衆議院外務委員会 2006/12/13
■山口委員長
次に、前原誠司君。
■前原委員
民主党の前原です。
きょうは、中間選挙の後のアメリカの外交政策の変化、転換というものを、イラクそれからトランスフォーメーションを中心に議論させていただきたいというふうに思いますが、その前に、時間があったらまたロシアに戻りますが、ロシアの話を少しさせていただきたいというふうに思います。
ある新聞に、これは時評なんですが、安倍内閣発足直後の会見で、麻生外務大臣が、二島ではこっちがだめ、四島では向こうがだめ、間をとって三島返還というのは一つのアイデアとして考えられる、こういうお話をされたということであります。
これを直ちに私は批判をするつもりはありません。交渉事でありますので、どのぐらいの時間をかけるのか。ことしが日ソ共同宣言五十周年ということでございまして、スペインなんかは二百何年かけて領土問題を解決したという例もありますので、拙速にやって損したということ、タイムスパンをどれだけとるかということは大変重要な問題だというふうに思いますけれども、交渉事には、私はそれはアローアンスがあっていいと思うんです。
ただ、一つ私が気になりましたのは、例えば二島先行返還のときもそうだったのでありますが、果たして、そういう議論をされている方々というのは、島の大きさというものをちゃんとわかっておられるのかということなんですね。四島あって、半分は二島じゃないんです。
御存じであればお答えをいただきたいと思いますけれども、歯舞、色丹が四島のうち何%で、では三島、国後まで入れたら何%か、大臣、御存じですか。御存じなければいいですよ、私、お答えしますから。
■麻生国務大臣
御指摘は正しいと思いますが、半分にしようじゃないかといいますと、択捉島の二五%を残り三島にくっつけますと、ちょうど五〇、五〇ぐらいの比率になります。大体、アバウトそれぐらいの比率だと存じます。
■前原委員
二島が七%、歯舞、色丹で七%、国後を入れて三島で三六%。ですから、おっしゃるように一四%だから、択捉というのは六四%あるわけでして、すごく大きいんです。ですから、今まさに外務大臣がおっしゃったように、半々にしたとしても、択捉はある程度は入れなきゃいけないということで、そこは、三島という言い方をしてしまうと、自民党の議員さんで、モスクワで三島でいいんだなんておっしゃった方が、議長の息子さんでおられるようでありますけれども、これは私はよくない話だと思うんですね。
繰り返し申し上げますけれども、交渉事ですから、いろいろなアローアンスがあっていい。しかし、中国とロシアが国境線の画定をしたときに、お互い半々にしたんですよ、中ロは。だからそれに倣えということではありません。原則は四島でありますけれども、この問題を本当に解決するんだという意識があれば、今のことも含めて、三島と言い切ってはだめ。つまりは、仮に半分にまけたとしても、私はまけるつもりはありませんが、まけたとしても四島は入るんだというところの認識を持ってこの話はしておかなくてはいけないということであります。
その点、交渉されるのは外務大臣、当事者ですから、もう時間も三十分しかありませんので、公式見解はわかっています、それは当然あるとして、しかし、御自身の言葉で、では、臨むに当たって、今の私の指摘も含めてどういうふうに考えておられるのか、本音で答弁をいただきたいと思います。
■麻生国務大臣
御指摘のありましたとおりだと存じますが、基本的には、いわゆるこの話をこのままずっと二島だ、四島だ、ゼロだ、一だというので引っ張ったまま、かれこれ六十年来たわけですが、こういった状況をこのまま放置していくというのが双方にとっていいかといえば、これは何らかの形で解決する方法を考えるべきではないか。これはプライオリティーの一番です。
二番目は、そのときには双方が納得するような話でないといかぬのであって、今言われましたように、二島だ、三島だ、四島だという話になると、これはこっちが勝って、こっちが負けだという話みたいになって、双方ともなかなか合意が得られないといって、ダマンスキー、ダマンスキーというのは例の中国とロシアの間の島のことですが、あのダマンスキーのときも、いわゆるあれで話をつけたという例もあります。
確かに領土の話というのは、先ほどスペイン等の話も出されましたし、ほかにも、世の中いろいろ、世界じゅうありますので、そういうような国は、金で話をつけた例えばアラスカの例もあれば、またニューオーリンズの例もあれば、いろいろ例はいっぱいあります。
