういう答えでありました。つまりは、リアルタイムでは来ていないということであります。
アメリカは高高度の静止衛星の情報あるいはXバンドレーダーの情報はリアルタイムで流していると言っているけれども、制服の方から話を伺ったら、それはできていないということでありましたけれども、実際はどうなのか。
そして、このことについては、やはり私は、繰り返し申し上げますけれども、飛んできたら七、八分で落とさなきゃいけないということになれば、これは、アメリカとの一体化というものがいいのか悪いのかという、イデオロギー的ないろいろな、賛否両論があると思いますけれども、事ミサイル防衛について言えば、これはもう一体化していかざるを得ない。それでなければミサイル防衛を導入した意味は私はないというふうに思っているわけです。ここはしっかりと腹を決めて、日米間の情報交流の一体化は進めていかなきゃいけないというのが私の考えです。
そのときに、今申し上げた早期警戒衛星あるいはXバンドレーダーの情報が、本当に役に立つ形でリアルタイムに流されているのかどうなのか、その点について、大臣、お答えをいただきたいと思います。
■久間国務大臣
アメリカとの情報交換については、こちらのこういうのを欲しい、こちらもこういうのを欲しいと、お互いがギブ・アンド・テークのいろいろな関係もございまして、微妙なところがございます。
今言われました中で、Xバンドレーダーについては、車力のものですね、これはもらっておりますけれども、衛星のものについてはリアルタイムでこちらに来ているわけじゃないわけでして、そのためにはこちらの条件を何とかという話もいろいろありますので、やはりこれから先、完全とまではいきませんけれども、お互いできるだけ手のうちを交換しながら対処できるようにしていかなきゃならない。
そのときのボトルネックになるようなことのないようにはしようと思っておりますが、やはり自分のところの情報は、それぞれができるだけ高く相手側に見せたいというのは、これはわからぬでもないわけでございますから、いろいろな問題がやはりあるんだろうと思いますけれども、現在、今言われたとおりではないということであります。
■前原誠司
今大臣がお答えをされたように、アメリカ側からすれば、欲しいのは日本の防空情報、バッジの情報なんだろうと思いますね。しかし、ミサイル防衛を、撃ち落とすということになれば、先ほど申し上げたように、高高度の静止衛星あるいはXバンドレーダーのみならず、さまざまなセンサー、目でとらえたものについての情報が、リアルタイムといって、それはやはり映像で流れてこないと意味がないわけであります。
そういったやはり双方向の、どこでギブ・アンド・テークするかということは、極めて、戦術性なのか戦略性なのかわかりませんが、交渉の余地もあることだと思いますけれども、そういったものについては、先ほど高高度の静止衛星の情報はリアルタイムには来ていませんということでありましたので、あれが熱感知で一番早いわけですね、雷も反応するという話ですから、そのより分けというのは大事だと思いますけれども、そういう意味では、ぜひ、アメリカの持っている情報をしっかりと入手し、そして我々の持っている情報も、どれだけ出すかというのは交渉事の中でしっかりと、何度も申し上げますけれども、七、八分で飛んでくるものを遺漏なきように撃ち落とせるものにしなきゃいけない。
そのときに、例えばイージス艦、これはアメリカのもの、日本のもの、どちらのものになるかわかりませんけれども、撃てという指令をするわけですね。これは当然ながら、法律ではもう、自衛隊法の八十二条の中で改正をして、事前閣議決定をして、そして時間のないときには現場の指揮官がということになっているわけでありますけれども、これはアメリカが得た情報で撃つ場合もあり得るわけですね。
つまりは、一体的に統合的に運用されるということになれば、日本のアセット、つまりは、日本のイージス艦がアメリカの指揮官、今度府中の航空総隊司令部を横田に持っていってまた共同でやっていくということになるわけでありますが、アメリカの指揮官の命令で日本のいわゆるSM3を撃つあるいはPAC3を撃つということは、私はあり得ると思うんですね。また逆もあり得ると私は思うわけです。
