衆議院外務委員会
2007/05/09
■山口委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
■前原誠司
おはようございます。民主党の前原でございます。
それでは、きょうは、主に外務大臣にお答えをいただいて、質疑をさせていただきたいと思っております。また、FTAについては、山本副大臣がお越しでございますので、伺わせていただきたいというふうに思っております。
まず、大臣、ゴールデンウイーク、お疲れさまでございました。アメリカ・ワシントン、ロシア、それからエジプトのシャルムエルシェイク。ロシアは、寝ておられない、泊まっておられないんですね。非常に大変な日程をこなされての外遊、本当にお疲れさまでございました。
私も、お会いはしませんでしたけれども、同時期にワシントンにおりまして、幾つかのお話を伺ってまいりまして、2プラス2、また日米外相会談あるいは日米首脳会議、こういったものを中心に話を進めていきたいというふうに思っております。
今、日米で話し合うことというのは本当にたくさんのテーマがあります。一つはイラクの問題、北朝鮮の問題、それからミサイル防衛、米軍再編、環境・エネルギー、そしてまたF4後継機FXの話、また貿易協定をどうするかという話、あるいはアメリカは再来年が大統領選挙でありますので大統領選の話、そしてまた中国の話、こういういろいろなテーマがあるわけであります。
まず、大臣にお伺いをしたいのは、いわゆる従軍慰安婦問題。これは私は、アメリカに行く前にアメリカの知人を含めていろいろ話をしてまいりましたけれども、かなり日本と温度差があったような気がいたします。この外務委員会でも大臣とは議論をさせていただきましたけれども、間違った認識を持っていることについては正していかなくてはいけないということはそのとおりだというふうに思っております。
ただ、その従軍慰安婦の問題について、狭義の強制性あるいは広義の強制性を議論してもそれはアメリカには伝わっていない。むしろ、それを議論することが、日本はあの件について事実を否定するのか、あるいはエクスキューズに聞こえるというようなことでありますし、また、大臣もお気づきになったと思いますけれども、拉致問題に対して極めて日本に対してシンパシーを持っている人たちが、この問題については同様に極めて厳しい考え方を持っておられるということでございます。
下院でいわゆる従軍慰安婦の問題というものについて決議が出されるということでございますが、これに対してどういう見通しを持っておられるのか。また、日本政府としてあるいは外務大臣として、この日米関係、あるいはこれはさらにアジアとの関係に飛び火をしていく問題であると思いますので、現時点においてどのようにこれを収束させようと考えておられるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
■麻生国務大臣
安倍総理の今回の訪米に当たって、総理と大統領との会談の前に、安倍総理とアメリカ上下両院の重立ったところ、院内総務、また下院議長ペロシ等々、ペロシさんが司会というか議事進行を務められたという経緯になっておりますけれども、会談をしておられますが、総理としては、辛酸をなめられた慰安婦の方々に、人間としてまた総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて申しわけない気持ちでいっぱいである、二十世紀は人権侵害の多かった世紀であり、二十一世紀が人権侵害のないすばらしい世界になるよう日本として貢献をしていきたいということを言われ、ブッシュ大統領から、こうした対応は非常に誠意のあるものであった旨述べられたというのが、私はこの席に同席したわけではありませんけれども、これを情報としてちょうだいをし、その席に出ました院内総務等々から、その後、次の次の日だったかの夕食会で会って同様の話を得ております。
この話は、今、よく御存じのとおりで、いわゆる従軍という、そのいわゆるがついているところが非常に大事なところで、従軍ということになりますと、医者とか記者とかいうのと少し一緒になる傾向がありますので、いわゆる従軍された方々からよく批判の出るところでもあります。したがって、いわゆるという言葉がこの言葉についているんですが、では、これが英語になるかというとなかなか難しいところなんですが、そういった話もあります。
いずれにいたしましても、こういった述べられたという経緯がありますので、私どもは安易な予想を立てるわけにはいきませんけれども、それに出られた院内総務等々の話から、この問題に関してはこれ以上大きく燃え上がっていくというような雰囲気ではないというように理解をいたしております。
■前原誠司