そういった例を引くにつけましても、この種の話をするときに、今言われたように、島の面積も考えないで二島だ、四島だ、三島だというような話の方が、私も全くそうだと思います。
したがって、半分だった場合というのを頭に入れておりましたので、択捉島の西半分というか、南のところはもらって初めてそれで半分よという話になるんだと存じます。幸いにして、右というか東方、北東の方に人口は集中しておりますので、そこらのところの人口比が圧倒的に多いというのも事実なんですが、いろいろな意味でこれは交渉事ですから、今いろいろ交渉していくに当たって、現実問題を踏まえた上で双方どうするかというところは、十分に腹に含んだ上で交渉に当たらねばならぬと思っております。
■前原委員
島の話だけしても、そういうことを言うと怒られる団体の方がおられるかもしれませんが、私は、まさに今大臣がおっしゃったところで一つ大事なことは、ロシアとの関係をどう考えていくのかというところで、こののどに刺さった魚の骨の問題、領土問題、入り口の問題といってもいいと思いますけれども、この問題をどう扱うかということをロシアとの関係の中でどうとらえていくかということが極めて大事です。
今大臣がお答えをされたように、ロシアとはかなり、後で時間があれば資源の問題等もさせていただきたいと思いますけれども、私は、周辺環境も含めて、日ロ関係というのは相当てこ入れをしなければいけない時期だと思っておりまして、そういう意味においては、もちろん、島の問題プラス、あるいはさまざまな協力関係というものもプラスして、この辺で政治がリーダーシップをとって、そろそろこののどに刺さった魚の骨というものを取る時期、また、それが政治のリーダーシップとしてやる時期、そしてまた、プーチン大統領というのはそういう求心力のある大統領だというふうに思っております。
こういう席で不謹慎かもしれませんが、エリツィンのときは惜しかったですよね。川奈に来たときに、もうちょっとウォッカを飲ませて、そして判をつかせればよかったなとこれは本気になって思ったことはありましたけれども、これができなかったわけで、今の相手はやはりプーチンでありまして、そして、先ほど申し上げたように、ロシアとの関係というものをこれからどう見ていくかということを考えたときには、私はこの問題を打開する時期に来ているというふうに思っておりまして、そういう意味でのリーダーシップを期待したいと思いますが、そのことも含めて御答弁をいただければと思います。
■麻生国務大臣
前原先生言われるように、いい時期に来ているというのは、私もそう思います。少なくとも、これはいわゆる事務レベルで話がつく話とは思いません。これは政治決着以外に方法はないと思っております。
ロシア側のプーチンという人は、これはどう考えても、かなりの力、圧倒的な力と言ってもいいぐらいのものを今ロシアの中で持った、私ども外から見ていてそう思っております。したがって、この人のいる間に話の決着を試みるべき。少なくとも、過去、小泉内閣のときに多分六、七回、小泉・プーチン会談というのがあったんですが、この問題に関しては、この人はかなり詳しく熟知している人ですし、私も一、二度同席したことがありますけれども、四島に関する知識、領土問題に関する知識はかなり深い、これまでの問題もばっと全部言えるぐらい詳しい。その上で、解決しようという意欲があることは確かです。したがって、何らかの形で解決する方法の時期としてはいい時期に来ているのではないかという御指摘は、私もそのように思います。
したがって、ラブロフ外務大臣との間でも、この問題については、少なくともいきなり大将同士ではいというような話じゃないんだから、もうちょっと高級事務レベル、課長じゃなくてもっと次官とか大臣とかいうレベルに上げてこの話をしないと、いわゆる両方でこれまでのずっと長い間の歴史を言い合ったってこれはもう話にならぬからという話をして、少しその種の感触を得つつあるとは思っておりますけれども、少なくとも向こうも解決をせねばならぬかなという意識になってきていることは確かです。