つまりは、日本の司令官がアメリカのイージス艦に対して撃てと、私は、逆に言えばそこまで一体化しないと七、八分というのは無理。あるいは、向こうはデコイも含めて、おとりも含めて撃ってくるかもしれない。しかも、撃ってくるときには何十発も撃ってくる可能性があるということになれば、どれが核弾頭なのか、どれがおとりでないのか、あるいはどこを捨ててどれを集中してたたくのかということは、相当戦術的な瞬時の判断をしなきゃいけないということになれば、先ほど申し上げたように、アメリカの指揮官が自衛隊に対して撃てという、そして日本の指揮官が、自衛隊の指揮官がアメリカの部隊に対して撃てということはあって当たり前なんだろうと思うんですね。それは統合運用を突き詰めていけばそういうこともあり得る、そういう認識を持っておられますか。
〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕
■久間国務大臣
そういう認識自体は持っております。しかしながら、それは撃てということじゃなくて、撃つべきだという指令であって、撃つか撃たないかの決定はこちらにやはりゆだねられている。こちらの場合も向こうにゆだねられている。今の日米の関係では、そういうふうに双方が主体的に判断するという建前になっておりますから、現実には、そういうときの判断は瞬時にしてやらなきゃいかぬわけですから、それはそうかもしれませんが、観念的にはそれぞれが主体的にやはり判断するというような、そういう理解をしていいんじゃないかなと思っております。
■前原誠司
そういうお答えになるのかもしれません。つまりは、動詞が初めに来て、プリーズも何も入らないという命令から、クッド・ユー・プリーズかウッド・ユー・プリーズかわからないけれども、そういう言葉が一つ入って、ただ、今これはためにする議論で言っているんではなくて、両方のアセットをしっかりと活用していこうと思えば、どちらが命令するとかいうことではなくて、本当にそれは一体化していかなくてはいけないんだろうと思います。
そのときに、今おっしゃったことの前提で結構なんですが、今の日本の制度あるいは法的な問題点あるいは憲法上の問題点が生じると思われますか。
■久間国務大臣
私は現実には生じないと思っているんですよ。よく、二人が並んでおるときに、相手を先に攻撃してきたときはこちらは手を出さない、こっちを先に攻撃してきたら手を出す、そういうことが、果たして現実問題としてその場におったときにできるんだろうか、そういう問題がございます。
幸いにして、総理が今度、きょうですか、有識者会議等でいろいろな類型を挙げながら研究するということは非常にいいことだと思っておりまして、現実問題としては、私は、現地のそのときの、艦船が並んでいるときの例なんかの場合だったら即座に反撃をいたします、どっちなんということじゃなくて。とにかく自分たちの自衛権にかかわることだと判断しさえすればいいわけですからね。それはまたその判断がおくれたらもう存在がなくなるわけですから。だから、そういうことは現実的にはないんじゃないかなというふうに私自身は思っております。
■前原誠司
後でその四類型については若干議論をさせていただきます。
私自身も、集団的自衛権ではまずない。つまりは、これは日本に対してミサイルが飛んでくるときにどう撃つかということでありますので、アメリカの集団的自衛権の行使ではあっても日本の集団的自衛権の行使にはならないわけですね、日本に飛んでくるものですから。また、自衛権の行使までいかなくても、それは今までの国会の答弁で累次あったように、いわゆる正当防衛というか、警察の警察権で撃ち落とすんだと。こういう答弁が今までありましたけれども、それをやることについて私は問題は生じないんだろうと。ただ、そういったことも含めて、ぜひ議論はしておいていただきたいというふうに思います。
憲法上の問題はないかもしれませんが、ひょっとすれば法律上の問題はあるかもしれない。そこは、統合を進めていく上でしっかり議論していただきたいと思います。
その四類型の話に入る前に、もう一つだけミサイル防衛で伺っておきたいことがあります。
