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衆議院 予算委員会 2006/10/10

■ 金子委員長
  これにて東君の質疑は終了いたしました。 
  次に、前原誠司君。 
 
■前原委員
  民主党の前原でございます。 
  総理、まずは訪中、訪韓、お疲れさまでございました。 
 
  北朝鮮の核実験の問題については後ほど質問をさせていただくといたしまして、この訪中、訪韓の中で、中国、韓国との関係改善の努力をされているということについては、これは私は評価したいと思います。今までが不正常であったわけであって、それを関係改善するというのは、これは当たり前のこと、もとに戻すという意味では当たり前のことではないかと私は思っております。 
 
  その中で幾つか気になっているところがありますので、その点を少し議論させていただきたいというふうに思っています。 
 
  まずは、靖国問題です。 
 
  靖国問題についての私のスタンス、また、これは民主党の従来のスタンスと言ってもいいと思いますが、A級戦犯が合祀をされている靖国神社には、総理あるいはそういう立場のある方は行くべきではないということは従来から申し上げてまいりました。ただ、このことについては、他国からとやかく言われて決めるべきものではなくて、みずからの判断、意思によってそういう決断をすることが大事なんだということを、私並びに民主党は申し上げてまいりました。それを前提に、今回の総理の靖国問題に対するあいまいさというものをどう考えていくのかということについて、質問をさせていただきたいと思います。 
 
  まず、総理が総理大臣になられるまでにいろいろなところで発言をされております。幾つもあるので主な御発言を抜粋させていただくということになろうと思いますけれども、二〇〇四年十月、これはテレビに出られておっしゃっているわけでありますが、公式かどうかとやかく言うのはナンセンスだ、首相として参拝すべきだ、国のリーダーが国のために殉じた方々の慰霊に訪れるのは当然のことだと、みずからが首相に就任した場合でも靖国神社参拝を続ける考え方を明らかにされた。 
 
  そして、同じく二〇〇四年十一月二十四日でございますけれども、国のために殉じた方々に尊崇の念を供するため靖国にお参りするのは、一国のリーダーとして当然だ、外国から行くなと言われる筋合いではない、今後とも参拝していただきたい。 
 
  それから、去年の五月二十八日に札幌市内で講演された中身でありますが、命をささげた人のためにお参りするのは当然のことであり、責務だと思う、次の首相もその次の首相も当然お参りしてほしいということを述べられているわけであります。 
 
  こういう発言を繰り返しされたということについては、これはお認めになりますね。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  そうした私の発言というのは、国のために戦って倒れた方々に対しての私の気持ちを述べたものでございます。 
 
■前原委員
  もちろん、それを否定するわけではありません。 
 
  しかし、今回、行くか行かないか、行ったか行かなかったかということについても明らかにしない、こういう立場に要は変わられたわけですね。今までは、行くべきだ、次の首相もその次の首相も行くべきだということをおっしゃっていたのが、要はあいまい戦術に変わられた。これは何でですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  私が既に述べてきておりますように、この靖国神社に参拝する、しないということが、戦没者の方々に対する思いとは別に政治問題化、外交問題化しているということになるのであれば、それはさらにそうした問題を拡大化させるべきではないという観点から、あえてそのことを申し上げない、また言及をするべきではないという判断を私自身したのであります。 
 
■前原委員
  今まで、総理になられる前となられた後で、この靖国問題のみならず、随分考え方を変えておられるんですね。 
 
  例えば、村山首相の談話についても、これは官房長官のときでありますけれども、いわゆる侵略戦争かどうか、どう定義づけるかという問題も当然ある、まだ学問的に確定しているとは言えない状況ではないかと言っていたのに対して、今度は、村山談話を受け入れるという答弁をされた。変えられたわけですね。 
 
  そして、河野官房長官談話、これは従軍慰安婦の問題でありますけれども、これは以前、根拠が既に崩れているにもかかわらず官房長官談話は生きている、これは大変大きな問題だということをおっしゃっているけれども、今回は、官房長官談話を踏襲するということをおっしゃっている。 
 
  そして、A級戦犯についても、戦勝国によって裁かれた、責任をとらされたということではないかということですけれども、そういう考え方については否定をされている。 
 
  私が申し上げたいのは、このあいまい戦術、戦略とはあえて言いません。なぜ戦略と言わないかというと、例えば、あいまい戦略というので思い出すのは、アメリカの台湾に対する戦略、これはストラテジックアンビグイティーという言われ方をしておりますけれども、つまりは、台湾に対してどうアメリカとして処するかということを明確に言ってしまえば、両方ともに誤ったメッセージを出してしまう。つまりは、どちらかに偏る、例えば台湾に偏れば台湾の独立というものを促してしまうことになるかもしれない、あるいは中国に対して偏った考え方を出せば中国の台湾の武力統一というものを誘発してしまうかもしれない。したがって、まさに国益というものについて、このあいまいさというものを持つということになれば、これはあいまい戦略として非常にいい。 
 
  しかし、総理の場合は、今まで小泉政権の五年間ずっと中枢におられて、なぜうまくいかなかったかということはわかっておられる。そして、その発言を繰り返してこられた。そして、繰り返してこられた自分の主張というものと、何とかしなきゃいけないという状況の中で、つまりは、日中間あるいは日韓間の関係の改善はしなきゃいけない、しかし自分の今までしてきた発言というものと整合性もとらなきゃいけない。つまりは、このあいまいさというのは、国家的な戦略じゃなくて、自分の保身とか今まで主張してきたことの整合性とか利己心によって行われているものじゃないんですか。そういうことは一国の首相が行うべきものではないと私は思いますよ。 
 
  国益だとおっしゃるのであれば、国民にわかりやすく、なぜあいまい戦略をとることが外交においても国民に対しても説得力があるのか、ぜひそのことについてお話をいただきたいと思います。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  それは、見方はいろいろあるんだろう、私はこう思います。 
 
  政治は、また責任ある立場としては、結果を出していくことが重要でございます。今回、訪中、訪韓をすることによって、両国との関係、首脳同士が率直な話し合いをできる、信頼関係を構築していく、そういう関係をつくっていくことがまずは大切である、このように私は判断をしたのでございます。 
 
