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衆議院本会議 2006/01/23

■議長(河野洋平君)  
 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。前原誠司君。〔前原誠司君登壇〕

■前原誠司
  民主党の前原誠司です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、総理の施政方針演説について質問いたします。(拍手)
 昨年末から、豪雪によって全国的な被害が出ており、今まで百名以上の方が亡くなられておられます。お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被害に遭われている国民の皆さん方にお見舞い申し上げます。また、豪雪対策に当たっておられる関係者の皆様に心から敬意を表します。
 民主党も、豪雪対策本部を設置し、先日、私も新潟、長野両県を訪れ、関係者、住民の方々から御意見、御要望をお聞きいたしました。政府が、国の責任において、住民の安全確保と被害の拡大防止、そして、自治体への支援により一層の取り組みをされるよう、重ねて強く要請いたします。総理の決意を伺います。
 近年、地震や豪雨、台風や豪雪、大規模な災害が相次いでいます。テロなどへの対処を含め、我が党と自民、公明三党で緊急事態基本法を制定する必要性に合意しておりますが、自公両党の取り組みは、残念ながら、極めて消極的と言わざるを得ません。今国会中の成案を得るとの三党合意を、総理は自民党総裁として誠実に履行するおつもりなのか、お伺いをいたします。(拍手)
 政府・与党は、今国会を行革国会と命名していますが、私たち民主党は安全国会と位置づけています。行革、つまりは、税金の無駄遣いをなくし、より効率的、効果的な行政サービスを提供するよう不断の努力を行うことは当然ですが、それは単なる手段にすぎません。何を達成するための行革なのか、その目的が問われています。
 本来、国民の生命財産、生活の安心、安全を守る手段として行革は行われるべきです。しかし、小泉改革なるものは、小さな政府路線だからといって、障害者自立支援法の一律負担導入や、適正化に名をかりた生活保護の門前払い、打ち切りなどに見られるように、本来最も政治が責任を負うべき生活弱者を切り捨ててきました。その結果、セーフティーネットのところどころに大きな穴があき、人間の尊厳が失われています。
 そもそも、長期、短期合わせて一千兆円に及ぶ財政赤字は自民党政権の失政の結果であり、その四分の一は、小泉総理、あなたがつくったものではありませんか。そのツケを現役世代の頑張っている人たちに回して、所得格差は拡大をする、地域間格差は拡大をする、少子化に歯どめがかからない、そして教育における機会の平等まで奪われています。
 同時に、小泉政権は人権問題に極めて冷淡であります。我が国では、刑務所や入国管理施設における公権力の濫用、同和問題などの差別や子供の虐待、家庭内暴力など人権侵害が後を絶ちません。しかし、人権侵害を受けた方が迅速に救済を受けられる制度が確立していないため、多くの被害者が泣き寝入りを余儀なくされています。民主党は昨年の通常国会で、人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案を提出いたしましたが、成立には至っておりません。小泉総理は、人権侵害救済機関の必要性をどうお考えなのか、伺います。
 民主党は、官製談合や大型公共事業など、いまだに過大な公共投資にメスを入れるなど、徹底的に税金の無駄遣いをなくします。行革なくして増税なしを貫き通します。同時に、教育や社会保障へ税金の使い道を変え、コンクリートから人への流れをつくり出し、効率的だが人に温かい政治を実現するために、今国会でも、重要な政策では対案路線、提案型を貫く決意であります。(拍手)
 そこで、小泉総理に伺いたい。国会の議論を国民の目線で活性化させるためにも、我が党から出された対案、提案を、数に物を言わせてたなざらしすることなく、堂々と受けとめて、真摯な議論ができるように、自民党総裁としてその環境をつくるべきだと考えます。総理の所見をお伺いいたします。
 耐震偽装問題について伺います。
 そもそもこのような事件が起きたのは、無原則に官から民への流れを推し進め、本来公が担うべき責任まで自民党政治が放棄したからにほかなりません。官の責任放棄、民の倫理観の欠如、まさに必然的に起きた事件と言わざるを得ません。
 緊急避難的に補正予算で公的支援が打ち出されていますが、そもそもだれが責任を負うべき問題なのか、再発防止のためにもきちんとただされなくてはなりません。業者の責任は言うまでもありませんが、補償能力に限界のある中で、行政はどこまで税金を使うのか、その根拠は何か、国と地方での責任の所在をどう考えるのか、国民や国会に明快に説明をしていただきたい。
 しかし、事件の全容はいまだ解明されず、関係者が責任をなすり合ってあいまいなままです。十七日の証人喚問では、ヒューザーの小嶋社長は、刑事訴追の可能性に言及して多くの質問に答弁拒否をいたしました。テレビインタビューでは饒舌であったにもかかわらず、国会での証言は拒む。国民、国会を愚弄するなと言いたい。当然、再度の証人喚問が必要だと考えます。総理は同意されますでしょうか。
 また、事件に関連して、自民党の伊藤公介議員、伊藤信太郎議員、安倍晋三官房長官秘書などの名前が取りざたされていますが、国民の不信感を取り除くためには、これらの関係者の証人喚問、参考人招致も不可欠であります。
 与党は、民主党の再三にわたる証人喚問、参考人招致の要求には極めて非協力的で、一刻も早く幕引きをしようとする姿が見え見えであります。自民党総裁として、総理には、必要な証人喚問、参考人招致を含めて、事件の全容解明と対策に全力で取り組むことをお約束いただきたい。答弁を願います。
 あわせて、実名を挙げられた安倍官房長官にも、みずからの秘書の参考人招致も含めて、対応を伺います。(拍手)