それは、今回、私もワシントンだけでしたけれども、超党派の同僚議員なんかは、その前にアラスカに行かれたり、あるいはコロラドのコロラドスプリングスというところに行かれたりということで、さまざまなミサイル迎撃サイトなんかを見られてきているわけであります。アメリカは、これは私は当たり前だと思うんですよ、批判をして言っているわけではありませんが、基本的に自国に対するミサイルをどう防衛するかということでミサイル防衛網を配備していっている。
ですから、嘉手納のPAC3も、これは米軍を守るためであって別に沖縄県を守るためではない、かなりはっきり申し上げると。シャイローも、これはできれば、日本に飛んでくるものについても、米軍基地に飛んでくるかもしれないし、あるいは、初めは目をつぶさなきゃいけないということで、アメリカのXバンドレーダー、車力のXバンドレーダーを撃ってくるかもしれないとか、そういうようなことも含めて、とにかく自分のものをまずは守って、付随的に日本を守れるんだったら守りましょうということで、一義的には自国をどう守るかということだと思うんです。
そう考えると、青森県の車力というところにXバンドレーダーをアメリカが置いているというのはよくわかるわけですね。北朝鮮の位置関係と車力の位置関係を見れば、まだ開発はされていないといっても、アメリカに到達する可能性が将来的にあるミサイルを一番見やすい位置が青森県の車力であるということであります。
そうなると、私が大臣に伺いたいのは、日本も、Xバンドレーダーのみならず、さまざまなレーダーを開発してこれから配備していくわけですね。いただいた資料を見ますと、FPS―3の改良型ですか、それからFPS―XX、こういったセンサーをいろいろなところに置いていくということでありますけれども、やはりXバンドレーダーというのは、初期段階から追尾することについて極めて高い能力を持っているということを考えたら、私がさせていただきたい質問は、このFPS―3改を設置していくということとFPS―XXのレーダーサイトを設置するだけで、果たして日本のミサイル防衛は、北朝鮮から想定されるミサイル防衛には十分なのか、あるいは、日本もやはり独自に、もう少し日本がしっかり見られるようなXバンドレーダーを、青森ではなくて、西というか南の方に持っていくということで必要なのかどうなのか、その認識はどういうふうに考えておられるでしょうか。
■久間国務大臣
私自身も、車力のものは少し北に偏っているので、九州なり、中国の山口でもいいですけれども、要するに、西の方にそういうのがないといかぬのじゃないかなと個人的には思いますけれども、事務方でどういう検討をしているのかまた聞いていただければ結構でございます。
いずれにせよ、やはり一つだけあったのでは、何かのときにふぐあいだってあるわけですから、やはりダブルチェックをしないと安心はできないわけでありますので、そういうようなことからも、やはり日本も独自に同じような能力を備えておく必要はあるんじゃないかなと思っております。
■前原誠司
予算との兼ね合いになってくると思います。それはもちろん、大臣が一番考えられるべき問題だと思いますけれども、今おっしゃったように、仮に北朝鮮が撃ってくるということになれば、まず目をねらってきたり、あるいは原発という重点施設をねらってきたり、あるいは大都市ということになって、順番、イージス艦も含めて、そういう可能性、危険性は私はあると思いますので、やはり複数持っておくということを、今御答弁されましたけれども、予算を全体の中でどう配分していくかということは、極めて高い政治的な判断はあろうかと思いますけれども、私も検討すべきだということを申し上げておきたいと思います。
さて、四類型の話、先ほど若干大臣がお話をされましたけれども、私は、四類型全部をきょうは議論するつもりはございません。ミサイル防衛に関してのみ、少しお話をしたいと思います。もっと突き詰めて言えば、この四類型の中で集団的自衛権なのは、ミサイル防衛ぐらいなんですね。ほかのは、これは集団的自衛権というよりも集団安全保障、あるいはマイナー自衛権の集団的自衛権版みたいな、そんなものですね。ですから、厳密に言えばミサイル防衛がこの集団的自衛権で、マスコミ報道はすべてが混同されているような、少し違和感を感ずるわけでありますけれども、私は、私が今から申し上げる考え方をどう思うかということを御答弁いただきたいと思います。