安倍総理と上下両院の、院内総務含めて、重立った方々との会談を段取りしていただいたのがハワイ出身のダニエル・イノウエという上院議員でありまして、私もイノウエ上院議員とお会いをいたしまして、感謝を私からも申し上げました。
ただ、決議が出される、それが採択をされるかどうかというところの問題はありますし、また、もちろん説明を上下両院の重立った方々にするということは大事でありますけれども、だれに対して謝っているのかという批判もこれまた一方であります。
そういう意味では、やはり今後の政府としてのメッセージの発信のされ方というのは極めて重要でありますし、また、これが採択をされないような取り組みというのは、引き続き、もちろん騒いで採択するなという問題ではございませんけれども、これを鎮静化させるということ、それがやはり、第二、第三のこういった問題、また南京に関する映画がつくられるような話も聞いておりますし、そういう意味では、これをまずは鎮静化させることが日本の国益につながるというふうに私は思うわけであります。
今、外務大臣は、これは採択をされない、こういう見通しをおっしゃったように私は見受けましたけれども、そういう見通しを持っておられるということでよろしいんでしょうか。
■麻生国務大臣
前原先生もダニエル・イノウエに会われたというお話を伺って、ありがとうございました。私も、一日でしたか、ダニエル・イノウエという方と隣で飯を食っていろいろ話をさせていただきましたし、そのマイク・ホンダという本人にも会いました。
この問題が、今の段階で、否決になるとかどういったようなこと、見通しを申し上げるほど内容がよく見えているわけではありません。また、今後どういう方向になっていくかも見えませんが、この種の発言、年間大体八千から一万ぐらいこの種の決議が出されると思いますけれども、そういった中で、これが大きくクローズアップされていくというのは私どもとして望むところではありませんので、そういった話の中の一つとして、人様の議会の中に入ってやめろと言える立場にあるわけではありませんけれども、そういった努力は引き続きしていかねばならぬものだと思っております。
■前原誠司
引き続きその努力をしていただきたいと思いますし、何よりも、政府として、また責任あるお立場の総理とか外務大臣の発言というのが大切だと思いますので、ぜひその点には、今までも特に外務大臣は留意して発言をされてきたと思いますけれども、政府の中にはまだまだ強制性の狭義、広義にこだわっている人もおられるようでありますけれども、そういった問題についてしっかりと閣内で意思統一ができるように努力をしていただきたい、この点についてはこれだけにしておきたいと思います。
次に、北朝鮮の問題について、どういう議論がなされたかということも含めてお話をさせていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、米朝の直接協議の中で議論になりましたのが、いわゆるBDAの問題、金融制裁の問題でありました。これについては、私もいろいろな方とお会いをいたしましたけれども、アメリカ内部でも相当批判が強い問題であるという気が私はいたしました。つまりは、ヒル国務次官補の暴走ではないかとか、あるいは、結果として失敗をしたというような話が多々聞かれました。
もちろん、まずは核の廃絶に向けて動き出すということが大事なわけでございますけれども、金融制裁の問題はもともと六者協議の議題ではないんですよね。それが六者協議の議題にのって、振り回されて、そして結果的に何も初期段階の措置も動いていない、こういう状況についてどのように考えるかということが大事なのだと思っております。
まず、BDAが六者協議の俎上にのっているということと、そして初期段階の措置の見通しについて、簡単で結構でございますので、外務大臣、今の御見解をお聞かせいただければと思います。
■麻生国務大臣
BDAの対応につきましては、前原先生が言われましたとおり、もともとこれは六者協議の話題の対象ではありません。これはアメリカと北朝鮮との間の話、もしくはアメリカの財務省というか、国内法の主たる話であって、国際法上、何ら我々としてはかかわりあるところではない。
しかし、この問題で、約二千五百万ドルでしたかの金のことに関して北朝鮮が、銀行に凍結をされているということが現実である以上は六者協議には応じないという話を、前回の六者協議が開始される冒頭でこの話が出ましたものですから、そこでやむを得ず、アメリカと北朝鮮との間でこの話を別にやってもらうということにならざるを得なかった。その間、残りの四者は皆蚊帳の外みたいな形で事が推移したというのが経緯です。