 去る二十日、輸入された米国産牛肉に特定危険部位の脊柱が混入していたことが判明いたしました。これは、月齢管理、検査体制などが不十分なまま、アメリカ政府からの再三の要望にこたえるという政治的な判断で輸入再開を急いだ結果であり、総理の責任は極めて重大であります。
 民主党は、米国での昨年の現地調査とあわせて、かねてより、米国からの輸入牛肉に特定危険部位が混入する危険性を指摘してまいりました。にもかかわらず、政府は日米関係を優先して、最も守るべき国民の生命と健康をないがしろにしたのです。言語道断と言わざるを得ません。今回の件で、消費者の不安はさらに深まり、小泉政権の輸入再開がいかに無責任で拙速であったかが明らかになりました。日米関係も結果として傷つくことになりました。
 危険部位の混入があったわけですから、輸入の全面的即時停止は当然であります。さらに、民主党としては、前国会に提出したトレーサビリティー法案を早期に成立をさせ、輸入牛肉についても原産地、原産国表示を義務化し、国内産と同様の追跡義務をつけることが急務だと考えます。同時に、牛の月齢管理や厳格な検査体制の確立などが担保されなければ、絶対に輸入再開を認めるべきではありません。総理の良識ある答弁を求めます。(拍手)
 ここ数年、子供たちが被害者となる痛ましい事件が多発をしています。子供たちの安全対策は、特に今国会で徹底的に取り組むべき最重要課題であります。
 民主党は、対策として、学校及びその周辺の安全対策に関する国、地方公共団体、学校設置者の責務を定める学校安全対策基本法案を今国会に提出をいたします。
 残念なことは、子供を守るべき大人たちが安易に子供を傷つける時代になってしまったことです。子供を守るために、関係者が一体となって、古きよき日本の伝統であった、人のつながりを大切にする地域社会を再構築し、公の力を再生しなくてはなりません。それは、市民が地域活動に参加しやすい分権社会をどうつくるかにかかってきます。総理、子供の安全対策にどう取り組むのか、伺います。
 さらに、昨年は、JR福知山線、JR羽越線で、あってはならない事故が起こりました。亡くなられた方の御冥福を改めてお祈り申し上げます。
 政府は、この事故の教訓を受けて、公共交通機関の安全に対して、何を見直し、どのように取り組むのか、見解を伺います。
 さて、小泉総理の任期はことしの九月です。総理は任期どおりの退任を明言されていますが、国会の場でも確認をさせていただきたい。そうであれば、今国会が最後の国会となります。そこで、小泉総理に、御自身の実績あるいは未達となった課題について伺います。
 まず、ライブドアに関連して伺います。
 この事件は、証券市場を揺るがし、健全な投資家を欺く、極めて悪質かつ重大な事件です。徹底かつ厳正な捜査を望みます。
 多くの新興企業が、意欲とアイデア、そしてチャレンジ精神を持ち、日本経済に大きな活力を与えていることに、日本人の一人として誇りと頼もしさを感じます。頑張り続けてもらいたい、新たな人にどんどんチャレンジしてもらいたいと心底願っています。
 ただ、事件の根底に、小泉改革なるものによって、企業がマネーゲームに奔走し、経営やMアンドAに不可欠な、公正なルールや企業人としての基本的なモラルまでもが失われつつあるような気がしてなりません。偽装や粉飾までして利益を上げるという社会的風潮が蔓延しているのではないか、果たして現在の景気回復基調は本物なのか、虚構の上に成り立ったある種のバブルではないか、そういう強い危惧を禁じ得ません。反論があれば伺いたい。(拍手)
 昨年九月の総選挙は、ワイドショー選挙、劇場型選挙と言われ、その原動力になったのが、マドンナ、ホリエモンといった刺客候補でした。堀江貴文氏は自民党公認候補ではありませんでしたが、自民党本部で記者会見を行い、選挙期間中は武部幹事長や竹中大臣などが次々に広島六区に入り、公認候補以上の応援体制をしきました。いや逆に、自民党自身が堀江氏を、小泉改革の広告塔、総選挙の象徴的存在、ネット世代の若者を取り込む票寄せパンダとして大いに利用したのであります。武部幹事長は選挙後も、堀江氏には党運営のアイデアを提供してほしいと発言をしています。
 このような候補をうまく利用して膨れ上がった総理初め自民党は道義的な責任を免れることはできません。総理は素直に国民に謝罪をすべきであります。答弁を求めます。(拍手)
 民主党は、元祖改革政党として、改革の必要性を早くから訴えてまいりました。徹底した税金の無駄遣いをなくす真の改革競争に与党がようやく応じるようになったことを歓迎いたします。
 私は、公共事業、特別会計、公務員制度、分権、省庁再々編の五つの分野での改革を主張してきました。私から見れば、これらの分野での総理の改革はまだまだ手ぬるく、全体像が見えてこない。本当に聖域を設けず、既得権益を守ろうとする勢力ととことん戦う意識があるのか、総理の本気度を伺いたい。
 五つの分野のうち、公務員制度改革について伺います。
 総理は、施政方針演説で、簡素で効率的な政府として、公務員総人件費の削減、公務員数の五%以上の削減を言われました。しかし、単に削ればよいというものではありません。
 徹底した地方分権と民間やNGOなどとの役割分担を進め、また事業の統廃合を行うことによって、公務員人件費も人数も総理が言われる以上に減らせると考えます。民主党は、さきの総選挙のマニフェストで、結果として公務員人件費総額を三年で二割削減するとしました。
 総理は、具体的にどのような考え方に基づいて削減しようとしておられるのでしょうか。また、人件費総額はどれぐらい削減するおつもりですか。
 給与水準を民間の実態に合わせる一方で、公務員が励みを持って働けるような給与体系に改革することも必要です。そのためには、労働基本権を認める一方で、人事院勧告制度をなくすことがあるべき方向性だと考えます。総理の考えを伺います。
