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国家基本政策委員会合同審査会 2005/10/26

■会長(今泉昭君) 
 民主党代表前原誠司君。(拍手)

■前原誠司
  民主党の前原でございます。
 先週は、日本の外交そして安全保障の問題について議論させていただきました。安全保障といいましても国の安全保障の問題について議論をいたしましたけれども、今日は冒頭、人間の安全保障について議論をさせていただきたいというふうに思います。
 人間の安全保障というのは、国連でもよく使われる話でございますけれども、それぞれの人間が感染症や、あるいは貧困あるいは人権といった問題に対してどう守られているか、守るべきであるかということがしっかり議論をされるべきだという観点から人間の安全保障という概念が生まれたと私は認識をしておりますけれども、その観点から日本の取組について幾つか総理にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、BSEの問題について質問をさせていただきたいと思います。
 結論から申し上げますと、私は拙速な米国産の牛肉輸入再開には反対でございます。食の安全の問題というのは極めて重要な問題でございますが、この食の問題について私が幾つか総理に対して申し上げたいのは、まず、この食品安全委員会プリオン専門委員会でこの間議論がされて、結論は最終的に出なかったということでありますが、二つの条件を付けております。一つは、輸入牛を生後二十か月以下に限定するということが一つと、もう一つは、脳や脊髄などの危険部位を除去をすると、これが行われればいいんだという話でありますけれども、ただしそれがしっかり行われることが前提であるということがこのプリオン専門委員会でも言われております。
 そこで、総理にお伺いしたいのは、私がこの問題について知り得る限りでは、例えば二十か月以下の牛というものが、果たして確実にこの牛は、すべてその入ってくる牛は二十か月以下だというような証明ができるのかどうなのか。あるいはその危険部位の除去ということについても、アメリカ自身が調査をした内容について、千か所以上でその内規の違反があると。つまりは、危険部位の飛び散りみたいなものがあるんだという話が行われておりますし、また、前提として禁止をされるべきであると言われている、いわゆる交差汚染ですね、牛には肉骨粉を与えないけれども、しかしアメリカでは鳥、豚、そういったものに与えられて、そしてそれが交差汚染というものを引き起こすようになるんじゃないかと。こういう心配がある中で、しかしこの結論がまとまろうとしているわけでありますが、それについての総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 食の安全というのは、今御指摘のBSEだけでなく、人間の健康に関する大変、極めて大事な問題であります。
 日本とアメリカにおきまして、基準は違いますが、日本の基準に合わせてもらおうということで、御指摘のようなアメリカが遅過ぎるという対応におきましても、日本としては、これは食の安全にかかわる問題であるからしっかり科学的な判断が必要だということで、丁寧な手続を踏んだ対応をしてきたわけでございます。
 もとより、日本の牛というのは全部人工授精、アメリカは放牧が多いという違いはありますけれども、人間の口に入るからにはその基準を合わせなきゃならないということで、まず危険部位の除去と二十か月以下の牛についてしっかりとした安全基準を守るならば輸入再開しようということで進めておりますので、今の御指摘を踏まえて、しっかりとした対応を取って、早く日本の国民も安全な外国の肉、アメリカの肉も含めて食べられることができるような対応を整えるように、日米両国しっかりとした協議を進めていきたいと思っております。

■前原誠司
  今総理のおっしゃった日本の基準に合わせてということであれば、私はもっと早く解決していたと思いますよ。なぜなら、日本の基準に合わないことをやろうとしているわけでしょう、今。つまりは、日本の基準に合わせてやろうとすれば、アメリカで全頭検査させればいいんですよ。日本の基準と違うことをやろうとしているから時間が掛かって、結果的にはそれのリスク評価、リスク管理というものが問題になって結論がここまで長引いているというのが事実じゃないですか。