  当然、私が今まで述べてきたこととの関係においては御批判はあるであろう、その御批判は私は甘んじてお受けをするつもりでございますが、その中で私は大局的な判断をしているつもりでございます。 
 
■前原委員
  それであれば、今まで言っていたこととは違いますということをまず国民に対してしっかり説明をすべきですよね。総理になったから考え方を変えますということをしっかりと言った上で、そして、そういうあいまいな考え方をやるということを言うべきではないですか。 
 
  それから、あと二つ申し上げたいと思いますが、一つは、行ったか行かなかったかということについても明らかにしないとおっしゃっていますが、靖国神社というところについては、こっそり行くものですか。行くんだったら堂々と行くべきものじゃないですか。あるいは、総理の立場として、こっそり行くことが可能ですか。そういう意味においては、私は極めてその辺については一本筋が通っていないということをまず申し上げたいと思います。 
 
  それからもう一つは、しょせんは、ことし四月に官房長官としてはこっそり行かれたそうでありますけれども、では、ことしは行かないということになれば、来年の十二月三十一日まで、年に一回参るとすれば。そうすれば、そのときまでにどういう、自分自身のこのあいまい戦術というものが、世界情勢あるいは日中関係、日韓関係、世界情勢がどうなっているかわからないところの中で、どういう責任をそのときに、決断をしたときに負うんですか、負えないんですか。そのこともはっきりしてもらわないと、国民全体があなたのあいまい戦術によって窮地に立たされる可能性がありますよ。 
 
  そういうことも含めて、このあいまい戦術というものについて、こっそり行くものなのか。堂々と行くものではないですか。それと同時に、問題の先送りではないんですか。そういうふうにとられても仕方がないと思いますが、その点について答えていただきたいと思います。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  私は何もこっそり行くとかそんなことを申し上げているのではなくて、あえてそういうことを宣言しないということを申し上げているところであります。あえて宣言しないということは、国民の皆様の前で私はあえて宣言しない。そして、なぜ宣言しないかということについては、それは政治問題化、外交問題化している以上、宣言しないということを申し上げているわけであります。 
 
  また、今までどういう気持ちで、思いで靖国神社に参拝をしてきたかということについても申し上げているとおりでございますし、また、中国側、韓国側に対しましても、私が靖国神社に参拝をしてきた思い、また、それはどういう意味があったのかということについても説明をしているところでございます。 
 
  今委員が、国民を窮地に陥れる、私はそのことは全く理解できません。 
 
■前原委員
  それは、その時点でどういう外交関係にあるかということを含めて、もちろん総理が責任をとられるべき、自分自身でもおっしゃっていました、それについては自分で責任をとるとおっしゃっていたことでありますから。私がこっそり行くと申し上げたのは、行くか行かないか、行ったか行かなかったかについても申し上げるわけがないということをおっしゃったからそう言ったわけです。 
 
  つまりは、こっそり行くようなところではないわけです、もともと。行くとすれば堂々と行く。そして、今までと考え方は変えました、総理になったら変えましたと堂々とおっしゃった方がよほど私はすがすがしい、まさに凜とした美しい姿勢だというふうに思いますよ。 
 
  そのことであえて一言だけ私は外交的な観点から総理に申し上げたいと思うわけでありますが、今靖国参拝を自粛するということは、私は非常にいいタイミングだと実は思っているんです。韓国、そして中国に行かれた。そして、きのう北朝鮮が核実験を行った。それに対して、中国や韓国はかなり厳しい調子で北朝鮮を批判しているわけであります。そして、先ほど私が国民に対して窮地に陥れることになるかもしれないと申し上げたのは、官房長官のときに敵地攻撃論というのがありましたけれども、今、国際社会が結束して北朝鮮の核問題について対処していかなくてはいけない。つまりは、国際社会で北朝鮮を孤立化させて、そして共同戦線を張ってこの問題を解決しなくてはいけないところでこの靖国参拝を行わないというカードを切ることは、極めて外交カードとしては大きなものになるのではないかというふうに私は思っております。 
 
  つまりは、大局的に安倍さんは判断をしたんだ、戦略的に判断をしたんだと。御自身は否定をされたけれども、私には御自身の保身あるいは利己心にしか思えない。それは批判をされたから、それは国民が判断することでありましょう。そしてまた、靖国神社に行かれたときにどういう状況に外交的になるかということも、自分がすべて責任を負われることでありましょう。 
 
  しかし、私が提案をしたいのは、この時期に北朝鮮という無謀な国が核実験を行って、そして世界で一生懸命に一致団結してこの問題を解決しようとするときに、だれもが安倍さんは行きたいのはわかっている、靖国神社に。しかし、それを押しとどめても、自分は行かずにこの問題を封印して北朝鮮の核問題に対して対処をするんだと言えば、これは相当大きなカードになると思いますが、いかがですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  いずれにしても、昨日、私は盧武鉉大統領とお目にかかって、先ほどの杉浦委員の説明に対して答えたように、北朝鮮の核実験に対して断固たる対応をとっていく、また、国連の場においてさらなる厳しい措置を含む決議について協議をしていく等々の四点について合意をしたわけでございます。 
 
  現実問題として、今、北朝鮮のこの挑戦的な試みに対して日韓は協力態勢をとっている。そして、首脳間で合意をしました。また、これは核実験前ではありましたが、この北朝鮮が核実験をしようという試みは断じて許すことはできないということで、日中においても協力態勢がとれたのであります。 
 
  また、核実験後はブッシュ大統領とも電話会談を行い、また、外相同士の会談をそれぞれの国々、また六者会議、六者協議に入っている北朝鮮以外の国々と直ちにとったのでございまして、そういう意味におきましては、現在の時点においても、この国際的な協力において北朝鮮に対して圧力をかけていくという態勢はとれていると考えています。 
 
■前原委員
  私の考え方を申し上げて、それについては否定をされた。すべて、先ほど申し上げたように、あいまい戦術をとって、それがどういう形で露呈をしたときに、総理御自身がそういうことも含めた責任をとれるということだと私は思っておりますので、その点については私の意見を申し上げるにとどめておきたいと思います。 
 