 他方、世間では、公務員は何をやってもやめさせられることはないと考えられていますが、国家公務員法七十八条に、「勤務実績がよくない場合」「心身の故障」「定員の改廃又は予算の減少」といった場合に公務員を分限免職できるという規定があります。しかし、過去の国会決議などによってこれまで余り適用されず、民間から見れば制度自体が形骸化しているとの指摘もあります。濫用があってはならないことは当然ですが、この法律条項が適正に運用されるようにすべきではないでしょうか。総理の考え方を伺います。(拍手)
 小泉改革には光と影の両面があります。とりわけ、国民の安全、安心や社会の公正にかかわるさまざまな事件、問題が発生し、国民の間に不安、不信、不公平感が広がっています。私は、改革とセーフティーネットを両立させ、人を大切にする社会こそが必要だと考えており、そうした観点から、小泉改革の影の部分について総理の認識を伺います。
 第一に、小泉改革は経済、雇用、生活を破壊いたしました。
 小泉総理の在任中に、GDPは五百十三兆円から二〇〇五年度には五百一兆円に減少しています。サービス業では五百三十万人雇用という当初の公約は、百五十万人にとどまり、全体の就業者数は七十七万人減少しました。
 この間の自殺者は七年間連続三万人以上で、生活保護世帯も七十五万世帯から百万世帯以上にふえました。勤労者世帯の実収入も減少し、国民の多くは景気回復を実感しておりません。このような指摘に対し、総理はどう反論されますか。お答えください。
 第二に、小泉改革で将来世代に莫大な借金が残りました。
 小泉総理の在任中に、百七十兆円の国債が増発され、国、地方の長期債務の総額は七百七十五兆円に達しました。短期を含めると約一千兆円に上ります。来年度の予算のプライマリーバランスの赤字は約十一兆円。これは森政権の平成十三年度予算とほぼ同じ規模であります。国債発行三十兆円以内も、最後に帳じりを合わせただけではありませんか。これでも、財政再建に貢献したと強弁されるんでしょうか。お答えください。
 第三に、小泉改革は社会の格差を拡大いたしました。
 小泉総理の在任中に、所得の不平等指数であるジニ係数は〇・四七から〇・五〇へと拡大をしています。二〇〇五年には、貯蓄がないという世帯の割合が約二三%に上り、一九五三年の調査以来最悪の数字となっております。
 さらに、雇用の現場では、いわゆるパート、アルバイト、派遣など正社員以外の雇用形態で働く人が増加する一方で、フルタイマー、正社員との賃金格差が拡大をしています。
 フリーター、ニートが定着し、下流社会、希望格差社会という言葉も登場しました。在任中にこのような社会を生み出した結果について、総理はどのように認識されているんでしょうか。また、民主党は、正社員とパート社員などとの格差を是正し、均等な待遇を実現するパート労働法改正案を再提出する予定ですが、雇用についての総理の認識、均等待遇についてのお考えを伺います。(拍手)
 第四に、小泉改革はセーフティーネットを壊しました。
 小泉総理は、最初の所信演説において、社会保障の三本柱である年金、医療、介護については、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を再構築すると約束しました。
 しかし、政府・与党が強行した年金改革は、単に給付を引き下げ、負担を上げ、そして支給開始年齢を引き上げただけで、抜本改革には全く値をいたしません。また、四〇%の保険料未納があり、将来の無年金予備軍を日々生み出している国民年金の改革には全くの手つかずであります。全国民が加入する、公正公平で持続可能な一元化された年金制度への抜本改革こそ急務ではないでしょうか。
 障害者自立支援法も、障害者に一律一割の負担を求め、障害者の自立をむしろ阻害するものになっています。さらに、今回進めようとしている医療制度改革も、医療のあるべき姿を論じることなく、診療報酬が過去最大に引き下げられたことを自慢しています。金を削ることが目的化され、患者の視点に立った医療制度が全く語られない。本末転倒と言わざるを得ません。
 少なくとも、現在、絶対数が不足をしている急性期診療の医師や看護婦、小児科医をどのようにふやして患者のニーズにこたえるべきと考えておられるのか、また、在任中の社会保障制度全体の見直しについてどう総括されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 第五に、小泉改革は、未来を担う子供たちの教育基盤を揺るがしました。
 総理は、就任直後、この本会議にて、明治初期の長岡藩の米百俵の逸話を持ち出し、教育重視のポーズを示されました。
 しかし、実際には、日本の義務教育に対する公的支援は一貫して低いままで、教育に対する財政支出は対GDP比で二・七%と、OECD諸国で最低の水準であります。教育現場が抱える難題を顧みず、三位一体改革の名前をかりて義務教育費総額の減額を強行しようとしている総理に、米百俵を語る資格は全くありません。(拍手)
 公立学校と私学の格差についても放置したままであります。私立学校生への公的支援は公立学校生の約三分の一と著しく少なく、保護者は過重な負担に耐えかねております。公立、私学に通う子供への格差是正、私立学校生に対する直接授業料補助制度についてどのようにお考えになるのか、伺います。
 一九七九年に我が国も批准した国際人権規約の高等教育無償化条項について、百五十カ国が批准をしておりますが、たった三カ国だけ留保しております。その中に日本も含まれております。なぜ留保しているのか、御答弁をいただきたい。
 徹底的な歳出の見直しを行うことなく、マニフェスト違反の定率減税廃止を断行しようとしていることも含め、小泉改革には多くの影の部分があります。表面上の株価や経済成長率など、多少はよくなっているように見えても、財政赤字の増大、国民の負担増、社会の格差の拡大、雇用やセーフティーネットの破壊、不十分な子供政策など、多くの問題点をさらけ出しています。
 総理の所信表明演説は、余りにも自画自賛が過ぎました。実績を必要以上に誇るのではなく、今後取り組むべき課題、積み残した問題を真摯に語るべきです。みずからの五年間の影について、率直に語っていただきたい。
 次に、外交問題について伺います。