残念なことは、残念と言ってはいかがなものかと思いますが、今まではちょっと貧しかったものですから、これは、そこに全然行政、インフラができなかったのが、このところ石油で大分潤ったものですから、いろいろ警戒艇のレベルが上がりましたり、いわゆる海上警護艇の船のレベルが上がったり、いろいろインフラが少しよくなってきていますので、少し雰囲気的には、東の人たちの、あの辺にいた人の雰囲気がちょっとまた戻ったかなという感じがしないでもありません。
いずれにいたしましても、プーチン自身にこの問題は解決したい、せねばならぬという意欲というものは、私自身もそう思いますので、時期としてはいい時期になりつつあるのではないかという御指摘は正しいと存じます。
■前原委員
周辺環境のパワーバランスも含めて、ぜひリーダーシップを発揮していただきたい、こういう問題については党派は関係ありませんので、しっかり頑張っていただきたいというふうに思います。
さて、きょうの本題でありますけれども、アメリカで中間選挙が十一月に、先月でありますが行われまして、上下両院で共和党が負けて民主党が勝つ、こういうことになりました。ラムズフェルド国防長官が更迭をされて、ゲーツさんという方が新たに指名をされる、こういうことでありました。
簡単に一言でお答えいただきたいと思いますが、この中間選挙で共和党が敗北した最大の理由は何だったのか、外務大臣の分析を聞かせていただきたいと思います。
■麻生国務大臣
自分の国の選挙を、勝った負けたときの分析もなかなか難しいのに、人様の国の選挙の分析まで、なかなか一言で言うのは、ちょっと前原先生、かなり難しいとは思いますけれども、そうですね、厭戦気分かなという感じがしないでもありません。重ねてお断りしておきますが、これは私の個人的な分析ですから。
■前原委員
これは、アメリカの各種世論調査でも、まさに今大臣がおっしゃったように、イラク戦争、これがもう最大の理由だというふうに思います。
これから申し上げるところで、一つ一つこれも簡潔にお答えをいただきたいと思うわけでありますが、十一月の下旬から、アメリカのメディアのイラク戦争に対するワーディングが変わってきたんですね。内戦という、南北戦争を経験したアメリカでは余り使いたくないようなシビルウオーという言葉を、例えばNBC、三大ネットワークの一つでありますが、使い出している。あるいはニューヨーク・タイムズも、十一月二十八日からはそういったシビルウオーという言葉を使い始めている、こういうことであります。
十二月の一日には、ライス国務長官が中東の衛星テレビ、アルアラビーヤのインタビューに答えて、イラク政策でアメリカは確かに誤りを犯したということを明確に言っているわけであります。
二つ簡潔にお答えをいただきたいんですが、内戦だと思われるか、そして、ライス国務長官自身がアメリカのイラク政策に誤りがあったということを率直に認めている中でどう思われるか、アメリカのイラク政策について誤りがあったと思われるかどうか。この二点、お答えをいただきたいと思います。
■麻生国務大臣
今の御質問で難しいのは、内乱と内戦の定義というのはなかなか難しいところだと思いますので、シビルウオーになっているのかどうかというのは、単なるターモイルなのかといえば、激しさからいったらシビルウオーに近くなりつつあるから多分そういった言葉になっているんだと思いますが、内戦と内乱の定義というのはなかなか難しいので、ちょっと今一概にお答えすることはできません。
それから今、ライス長官の話で誤りがあったという話が出ておりましたけれども、この件に関しては、日本としては、これはイラクの人道復興支援というものが日本の立場でありますので、このイラクの国内において、国連がいろいろ治安状況の復活やら何やらに頑張っておるところでもありますし、事実、あそこでは十三万人だった治安部隊というのを三十三万人まで今一生懸命ふやしている、特にバクダッド周辺では。
幸いにして北の方では、北の方というのはクルド地域においては、この間、NHKだったと思いますが、BSだったかで放送しておりましたけれども、クルド地域においては治安は極めて安定しておって、戦争、どこの話みたいな話がいっぱい出てくる。だから、地域によってかなり差があるというのは、テレビを見ていて私も、私はバグダッドしか行ったことありませんので北の方はよくわかりません。しかし、少なくとも、そういった状況になりつつあるというところを見ておりますので、治安部隊が三十二万三千まで、昨年の一月から比べて約一年間で二十万人近く増強もされておりますので、そういったものが効果が出てくることになればなというのが率直なところです。