 したがって、この日本の基準ということを、総理が今正におっしゃったようなことを貫かれるんであれば、私は、全頭検査、そして日本で行っている基準を履行する業者だけ日本への輸出は認めるということにすれば、もっと早くすんなり解決したんじゃありませんか。その点について、答弁。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  いや、それは誤解であります。
 日本の基準は、危険の部位を除去すること、二十か月以下の牛であること、こういう基準があるわけですから、それに適応できるようにアメリカも対応してくださいということであります。

■前原誠司
  いやいや、私が申し上げているのは、全頭検査の話をしているわけです。つまりは、アメリカの業者の中でも全頭検査はやりますと、日本に輸出するものについては全頭検査を受けるという業者もあるわけですよ。そういう業者があるにもかかわらず、違った基準の中でアメリカの言われることについて妥協しようとするからこういう問題になっているわけですよ。
 実際、この問題について言えば、例えば輸入再開反対六七%、これ、ある新聞の調査でありますけれども、反対が六七%、賛成が二一%。これは実は、私もこの牛の問題については現地の調査も過去にしたことがありますし、屠殺場にも、デンバーの屠殺場にも行ったことがありますけれども、そういうものについてきっちりやられるかどうかについては極めて疑問でありますよ。
 例えば、車なんかでいえば、日本で売るために、昔は左ハンドルだったものが右ハンドルになって日本で売れるように努力するとか、あるいは日本の排ガス基準に合わせるということで、日本の基準に合わせるのが本来であれば当然の話じゃないですか。その中で、実際問題、日本がその基準に合えばどうぞどうぞ輸出してくださいと、日本であれば輸入しましょうと、こういうことになるわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、その基準一つ取っても先ほどお話があったように、この交差汚染の問題、それから、いわゆる二十か月以上のものについてもそれが混じってないかという問題、あるいは千か所以上の屠畜場においてその危険部位の取り除きについては問題があると。これアメリカ自身が言っているわけですよ。だから、そういうものについてのリスク管理がしっかりされていない状況で日本の基準って幾ら騒いだって、それが守られるかどうかという証明はどうやってやるんですか。だからそれが、そういうことがしっかりと確認されないまま行うことについては反対だと申し上げている。
 それを、きっちりと大丈夫だという根拠を、じゃ逆に示してください。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  日本の基準、この基準に合わなければ、アメリカの畜産業界にしても牛肉業界にしても日本に輸出することはできないというのは分かっているはずであります。今、日本の基準、申し上げましたように、危険部位を除去すること、二十か月以下の牛であるということ、そしてそれがはっきり証明されなければならないということ、こういうことについては日本に基準に合わせないと輸出できませんから、日本に。こういう点については、日本としてもしっかりとした対応をしていきたいということでございます。

■前原誠司
  ブッシュ大統領が来られる前にこの話をまとめるということであろうかと私は思っております。私は、先週申し上げたように日米同盟関係は極めて重要だと思ってますが、事、食の安全の問題を置き去りにしたまま、あるいは今おっしゃったように、日本の基準でやりますといってそれが本当に担保できるかどうかということが分からないまま、大統領が来られるからその前に合意を見るような拙速なやり方というのは、私はいかがなものかということを申し上げたいと思う。
 そして、例えばそのBSEの問題で、実際問題、日本でそういった被害が出た場合、これは動物から人間の問題だけじゃなくて、人間から人間への感染ということもあり得るわけですよ。そのときにどういうような判断をするのかという問題も私はあるわけでありまして、そういう意味では私は、この大統領の訪日に合わしてこういった問題を片付けようとする、あるいはまだまだ十分な説明がされていない中で、日本の基準に合わせるから大丈夫だというそのしっかりとした証明がされてないから国民は六七%も反対しているんじゃないですか。心配を持っているんじゃないですか。そのことをしっかりと、私はもう一度しっかりと示されるように求めておきたいというふうに思います。
 後で、その問題について更に言われたいことがあればどうぞおっしゃってください。