 まず、北朝鮮問題について、昨年末の日朝政府間協議の結果、今月末にも、拉致問題、核・ミサイル問題、国交正常化問題に関する並行協議を開催することが合意されました。
 この間、拉致事件について、外国人も含む新たな拉致被害者の存在や、辛光洙容疑者を初め、複数の拉致実行犯の名前が挙がっています。協議再開の前に、北朝鮮に対して、新たな拉致被害者に関する情報提供、拉致実行犯の速やかな引き渡しをどのように実現をするのか、伺います。
 また、安倍官房長官は今まで、拉致問題の進展がなければ北朝鮮に対して経済制裁を行うべきだと主張されてきました。その考えに変わりはありませんか。ないとすれば、いつのタイミングで経済制裁を行うべきと考えるのか、答弁を求めます。
 九月の六者協議で北朝鮮の核放棄に関する共同声明が採択されたものの、その後、実際には何の進展もありません。共同声明の内容実現と今後の六者協議に向けて、総理は、残された任期中、どのように対応されるおつもりなのか。また、拉致、核、ミサイルなどの全面的解決なくして国交正常化を急ぐ必要性は全くないと考えますが、総理の決意をお聞かせください。(拍手)
 昨年十一月、京都において日米首脳会談が開かれ、その場で小泉総理は、日米関係が緊密であれば中国や他のアジアの国々との関係はおのずとうまくいくといった趣旨の発言をされました。日米関係が日本にとって最も重要な二国間関係であることには同意いたしますが、日米関係だけをてこに、中国や韓国、他のアジアの国々との関係がうまくいくとは到底思えません。アジアと良好な関係にあり、影響力を行使できる日本とそうでない日本とでは、同盟のパートナーとしてアメリカは、どちらの日本を高く評価するでしょうか。答えは明らかです。日米首脳会談において、ブッシュ大統領から、中国や韓国との関係改善を求める発言があったと聞いていますが、事実をお聞かせください。
 私は、昨年十二月、中国を訪問し、腹蔵なく意見交換をしてまいりました。私が中国の軍事力増強や最近の動向を見て、現実的脅威と認識していることも伝えました。多くの国民が脅威に感じていると。しかし、それは敵視政策ではありません。お互いが関心を持つ現実の課題を率直に語り合うことによって、日中関係を改善、前進させることができると私は確信しています。(拍手)
 翻って、親中派と言われる議員たちが日中友好を口にするだけで、日中間に横たわる現実的な問題を今まで解決してきたのでしょうか。
 昨年の訪中で、民主党は、中国共産党と相互訪問による定期協議をスタートさせることに合意しました。中国の環境汚染、エネルギー効率の悪さ、鳥インフルエンザ、HIVなどの感染症対策、北朝鮮の核問題、そして私が提起した軍拡競争をお互いが引き起こさないための軍事交流がそのテーマです。率直に話し合い、相互に理解をし合い、真の信頼関係を構築したいと考えております。
 総理に提案をさせていただきたい。日中両国の次官級交流を定期協議化させ、環境、エネルギー、感染症、北朝鮮問題、軍事交流など、お互いの共通利益につながるテーマを議論し合うべきではありませんか。また、それを軌道に乗せ、アメリカと中国で行われている外務次官級の包括対話と時には合わせて、日米中三カ国で包括的な協議の場をつくり、率直な意見交換を通じて、アジア太平洋地域の安定、発展のために協力する必要性があると考えますが、総理の見解をお聞かせください。(拍手)
 終わりに、総理大臣が靖国神社に参拝することを国民のおよそ半分が賛成をし、半分が慎重にという気持ちを持っております。慎重にであって反対ではないところがこの問題の本質だと私は考えております。小泉総理が言われるように、日本人の多くは、戦争で亡くなられた方々のみたまをしのび、そして感謝する気持ちに満ちあふれています。そして、みたまに思いをはせることにより、不戦の誓いを新たにしています。
 では、なぜ慎重論も多いんでしょうか。私は、A級戦犯が合祀されていることにその理由を見出します。さきの大戦で多くの方々が国内外で亡くなられました。その時代が帝国主義によって支配をされていたにせよ、日本が侵略と植民地支配を行ったことは事実であります。政治が結果責任を求められる以上、当時、国政の中枢を担っていただれかが責任をとらなければなりません。A級戦犯がそれに完全に合致するとは思いません。東京裁判の正当性への疑問、あるいは、A級戦犯でも絞首刑になった人もいれば、名誉回復して勲一等をもらった人もおり、公平性の観点からすれば当然異論はあるでしょう。しかし、日本はすべてをのみ込んでサンフランシスコ講和条約を受け入れ、国際社会に復帰をいたしました。ことしは国連加盟五十周年に当たります。
 人の足を踏んだ人は、どんなに想像力を働かせても、足を踏まれた人の痛みを理解することはできません。他国から言われて靖国参拝を自粛するのではなく、我が国の大局的な判断によって、A級戦犯が合祀をされている間は、総理や官房長官、外務大臣は参拝しないという政治風土を築かれるべきだと私は考えます。
 小泉総理、そしてその後継者が、靖国問題に関して大局的な判断を下されるように切に要望し、なお答弁が不十分であれば再質問を行うことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 前原議員に答弁いたします。
 豪雪対策でございますが、被害に遭われた方々や今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
 今般の寒波、大雪については、既に昨年末より、政府・与党連携して速やかな対応に当たっております。去る十九日には、人命の被害防止、国民生活の安全等に遺漏なきよう、各大臣に改めて指示したところであります。
 例年はこれから雪が多い時期であり、集落孤立などの発生も予想されるところから、被害の拡大防止のため、今後とも、災害救助法による支援、自衛隊の迅速な派遣、補助金の緊急配分など種々の対策を講じてまいります。
 緊急事態基本法につきましては、一昨年五月の三党合意、昨年八月の三党からの申し出に基づき、政府において、いわゆる有事を初めとする国家の緊急事態への対処のあり方等について検討しているところであります。法案の提出については、これらの検討を踏まえ、適切に判断してまいります。