  ただ、もう一点。今回の日中の共同プレス発表を見ておりますと、政経両輪ということが書いてありますね。とにかく総理は、この「美しい国へ」を読ませていただきました、そして、幾つかの点で先ほど申し上げたように変節がありますね。先ほど申し上げたように、従軍慰安婦の問題あるいは村山談話の問題、そしてA級戦犯の問題、これは政経分離と書いてある。日中関係は政経分離の原則でということが書いてある。これはまさに、自分が総理になっても靖国には行くんだということを言い続けて、そして、政治と経済は別でやるということの御自身の意味を書かれたんじゃないですか。それが今回は政経両輪と書いてある。どう変わったのか、これは国民に対して説明が要るんじゃないですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  私がその中で書いてあることは、つまり、経済の今のこの関係というのは基盤的な関係で、この関係を毀損することは両国の国益にそぐわないという認識を持つことが大切である。その中で、政治的な課題を追求するために経済にプレッシャーをかけたりしないということが大切ではないか、これは私は至極当然のことではないだろうかと思います。 
 
  中国もWTOの加盟国である以上、そういう認識を持つべきではないか。その中で、例えば政治的な問題があるから経済を一時的に意図的に悪化させていく、あるいは、その場でプレッシャーをかけるということになれば、これは中国に投資をする際には新たなリスクとして認識されるわけであって、これは中国にとってもよくないということを申し上げております。 
 
  また、その章の中で、しかし、当然政治の場においても、対話は行わなければならない、問題があるからこそ対話を行うべきだということも書いてあるわけでありまして、いわば、かつて国交がない時代の政経分離とは別の意味で私は申し上げているのでありまして、読んでいただければそれはよく理解していただける。つまり、そのとき、私のその中身においても、今、政治の場においてはそういう状況にはなっているけれども、それでいいとは一言も書いていないわけであって、経済と政治の両輪が回っていくことがそれは望ましいという意味のことを書いているわけであって、まさに今回、その方向に向かって進んでいくことになった。それはよく読んでいただければ理解していただける、多くの方々には理解していただいていると思っています。 
 
■前原委員
  そうしたら、初めから、今の日中関係の政治的な問題を克服して政治と経済両輪でいくと言った方が、こういう要らぬ誤解を生まないで済んだんじゃないですか。だから、これはずっと読んでいったら、さっき申し上げたように、考え方がずっと変わっているんですよ、先ほどの歴史観の問題も含めて。だから、そういう前提で、後からの論理づけは幾らでも可能です。 
 
  一番初めに申し上げたように、日中、日韓の関係改善のために努力しようと言ったら構わないんですよ、それはそれで。しかし、自分は考え方を変えました、あるいは方向転換をしましたと言わずに、何かわけのわからないままにギアを変えて、シフトを変えていって、そして前言ったことと今言っていることは同じですよというのは、これはもう居直りにしか聞こえないですよ。それは、決して美しい国の総理大臣とは言えない、そのことだけは申し上げておきます。言いわけにしかならないですよ、それは。 
 
  日中問題の懸案事項について幾つか申し上げたいと思いますが、未来志向の関係を築くために、今、日中間に横たわっている問題というものを特に顕在化させないためのプレス共同発表だったんだと思いますけれども、先ほど同僚議員からお話がありましたように、日中間は靖国問題がすべてではないし、靖国問題が解決したとしても、決してこれは日中関係、私は安易ではない、簡単ではないというふうに思っています。 
 
  環境の問題もそうですよね。エネルギー効率は日本の約十分の一。そして、日本の人口の約十倍。そして、世界のCO 2 の排出量は、アメリカに次いで第二位。偏西風が中国から日本の方に吹いてきている、そしてそれが酸性雨となって日本に降り注いでいる。そして、COP3、京都議定書には加盟をしていない。そして、水質汚濁、大気汚染というものをどんどん世界じゅうあるいは海洋にまき散らしているということは、御承知のとおりであります。今の石油高の大きな要因は中国ですよね。中国の経済発展と、そしてエネルギー効率の悪さというのが背景になっているわけです。 
 
  こういう大きな問題というものをどのように解決していくか、これからそういうことを問題解決していくことが大事でありますし、ぜひそれは、美辞麗句の並べではなくて、本当に大変なことだと思います、日中間で議論して、そして解決をしていこうというのは。これについては、先ほどもおっしゃったように、戦略的な互恵という立場からぜひ頑張っていただきたいと思いますし、我々もそれについてはできる限りバックアップをしていきたいというふうに思っています。 
 
  軍事力の問題と、そして東シナ海の海洋権益の問題について伺いたいというふうに思います。 
 
  軍事力の問題について、私はかなりシビアな問題だというふうに思っておりますが、このことについては、さらっと共同プレス発表に書かれているだけであります。総理は、今の中国の軍事力の増強、十八年連続して一〇%以上の軍事費の伸び率、そして、イギリスやアメリカの研究機関の発表によると、中国が公表している軍事費というものは、これは正確なものではない、一・七倍とかあるいは二倍から三倍、そういう指摘もあるわけであります。そして、中国からの説明は、いわゆる近代化を図っているんだ、あるいは、台湾に対する軍事力というものを、もし使わなくてはいけないときにはそれに伍するものにするんだということになっておりますけれども、私は、これをはるかに超えたペースで軍事力増強が今行われているというふうに思っております。 
 
  後の東シナ海の海洋権益の問題のときにも申し上げますけれども、尖閣は我が国固有の領土ですね、そうですね。しかし、中国は、自分のものだと言っている。そして、排他的経済水域については中間線を認めないと言っている。中国大陸がずっと連なってきている大陸棚というのは、それが沈み込む沖縄トラフまでが自分たちのものだと言っている。中間線なんかとんでもない、島国が点在している日本と大陸と中間線を引くなんというのはナンセンスだということを言っているわけであります。 
 
  かように、これからの日中問題、今の軍事力の問題も含めて、この領土の見解の相違、そして海洋権益に対する考え方の違い、あるいは、後で質問するように、もう既に着々と中国は布石を打ってきている。その中に海軍力の増強、空軍力の増強というものが相まって、制空権、制海権というものをとらえたときに、本当に、この海洋権益あるいは尖閣諸島を含む日本の領土というのを、しっかりと日本の主権国家の領土の一部として守り切れると思っておられますか。また、その意思はおありですか。軍事力の今の分析を含めて、今の点についてお答えをいただきたいと思います。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  中国が、今委員が御指摘のように、十八年連続、軍事費を二けた伸ばしているわけであります。また、この中身についても透明性が不十分である、その点は、今までの日中の安保対話の場において日本が指摘をしてきているところでございます。私も、今まで中国側の高官とお目にかかった際には、この点、指摘してきたところでございます。 
 