 この人間の安全保障の問題について、もう一つ私は申し上げたいことがあります。それはアスベストの問題であります。
 このアスベストについて、私はちょっと調べて愕然とするものがありました。これ、何かといいますと、WHOやILOでこの石綿についての危険性、職業がんの発生を指摘したのは一九七二年であります。そして、日本では労働省が一九七五年に石綿の天井などへの吹き付け作業を原則禁止すると、これ一九七五年です、そういうことを言っている。そして、これが私はたまげたんですが、建設省が、旧建設省、建設省が国有建物の非アスベスト化ということで、自分たちの役所を造る、自分たちの関連の建物を造る場合においてはアスベストを使っちゃいけないよということを一九八七年にやっているんですね。それで、実際問題、去年の全面禁止、原則禁止に至るまで、例えば学校や保育園という子供たちが一日じゅういるようなところについては、ずっとそれが放置されてきたわけですね。つまりは、自分たちの役所については危険だから、放置をしておいて、そして実際問題、原則禁止は去年ということでありまして、これは私は非常に大きな問題だというふうに思います。
 WHO、ILOの指摘から三十二年、そして建設省が自分たちの建物の非アスベスト化方針を決めてから十七年間もたってようやく原則禁止ということにしていると。これはどう考えても私は行政の不作為、無策、そして怠慢としか言いようがないと思うんですね。これはHIVと、私、同じ構図だと思いますよ。
 つまりは、こういうほったらかしにしておいたことがどんどんどんどん問題を大きくしてしまった。この政府の責任は重いと思いますけれども、政府の、総理の答弁を求めたいと思います。

■ 内閣総理大臣小泉純一郎
  先ほどのBSEの問題について、ブッシュ大統領の日本訪問に合わせてやっているのではないかというのは誤解であります。そう何でも悪い方に決め付けないでいただきたいと思います。ブッシュ大統領との会談は会談、BSEに関する食の安全、これはまた食の安全というものをしっかり配慮していかなきゃならない。それまでに解決しなきゃならないということではありません。ブッシュ大統領との会談につきましては、広範な基本的な日米関係の問題が議論されるわけであります。
 また、今アスベストの問題でありますが、長年にわたって被害に悩まれた方々の苦痛は察するに余りあります。確かに、御指摘のとおり、この問題が、長年危険性を承知することなく、しっかりとした対応を取れなかったことについては反省すべき点があったと私も認めております。そういう観点から、今この問題につきまして民主党はたしか法案を準備されていると聞いております。政府といたしましても、各省庁に範囲がわたっているものですから、しっかりと準備を進めて、来年の通常国会、できるだけ早い機会にこの体制を、対応策を取るように法案の準備を進めているところでございます。


■前原誠司
  今おっしゃったように、来年法案の提出予定ということで、我々はこの中皮腫、アスベストの対策については今国会で法案を提出をさせていただきました。内容については後で少しお話をさせていただきたいと思いますが、私が申し上げたかったのは、申し上げたいポイントというのはこういうことなんです。
 つまりは、この石綿と関連が深いとされる中皮腫で二〇〇四年に亡くなられた方が九百五十三名、そして一九九五年、ですから約十年前は五百人ということでありまして、五百人でも私はかなりの数だと思うんですね。それが約十年間で倍になっているということでありまして、つまりは、長年の業界の隠ぺい体質、そして先ほど申し上げたように政府の無策、そういったものが私はこの被害を拡大をさせているんだろうと思います。
 確かに潜伏期間長い病気ですので、なかなか分かりにくいものがあったというのは事実でありますが、しかし、先ほど申し上げたように、WHOやILOの指摘からはもう三十年以上たっていたと。そしてまた、国内での危険が指摘されてからも十数年、二十年近くたっていたということから考えると、私は、この問題への取組が遅れたことによって多くの方々が苦しんで亡くなられた、あるいは今また多くの方々が苦しんでおられる、あるいはそこに住んでいた方々は不安に思っておられる。そういう方々の気持ちを考えると、私は非常に胸が痛む気持ちでありまして、是非、来年の通常国会に出されるということでありますが、私はこういう提案をさせてもらいたいんです。