 人権救済制度についてのお尋ねでございますが、政府・与党内でさらに検討を進めまして、人権侵害被害者の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるよう努めてまいります。
 民主党の提案に関する国会での議論についてでございますが、国会は、与野党議員あるいは政府から提案された議案について与野党で議論する場であり、野党も与党案や政府案に反対するばかりでなく、対案を提出して、与野党で活発な議論がなされることが望ましいことは、前原代表の言うとおり、言うまでもありません。
 実際の国会運営は、各党各会派が協議しながら行っているところであり、直面する重要な課題について、国会において建設的かつ活発な議論が与野党間で行われることを期待しております。
 耐震偽装マンションの居住者に対する公的支援措置についてでございますが、危険な分譲マンションの居住者について、その安全と居住の安定を確保することは、緊急に取り組むべき課題であります。
 売り主である建築主が契約上の責任を誠実に履行する見通しが全く立っていない現状では、売り主に対する徹底した責任追及を前提に、類似の財政措置との均衡にも配慮した上で、居住者に対する公的な支援を行う必要があるものと考えております。
 具体的には、ローンや税負担の軽減策に加えて、既存の法律に基づく地域住宅交付金を活用し、地方公共団体に対し国が助成を行って、相談、移転から取り壊し、建てかえに至る総合的な支援措置を講ずることとしております。
 なお、関係者の法的責任については、今般の支援措置とは別の問題であり、事件の全容が解明された後に明らかになるものと考えております。
 耐震強度偽装問題に関し、証人喚問などを含め、事件の全容解明と対策への取り組みについてでございますが、証人喚問、参考人招致の取り扱いについては、院の運営に関する問題であり、国会においてよく議論していただきたいと考えております。
 政府としては、マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を払拭するため、実態の全容を早急に把握すると同時に、書類の偽装を見抜けなかった建築確認検査制度を総点検し、早急に見直しが必要なものについては、今国会において制度の改正を行うことといたします。さらに、建築物の耐震診断や耐震改修に対する支援措置を講じて耐震化を促進し、事件の再発防止と建築物全般にわたる安全性、信頼性の確保に全力で取り組んでまいります。
 米国産牛肉輸入に関してでございますが、一月二十日に、輸入された米国産牛肉に危険部位の混入が確認されたため、直ちにすべての米国産牛肉の輸入手続を停止いたしました。輸入を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、二度とこうしたことが起きることのないよう、国民の食の安全、安心を大前提に、米国に対し、原因究明と再発防止を求めております。
 なお、輸入牛肉にトレーサビリティーを義務づけることは、国際協定との関係で問題となることも考えられ、慎重に検討する必要があると考えております。
 子供の安全対策についてでございますが、既に昨年十二月に、全通学路の安全点検、地域ボランティアの充実、路線バスの活用などを内容とする緊急対策六項目を盛り込んだ「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議においてその着実な推進を確認したところであります。
 今後とも、子供が健全に育っていくことのできる社会の実現に向け、努力してまいります。
 公共交通機関の安全についてでございますが、公共交通機関の安全確保は、国民の公共交通に対する信頼の根本をなすものであります。先般の列車事故のような悲劇を二度と繰り返さず、とうとい人命を事故から守るためには、すべての交通分野において、運転士の資質向上など人にかかわる対策、安全を最優先する企業風土の徹底など企業にかかわる対策、施設等の安全基準など制度にかかわる対策について不断の見直しを行いつつ、総合的に施策を講じていくことが重要であります。
 政府としては、今国会において、最近の事故等を教訓に、事業者における安全の取り組みを強化するための制度改正を行うこととしており、引き続き公共交通機関の安全の確保に向けて全力を尽くしてまいります。
 私の任期についてのお尋ねでございますが、私は、ことし九月の自民党総裁任期をもって総理大臣を退任いたします。残された任期いっぱい、内閣総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くしてまいります。
 景気回復の基調は本物なのかとお尋ねでございます。
 日本経済は、二〇〇二年一月以来、消費や設備投資といった国内民間需要中心の緩やかな回復が続いております。こうした背景には、好調な世界経済に加え、不良債権処理の進展や雇用、設備、債務の三つの過剰の解消に見られるように、企業部門の体質が強化され、収益や設備投資の増加が続いていること、また、企業部門の好調さが雇用、所得環境の改善を通じて家計部門にも及んでいることが挙げられます。このように、実体経済における景気回復の基調はしっかりしているものと考えております。
 衆院選で堀江氏を応援したことについてお尋ねでございますが、堀江氏の関連企業については、現在捜査当局による捜査が行われているところであり、その状況を見守っていきたいと思います。違法行為があれば、これに厳正に対処すべきことは当然であります。
 なお、この件と、昨年の衆議院総選挙において自民党幹部などが堀江氏を応援したこととは別の問題であると考えております。
 改革への覚悟についてでございますが、私は、総理に就任して初の所信表明演説で、「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを確立していきたい」と申し上げました。