  今回の私の訪中におきましても、中国の首脳との間におきまして、日中安全保障対話や防衛交流を通じて、安全保障分野における相互信頼を増進していくことで意見の一致を見たところでございます。 
 
  まさに、両国の信頼関係を増していく上においてはこの安全保障分野の対話が重要であるということを申し上げ、その点においては一致を見たところでございますが、今委員が御指摘になられました、尖閣は当然我が国の領土であります。日本の主権の存在するこの領土については、そのために自衛隊も日米安保条約も存在するわけでありますから、当然この地域の安全を守っていくというのは我々の責務であると認識しています。 
 
■前原委員
 安全を守ることはさることながら、今私が申し上げたのは、いわゆる所有権ですね、尖閣の所有権。そして、当然ながら、国連海洋法条約で認められる日本の権益については、そういったさまざまな、もちろん外交的なものもそうでありますし、自衛隊あるいは海上保安庁、そういったものも含めて、日本が主体的に、制空権、制海権も含めてしっかりと維持していくということを私は確認をしているわけです。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  当然、そのために海上保安庁もまた防衛庁の当局も努力をしているところであります。 
 
■前原委員
  その点で一点だけ確認しておきたいのですが、F4ファントムの後継機が現中期防の中で決まってくるということでありますけれども、当然ながら、今のような総理の答弁を背景として機種選定に当たるという、やはり強い意思を持っていただかなくてはいけないのではないかと私は思います。その点についてお答えください。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  個別の戦闘機の問題等々については、これからしっかりと、我々……(前原委員「そんなことを聞いているんじゃないんです。機種は聞いていません」と呼ぶ)当然、個別の機種について申し上げることはできませんが、我が国の平和と安定に資する防衛力を維持するために、予算は当然組んでいくということになるわけでございます。 
 
■前原委員
  東シナ海の天然ガス油田開発についてもお伺いしたいと思います。 
 
  この日中共同プレス発表においては、平和の海、協力の海にしていくということ、これは長年言われている美辞麗句でありまして、まあ美辞麗句と言うと言い過ぎかもしれません。私も結果的にはこうなればいいなというふうに思っておりますが、中国側も、この平和の海、協力の海というものについては同意をしながらも、先ほど申し上げたように着々と既成事実化を図っていっているというのは、これは総理も御承知のとおりだというふうに思います。 
 
  例えば、中国名で申し上げますと、平湖、これは中間線より西側でありますけれども、中国名の龍井あるいは断橋、そして天外天あるいは春暁、こういった地下鉱脈が中間線の日本側につながっているのではないかというふうに言われているところがどんどんと開発をされて、本国へのパイプラインも敷設をされて、どんどん吸い上げられているということであります。 
 
  国連海洋法条約を詳しく読んでみますと、これはやはり、既得権益というか既成事実化した方がかなり強いというふうになっていることを中国はよく知っていると私は思うんですね。これはかなり時間稼ぎをして、言葉では協力の海、平和の海にしようとしているけれども、そういうことを言って、日本のいわゆる設定された試掘権というものを封印させて、そしてみずからはどんどん開発することによって既得権益というものの優位化を図っていこうとしている戦略じゃないかと私は思っていますが、その辺についてはどう思われますか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  今委員が御指摘をされましたこの資源の問題につきましては、六回にわたり局長級の協議を行ってまいりました。日中双方の立場を害さない具体的な共同開発のあり方も含めまして、さまざまな角度から掘り下げた議論を行っております。先ほど申し上げましたように、中国首脳との間で、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの認識を両国が改めて確認したわけでありますが、協議のプロセスを加速させ、共同開発という大きな方向性のもとで双方が受け入れ可能な解決方法を、ここが大変重要なところでありますが、これは二国間の交渉でありますから、両国が受け入れ可能な解決方法を模索するということで確認をしたわけであります。 
 
  今後、この私の訪中を踏まえまして、引き続き、対話を通じまして我が国の主権的権利を確保しつつ、迅速な解決を目指してまいりたいと思います。 
 
■前原委員
 共同開発についてもかなり隔たりがありますね、今までの主張では。つまりは、中国は、中間線の日本側で共同開発して、今やっているところは自分たちでやるよと。日本は、共同開発なら当然ながら中間線の両側にまたいでやるべきだということで、もう自分たちのやっているものは中国は自分たちにやらせて、そして日本側のものは共同開発しようという、極めてていのいいことを言っているわけでありまして、それが共同開発という一くくりになって時間稼ぎをされて、先ほど申し上げたように既成事実化、既得権益化し、それが国連海洋法条約の中ではプラスに働くと彼らはわかっているわけです。 
 
  だから、そういう意味においては、時間稼ぎをするのではなくて、試掘権を設定したんですから、話がうまくいかなかったときにはその試掘権設定をしっかりといわゆるガードする形で、国家の意思として、そして試掘をするということも視野に入れて考えるべきだと思いますが、いかがですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 今後、私のこの訪中を踏まえて、そこで、先ほど申し上げましたように、協議を加速させていく、双方の立場を踏まえて協議を加速させていくということについては一致をしたところでございまして、ですから、今までの中国側の主張からはやはり前に出ていただかなければならないのは当然のことであろう、このように考えております。 
 
  先ほど申し上げましたように、主権的な権利があるということはもう申すまでもないわけでありまして、そのことを念頭に我々は協議を進めなければならないと思います。 
 
■前原委員
 繰り返しになりますが、協議を進めるのは当たり前のこと。しかし、時間稼ぎをしているかもしれない。それをしっかりと、お互いが同じテーブルに着くためには、日本の権利である試掘というものをやるということを含めて検討すべきじゃないかということを申し上げているわけです。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  実際この所管であります経産大臣からもお答えをさせますが、交渉の過程に今あるところでございまして、交渉の場においてはいろいろなやりとりがあるわけであります。要は、先ほど申し上げましたように、我々の主権的な権利にはいろいろなものが含まれているわけでありますが、そうしたことも当然主張しながら、その中でこの主権的な権利を念頭に、結果を出すべく交渉を加速化させていきたいと思います。 
 