■前原委員
大臣、私の質問にお答えになっていただいていないんですが、日本がどういう活動をしたとか、今の状況を聞いているんじゃないんですね。
ライス国務長官自身がイラク政策について誤りがあったと認めているわけです。支持を表明した日本の外務大臣として、この発言について、誤りがあったと思うかどうか、誤りがあったとしたらどこなのか、そういう分析というのは必要だと思うんですよ。それが私は支援をした国の一つの、当然ながら行うべき分析だと思うんですね。その点を伺っているわけです。
■麻生国務大臣
今、イラク戦争のことに関していろいろ御意見があっておりましたけれども、誤りがあったというのに関して、戦争を始めたことについて誤りがあったのか、オペレーションに誤りがあったのか、その後、戦争が終わった後の治安に誤りがあったのか、いろいろな考え方があろうと存じます。
イラクにおいては、フセインという独裁国家の中にあって、その使用された、大量殺りく兵器というものを使って、少なくとも北部において、クルド人に対して使われたということは事実ですから、その事実を素直に認めることはなく、最後まで国連のたび重なる勧告に従わず、それらの大量殺りく兵器というものを完全にIAEAに見せることも途中からは拒否というようなところがそもそものいきさつですから、そういったところの話を国連はずっと決議案としてやってきておりますので、それに基づいて、自分たちはそういうことをやっていないというのを説明する責任は向こう側にあるということははっきりしておると思っております。
それに基づいて、国連の決議に基づいて出たというのがそもそものいきさつですから、私どもとしては、その国連決議に従ってやられたというように理解をいたしておりますので、その国連の決議に我々は従ったんだというように理解をして、私どもはそう思っております。基本的な考え方としてはそういうことです。
■前原委員
私の質問に答えていただきたい。
先ほど御自身がおっしゃったように、開戦に至ったいきさつ、あるいは軍事の展開も含めた、数がどうだったのか、規模がどうだったのか、あるいはいろいろな国が参加することの条件がどうだったのかということもあるでしょう。そしてまた治安状況の問題もあるでしょう。それはもう大臣がおっしゃったとおりですよ。
私は別に、何で日本が支持したかというエクスキューズを聞いているんじゃないんです。私が聞いているのは、アメリカのライス国務長官が、イラク政策に誤りがあったということを率直に認めたわけですよ。大量破壊兵器がなかったということは以前に認めていましたけれども、誤りがあったと認めていて、日本の外務大臣としてそれは誤りがあったと考えるかどうか。そして、誤りがあったとすればどこが誤りだと考えるのか。
だから、別に日本の自己弁護をしてくれと言っているんじゃないんですよ。私は、そういう客観的なところを日本の外務大臣として、だって、自衛隊を出したんでしょう、金も出したんでしょう。それは誤りがあったとアメリカの国務長官が言うんだったら、日本の外務大臣として、それに対して論評をする、分析をする、評価をするということが必要じゃないですか。
■麻生国務大臣
少なくとも、今ライス国務長官が、イラク戦争について誤りがあったというのがどういうコンテクスト、内容で言われたかということについては、私どもも承知しているところではありません。それが……(発言する者あり)
■山口委員長
答弁中、静かにお願いします。
■麻生国務大臣
いろいろ、場外質問に対して無視してよろしいんだと思いますので。そこで、きちんと答弁をさせていただきますので……(発言する者あり)やかましいなとこういうところで言うとまた問題になるので、正直申し上げて、ライス国務長官のコンテクストの内容がわからないので何とも言えない、それが一点です。
それから、ISG、イラク・スタディー・グループのいわゆる答申みたいなものが出ていますけれども、その中の具体的な見直し作業を進めているという段階になって、今この段階においてコメントをというような段階にまだないというように存じております。
■前原委員
私も断片的なものでありますが、ただ、米国がイラクで誤りを犯したかと聞かれれば、確かに犯した、別のやり方ができた分野があるのは間違いないという言い方をしている。そして、その誤りには具体的には言及しない、しかしこれからが大事だということを言っている。