私は自分のホームページにも論文を載せたのでありますけれども、集団的自衛権は、何もアメリカを守るだけのことではない。つまりは、集団的自衛権の行使というものが日本自体を守ることにもつながるというふうに私は思っています。
具体的にどういうことかというと、北朝鮮が今は日本に届く運搬手段、ミサイルは持っている。しかし、アメリカに届くものまでは持っていない。しかし、恐らく開発するんでしょう。先ほどお話のあったムスダンも含めて、そういったことを開発してくるんだというふうに思います。
よく言われる核の傘の議論でありますけれども、言葉の上では、あるいは2プラス2でも、あるいは日米防衛首脳会議でも確認をされたことなのかもしれませんが、日本に対する攻撃、同盟国に対する攻撃はアメリカへの攻撃とみなして、もしそういう攻撃が行われれば、アメリカは日本を攻撃した国を攻撃するということは、言葉では言っていますけれども、実際にそういうことが起きた場合に、果たして集団的自衛権の行使を同盟国であるアメリカが行うかどうかというのは、一〇〇%うのみに考えるのは少しばかげているんではないかと私は思っています。
そのときに、どうやってアメリカを引っ張り出すかということを考えたときに、例えば、北朝鮮がアメリカまで届くミサイルを開発した、核弾頭が載っているかもしれない。そのときに、例えばシアトルやロサンゼルスのいわゆるアメリカ国民を犠牲にしてまで、日本に対してミサイル攻撃がされたので、同盟国であるからやらなきゃいけないというふうにアメリカの為政者が思うかどうかというのはいささか疑問なんです、繰り返し申し上げますが。
では、そのときに、残存能力が日本にあるということが大前提になりますけれども、北朝鮮がアメリカに対して撃つというものについては、日本はしっかりと集団的自衛権の行使もして撃ち落としますということを常日ごろ言っているということになれば、これは、私は核の傘がちゃんと穴があいていずに差す可能性というのは出てくると思うんですね。つまりは、その分、シアトルやロサンゼルスに核ミサイルが飛んでくる可能性というのは減るわけで、そうすると、日本に対しての攻撃をみずからのものとみなしてアメリカが報復をしてくれる可能性もふえる、一〇〇%じゃないですよ、ふえる可能性は出てくるんではないかと思うわけです。
そうなったときには、集団的自衛権の行使を行うということは、北朝鮮の日本に対するミサイル攻撃の抑止にもつながるし、そして、アメリカが核の傘を本当に差しかけてくれる可能性というのも出てくると私は思っています。
首をかしげておられますが、どうぞ、御意見をおっしゃってください。
〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕
■久間国務大臣
日本に対する攻撃をしないで先にアメリカに対して攻撃をするということが、一体今の先生のロジックでどう出てくるのか……(前原委員「いや、日本に対して攻撃をした後ですよ、先に……」と呼ぶ)いや、した後なら問題ないんです。した後だったら、それはもう共同対処ですから、集団的自衛権の話じゃないんですよ、防衛出動の延長線として日米安保条約に基づいて一緒に戦うような形ですから。
私が懸念しますのは、日本に対する攻撃はしないで先にアメリカに対してミサイル攻撃をするというような、そういうときに果たして現在の制度でどうかなという問題がまだ残っているわけですね。
しかし、それとても、そういうような、アメリカに対する攻撃をするような雰囲気のときというのは、もう日本が危険にさらされておる。そして、日本に対する攻撃をしたらアメリカが反撃をする、そういう前提に立ってアメリカに対する攻撃をするんだろうと。そうなってくると、これはアメリカの自衛権だけじゃなくて日本にとっても自衛権として抑えることだってできるんじゃないか、どっちが早かったか遅かったかだけの話じゃないかな、そういうような気にもなりますから。
だから、その与えられたシチュエーションがどういう状態かということを考えないと、単純に、アメリカに飛んでいくミサイルを日本で撃ち落とすのは集団的自衛権かどうかというような、そういうような形での議論というのは何か議論のための議論みたいになってしまうので、どういう状況下でそういうことがあり得るのかというようなことまで含めながら議論をしていかないといかぬのじゃないかなと思うわけであります。