■前原委員
  国民がどういうふうに見ているかというのがあると思うんですね。安倍さんに期待していた像、先ほど申し上げたこの「美しい国へ」に書いてあることの、歴史認識も含めての、今まで書かれてそして期待をされたことと今実際やられていること。私は評価するところもありますよ、中国、韓国に行かれたことについては私は評価をしますが、しかし、仮に靖国の問題が片づいても日中関係には大変大きな難問が横たわっている。その中で本当に、外交というのは、まさに先ほど麻生外務大臣がおっしゃったけれども、友好というのは目的じゃないわけですから、いかに外交を通じてみずからの国益をいわゆる平和的な環境の中で増進していくかということですから、そんな官僚答弁というか、まあ中国から帰ってこられたところ、韓国から帰ってこられたところだから、なかなかそういう思い切った発言はできないのかもしれませんが、総理がかわって何が期待されていたのかということも含めて、私はしっかりとその点についてはやってもらいたいということを、これはもう御答弁は結構ですから、私の方から申し上げておきたいと思います。 
 
  次に、北朝鮮の問題に行きますが、この間、十月六日の委員会の質疑を聞いて、ちょっと驚いたことがありました。 
 
  田中眞紀子議員と総理のやりとりでありまして、総理からこういう発言があったんですね。「小泉内閣発足当時、金正日委員長の御子息が日本に入ってきて、それを直ちに送り返すというのは、それは当時の外務大臣がなされた判断だったと思います。」ということで、田中眞紀子さんがそのとき外務大臣だったことを引き合いに出されて、金正日の息子、金正男が入ってきて、それを追い返したのはあんたじゃないかということを、そんな議論がないのにおっしゃった。そして、田中眞紀子委員は、「金正男の小泉内閣発足当時のことは、田中外務大臣の決断ではなくて小泉総理大臣です。」ということをおっしゃっている。 
 
  これは、今まで何度か国会の中で議論があったわけです。金正男が入った、あるいは金正男とは確認されていないというのが答弁だったわけですよ。ということは、今まで、この問題については国民をだまし続けてきた、うそをつき続けてきた、隠し続けてきたということになりませんか。みずからおっしゃったことですよ。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  委員御指摘のその人物については、当時の情報の中においては確認できなかったわけでありますが、その後もう随分たつわけでありますが、その後集められた情報の中において、極めて蓋然性は高い、金正男氏である蓋然性が高いというに至ったのであります。 
 
■前原委員
  これは総理、気をつけて答弁してくださいよ。かなり最近、私、これは質問していますからね。そのときもそうじゃないという答弁を政府はしていますから。 
 
  いつですか、では。いつ総合的に判断をして金正男という認定をしたんですか。ちゃんと答えてください、逃げずに。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 いつということについては申し上げることができないわけでありますが、さまざまな情報をその後収集している中において、この私の内閣になったわけでございますが、その中で今申し上げた認識を私の内閣としては持っている、こういうことでございます。 
 
■前原委員
  ああ言えばこう言うという切り返しが大変お上手だと私は思いますが、ただ、これについては、その時点でも、金正男、顔写真もちゃんと出ていた、成田空港で。そして、これは金正男に間違いないということを専門家の方々もみんな言っていた。しかし、そのときにはそういう判断ができなかった、そして、さまざまな状況の中で、いつとは言えないけれども判断したから言ったんだということは、余りにもそれは国民に対して、私は愚弄していると思いますよ、国民を。 
 
  それであれば、しっかりとそのことについて、私は、どういう時期にそういった判断をしたのかということを、今まで国会の中で、いろいろな方が与野党ともに質問をして、確認できない、確認できないということを最近まで答弁をしていて、そして確認できたら、確認ができましたのでちゃんとお答えしますと政府から発表すべきじゃないですか、そんなことは。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  もう既に私が今ここで認めているように、今までの情報の中において、私が今総理になり、内閣ができた今この段階において蓋然性が高いということを申し上げているわけであります。 
 
■前原委員
 でも、そこで帰してしまった。では、総理がおっしゃることが仮に事実としても、そこで帰してしまったということは大変な外交的ミスだと思われませんか。つまり、覚せい剤のいわゆる売人というふうに目されているわけでしょう。そしてまた、今まさに、総理が一生懸命取り組まれてこられた拉致問題、これを解決しようというふうに思っているときに、金正日の息子ですよ、息子がやってきて、そうだという確認、確証が高いという議論が行われていた。覚せい剤のルート、あるいは日本の暴力団とのつながり、あるいは拉致問題の全容解明。何で帰したんですか。 
 
  だから、それは、やはり今から考えたらミスだった、今は金正男ということが総合的に確認できたけれども、そのときに帰したのはうかつだった、そういうぐらい謝ることは私はしかるべきだと思いますが、いかがですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 当時私は官房副長官でございましたが、当時は、私はこの問題についてどう対応するかということについての実質的な議論の中には入っておりませんでしたが、しかし、今の情報について、私が申し上げましたとおり蓋然性が高いということになっているわけであります。ですから、今の段階でわかっていたことでまた当時のことについて判断するわけにはいかないわけでありますが、最初に申し上げましたように、当時の状況についてはそういう判断であった、特定の人物と認定するに足る情報がなかった、私はこのように承知をいたしております。 
 
■前原委員
  拉致問題に一生懸命取り組んでこられた総理からすると、大変寂しい答弁だと思いますよ。 
 
  あの写真を見たときに、あるいは公安関係者を含めて、あるいは入国関係者を含めて、金正男だとわかっていたわけでしょう。ただ、それは確認ができていなかったということでしょう。拉致問題を一生懸命やって、あるいは日本のさまざま北朝鮮のやみのルートというものにメスを入れるには、帰してしまったということは極めて痛恨のきわみじゃないですか。 
 
  それを率直に認めずに、そして、今となってわかったことだから、そのときには自分はそのラインには入っていなかったというのは、まあ何度も申し上げるけれども、ああ言えばこう言う、まさに美しい国の首相とは私は言えないと思いますよ。そこはもうちょっと歯切れよく、潔く、まさに認めるべきことは認める、変わったことは変わったと認める、ミスは認める、そういった姿勢というものを貫かないと、まあ私が言うのもおかしいですけれども、安倍総理に対する信頼というのは落ちていくと私は思いますよ、今のような答弁を繰り返されてきたら。 
 