 これまで改革を進める際には、総論賛成、各論反対に直面し、現状を維持したい勢力との摩擦、対立が起こりましたが、政治は一部の利益を優先するものであってはならず、国民全体の利益を目指すものでなければならないとの思いで、政界のタブーと言われた郵政民営化を初めとした改革を進めてまいりました。
 今後とも、簡素で効率的な政府を実現するために、これまでの方針に基づき行政改革を推進していく考えであり、民主党からも建設的な対案をいただきたいと考えております。
 国家公務員の総人件費につきましては、政府の規模の大胆な縮減に向けて、対GDP比で見て今後十年間でおおむね半減させるといったような長期的な目安も念頭に置きながら、改革を進めてまいります。
 こうした方針のもと、今後五年間の取り組みとして、定員については厳格な定員管理を行うとともに、民間の有識者の知見も活用しつつ業務の大胆かつ構造的な見直しなどを断行いたします。
 また、給与についても、人事院において早急に検討を行い、政府として、厳しい財政状況を踏まえ、給与水準の民間準拠を一層徹底するなどの給与制度改革に全力で取り組みます。
 なお、地方公務員の定員、給与についても同様の取り組みを要請してまいります。
 公務員の労働基本権につきましては、その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約がなされており、人事院勧告制度はこれに見合う代償措置として設けられております。こうした点を踏まえつつ、国民意識や給与制度改革の進捗状況等も踏まえた幅広い観点から、公務員制度に関する課題の一つとして十分に検討を行うべきものと考えております。
 国家公務員法第七十八条の分限処分についてのお尋ねでございますが、分限制度は、勤務実績がよくないなどの職員を本人の意に反して処分を行うものであります。職員の利益擁護の観点から濫用を戒めてきた過去の附帯決議や裁判例も踏まえつつも、前原議員御指摘のように、適切に運用することにより、公務の適正かつ能率的な運営の確保に努めていく必要があると私も考えております。
 景気回復の実感がないのではないか、小泉改革によって格差が拡大したのではないかとのお尋ねでございますが、我が国経済は、企業部門の改善を受けて、家計部門において、失業率の低下、有効求人倍率の上昇、好調なボーナスなど賃金の緩やかな増加、消費者マインドの改善といった改善の動きが進むなど、着実に景気回復の道を歩んでいると考えております。
 所得や資産の格差の問題については、こうした状況においても、予算、税制、規制改革などの検討に当たっては、よく注視していく必要があると考えております。
 この点について、近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、統計データからは、所得再分配の効果や高齢者世帯の増加、世帯人員の減少といった世帯構造の変化の影響を考慮すると、所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されていないとの報告を受けております。
 しかしながら、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまで、ニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております。
 引き続き景気の回復を図るとともに改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力が発揮され、国民一人一人が将来の夢と希望を実現できる活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組むことが重要であると考えております。
 財政再建についてでありますが、私は、就任以来、財政健全化に向けて徹底した無駄の排除に取り組んできたところであり、公共事業費を約四割削減するなど、十三兆円を上回る歳出改革を進めてまいりました。
 また、十八年度予算においても、一般歳出の水準を二年続けて前年度以下にするとともに、基礎的財政収支も三年連続で改善しております。さらに、民主党が二〇〇八年度予算において実現するとされた国債発行額三十兆円未満も、二年前倒しして実現したところであります。(拍手)
 今後の課題は、引き続き簡素で効率的な政府を目指して徹底した行財政改革を行うとともに、持続的な経済活性化を実現していく上で財政がその足かせとならないようにするため、高齢化により増加する社会保障の財源をどう賄うか、また膨大な債務をどうすべきかといった点も含め、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことであると考えます。
 このため、本年六月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものといたします。
 パートタイム労働者などの雇用についてでございますが、近年、正社員が減少する一方、パートタイム労働者などいわゆる非正規労働者が増加しております。
 こういった事態に対処するため、政府としては、均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化や公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及など、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めてまいります。
 なお、法規制の強化については、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要と考えております。
 年金制度の改革でございますが、年金制度については、平成十六年の制度改正により持続可能な制度とすることができたと考えておりますが、引き続き、国民年金保険料の未納、未加入対策の強化や、社会保険庁の改革などに取り組んでいるところであります。