その後、これはアメリカの国務省というより財務省の話なものですから、アメリカの財務省と国務省と北朝鮮ということになろうと思いますが、ちょっと他の二国の話ですので、こちらが直接かかわったわけではありませんので詳しくわかっているわけではありませんが、ニューヨークで会談を行っていろいろやったという経緯があります。
その内容がいま一つよく見えていませんが、いずれにしても、アメリカは、この二国間の問題で、国内法上いろいろ問題はあるけれども一応凍結された問題は解いたという形になって、アメリカの手を離れた。したがって、六者協議に応じてくる、初期段階を実施するという段階になっていた、残り四者としてはそのように理解をしていたんですが、凍結された後の金が北朝鮮に送金されることがないという話で、送金される手続までおれたちの責任じゃないというアメリカの言い分はまことにもっともなんですけれども、そのことに関してごたごたして、今日に至るまでその決着が出ていないということになっております。
この問題は結構長引いておりますので、アメリカ自身としても、何回となく数日間で終わるよという話はありましたし、今回も似たような話がありましたので、二週間前も同じようなことを言っておったけれどもだめだったじゃないかという話なので、そんな簡単な話じゃないんじゃないかという話は今回もありましたので、言ってはおります。ただ、今週中にとか、いろいろ答えは出ておりますので、確かにそういう問題のところまで来ているのかもしれませんけれども、向こう側の対応の仕方なものですから、アメリカとしては、甚だいらいらしているというところまで来ていると思われます。
初期段階というものは四月の十三日のはずですから、そういった意味ではもう一月近く既に延びておりますので、我々としては、このままずっとほたっておいたままさらにあと一月というような話かということに関しては、かなり意見の激しくなってきたところでありまして、ブッシュ大統領また安倍総理の間では、忍耐にも限度がある等々、いろいろな表現がアメリカ側から出始めている、大統領府の方から出てきておるというのと、交渉現場の国務省との間に温度差があるかなという感じがしないわけでもありません。
いずれにいたしましても、初期段階の実施ということをやらせるための前段としてこのBDAだったんですから、アメリカ側としては、一応解決したんだから次は初期段階というところに話を行かせるべく、今我々としても、ロシア、中国、いずれも同じ方向で圧力を強めつつあるという段階にあると思います。
〔委員長退席、山中委員長代理着席〕
■前原誠司
少し現状を端的に御説明いただきたいんですが、北朝鮮からすると、金融制裁は解除されていないと。つまりは、今回の経緯を見ていると、BDAというものをアメリカは取引禁止銀行に初めは指定をした。しかしながら、BDAから、さっきおっしゃった二千五百万ドル、五十一口座か五十二口座かわかりませんが、約五十口座については中国銀行にまず移すという話がなされていて、二、三日のうちに解決するんじゃないかということで、上海で六者協議で集まった人たちは待っていたわけですよね。だけれども、中国銀行がそれを受け入れないという話になってきて、そしてアメリカはどんどん妥協に妥協を重ねていったわけですね。
しかしながら、結果的には、中国銀行は上場している金融機関でもあり、私も今回、ネグロポンテという今度国務副長官になった方とお会いをしたときに、ネグロポンテ自身も言っていましたよ。つまりは、一部は不正な行為によって得られた金がいわゆるリザーブされている口座だ、こういうことをはっきり言っていましたよ。だから、そういうことをアメリカ自身も認定している。つまりは、覚せい剤あるいはにせ札、そういうもので得た不正なお金をため込んでいる口座があるということをアメリカが認定している。
だから、初めはBDAをアメリカは取引しちゃいかぬよということを言った。だけれども、その前提条件つきで中国銀行に移しなさいと。中国銀行は、不正な金があるというのを認定していて受け入れろというのは何事だ、中国銀行の評価にかかわるということでそれを拒絶している、こういうことですね。
今私が知っている限りでは、ロシアの銀行に対して、その口座を移しかえて、アメリカは、ロシアの金融機関に対しては金融制裁を行わない、取引をしちゃいかぬよということも言わないというところで話をまとめようとしているという話を聞いたんですが、大臣、その現状についてお答えをいただきたいと思います。
■麻生国務大臣