 一つは、今でもやはり苦しんでいる方がおられるし、そしてまた、検査を受けたいと、近くに住んでいたということで検査を受けられたい方もおられるわけですので、例えば来年の通常国会、できるだけ早い時期に出していただくにしても、早い時期からの例えば遡及適用とか、そういう、要は過去に亡くなられた方も含めて、あるいは発症された方も含めて遡及適用ができるような仕組みに、我々はそういう考え方を法案としては出させてもらってますけれども、遡及適用して、しっかりとすべての人たちが包括して守られるような私は法律にすべきだと思いますが、その点、総理のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  その提案を参考にさせていただきたいと思います。

■前原誠司
  もう一つ、先ほど総理御自身もおっしゃいましたけれども、各省にばらばらにまたがっているんですね。もう時間がありませんので申し上げませんけれども、とにかく濃度の基準を調べるのでも役所が全然違うわけですね。そのことについては今閣僚会議という形で行われているわけでありますが、私はすべてのテーマ、これはアスベストにかかわらず、先週取り上げた天然ガス、東シナ海の天然ガスの問題もしかり、後でお話しする分権の問題もしかりでありますけれども、各省庁の縦割りというものが行政の対応を遅らせる最大の問題点になっていると思うんです。
 したがって、対策本部とかあるいは対策会議というものに格上げをして、しっかりと内閣官房が総合調整をする中でリーダーシップが、政治のリーダーシップが発揮できるような、そういう仕組みに私は早くすることが、まずは法案を提出を考えられる上では、私は閣僚会議から対策本部や対策会議に格上げされることが重要だと思います。そのことについても是非前向きに考えていただきたいと思います。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  各省それぞれの担当があるわけでありますが、時によりますと、この部分は自分の役所の範囲ではないということで連携が十分でない場合があります。そのために、関係閣僚会議等、その問題に関連する役所が一堂にそろって協議する場が必要だという御指摘だと思いますが、その点につきましては、随時、問題ごとにそのような対応を進めております。
 このアスベスト問題に対しまして、各省が関連あるにもかかわらずその連絡なり連携なりが不十分であるという御指摘も踏まえて、今関係閣僚会議も設置してその法案の準備を進めているわけでありますので、そのような各省間の違う問題、まあ学校は文部省、あるいは保育園は厚労省といたしましても、このアスベストの問題につきましては、同じ被害は人間でありますので、そういう観点から、各省もそれぞれが、ほかにも関連及ぶという場合には関係ないという態度を取ることなく、お互いの役所部外の問題でも対応する役所には連絡するなり連携するなり、対応をしっかりしていかなきゃならない。
 もちろん環境の問題もあります。そういう人に対する影響、環境全体に対する影響、またそれぞれの企業がこういう製品を作っているわけでありますので、会社、企業等の問題、実に範囲が広い問題でありますので、関係省庁連携を十分してしっかりとした法案を提案したいと思っております。

■前原誠司
  それができていないから問題が起きているということを申し上げているわけです。
 それで、例えばその人間の安全保障ということで申し上げれば、鳥インフルエンザの問題、これは今日は詳しくやりません。去年の二月に地元の京都で、二十五万羽だったと思いますけれども、鳥インフルエンザにかかった鶏を処分をして、自衛隊には大変お世話にそのときにはなりましたが、その初動のときに、これ私は驚いたことがあったんですね。
 これは一九一八年にスペイン風邪というものが起きて、これが形は違うにしても鳥インフルエンザから変異して人間に伝播したということで、その当時、世界の人口が十二億人ぐらいだったと思いますけれども、それで三千万から三千五百万人ぐらい亡くなられたんじゃないかということを言われているわけですね。ということになると、今大体その六倍強ですから、物すごい方が、もしそういう状況になれば多くの方が亡くなるような問題になるわけで、それを非常に気にしたわけです。
 そのときに、初めはこれは鳥でしたから、鶏でしたから、農林水産省に話を聞いたら、いや、それは人への変異というのはまだしてませんから我々の担当ではありませんと。で、厚生労働省に聞いたら、いや、それはまだ人にうつって変異してないから、それは今農林水産省さんで扱われる問題でしょうということで、まあとにかく初動というのはいつもこういうことなんです。