私は、ここで議論すると、時間もないし、水かけ論になるかもしれませんので、ぜひライスのその発言の内容をしっかりととらまえていただいて、先ほどの、大臣が御答弁をされたいわゆる超党派のイラク研究グループの報告書というのは、これはそれに影響を与えるものではないですよ。つまりは、ライスは、自分が国務長官としてこれにかかわって、今申し上げたように、別のやり方ができた分野があるのは間違いないという言い方をしているわけですね。
ですから、そういうことも含めて私は、やはり人も出し、自衛隊も出し、多額のお金を使って、しかもこれだけ泥沼になって、今からまた議論をいたしますけれども、泥沼になっている状況に加担をした、あるいはそれに賛成をした日本としては、誤りがあったと当事者のアメリカが認めている以上、それについて日本としてしっかりとやはり政府の見解をまとめるのが大事だと私は思いますよ、検証していく上で。
これは、委員長、政府の統一見解というか、このライス国務長官の話を受けて、政府としてはどこに誤りがあったと考えるのかというようなことをしっかりと国会に提示をしていただきたいと私は思います。
■山口委員長
後日協議させていただきます。
■前原委員
ぜひ、麻生大臣、これは真摯に、先ほど申し上げたように、やはりイラクの問題というのはこれから本当にますます抜き差しならない大変なことになっていくと思います。
クルドが大丈夫だから、別世界でという話ですけれども、バグダッド周辺、真ん中の辺やスンニの地域というのは本当にもう毎日百人以上の人が死んでいるときもある。米兵も累積で二千九百名以上の方がもう亡くなっていて、そして、今まさに大臣がおっしゃったように、アメリカではイラク研究の超党派のグループが報告書を出している、こういうことですよね。つまりは、このイラクの状況は改善し得るのかどうなのかということを考えたときには、まさに私は暗たんたる気分になるわけですね。
ここは私が繰り返す必要もありませんけれども、先ほど三十三万人とおっしゃいましたけれども、現在、もうイタリアとかが撤退して、現在の部隊数は約十七万人、最高のときが三十三万人ぐらいで今十七万人ぐらいに減っております。もちろんイラクの治安部隊に移譲しているというところもありますけれども。
このいわゆる研究グループの提言というのは、二〇〇八年三月までにイラク駐留米軍の戦闘部隊を撤退させる。これは、今大体十四万人駐留していて、その半分ですから七万人ぐらい、これを撤退させる。そして、プラス、先ほど同僚の長島議員からも話がありましたけれども、イラン、シリアの直接対話の必要性を訴えかけている。ほかにいろいろな細かなことがありますけれども。
果たして、では、兵を引き揚げて、この間のマリキ首相との、あれはアンマンでのアメリカとの首脳会談においても、結局は観念論的なことしか合意できなかった。
つまりは、イラク政府のいわゆる機能強化が必要であるということはマリキ自身が一番わかっていてそれができない。いろいろなところに目配りして大変な状況であるということ。
それから、イラクにどんどん、イラクの治安部隊を強くしていかなきゃいけない。これも総論としてわかっているけれども、しかし、治安部隊を強力にしていっても、実態は宗派ごとのスパイみたいな形で、どちらを向いているかわからない。イラク全体について仕事をしているというよりは、宗派を向いて、いわゆるシーア、スンニとか、あるいはクルドというのは部族ですけれども、その方を向いて仕事をしていて、では、増強したら本当に統治できるのかという状況じゃないわけですよね。つまりは、ここまで至って、しかも撤退という話になっている、こういうことであります。
それで、私が質問させていただきたいのは、日本も自衛隊を出した、今でも二百名でしたか、航空自衛隊を出している。こういう状況の中で、果たして、泥沼だからしようがないねという、見過ごすのも一つの考え方かもしれない。しかし、これを放置しないで、どうやったら解決できるのかという処方せんを日本なりにしっかりと提言していくということも大事だというふうに思います。
この超党派の提言も受けて、日本の外務大臣としてイラクの状況をどう見ておられて、そしてまた、どうすることが、ナローパスかもしれないけれども、何とか一縷の望みというか、光明を見出すように日本もできるんじゃないか。その点、どういうふうに今お考えでしょうか。
■麻生国務大臣