そうしますと、今先生が言われました、核の傘で、日本側に攻撃したときにアメリカが反撃しないためには、まず核兵器でアメリカを攻撃しておいて、そしてショックを受けさせておいて、あとはもう日本をゆっくり攻撃すればいいというふうな、そういうケースしかないんじゃないかなと思います。
だから、私は、恐らく日本がそれを撃ち落とさなきゃならない状態のときはもっと日本は緊迫している状態だと思いますし、双方が一緒になっていろいろな情報を集めながら共同対処をしているような状況じゃないかなと思いますから、今の設定について、ここでどうだとなかなか言いにくいですね。
■前原誠司
いろいろなシミュレーションですから、どれが何%確率があるどうのこうのではありません。
ただ、今の答弁で気になったことが幾つかあります。一つは、日本に対して先に攻撃をする、そして、日本が例えば防衛出動を発令する、その後に北朝鮮が例えばアメリカに対してミサイルを撃って、それをインターセプトするのは、これは個別的自衛権ですか。集団的自衛権じゃないですか。
■久間国務大臣
私は個別的自衛権とか集団的自衛権という言葉自体が余り好きでないので、そういうのは憲法にも書いていないわけですから。
そういうときは、要するに、我が国の自衛権の発動として、我が国が武力攻撃されておって、それで我が国と同盟関係にあるアメリカに対する攻撃が始まったら、それはもう我が国も、援護してくれるアメリカがつぶれたら我が国が危ないんですから、それは我が国の自衛権発動の一道程として当然考えていいと思いますよ。
だから、それをあえて集団的自衛権、個別的自衛権という格好で区別しようとするからそこに問題があるので、我が国にとっての存在にかかわることであるならば、我が国は堂々とそれはやるべきだと思いますよ。
■前原誠司
いや、これは私、国会議員になって初めて聞く議論なんですよ。
個別的自衛権や集団的自衛権は、久間大臣がどういうお考えであろうが、今までは政府見解で分けてきたわけですよ。だから、分けてきたのは政府ですから、それをやはりしっかり使ってもらわなきゃいけないんですよ。(久間国務大臣「それはそうでしょう」と呼ぶ)そうでしょう。そういうふうなことを考えるならば、どっちなんだと聞いているわけですよ。
つまりは、日本がミサイル攻撃を受けた、そして個別的自衛権の発動を行うべく防衛出動の下令が下っている。しかし、明らかに日本ではなくてアメリカに向かって撃たれるミサイルを日本がインターセプトする。それは、同盟国であるアメリカがやられたら日本に対して支援してくれないから当然だというふうにおっしゃったけれども、ロジックは、当然だという論理はわかりますよ。わかるけれども、しかし、今までそれは憲法上許されるかどうかというところでいろいろな論争があってきたわけですよ。
もう一度、繰り返し聞きますけれども、防衛出動が下令をされた後にアメリカに対して北朝鮮がミサイルを撃つ、それをインターセプトすることは個別的自衛権なんですか、集団的自衛権なんですか。
■久間国務大臣
それはもう我が国に対する攻撃に対する延長線としての話ですから、それをあえて個別的自衛権と言えと言われれば、今までの政府の分け方で、政府はそういうことでの分け方はしていないと思いますけれども、個別的自衛権の延長だと思います、それは。
というのは、そういう言い方をしますと、我が国が武力攻撃を受けた、それでサンディエゴを艦船が出てきた、どこの国かわかりませんが、我が国に武力攻撃したところがそれをやっつけるとしたときに、たまたま我が国の艦船がその近くにおったら、それに対する反撃は、我が国がA国と防衛出動しておって、そしてアメリカがそれに対する応援を日本に対してしようとするときに、それに対して攻撃があった場合は、場所がアメリカ国内であったとしても、それは反撃できると思うんですよ。それは、先ほど言うような我が国が武力攻撃を受けている場合の状態だったら、私はそれは余りちゅうちょする必要はないと思います。
■前原誠司
そのアメリカに対する攻撃も、今大臣がおっしゃった、サンディエゴから日本を支援するための艦船に対して攻撃なのか、あるいはロサンゼルスとかシアトルとか大都市をねらったものなのかということはわからぬわけですよ、打ち上げたときには。だから、それはひっくるめて考えなきゃいけないわけですよ。だから、ひっくるめて考えても、今おっしゃった個別的自衛権の発動でそれはできるということでよろしいんですね。だってわからないわけですから、打ち上げたときに。