 危機管理というのは、必ずそういった省庁をまたがったもので対応するようなものにしなきゃいけない。対策本部ができて初めてやっと機能するわけですよ。したがって、関係閣僚会議ではなくて、やはり早くにその法律を作る前提として私は対策本部なりあるいは対策会議というものを政治のリーダーシップで、内閣のリーダーシップでつくられることが、よりいい法案を正にスピードアップしてまとめるのにプラスになるんじゃないかということを私は申し上げているわけです。
 だから、それを、短くて結構ですから、それを検討されるお気持ちがあるのかどうなのか、答弁をください。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  既にそのような各省庁連携取って対応を進めております。

■前原誠司
  まあ、対応が私はできるかどうかということを今後厳しく見守りたいというふうに思いますが、私は、先ほどのBSEにしても、それから鳥インフルエンザ、あるいはアスベストにしても、やはり今の政治というのは、国民というか、人に対して余り目配り、しっかりと優しい政治が行われてないんではないかと、そういう気がして私はならないんです。
 いや、今国会に出されている障害者自立支援法だって、あんなものの中身は、障害者の自立を支援する法案どころか、障害者の自立を阻止する法案ですよ。一律一割の負担を求めて、それで幾らそのことについて浮くのかという話を聞いたら、三百億円程度。
 例えば、今、熊本県の川辺川の、五木村というところに川辺川ダムを造ろうとして、これは多目的ダムでありますけれども、地元が要らない、これは農業関係でありますけれども、要らないと言う、利水の問題で。そして、訴訟が起きていると。そしてまた、これもう長年止まっている。その問題について言えば、これは関連工事、附帯工事を合わせて四千億円ですよ、一つのダムで。
 だから、こういうことを考えると、いまだに箱物が中心になって、人への対策というものが、正に省庁の縦割りや、今申し上げたような後手後手後れ、三十年とか二十年とかたって、ようやくその国際基準からして後れたような対応を取っていると。正にこの国、この国の政治というのは私は、危機管理が全くなってないということを私は改めてしっかり申し上げておきたいと思います。
 私は、今からその無駄を削る話の、改革競争の話をさせていただきますが、あらかじめ申し上げておきたいのは、私は、真の改革競争、いい改革競争はとことんやりたいと思いますけれども、小さな政府競争はするつもりはありません。つまりは、社会のセーフティーネット、人にそういう目配りの利いた政治をしていくためには、ある程度やっぱり予算を掛けなきゃいけないところは予算を掛けなきゃいけないんですね。例えば対GDP比でいえば、いまだに公共投資は、減ったといってもサミット参加国の大体倍ぐらいですよ。それに対して、じゃ教育についてはどれぐらいの予算が使われているかと言ったら、これ逆に半分ですよ。箱物については対GDP比、倍、そして教育については対GDP比、半分。これがどうやって人に優しい政治が行われると豪語できるんですか。
 つまりは、そういう意味では、今の予算の使われ方というのは根本的に間違っていて、無駄を削ることに我々一生懸命になりますけれども、むやみやたらな小さな政府競争には乗らない。そして、大事なところにはしっかりと予算を使うということを私はやっていくべきだというふうに思います。
 その意味で、今、政府、自民党の中で議論になっている増税の大合唱についてお話を聞かせていただきたいと思いますが、まず総理、大合唱ですよね。総理は消費税を在任中上げないと言っておられますが、これについての理由をお伺いをしたいと思います。なぜ自分の任期中は、在任中は消費税を上げないとおっしゃっているのか。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)

  小さな政府を民主党は目指さないと、今、前原代表言われたんですが、これはできるだけ国民の税金を有効に使っていこうと。大きな政府という点につきましては、当然税負担が重くなってまいります。そういう観点から、小さな政府というのは、いかに無駄な分野を削減していくかということであります。その点につきましては、私は、ある面においては小さな政府を目指すということでないと、財源が足りないとなるとすぐ増税を考えるということになってしまうんじゃないでしょうか。