これは、日本の銀行でどうだとか輸銀でやってくれないかとか、ありとあらゆるうわさも出ましたし、実際は来てないんですが、おまえのところも来たろうという話があったので、おれも調べてみたけれども来てないという話もしたことがあるんですが、ロシアの銀行にやってくれないかという話が行ったということまでは、そうらしいと。これは直接ラブロフに聞いたわけではありません。ありませんけれども、今のその段階のことに関しては、交渉中である等々のうわさが広まっていることは事実です。事実ですけれども、それが確実に、ロシア側に聞いても、そうだろうと言っても、事実であってもそうだと言うことはまずあの国はありませんから、そういった意味では、今の段階、うわさの段階以上、裏がとれているわけではありません。
ただ、いずれにしても、送金する手法がないと言うから、そんなものは現金で引きおろして運べばいいじゃないか、こうやって運んでいけばいいことじゃないか、何がそんなに問題なんだと言ったら、途中で盗まれると言うから、そこまで言われたら、とても話にならぬと言って、私どもの知ったこっちゃないと言って、それ以上話をしていないんですが、本当にそう言うそうです。
したがって、ちょっと幼稚過ぎるというか、初期段階のもっと前みたいな話で、とてもじゃないなという感じがしますけれども、事はそういった段階で、本当に、送金する手段としてというところ、二千五百万ドルという送金の手段がいろいろ今もめているのが一番大きな理由のように、私どももそこの点に関しては理解を同じにしていると存じます。
■前原誠司
先ほどからお話をしているように、六者協議のもともと議題になかった金融制裁の問題をいわゆる取引材料にしている。そして、それが結果的にうまくいっていない。そして、妥協に妥協を重ねて、不正なお金というものを認定しながらも、それについてはおとがめなしにしようとしている。しかし、その見返りであったはずの初期段階の措置がうまくいっていない。これは、完全に現段階においては失敗していますよね。
ですから、これは、もちろん日米の信頼関係とかアメリカが大事なパートナーというのはありますけれども、アメリカの中でもこれについてはすごい批判なんですよ。つまりは、ライス・ヒル路線というものについて、これは問題があったんじゃないかということですよね。
ですから、ここについてまずどういう評価を下すかということは私は大事なことだと思うんです。現時点では、これは失敗している、問題があったと私は思いますが、大臣、いかがですか。
■麻生国務大臣
このことに関しましては、もう何カ月も前から、アメリカ側の財務省、主にキミット以下のところだと思いますが、意見が全く対立をしたままで来ておる、今言われたアメリカの国内の中でいえばそういうことになっておる、事実だと思いますね。
私どもとしては、少なくともこの話は、初期段階に行くための手段として、ある程度やむを得ずアメリカが妥協したんだったら、初期段階に行かなきゃもともと意味がないじゃないかという話をしていますので、向こうとしては、初期段階に本当に移行していく意向があるのか、それとも、単なるこれを使って引き延ばしをしているのか、よく私どもとして見えていないというところだと思っています。
したがって、何らかの形で、何々銀行を使って最初に向こうに送金が行われた後、本当に初期段階の実施に移してくるだろうかということに関してまた疑問がわいてきているというのが正直なところでありますので、ちょっとこの種の話は、前原さん、結果が出ませんと何とも言えませんけれども、この金が実際に移転した後の北朝鮮側の態度が何ら変化がないというのであれば、この政策は失敗だったと言わざるを得ないと思っております。
ただ、実際、それによって動いてくれば、これはまた一つのそれなりの評価ということになろうと思いますので、成功とも失敗とも、今の段階でちょっと正確に申し上げる段階にはないと存じます。
■前原誠司
日米外相会談でも、先ほど日米首脳会談のお話を大臣自身が引用されておりましたけれども、忍耐は無限ではない、したがって、必要であれば圧力を強化という認識を共有したということは日米外相会談でも確認をされたことだというふうに思います。もちろん、どの時点でというのはなかなかそれは今言える話ではないというふうに思いますけれども、およそどういうような状況の中で、どういう時点で、そしてまた、必要であれば圧力を強化する、つまりは、制裁をまた加えるということでありますが、具体的に圧力を強化する中身ですよね。
では、どういうものをその圧力の中身として考え得るのか。日米間でそういう忍耐の限度があるということになれば、そういうやはりオプション、選択肢を持っておかなきゃいけないわけでありまして、それがどういったものなのかということについてお答えをいただきたいと思います。
■麻生国務大臣
北朝鮮のいわゆる六者協議のための対応が今後どうなってくるかというところが一番の問題のところだと思いますが、少なくとも、金が送金されたという前提に立って、その後なおかつ全然反応が出されてこなかったということになった場合は、それは圧力のレベルを上げねばならぬということになろうと存じます。それはアメリカも多分双方一致しているところなんですが、私ども、大統領と総理との間の一致したところは、あめだけではなくてむちが必要になるかもしれぬということになっているんだというように御理解いただければいいと存じます。