■久間国務大臣
我が国が武力攻撃を受けたときは、割と整理の仕方はしやすいと思います。
今までいろいろ言われているのは、我が国が武力攻撃を受けていないときに、どうせ武力攻撃したら後ろの方が、親玉が出てくるだろう、その親玉を先にたたけというような形でやるときにどうなのかという、そこのところが非常に問題になるわけでありまして、もう武力攻撃を受けてしまってからだったら、あらゆる手を尽くして日米が一体となって戦っているという状況に現在の安保条約だったらなっているわけでありますから、その場合は、区別なく、日本近海で双方が一緒になって戦っているのと全く同じ状態じゃないかなと私は理解します。
■前原誠司
あともう一つ気になった、先ほどの答弁で。これは認識の違い、見解の違いかもしれません。アメリカを先に撃っておいて後で日本に対して攻撃の方が可能性が高いのではないかということをおっしゃいましたね、久間大臣は。私は逆だと思います。これは別に、お互い可能性がゼロでも一〇〇でもないわけですから、それはそれでいい。
つまりは、久間大臣の想定であれば、それはアメリカは自分に対して攻撃を受けているわけですから、ぼこぼこ、どんなことがあっても北朝鮮に対して徹底的に攻撃して壊滅的な打撃を与えるという攻撃に出ると思うんですね。そうすると、アメリカと北朝鮮の軍事力の差は彼我のものがありますから、日本は後でゆっくり攻撃しようなんということに私はならないと思うんです。ですから、日本に対して攻撃が行われて、そしてその後、アメリカの攻撃を、核の傘を広げさせないために、要はおどしでやられる可能性がある、こういうふうに私は思っているわけです。
これについては別にゼロでも一〇〇でもないわけですからいいわけでありますけれども。
今のお話を伺っていると、ただアメリカが先か日本が先かによっては相当問題点が変わってくるわけですね。つまりは、先ほど大臣がまさにお答えになったように、こちらが先にやられていれば、後でアメリカに飛んでいくものも個別的自衛権で対処可能だ、でも、逆であれば、それはまだ日本に対する攻撃でないわけですから、日本はそのときは集団的自衛権ということにならざるを得ないと。
しかし、それをやることによってまた、久間先生の論に基づけば、それに基づいて日本を後で攻撃する場合において、そのときにアメリカが助けてくれることを考えれば、やはり日本としてはアメリカに対する攻撃をしっかりとインターセプトすることが日本の安全保障のプラスにつながると私は思うわけです。これについては同意されますか。
■久間国務大臣
私もそういうふうなことを考えますので、今、安倍総理が設けた有識者懇談会等で、そういうふうに、前後することによって、解釈上、片一方はできて片一方はできないような、そういう議論が本当にいいのかなという思いもありますので、いろいろな意見を出してもらって、その辺の整理がどういうふうに進むのか、非常に興味を持っているところであります。
今までのような解釈でやっておきますと、さっき言ったように、二つ並んでいるうち、自分でない方が先に攻撃されたら、それは反撃できないから逃げてしまう、逃げなさい、自分が先に攻撃されたら反撃する、その後に向こうがやられたときは一緒になってやればいい、そういうようなやり方でいいのかなという思いがあるから、今度はいい機会だから、ああいう類型を示しながら、いろいろな研究をしてもらうと、それによってまた一歩前進することになるんじゃないかな、そういう思いがしているわけであります。
■前原誠司
お考えは一緒です。
とにかく、法律の解釈論も確かに重要であります、法治国家ですから。重要でありますが、現実に起きた場合にどう効果的に対処できるのか。そして、そのことによって人命、財産あるいは日本の主権というものがしっかり守れるのかということで、私が質問したかった趣旨は、集団的自衛権の行使は、アメリカを助けることじゃないんだ、日本を助けることにつながるんだということの中での集団的自衛権の議論がしっかりされなきゃいけない。これは同意されますか。
■久間国務大臣