  核実験について質問いたしますが、これについては、我が党は北朝鮮のいわゆる蛮行については極めて憤りを感じ、絶対にあってはならないことが起きたということで、もしそれが事実だとすれば、北朝鮮に対する猛省を促し、抗議をしたい、そして、国際社会が一致結束してこの北朝鮮の核問題を解決する努力をしていかなくてはいけないというふうに考えております。その意味では、政府・与党、そして我々野党という立場ではなく、オール・ジャパンとしてこの問題についてはしっかりと取り組んでいかなくてはいけない問題だと思っております。 
 
  その上で、幾つかの点を私はお伺いしたいと思います。 
 
  まず、総理も行かれたときに結ばれた日朝平壌宣言であります。これについて、今も生きていると思われますか。この平壌宣言の趣旨については今も、核保有宣言を去年して、核実験を昨日行ったと言われていて、これが事実だとすれば、この平壌宣言というものはまだ生きているというふうにおっしゃいますか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 この平壌宣言は金正日委員長と小泉総理が調印をして結ばれたものであって、これは両国の約束であると言ってもいいと思います。残念ながら、北朝鮮側がこの趣旨、精神に反して行動をしているわけでありますが、我々としては、この平壌宣言は生きていると。であるからこそ、我々は、この精神に戻るべきである、この平壌宣言に反して行動すべきでないということを主張しているところであります。 
 
■前原委員
 この日朝平壌宣言の中に三番、四番、一部抜粋で読ませていただきますと、三点目は、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」ミサイルをぶっ放し、地下核実験を行って核保有宣言をする、これが「互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」ということが生きていると言えますか。 
 
  四番目、「双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。」最後に、「朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明した。」全部裏切られているじゃないですか。それで生きているということ、そういうふうな前提に立ちたいというお気持ちはわかりますが。 
 
  では、聞き方を変えましょう。完全にほごにされていますよね、北朝鮮に。空文化されていますよね。ないがしろにされていますよね。そのことはお認めになりますね。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 この平壌宣言の趣旨、また今委員が朗読されました中身について、北朝鮮がそれに反しているのは、これは明らかであります。だからこそ、我々は制裁措置をとって対応しているのでございます。他方、日本側は当然、この平壌宣言の精神に、そもそもサインした以上、これに反するという気持ちはないわけでありますが、彼らがこの平壌宣言に反している以上、我々も対抗措置をとっているということでございます。 
 
  いずれにいたしましても、この文書については、本来、この文書に北朝鮮が戻ってくれば、まさに国際社会に受け入れられる国になるわけでありますし、この文書に戻って行動していけば、結果として日朝の国交が正常化する。その道に戻ってくるように、我々はさらに北朝鮮を促していきたい。 
 
  残念ながら、今、対話によってはなかなか難しい中においては、我々は圧力を強めている。圧力が我々の目的ではございませんし、また、対話をしていてもなかなか前に進まない中において、今は圧力を強めざるを得ない、こう考えているところであります。 
 
■前原委員
  私がお聞きをしているのは、この文書、共同宣言、平壌宣言というものを北朝鮮はまさにないがしろにし、この文書そのものは今は空文化している。いや、意思はいいですよ、日本政府としての意思は。しかし、実際問題、これをじゅうりんされて、ないがしろになって、空文化されているということはお認めになりますね。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  現在、北朝鮮が守っていないというのは、これは公然の事実であって、であるからこそ、先ほど申し上げましたように、我々は対抗措置をとっているということでございます。 
 
■前原委員
 その制裁のことでありますが、国連憲章第七章に基づく制裁決議の採択に全力を挙げるということですね。しかし、現時点においても、拒否権を持つ常任理事国である中国、ロシアは慎重な姿勢は崩していません。そういう状況であるのは総理も御承知のとおりだというふうに思います。 
 
  その場合、先ほど同僚議員の質問には答えられましたけれども、単独でやるということはわかりました。ですから、まとまらなかった場合、単独ということもあり得ると。では、有志連合で、それぞれの国、総理がよくおっしゃっているアメリカとかオーストラリアとか、そういった価値観を共有する国と有志連合を組んで、そして、国連決議がまとまらなかったときも制裁をするということはあり得るんですか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 先般のミサイル発射のときには、まず、我が国独自の制裁措置をとったところでございます。その後、国連決議、満場一致の国連決議でございまして、その中に金融等にかかわる対抗措置が入っているわけでありますが、その措置については、すぐ実行、これは国内法との関係等々、また置かれているそれぞれの国の事情等もあって、すべての国がそれを行っている状況にはないわけでありますが、例えば豪州は直ちにというか、日本が追加的な措置をするときに、同じ日に発表をいたしました。そしてまた、米国、韓国は既に同様の措置をとっているということであったわけでありますが、今の段階でこの安保理の決議ができないということを前提に議論するよりも、まずは安保理の決議を出すべく、厳しい措置を含む安保理決議を求めるべく、努力をしていきたい。 
 
  また、日本は議長国でもあります。その努力を積み重ねていかなければならないと思っています。 
 
■前原委員
 一九九四年に北朝鮮の瀬戸際外交、核開発問題というのが顕在化したときに、アメリカは、寧辺の施設、これを攻撃するということを一つのオプションにして日本側に打診をしてきました。 
 
  そのときの日本側に求めてきた千を超える具体的な要望について、私見たことがありますけれども、つまりは、仮定の議論に答えるべきではないと逃げられましたけれども、実際問題、この北朝鮮の核実験というものを目の当たりにして、制裁を含んだものについては、この間の非難決議にしても、第七章を盛り込むことについては中国やロシアが反対をした。今回もかなりそういった部分について、私は厳しい取り組みをやらなくてはいけないのではないかというふうに思っております。 
 
  もちろん、それについて努力をしてもらいたいということについては申し上げておきたいと思いますが、しかし、実際に、もう過去にアメリカが、これはブッシュ政権の前ですよ、クリントン政権のとき、ブッシュ・ドクトリンという先制攻撃論が出る前のアメリカがいわゆるサージカル・ストライクというものをやろうとした、そういうことがあるわけですね。 
 