では、どういう措置があるかということについては、私どもの担当というより、むしろ内閣府でいろいろやっておられると思っておりますので、ちょっとその手口等々を今言われるかどうかは別にいたしまして、万景峰の話やら何やら含めまして、いろいろ私たちから見て、日本独自でやりましたこの万景峰等々、出入国の禁止等々の措置はかなり効果が上がっていると思っております。それをさらにどうするかという話は、ちょっと今の段階で、どういう方法があるかいろいろ聞いてはいますけれども、これは内閣府の所管と御理解いただければと存じます。
■前原誠司
このBDAの問題が仮に解決しても、解決というのは送金がなされた、それで北朝鮮が初期段階の措置に移らなかったら、その段階においては考えなきゃいけないという御答弁だったと思います。
それについては納得をするわけでありますけれども、私の予想ですよ、あくまでも見方でありますが、何らかやってくるかもしれないけれども、金融制裁にここまでこだわるというのは何か。つまりは、日本円でいうと二十九億円ぐらいですよね、二千五百万ドルというのは。それだけのお金でこれだけ引っ張るということではないんだろう。恐らく、この関連で、相当程度の金融機関が北朝鮮関連の口座あるいは取引について慎重姿勢あるいは停止をするようなことをやっているのではないか。ですから、このBDAの問題が解決をしても、動き出さない可能性も高いと私は実は思っているんです。これは別にお答えは要りません。
圧力の強化ということも必要でありましょう。ただ、私は、それと同時に、やはり北朝鮮の最大の目的は何なのか。ここまで核を開発して、国民をいわゆる貧乏のどん底に追いやって、餓死する人もたくさんいる。しかし、先軍政治ということで、軍隊、そして警察力、そして核、ミサイル、こういったものにどんどんお金をつぎ込んでいく。これは、なぜ金正日がこういうことをするかというと、体制維持にほかならないと思うんですね。体制維持のためには、イラクのように、核を持っていないと、ミサイルを持っていないと、簡単にやられてしまう。したがって、やったらやり返すというような、ある意味での抑止効果というものをねらって、それが体制の維持にミサイルや核というものが使われているんだろう。それは別に北朝鮮の国民がどれだけ貧しくなったって、餓死しようが、そんなものは知らないということだと思うんですね。
そういうことであれば、逆手にとれば、体制維持というものを違う形で保証するというか、保証するという言い方は少し行き過ぎた言葉かもしれませんが、違った面で、外交的な努力の中でこういったものをやっていくということも、私はあっていいと思うんです。これは、各国がそれぞれでやると分断作戦なんかに利用されてだめだ。したがって、日中韓、この三カ国が協力をする中で、北朝鮮の経済にコミットメントをしていくという形をこれからつくっていくことも私は大事なのではないかと思うんですね。
やはり、日中韓が連携をするということの大事さ、これは、この間、外相会談、三人で会われて、私は非常によかったと思いますけれども、例えば今度はオーストラリアでAPECがございますよね。そういったところで、例えば、日中韓の三カ国の首脳が、別々ではなくて一緒に会談をして、北朝鮮問題について取り上げる。そして、具体的に、後でFTAの話をいたしますけれども、日中韓の経済協力、つまりは、EPAかFTAかはいいんですけれども、ASEANプラス3でお互いが何かASEANの分捕り合戦をやっているような状況になっていますね、FTA、EPAで。私は、それはばかげていると思っているわけです。
韓国とアメリカがFTAの妥結をした。今度は日本はどうするかという話になっている。そういう中で、やはり中国という巨大なマーケットも含めた、中国と日本と韓国の経済連携、FTA、こういったものを行う中で信頼関係を醸成していって、僕は北朝鮮に燃料の支援とか食糧の支援をやっていても焼け石に水だと思うし、それがどこに行っているかわからない、そういうことであれば、この三カ国が協力する中で、例えば経済特区を北朝鮮の中につくって経済の自立みたいなものを北朝鮮に働きかけるような、三カ国が真剣に、体制転覆ではなくて、いわゆる日中韓の経済協力の一環として、北朝鮮の例えば経済の立て直しに我々本気で力をかしますよと。つまりは、燃料を支援する、食糧を支援する、軍隊に行っていて一般の国民に行っていないかもしれない。しかし、経済がある程度立ち直るような、そういう窓口をつくれば、北朝鮮の対応の変化というのは出てくるんじゃないか。