 国民年金を含めた一元化については、事業主負担をどうするのか、所得の捕捉をどうするかといったさまざまな課題があり、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現することが重要であると考えております。このため、被用者年金一元化について、四月末を目途に基本方針を閣議決定することができるよう、早急に検討を進めてまいります。
 いずれにせよ、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があることから、与野党が胸襟を開いて協議を行い、意見の相違を埋める努力をすることが重要であり、早急に民主党も参加して両院合同会議における議論が再開されることを期待しております。(拍手)
 小児科医師等の確保についてでございますが、小児医療、救急医療の分野における医師等の確保につきましては、今般の医療制度改革において医療計画制度を見直し、地域の医療関係者の協力のもと、小児医療対策、救急医療対策などの事業ごとに具体的な医療の連携が確保されるようにするとともに、平成十八年度診療報酬改定において、小児医療等の医療の質の確保に配慮し、急性期医療の実態に即した看護配置を適切に評価した改定を行うこととしており、こうした総合的な対策により対応してまいります。
 社会保障制度全体の見直しの総括でございますが、年金、医療、介護等の社会保障制度については、少子高齢化が進展する中で、世代間の公平性を確保し、それぞれの制度の持続可能性を高める必要があり、こうした観点から制度全体の一体的な見直しに取り組んでまいりました。
 具体的には、平成十四年には医療制度改革、平成十六年には年金制度改革、平成十七年には介護保険制度改革を実施したところであります。
 さらに、増大する医療費の適正化を推進し、新たな高齢者医療制度の創設等を内容とする医療制度改革関連法案を今国会に提出するとともに、年金改革の残された課題である被用者年金の一元化について、先ほど申し上げたとおり、基本方針をできるだけ早く取りまとめたいと考えております。
 また、少子化対策についても、平成十六年末に子ども・子育て応援プランを策定するとともに、今国会には児童手当の拡充などを内容とする改正法案を提出する予定であります。今後は、こうした取り組みを踏まえながら、さらに少子化対策を強力に推し進めることとしております。
 今後とも、社会保障制度の構造改革を進めてまいりたいと考えております。
 公私立学校間の負担格差の適否及び直接授業料補助制度についてでございますが、公立学校に比べて私学に係る教育費負担が大きいという問題については、これまでも私学助成や奨学金事業など各種支援策を実施してまいりました。
 今後とも、教育費負担の軽減に努めることは必要であり、家庭に直接補助する教育バウチャー制度についても、これまでの実施例を参考にしつつ、その意義や問題点などについて今後さらに研究、検討を行ってまいりたいと考えております。
 国際人権規約についてでございますが、我が国の高等教育機関への進学率は、奨学金事業等の支援により、先進国の中でも高い水準である七六%にまで達しております。今後とも、高等教育を受ける機会の確保について適切な施策を講じてまいります。
 なお、高等教育無償化条項については、無償化のための財源をどのように賄うか等の問題もあることから、留保しております。
 日朝包括並行協議についてでございますが、日朝包括並行協議では、拉致、安全保障、国交正常化の各問題を取り上げ、日朝関係の全般的な進展を図る考えであります。その中で、特に最優先課題である拉致問題に関し、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引き渡しを北朝鮮側に強く求め、問題解決に向けた具体的前進を図るべく最大限努力してまいります。
 また、拉致問題の解決のためには国際社会との連携も重要であり、拉致被害者が存在するとされる国との間で情報交換や意見交換を引き続き行っていく考えであります。
 六者会合については、政府としては、北朝鮮による核問題の解決のためには、六者会合を通じた平和的解決が依然として最も現実的かつ最善の対応であると考えております。
 政府としては、議長国の中国や米国、韓国と緊密に連携し、まずは六者会合の早期再開を図り、その上で、北朝鮮の核廃棄の実現のため、昨年九月の共同声明の早期実施に向け最大限努力してまいります。
 日朝国交正常化についてですが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決なくして国交正常化なしとの政府の方針は一貫しています。今後行われる日朝包括並行協議においてもこの方針にのっとって臨んでまいります。
 日米首脳会談における中国及び韓国との関係に関するやりとりについてのお尋ねでありますが、私は、十一月の日米首脳会談では、日米関係がよければよいほど各国との関係もよくなっていくべきものであると。日米関係がよければ各国との関係はどうでもいいなんということは一言も言っておりません。そこを誤解しないでいただきたい。これに対して、ブッシュ大統領は、賛成である、良好な日米関係があるからこそ、中国も、日本及び米国との関係をよくしていかなければならないと思うのではないかとの発言もありました。私の発言の趣旨を誤解せず、曲解せず、正確に受けとめていただきたいと思います。(拍手)
 前原代表も、日米関係は重要であるという、その上に立って、中国や韓国等の各国との関係も進めていくべきだという考えについては、それほど反対しないのではないかと思っております。
 私は、日米関係の良好の上に立って、これからもアジア諸国、世界各国との関係を引き続きいい関係に持っていくよう努力してまいりたいと思います。
 日中間の協議でございますが、谷内外務事務次官と戴秉国・中国外交部副部長との間では、中長期的視点に立って、日中二国間関係、地域・国際情勢について議論するために、日中総合政策対話を昨年五月よりこれまで三回実施してきており、次回の会合を近く実施する方向で調整しているところであります。引き続き、幅広い分野において日中間の忌憚のない意見交換を間断なく行っていく考えであります。