  そういうことを含めて考えると、実際問題、有志連合というものが組まれたときに、それに参加するかどうかということは当然ながら考えておかなくてはいけないことであって、そしてまた、後で質問いたしますが、経済的な制裁を加えるということになれば、臨検とか船舶検査というものが出てまいりますけれども、これは国連決議が仮にあったとしても、日本は今その法的な対応はできませんよね。周辺事態と認定をすればそれについての法律はありますけれども、国連決議だけではできない。 
 
  そして、アメリカが一番懸念しているのは、この核関連物質というものが北朝鮮から他の国あるいはテロリストに渡ることを一番私は心配していると思うんですね。そういう意味においては、経済制裁というものを前提にした臨検や船舶検査のみならず、今申し上げたようないわゆる不拡散の観点からも行うということを国連決議がなくてもやる可能性というのは、僕は十分あると思うんですね。そういう前提に立って今私は申し上げているわけです。 
 
  だから、努力されるのはわかりました。しかし、実際に過去もそういう事例があった。そして、今もそのことについては、当然ながら日米同盟関係というものを前提にしている以上、考えなきゃいけないんじゃないですか。そのことについて、私は逃げるべきではないと思いますよ。そういうことになったときには有志連合として日本は参加することになるのかどうなのか、あるいはどういうお考えなのか。まとまらなかった場合には個別にはやるとおっしゃったんですから、有志連合はどうするかということはしっかり逃げずにお答えいただきたい。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 今般の問題については、まさに国際的なコンセンサスを得ながら、安保理の中の国々のコンセンサスを得る努力を我々が、むしろ我々が一番脅威を感じる立場として、できれば我々が主導権を発揮しながらこのコンセンサスを得る努力をしなければならない渦中にあって、この決議がなされないということを前提にそういうことを考えているということを申し上げるわけにはいかないわけでございます。 
 
  他方、先ほど申し上げましたように、ミサイルに対する決議を行うことができた、全会一致で行うことができたわけでありますが、この実行については、なかなかそれぞれの国々の事情もあり、ある意味では有志連合的な形で実際に実行しているということでございます。 
 
■前原委員
 国連決議が仮にまとまった場合に、今申し上げた臨検、船舶検査、法的には日本は周辺事態と認定しない限りできないですよね。それについては国連決議が、今おっしゃったように、そういう前提になった場合、臨検をする、あるいは検査をするという可能性は十分あると思いますよ、経済封鎖のみならず不拡散という観点から。それについては日本はどういうスタンスで臨まれますか。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 これは当然日本の国内法の中で対応するしかないわけでありますが、他方、物理的に海上で臨検をするということ以外にも、物の流れ、お金の流れについて、大量破壊兵器にかかわることについては、当然我々はもう既にいろいろな措置をやっているところでありますが、それについての流れは当然とめるべく、我々も日本として考えていかなければいけない。また、今までも既に、それについては、一部については行ってきているところであります。 
 
■前原委員
 今回、この暴挙を働いたのは北朝鮮、非があるのは北朝鮮であります。そしてまた、すべての責任を北朝鮮が負わなくてはいけない。 
 
  しかし、今アメリカの中でどういう議論が起きているかというと、それは総理の耳にも入っていると思いますけれども、ブッシュ政権に対する批判が、イラク問題も含めて、相当大きなものになってきている。つまりは、北朝鮮の核保有宣言を去年みすみす許し、そして今回、ある程度確実だと言われている核実験まで行った。そういう、いわゆるNPTあるいはCTBTを含めて、核不拡散というものをやっていこうという国連を中心とする取り組みがうまくいかなかったということで、アメリカ国内でかなりそれに対するブッシュ政権のやり方について批判が出ているというふうに私は聞いております。 
 
  なぜか。私は、この問題について北朝鮮は二つの国を大事にしたいと思っているんだと思うんですよ。一つは、体制を崩壊させるとすれば恐らくアメリカだろうと。もちろんそれはほかの国もあるかもしれないけれども、一番気をつけなくてはいけないのはアメリカ。もう一つは、平和条約がまとまったときに金を出してくれる日本。この二つが大事な国なんだろうと思っていると私は思います。 
 
  そして、この瀬戸際作戦というものを行ってきている北朝鮮の今までの一貫した要望というのは、米朝直接協議というものでありました。もちろん、六者協議の中でのその二者を選択してということについては今までも何度か行われてきましたけれども、アメリカ国内でも、議会、マスコミの中で、なぜ、この直接協議をする中で北朝鮮とのいわゆる核問題を解決しようという主体的な努力をしないんだ、こういう議論がかなり今大きくなってきていると思いますけれども、総理は、アメリカが主体的に対話と圧力、圧力ばっかりかけるのではなくて対話もしなきゃいけない、しかし、六者協議に乗ってこないんだから対話の機会がないということになれば、圧力ばっかりかけているわけですよ。対話と圧力というのであれば、アメリカに対して、もちろん、最終的にはその六者協議の場、あるいは国連の場にしっかりと北朝鮮が戻ってきて、そして、核放棄、朝鮮半島の非核化というものに対して責任を持つべきだという、多国がかかわる中でそういったものに持っていくということは大事だけれども、その取っかかりとして直接議論をし、そして北朝鮮との話し合いを加速させるということを私は一つのオプションとして考えるべきではないかと思いますが、その点についての総理の考え方を聞かせていただきたい。 
 
■安倍内閣総理大臣 
  今までの私どもの立場としては、北朝鮮が無条件で六者会合の場に復帰するように働きかけを行ってきました。また、この六者会合の場においては米朝の協議もあり得るわけでありまして、今までも行われていた。今までは北朝鮮は条件をつけてきたわけでありますが、そういう条件をつけることなく六者会合に戻るべく、我々も北朝鮮に働きかけを行ってきました。 
 
  今後、まずはこの核実験を行ったかどうかということを確認する必要がございますが、いずれにせよ、そういう発表を行い、挑戦的な姿勢を示し、国際社会の懸念にこたえていないわけでありますから、この安保理の場で当然協議をし、厳しい措置を含む決議に向けて協議をしなければいけない。しかし、それと同時に、協議の場としては、また六者会合に北朝鮮がそういう経緯の中で無条件で復帰をする中においては、当然米朝で話し合いをすることも私は可能であろう、こう考えています。 
 