これは私は突拍子もない話ではないと思っているわけですよ。実際問題、今北京大学とそれから中国の社会科学院の中で共同研究をされているテーマの一つでもあるんですね。そういうことを考えると、圧力、あるいは安全保障、ミサイル防衛、こういうことも必要です。しかしながら、それと同時に、やはり日中韓の連携の中で、北朝鮮に対するコミットメントを深めていく、そういう意味で。私は、そういった違うアプローチといったものも必要だと思いますが、まずは、そういうためには、やはり三カ国の首脳が信頼関係を構築する。ですから、APECなんかでそういう三カ国が会って、そして首脳会談をする。そして、日中韓のEPAやFTA、それから北朝鮮に対する経済面でのかかわり合い、具体的には例えば特区とか、そういうものを話をするということが重要なのではないかと私は思いますが、私の考えについていかが思われますか。
■麻生国務大臣
おっしゃるように、何となく、テロ支援国家等々、テロの温床と言われるもとのもとは、多分、宗教とかいうようなことに、宗派間の対立とかいろいろな話を中近東の話から皆されますけれども、そんな問題ではなくて、貧困と将来に対する絶望、その二つがやはりテロに走らせる大きな根幹になっているということは間違いないと思っております。
それは国家でも同じであって、北朝鮮という国家を見ました場合に、これはロシアも同じことを北朝鮮に言ったそうですけれども、少なくとも、日本とうまくやっていく以外に経済復興につながっていく方法はない、あなたの国にはないと。ロシアはやってくれぬのかといったら、八十億ドルだか何十億ドルだか忘れましたけれども、ロシアは、貸した金が全く返ってこない、それが返ってこない限りは、新たにやることはうちは法律としてできないといって、八割だか何かまけるといった話だけれども、そのまけ方が足らぬといって、八十億ドルで六十四億ドルぐらいの金をチャラにしてやるといったら、そんなものではとても足らぬというような話で、もう問題にならぬということになったと。これはBBCやらCNNでよくやっているニュースの一つですが。そういう話になったという状況から見て、これはかなり状況としては、経済状況は我々が外で思っているよりは深刻というのは、私も前原先生と同じです。
したがって、そこのところをどうするかというのを日中韓でやるということに関しましては、私ども、この間、エジプトのシャルムエルシェイクというところで、宋旻淳、今の韓国の外交部長と話したときに、近々、日中韓というのをどこかでやることになっている、六月初旬ぐらいでということ、ちょっと国会の日程のあれや何かがありますものですから、そこのときにやるというときにこの問題をという話は、既にいろいろな形でしております。
そのときに、やはり本当に向こうがそれをやるかよということに関する信頼関係の醸成が今ほぼ絶望的に、少なくとも日朝の間にありませんものですから、韓朝とか中朝の間でその種の信頼関係とかいわゆるクレジビリティー、信頼醸成というようなものがあるのかと言われると、何となくそこのところも、韓の方も余り、かつてほどないみたいですし、北の中に対する信頼というか何というのか、そういったものもかつてに比べて格段に落ちているような感じがしますので、そういうところが、三つで合わせたところで向こうの対応をちょっとはかってみないと何とも言えないとは思いますけれども、今言われた御提言というか御提案というのは傾聴に値するものだと存じます。
■前原誠司
私がなぜこういうことを言うかというと、北朝鮮が暴発をする、あるいは恐らく体調もそんなによくないと僕は思うんですよ、金正日は。ですから、後継指名をするしない、あるいは体調が悪くなってそういう独裁者がいなくなったときにどういう事態が起こり得るのか。私は、ミサイル、核というものが結びついて一番被害をこうむる可能性があるのは日本だと思っているわけですよ。ということは、この核の暴発、ミサイルを組み合わせたものが日本に飛んでこないためのリスクマネジメントは日本が率先してやらなきゃいけない。だから、ミサイル防衛も必要ですよ。だから、圧力もある程度必要かもしれない。
ただ、そういうことを考えたときに、やはり、私はさっき大臣がおっしゃったとおりだと思うんですよ。中朝間も昔ほどの関係ではない、むしろかなり冷え込んでいる。韓国も、もう大統領選挙前ですから、十二月に大統領選挙があるという中で、今のいわゆる盧武鉉路線というものが継承されるかどうかわからない。だから、逆にそういう時期に、私は日中韓の三カ国の信頼関係をつくって、マルクスが言った言葉で、私はこれは私の感覚的に当たっているのではないかと思いますけれども、やはり下部構造が上部構造を規定する、経済をしっかりと協力する中で、政治体制の違いとかを超えて、そして北朝鮮に対するコミットメントを深めていくということは私は極めて大事なことだというふうに思っておりまして、そういう意味での取り組みを私はぜひ進めていただきたいということをお願いしたいと思っております。