 私は、私の在任中に消費税を引き上げないと言うのも、私の大きな役割というものは、行財政改革、いわゆる無駄な政府の歳出分野を少なくしていこうということでありますので、今確かに四〇%もの国債に依存している。将来の世代に税負担を転嫁しているということではいけないということから、歳出削減で、足らざるところはこれから税制改正の中で幅広く議論していかなきゃならないと思いますが、私は、来年九月に、任期までやるとしても、それまでに消費税を上げる環境にないと見ているんです。
 まず、消費税を導入する場合には、まあ民主党は年金目的税で三%程度引き上げるということを主張しておりますが、これ仮にそういうことをやったとしても、一年足らずで導入することは、まず国民の理解を得られないと思います。今後議論していく場合にも、消費税の税率はどういうものか、またこれに使われる分野はどういうものにするのか、一般財源がいいのか目的税がいいのかという議論をしますと、一年や二年はすぐたってしまいます。そういう面において、私の任期は来年九月まで限られておりますので、仮に任期満了したとしても、そのような、まず消費税を上げるという状況にはならないと。これはもう政治判断であります。政治家としての判断でございます。

■前原誠司
 いや、総理、一国の総理なんですから、野党第一党の党首に対して揚げ足を取るようなことはやめられた方がいいですよ。
 例えば、先ほど私は答えなかったけれども、ブッシュ大統領が来られるときに合わせてという話は、そうじゃないと、うがった見方をするなと。それは、私も政府の中にはいろいろ知り合いいますよ。それに合わせて一生懸命仕事をしていると分かった上で言っているんだ。そんなばかげたところで、しっかりとした我々も情報を取って物事を申し上げているのに、そんな希薄というか浅薄なところでノーなんという話をしても、それは全く説得力はありませんよ。
 それから、小さな政府競争についても、今は、この間、予算委員会で私は総理と議論をしたときに、特別会計の問題で、大きな政府なんだと言っている、今は。だって、一般会計と特別会計合わせたら幾らある。四百兆円以上あるじゃないですか。だから大きな政府で、じゃ小さな政府の定義は何だと聞いたら答えられなかったじゃないですか、小さな政府の定義を。
 それを私が小さな政府競争をしないと言ったのは何かというと、無駄なお金は削る競争はやると言っているんですよ。当たり前のことじゃないですか、そんなことは。それを、ただ単に切って切って、しかし教育や少子化対策や社会保障に対しては冷たいですねと、今の政府は。我々はもっとそういうところにはお金を回すべきだということを言って、それが小さな政府競争はしないという意味を申し上げているんです。
 で、今私が質問したことは何かというと、消費税を在任中上げないということは、何だかんだそれは時間が掛かるからどうのこうのとおっしゃったけれども、今までの答弁とはちょっと違うんですよ。
 僕は、ちゃんと今までの答弁を確認をして、議事録を取った上で総理に質問をしているんです。今まではどういうことをおっしゃっているかというと、これは片山参議院幹事長に対して答弁されていることでありますけれども、まず、残された任期に消費税を上げる環境にないと思っているから言っているわけでありますと。そして、行財政改革、これに懸命に取り組むためにも、まず足らないところを増税を、補うという観点から、無駄な部分を徹底的に排除していくと。
 つまりは、今までの主眼でおっしゃっていたのは、徹底した行財政改革ができないまま消費税を上げるというのはいかぬという主張をされていた。だから、これは非常にいい主張なんです。
 だから、先ほどは、何か時間が掛かるからどうのこうのという話ですけれども、今までの総理の主張は、とにかく徹底した行財政改革を行うことなんだと、そして民間にできることは民間に、地方にできることは地方にということをおっしゃってきたんです。
 それで、この行財政改革を、じゃ具体的にどのようにやっていくのかということを私は次に伺いたいと思うんでありますが、消費税ありきではないと、上げる、自分の任期には上げないということの意味の、その行財政改革について、じゃ具体的にどういったものをこの行財政改革としてメニューに上げて考えていくのかということを伺いたい。
 骨太の方針は来年の六月に出るという話はニュース等で聞きますけれども、それまでには財政構造改革の基本方針と工程表を定めるということが言われておりますが、じゃどういう分野で、総理が今まで行財政改革とおっしゃっているんであれば、どういう分野で、そして具体的に、そういうものが前提でなければやっぱり上げる環境にはないということを自らおっしゃってきたんであれば、どういう分野で、具体的にどれぐらいの規模のそういう行財政改革をやるんですか。