先ほどのあれですけれども、基本的にはアメリカ政府もこれは問題として思っているから、いわゆる見直しが必要なのではないかと思っているからイラク・スタディー・グループの話になった、まずこの背景はそれが基本だと思っております。
したがって、この内容について、内容というかこれからのアメリカの行動については日本としても当然注視をしなきゃならぬし、この間についての双方の意見交換というものはさらに密にしていかねばならぬところだと思っております。
それから、今どうすれば成るかということに関しては、少なくともアメリカ人の顔が見えなくなるようにするのは大事だということははっきりしていると思っております。少なくとも、何となくアングロサクソンとかそういったのではないのでないと、なかなかあの地域の歴史的な問題からいっても難しい。これはいろいろな識者も言われているとおりだろうと存じます。なかんずく、アメリカというもののイメージがぐあい悪い。少なくとも現地の人たちに、イラク人の警察、イラク人の軍隊、そういったものに変えていかない限りは、治安という点に関して言わせていただければ、なかなか難しいのではないか。
少なくとも、その言をとって先ほど言われましたけれども、イラク人の治安部隊が今三十三万人、確かに数字が似ていますので、イタリアも何も引いておりますので、そっちの数も減っているんですが、イラク人の治安部隊の数が十二万から三十三万五千までふえたというところであります。
そういうような状況でもありますので、その方向には沿っているんだと思いますけれども、先ほども言われましたとおり、マリキという総理大臣が言うように、少なくともそれでも足りない、はっきりしているんだと思います。
加えて、そこに宗教戦争が入ってきて、スンニ、シーアと。これはいろいろな人に聞くんですけれども、あなたは顔を見て、この人はスンニ派、シーア派とわかるんですかと四、五人の人に聞いたことがあるんですが、だれ一人として、そんなことはわかる者はいるわけがない、そんなものは全くわからぬという話だった。ターバンの色でわかるのか、全然違う、関係ないと。これはみんな、大使も言われますし、アラブ人の方、ましてや日本人やアメリカ人はそんなのわかるわけがない、私は基本的にそう思うんです。少なくとも、いずれも外から見たら全く理解できないような話で、合わないんですから。
前原先生、やはりそこらの現実に立った上で考えないといかぬのであって、そうすると、シーア派の人もスンニ派の人も、両方とも共通の敵は何となくアメリカみたいな話になると、こんな不幸な話はありませんので、私どもとしては、そこらのところはどういう手だてがあるかと言われれば、アメリカ人が大衆の目につくところからいなくなっていくというのはすごく大事なプロセスではないか。それだけはアメリカの大使にも言いましたし、外務大臣にも言ったことがありますけれども、そういったプロセスということの方を大事にして、現地の方に置きかえていくことをしない限りはこの問題は解決しない、私は基本的にそう思っています。
■前原委員
時間が来ましたので終わりにいたしますが、それを移行していくプロセスというのも大事だと思います。アングロサクソンの顔が見えなくするというのは大事だと思いますし、ただ、それで本当に今の宗派間の対立というのがなくなるかどうかはなかなかわからない。
そうなったときに、これは先ほど長島議員も言われておりましたけれども、やはり外交力ですよね。アメリカではなかなかできない外交力。イランとかあるいはシリア、中東和平についても、日本がかかわり得る範囲というのは、アメリカよりよっぽど裁量の余地というか、動ける範囲というのは広いと私は思うんですね。
ですから、そこはやはり外交力でカバーをしていって、そしてアメリカを助けるというような考え方に立たなくてはいけないし、アメリカを助けるのが目的ではなくて、あの地域がおもちゃ箱をひっくり返したようになったときには、あそこに九割の石油を依存している、これはまさに日本の大きなマイナスになるわけでありますので、そこは反省すべきは反省し、先ほども申し上げたように、こういう結果責任を招いたことはやはり大変重要な誤りであったというふうに私は思いますし、そのことをしっかりと日本も認識した上で、外交力をやはりしっかりと、中東におけるアメリカと違う中立性というものを生かしてしっかりやっていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わります。 |