できるだけ日中韓の外相会談をどんどんやっていただいて、そして三カ国の首脳会談、一緒に集まるようなところがあればそれをやって、それを実績にして、ぜひそういうものを高めていただきたい、このように思っております。
ちょっと時間がなくなってまいりましたが、二つのことについて、山本経産副大臣、そしてきょうは宮崎内閣法制局長官にお越しをいただいておりますので、お二人に質問をさせていただきたいと思います。
ナイ・アーミテージ・レポート2というのが出されておりまして、山本副大臣もアメリカに行っておられたという話を私は聞いておりまして、いろいろな方とお話をされたというふうに思います。中身は私はかなり賛同するところが多いんですけれども、初めて見たときに、若干意外だった、驚いたのは、経済の協力について中心に書かれていて、特に日米のFTA、こういったものをしっかり進めていくべきだということ。
やはり経済の協力関係というものが安全保障や政治の安定にもつながっていくし、ここは結構シビアに書いてあって、日本はこれから人口減少社会、そして少子高齢化が進んでいく中で、しかも台頭する中国というものが隣にある。日本の価値を高めていくためには、やはり競争力にさらしていく中でさまざまなイノベーションを引き起こし、そして競争の中で発展の巡航速度を維持していくことが大事だということがこれには書かれている。
私はこれは基本的に賛成なんですが、米韓のFTAが交渉妥結をいたしました。先ほど日中韓ということもお話をしました。ASEANとも日本は話し合いがまとまったということでありますけれども、今回、日米首脳会談でFTAの話が取り上げられなかった。私は、このことについては少しがっかりいたしました。
日米FTAについて経済産業省としてはどう考えておられるのか、また、それは具体的なタイムスケジュールにのせていこうとしているのかどうなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
■山本(幸)副大臣
私も先生と同じように、ワシントンに同じころ行っておりました。そのときに、ちょうど米韓FTAの妥結ということがありまして、かなり話題を持っておりました。そして、私も御指摘のアーミテージ・レポートも読みまして、それで、これは一つの大きな課題だなというように思いまして、若干フライングぎみかもしれませんけれども、私はアメリカに参りまして各有識者と、自分としては日米FTA、EPAを積極的に進めるべきだという意見を開陳して、ぜひ研究を始めようということを申し上げてまいりました。
もともとEPAということについては、私どもの基本的なスタンスというのは、まず東アジア、これが一番日本を取り巻く生産ネットワークもできておりますので、ここを優先する、それで始めているわけですね。その中には、まずASEANプラス日本、そして、いずれ東アジア経済共同体を目指したASEANプラス6、これは中国も入っておりますし、インドも入ります、それを目指す。それから、安全保障上重要な資源産出国あるいは潜在的な貿易量の拡大余地のある人口大国ということが一つの基準になっておるわけでありますが、もちろんWTO交渉が最大優先事項であります。それについて全力を挙げていかなきゃなりませんが、同時に、やはり経済の結びつきから見れば、非常に強い、日米の間でしっかりとそうしたネットワークをつくるということは大事だと思っておりますので、そういう話を申し上げて、アメリカの有識者も、アーミテージさんももちろんでありますが、もはやそういう段階に来たと自分たちも思う。ただ、農業問題、いろいろあろうから、研究はとにかく早くやろうじゃないかという意見でありました。
これは今後とも、大臣とも、報告いたしまして、きょうの経済財政諮問会議でもそういう話になると思いますけれども、私どもとしては、積極的に進めていくように頑張ってまいりたいと思っております。
■前原誠司
経済財政諮問会議では、欧米とのFTAですか、進めていくという提言がなされるというふうに聞いておりますし、やはり安全保障と経済というのは表裏一体だと思います。やはり日本の唯一の同盟国であるアメリカ、そしてまた、ソ連崩壊後もなぜ日米同盟関係が必要なのかということになると、この日米安保体制、同盟関係というのを、この地域の安定のための公共財にしていく、安定のみならず繁栄のための公共財にしていくということになれば、合わせて四割を占める経済が、しっかりとそういう垣根をとって、そしてお互い発展する原動力になっていくということは私は大事だと思いますし、また、それが、先ほど申し上げたような北朝鮮に対する政策も含めて、大きな布石になっていくと思いますので、ぜひ、副大臣、おっしゃったような方向で御努力をいただければということをお願い申し上げたいと思います。