 そして、それがやられれば増税の環境が整ったと。環境が整わないとおっしゃっているんであれば、どういう状況になれば環境が整うんですか。具体的にお答えください。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  具体的に言いますと、地方にできることは地方にということで、今地方の補助金の問題、また税源移譲の問題、地方交付税の見直しの問題、これを昨年から続けておりますし、これから十二月の予算編成までには決められた規模の、地方への補助金にしても、税源につきましても、地方交付税についても、これを決められたとおり進めてまいります。具体的にはこれから詰めていく問題であります。これは十二月には数字となって具体的に示されます。その点につきましては今交渉中でありますので、今の時点でどうだと、具体的な数字が出せる段階ではございません。
 それと、今後、公務員の人員の削減あるいは総人件費の抑制の問題、これもはっきりとした方針を示さなきゃならない。さらに、今後、郵政民営化が実現しましたので、政府の役割をできるだけ少なくしていこうという意味におきまして、政府系金融機関、この融資規模を更に削減していかなきゃならない。民間にできることは民間にということでありますので、これも今議論をしておりますので、年末にかけてはよりはっきりとした形に出せるように鋭意検討しているところであります。

■前原誠司
  今の答弁の中で、私は一つのポイントとしては、数字も入れるということをおっしゃったことは、これは私は重い発言だというふうに思います。つまりは、今後のやはり財政の運営ということを考えていったときに、これだけ借金を抱えて、しかも少子高齢化社会になっていく中で、数値目標を決めて行財政改革やるということは、非常に私は大事なことだというふうに思います。それは是非おっしゃった以上はしっかりやっていただきたいと。
 そして私は、何度も申し上げているように、公務員制度問題、それからいわゆる公共事業、そしてまた今からお話をする国と地方の関係、またそれに合わせた省庁再々編、あるいはこの間総理と議論をさせていただいた特別会計の問題、これについても我が党も具体的な提案をしますので、そういう意味での真の改革競争を私はやっていくべきだと。正に先ほどおっしゃったように、無駄な税金は徹底的に削ると。それなしには、やっぱり増税の議論がいたずらに、何かそれが改革競争のように行われることは私はむしろ不謹慎だと。
 我々はマニフェストにこういうふうに書きました。三年間は増税しないと。つまりは、三年間を逆に区切って徹底した行財政改革をやるぐらいの腹構えがないと、安易に増税をすると、安易に増税をするということになると、中身の議論というものが無駄な議論というのは絶対に私は緩んでしまう。そういう意味では、どのぐらいの規模の数値を出されるのかということは楽しみにしておりますし、我々もその点についてはしっかりと議論できるような対案作りというものをやっていきたいというふうに思います。
 その上で、総理、先ほど地方にできることは地方にとおっしゃいましたですね。私は、どうも総理の分権にかかわるイメージが見えてこない。補助金四兆円の削減と国の税源三兆円の移譲、それについてもごたごたごたごた今日も何かもめていたみたいですが、そんな細かなことは聞きません。
 つまりは、国の大きな分権の最終像というか、どういう形に国を持っていくのか、分権分権と言うけれども。それが見えないまま、三兆円だ、四兆円だという、何かバナナのたたき売りみたいな議論をすることは、しかもその数字合わせで一生懸命に役所と何か折衝していると。これ私はおかしいと思うんですね。つまり、ゴールは一体何なんだと。地方分権のゴールというのは一体どういうイメージをされていて、そしてその一里塚なのか二里塚なのか分からないけれども、どういう今状況にいるかと示すことが本当の分権の議論じゃないですか。どういう分権像を今総理は目指そうとされているんですか。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  我々政府としては、総論だけでなくて具体論を今議論しているんですよ。具体論出さないと、数字がないじゃないかなといって批判される。それで数字を出すと数字合わせだとまた批判される。これが野党の習性だと言えば仕方ないんですけれども。