■前原委員
 いずれにしても、先ほどから何度か総理が答弁されているように、ミサイルを持っている、運搬手段を持っている。核保有宣言をし、核実験、どの程度のものかわかりませんが、行った。それが融合した場合に一番脅威を感じるのは我が国であります。 
 
  唯一の被爆国として、二度とああいう悲惨な状況というものは、日本のみならず、どの国でもそういうことは起きちゃいかぬということから考えれば、対話と圧力というものをまさに両輪とするのであれば、六者協議には向こうは乗ってこないわけですから、そして米朝の直接対話というものを求めてきている。アメリカはそれを逃げ続けているわけです。それは、枠組み合意をほごにされたという原体験があると思いますよ、米朝枠組み合意を。彼らはうそをついて、ずっと核開発をしてきたんですから。そういうものがあるけれども、しかし、取っかかりとしては、こういう米朝の協議というものを行った上で、そして北朝鮮を抱き込むというか抱え込んで、国際社会の中に巻き込んでいくというようなことをやらないと、あらゆる手段を講じないとだめでしょう。 
 
  そんなものは、北朝鮮はそんな国じゃないというふうな、決めてかかったら、あとは、それこそさっき申し上げたように、アメリカ側が攻撃するという可能性もあるわけですよ、一九九四年に実際あったように、オプションとして。そんなことをしたときに、一番被害が起きるのは日本と韓国ですよ。だから、そういうことを含めて、この問題については、粘り強く外交的な問題で解決するんだということでぜひ私は臨んでいただきたいということを申し上げたいと思います。 
 
  最後に、イラク戦争についての総理の考え方をもう一度私は問いたださなきゃいけないというふうに思っています。 
 
  イラク戦争は間違いでなかった、この間、菅委員の質問に対してこういう答弁をされておりました。そのときにおっしゃっていたのは、かなり法的な側面が強かったと思います。あるいは、今までイラクが行ってきた、いわゆるクルド人に対する大量破壊兵器の使用、化学兵器ですね、そういうものの使用、そして、説明責任を果たしてこなかったフセイン、イラクに対する責任、そして、累次にわたる国連決議があったんだということをおっしゃった。そのことはわかるけれども、この間、おじい様のいわゆる開戦判断については、政治家は結果責任だということをおっしゃった。 
 
  それを考えると、今の理屈だけではなくて、イラクはほとんど内戦状況ですよ、今。シーア派、スンニ派による殺し合いが続いている。毎日毎日、人がたくさん死んでいる。米兵だけで二千七百人以上死んでいるんですよ。各国の軍隊は、さらに何百人か亡くなっておられる。そして、イラクのまさに罪のない人たちは五万人以上死んでいるんですよ。 
 
  こういうことを考えたときには、結果的にあれは、フセインがあるいはイラクが実際問題として説明責任を果たさなかった、あるいは昔の文書のような国連決議をひもといてきて、だから法的根拠があったんだといっても、結果責任からすれば、今のイラクのような悲惨な状況をつくってきたのはあの問題ではありませんか。それと同時に、イギリスあるいはスペイン初め各地で、イスラム過激派を刺激し、テロがいろいろ起きている。そういうものを拡大したのも、やはりアメリカによるイラク攻撃ではありませんか。 
 
  そして、アメリカ自身は、それに対し反省をした、CIA自身が情報操作があったということを認めた。ほかの国も、イギリスでもそれが問われて、失敗であった、間違いであったということを認めている。認めていないのは日本だけですよ。アメリカの情報にそのまま有無を言わずに従って、そして、いまだにあの戦争は間違いでなかったと抗弁している。 
 
  結果責任をおっしゃるのであれば、今のイラクの状況を考えたら、イラク戦争は間違ったというのが大体の国民の認識じゃありませんか。そのことについての総理の答弁を求めたいと思います。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 米国も、また英国も、彼らがとった武力行使自体ではなくて、情報収集に問題があったことを認めたのだ、このように思います。 
 
  私が答弁をいたしましたことは、イラクに対する武力行使に対して日本が当時支持をしたことについては、当時の客観的な状況の中から考えて、我々がイラクが大量破壊兵器を持っていると考え得るに足る合理的な状況であった、再三にわたる国連決議にかかわらず、フセインはそれを破り続けてきた、そしてまた、証明するチャンスを与えたにもかかわらず、それを彼は生かそうともしなかったという中にあって、米国を初めとした多国籍軍が攻撃をしたことに対して日本は支持をしたということであります。 
 
  今はまさに、厳しい混乱の中でイラクを再建させていくことに国際社会が努力をしていく中で、日本はこれからも協力をしていく、また自衛隊が大きな貢献をしてきたことも事実でありますし、今後ともこのイラクの復興のために貢献をしていかなければならない、こう考えています。 
 
■前原委員
  はぐらかしちゃだめですよ。 
 
  では、情報については操作があったという、誤りを、それをうのみにした間違いを認めるんですか。それと、今申し上げた、今のイラクの内戦状況とも言われているような状況の結果については責任を負うんですか。この二つ、イエスかノーかで答えてください。 
 
■安倍内閣総理大臣 
 情報の評価におきましては、それぞれ米国、英国が評価をしているところでございます。 
 
  しかし、私が申し上げておりますのは、そうした中で、合理的な疑いがあったということもそうでありますし、また、国連決議において武力行使がなされた、このように考えているわけでありまして、その段階で我々は日本として支持をしたということでございます。 
 
■前原委員
 これで終わりますが、きょうの答弁を聞いていまして、若い清新な総理のイメージとは全くかけ離れていて、例えば靖国問題、あるいは、きょうは聞きませんでしたが消費税についても、まさに逃げて逃げて参議院選挙後に逃げ込む、そして問題先送りをする、そして明確なことについては説明責任も果たさないし、自分自身の責任も果たさない。私は、そういう政治に国民は期待を持てるとは思いません。 
 
  そういう意味では、この補選でしっかりと民主党が勝って、そして次の参議院選挙、衆議院選挙でやはり政権をかえないとこの国の本質は変わらないというふうに私は思いましたので、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。