最後に、宮崎法制局長官、来ていただきましてありがとうございます。
日本版NSCが閣議決定をされました。その中で、私、幾つか懸念がありますが、きょうは一点だけ、内閣としての見解を伺っておきたいと思うわけであります。
NSCをつくる大きなメリットは一つ何かというと、安保会議というものを機能させる、充実させる、そして、メンバーで決めたことがすぐ政府の考え方として行動に移すことができるということが大事だと思うわけです。
例えば、アメリカのNSCあるいはイギリスなんかの閣議決定で、安全保障、外交の問題にかかわっていうと、閣議、つまり閣僚全員が集まらなくても、その担当者会議の閣僚会議で閣議決定になる。つまり、全会一致を原則としていないということがあるわけです。私は、そこは、極めてNSCを機能させるためには重要ではないかということを考えるわけであります。
ただ、憲法の第六十六条、「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」これが第六十六条の文言でありますけれども、それが結果的に、閣議決定というのは全会一致でなければならないという形になっているわけですね。
この六十六条からそうなっているのか、いや、別に六十六条は全会一致の閣議決定、これは別に慣習で来ただけであって、憲法上の要請ではないんだということなのか、その点は、法制局長官、いかがなんですか、内閣の見解としては。
■宮崎政府特別補佐人
お答え申し上げます。
今御指摘のように、憲法第六十六条三項は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」というふうに規定しておりまして、この意味につきましてこれまでどのように言われていたかと申しますれば、このような規定が特に明文で置かれていることから考えますと、内閣の構成員すべてが、一体となって統一的な行動をとることが要請されているんだろうということが一つ、まず中心的にございます。
それからまた、内閣におきましては、その首長たる内閣総理大臣が、憲法六十八条の規定によりまして、その構成員たる国務大臣の任免権を一身専属的に有しておりまして、内閣総理大臣は、みずからの方針に従わない国務大臣を任意に罷免できるということになっております。このことから、内閣は、通常の選出母体が別にあるといった、こういった会議体とは若干趣を異にする面がありまして、意思決定の最終段階まで意見の一致を見ない場合があることを正面から予定している組織ではないのではないかというふうに考えられる面もあるわけでございます。
このようなことから、閣議における全会一致の議決方法という考え方は、憲法六十六条三項の趣旨に最も合致するものだというふうに考えられるところでありまして、このことは、御案内のとおり、古く、昭和二十一年七月の制憲議会での金森担当大臣の答弁以来、歴代の総理、官房長官が一致して述べてきておられますし、また、そのように運用されてきているところでございます。
〔山中委員長代理退席、委員長着席〕
■前原誠司
時間が参りましたので、これで終わりにしたいと思いますが、一点、ちょっと統一見解、統一見解というか政府見解をもう一度整理していただきたいと思います。
つまりは、今、宮崎法制局長官からお話があったように、三項をもとにして、いわゆるそれが、内閣が行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負うということが、ひいては閣僚全員で責任を負わなきゃいけないという話になっている。
しかし、他方で、おっしゃったように、内閣総理大臣というのは閣僚の罷免権を持っているわけですね。そうすると、内閣総理大臣が最終的には国会に対して連帯責任を負う。任命権者は内閣総理大臣であって、そして罷免することもできる。ですから、閣議決定、全会一致でなければならないということについては、私はかなり疑問がございます。
慣行として行われていることで、後づけの理屈になったのかもしれませんが、もう一度、政府として、この第六十六条の三項がなぜ全会一致としているのかということについて、政府の見解をこの委員会にお出しいただきたいと思いますが、お取り計らいいただけますでしょうか。
■山口委員長
理事会で協議します。
■前原誠司
よろしくお願いします。
それでは終わります。ありがとうございました。
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