いずれにせよ、我が国が対応するのは我が国の自衛権ですから、アメリカの自衛権のために我が国が武力を行使するわけではないので、日本が今の憲法下でやれるのは、我が国の自衛権としての武力の行使は、必要最小限であればできる、要するに我が国の存亡にかかわることならば我が国はやれる、私自身はそう思っております。アメリカの自衛権のために我が国が行うんじゃなくて、我が国の自衛権。
だから、今の集団的自衛権という言葉の中にはどうも集団の自衛権かのような、そういうことを含んでいるおそれがありますので、私は非常に注意深く、集団的または個別的な自衛のための固有の権利を行使できると書いてあるわけですから、固有の権利というそこでとらえれば、そんなに難しいものではないんじゃないかと思っております。
■前原誠司
いろいろな政党、我が党の中にも、やはり集団的自衛権というのはだめだ、それはアメリカを守ることという、そういった、短絡的というか極めて思慮が浅い意見を言う人たちはいますよ。だけれども、今大臣がお答えになったように、自衛権というのは自分を守るためのものであって、それは個別も集団もないということをしっかり政治の責任として言い続けるということがやはり大事だと思いますので、大臣もいろいろなところでお話をされる機会があると思いますから、しっかりとお話しをいただいて、私も機会あるごとにこういった議論をしていきたい、自国のためであるということをしっかりと言っていきたいと思います。
時間がありませんが、もう一点だけ、PSIについてなんです。実は、北朝鮮が核実験をやったときに、このPSIの問題では、周辺事態に認定をして、そして船舶検査をやるかどうかということでありまして、裏返して言えば、船舶検査をやろうと思ったら周辺事態に認定しなきゃいけない、しかし、それはアメリカのみの後方支援しかできない、こういうことですよね。
でも、今までの流れというのは、別に北朝鮮の核問題のみならず、いわゆるこれだけグローバリゼーションが進んで、経済活動が物、人、金、どんどんどんどん地球規模で行われるようになってきて、だからこそ水際であるいは公海上で、しっかりとしたチェックをしながら、危険物質が拡散をしないために努力をしていくということはもう普遍の考えであると思うんですね。
そうなると、私は、今の日本のPSI法制というのは穴が多過ぎる。つまりは、今申し上げたように、周辺事態に認定をするとか、あるいは米軍だけしか支援ができないとか、他国と一緒にやることについてはできないとか、あるいは旗国の同意が必要だとか、そういった限界があって、極めて狭いんですね。やはりPSIについて、これからそれをやるかやらないかは主体的な判断になりますが、やはり新たなPSIに向けての法制というのが必要だと私は思いますが、その点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
■久間国務大臣
PSIの訓練等にも八十カ国近くが参加するようになってきたわけでありますし、そして、我が国としても、どれだけのことをやるべきかというようなことも決めながら、法制も今のままでいいのかどうか、これもやはりいろいろなそういう訓練等を通じながら研究していく時期に来たんじゃないかなと思っております。
本来は、我が国が国連に入ったときに、国連等が、これはPSIといいますか、そういう形で何かやらないかぬというときに、どこまでやることが必要かまた可能か、そういう法制を、本来だったら、国連に加盟したときに加盟国の一員の義務としてもそれは検討しておくべきだったんじゃないかなと私自身は思います。
そういう意味では、おくればせながら、これから先、そういうような法制についても研究していただくことは、これはもう与野党を超えて必要じゃないかなと思っております。
■前原誠司
海洋基本法もできました、そしてまた海の重要性というものは、今おっしゃったように、与野党関係なく共通認識を持っているものでありますので、我々もしっかり検討して提言をしていきたいと思いますが、政府としてはやはり一義的には責任を持って、そういった新たな法制に向けて努力をしていただくことをお願いいたしまして、終わります。
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