 日米中三カ国の協議についてでございますが、日米、日中、米中間で幅広い分野において意見交換を実施し、日米中三カ国間で意思疎通を促進させることは、アジア太平洋地域の安定、発展のために有意義なものと考えます。日米中三カ国による包括的な協議の場をつくるとの考えについては、一つの提案として承っておきたいと思います。
 前原代表が民主党の党首、代表に就任して以来、単に自民党や小泉内閣を批判するばかりでなく、建設的な提案、対案を行っていきたいということについては、私は歓迎しております。前原代表も御苦労が多く、大変だと思いますが、党内の抵抗勢力に負けずに、民主党を将来、政権担当できるような政党にしていくよう指導力を発揮していかれるよう、私も心から期待しております。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

■国務大臣(安倍晋三君)
  前原議員にお答えをいたします。
 まず、耐震強度偽装問題への対応についてお尋ねがありました。
 私自身、小嶋氏との面識は全くなく、また私の秘書も、国土交通省への働きかけを含め、問題になるような対応は一切しておりません。
 耐震強度偽装問題への政府としての対応については、総理大臣から答弁があったとおりであります。参考人招致については、院の運営に関する事柄であります。しかしながら、私の秘書の参考人招致については、私は全く必要ないと考えております。
 次に、北朝鮮に対する経済制裁についてお尋ねがありました。
 日朝間の諸懸案の解決に向けた政府の基本方針は、対話と圧力です。日朝間の諸懸案の解決のためには、北朝鮮と対話を進めると同時に、圧力となる施策も必要です。この点につき、私の考えは一貫しています。北朝鮮への圧力を考える上では、いかなる措置をいかなるタイミングで講じるかが、問題解決に向け最大の効果を上げるかとの観点から重要であります。
 政府としては、今後立ち上がる拉致問題に関する協議において、北朝鮮に対し、生存者の帰国、真相究明、容疑者引き渡しを強く要求し、北朝鮮側の誠意ある対応を強く求めてまいります。(拍手)

■議長(河野洋平君)
  前原誠司君から再質疑の申し出があります。残り時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。前原誠司君。
 〔前原誠司君登壇〕

■前原誠司
  幾つか質問をしたいことがございますけれども、時間の関係で一点だけにとどめさせていただきます。
 まず、光と影の、影の部分についての答弁がなかったことについては、これは再質問ではなくて、答弁漏れということで答弁をいただきたいと思います。
 一点、先ほど私は、証人喚問、参考人招致につきまして、自民党総裁としての総理の考え方を伺いました。院の運営については、当然ながら、議運や国対あるいは担当の委員会の理事が話し合うことでございますが、党の責任者としてどう考えるのかということを私は伺いました。
 特に、伊藤公介議員の場合におきましては、この間の記者会見で、自分はその中身について知らなかった、そういうお答えをされておりました。本来、政治家というものは、さまざまな方から要望を受ければ、それについて、役所に通すべきものなのかどうなのかということを自分がまず判断をしてから、そして役所に要望するしないを決めるのが政治家としてイロハのイではありませんか。それをやらないままで、献金を受けていた、パーティー券を買ってもらっていた、そして自分の子供が仕事をもらっていた、そういうことをはっきりさせなければ、これは耐震強度偽装の問題ではなくて、政治の金の問題につながると私は考えます。
 だからこそ総理は、自浄能力を発揮して……

■議長(河野洋平君)
  前原君、申し合わせの時間が過ぎましたから、簡単に願います。

■前原誠司
  伊藤公介議員の証人喚問に応ずべきということを、自民党総裁としての考えをもう一度述べていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)
 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  前原代表の再質問については、すべて答弁しております。
 念のために、あえて再質問されましたから再答弁いたしますが、耐震強度偽装問題に関してどうか、証人喚問についてもどうかという質問に対して私は、先ほどのように全部答弁するとまた時間の関係で、一部省略いたしますが、政府としては、マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を払拭するため、制度改革等を含め全力を今後とも尽くしてまいります。
 そのほか、十分答えております。
 また、証人喚問につきましても、証人喚問、参考人招致の取り扱いについては、院の運営に関する問題であり、国会において議論していただきたいと答弁しております。
 また、小泉内閣の改革の影の部分についてでありますが、これは、格差が拡大したのではないかという答弁の中にも、いろいろ統計データにつきましては、そのような明確な格差の拡大は確認されていないという報告を受けている。しかしながら、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまでニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております、今後とも努力していくという答弁を、かなり細かく答弁しております。
 また、小泉改革の影に関してでも、パートタイム労働者の雇用について、これは非正規労働者が増加しておりますが、こういう問題については、法規制の強化等についていろいろ御意見もありますが、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要であるといったように、かなり具体的に細かく答弁しております。(拍手)