 まあともかく、分権の在り方としては、総論としては、まず国の役割はどのようなものであるべきか、地方についてはどうあるべきか、これはもう長年言い古されたことかもしれません、そういう点についてまずしっかりやろうという議論があります。
 そういう総論よりも、まず今政府としてできることは、今四兆円、三兆円、数字を挙げて、数字合わせじゃないかと批判されましたけれども、具体的に進めていかなきゃ、補助金を削減する前もはっきりと四兆円という数字が出てきているわけであります。税源の移譲という場合にも、総論だけでなくて、三兆円という税源移譲も出てきているわけであります。各論まで出しているんですよ。
 そこで、各論が出てきているから、総論賛成、各論反対で、この数字でも賛成、反対というのは与野党双方にある。いかに総論賛成、各論反対かということで、この問題は難しいかということはお分かりだと思いますけれども、その難しい各論分野に入っている。
 そして、総論の場合について今お聞きになったんですから、総論の部分についてお話しいたしますが、これは総論について言えば、一つは道州制という議論がありますね。今の四十七都道府県は地域として広域行政に考えると狭過ぎるんじゃないか、だから全国を今の小選挙区のブロックみたいに十かそこらに分けて、十かそこらに四十七都道府県を一つの行政単位で見直そうじゃないかという案。こういう点につきましては議論をされておりますが、これは言うべくしてなかなかすぐできる問題ではありません。ですから、私は、まず北海道をモデルにして、北海道が道州制のモデル地区をつくってみたらどうかと。知事始め、私は促進しているんですよ。
 というのは、北海道だったら道州制の場合、北海道に加えて東北の県を北海道に付けるという発想は出てこないだろうと。逆に、北海道の一部を削って本州の東北地方に付けるという議論も出てこないだろうと。道州制が実現したとしても、北海道は北海道として扱われるであろうと。だから、そういう点については北海道が少しは案を出してごらんなさいと。国の役割でなくて、北海道できること。
 そういう点も、一つの将来の、地方でやるべきこと、国でやるべきこと、補助金の問題も独自に、国からもらわないで自分でやりたいというんだったらば、税源の中から具体的に今三兆円ですけれどもやっているわけです。これが少ないということで、民主党はもっと多くしろと言っていますが、その多くしろという中で、教育費の義務教育についても開きがある。与野党開きがある。民主党内にも開きがある。与野党ともに賛否両論ある。それを、そういう中で政府としては、きちんと三兆円の税源移譲を目指して、各論の反対があるけれども、この暮れまでにははっきりとした姿を示しましょう、数字を示しましょうということでやっているわけであります。

■前原誠司
  いや、少し失礼ですけれども、聞くに堪えない議論でした、今のは。
 だって、総論賛成、各論反対って、総論がない人がしゃべっているんですから、何が総論かよく分からない。道州制が出てくるかと思ったら、道州制も難しいという話になって、じゃ、何が総論か全く分からない。
 つまりは、どういうゴールを地方分権で置いて、それに向かう今のその三兆円、四兆円議論というのはどういうものなのかというのが本当の議論の道筋ですよ。つまりは、具体論といったって、まずどこまで行く鉄道を引くか分かりませんけれども、まず、ちょっと三キロぐらい引きましょうかというところで線引いているようなものですよ、今。どこへ行き先連れていかれるのか分からないのに、それが総論があるように何か空売りされたら困りますね、これは。全くこれはもう一国の総理としては私は情けない議論だというふうに思いますよ。
 その意味で私が申し上げたいのは、私どもは、三十万以上の基礎自治体というものを一つの単位にして、そしてそこに政令都市並みあるいは政令都市以上の権限を与える中で、そしてそこがもうベースにしていくと。そして、都道府県あるいは道州というものをつくったとしても、それは単なる広域調整というものを行うものにしかすぎない形にして、そして最後には外交や安全保障、マクロ経済のようなものは国で限定をしてやっていくと。こういう我々は一つのゴールを持っているわけです、ゴールを。今おっしゃったのは、何か北海道をモデルにする、それは幹事長の、モデルにされたのかどうか分かりませんが、まあ今の話は全く私はお寒い話だというふうに思いました。
 時間もあれですので、私、この哲学というものを二つ申し上げたいんです。
 この分権をやる上で何が大切なのかと。一つは、これは究極の行財政改革に私つながると思っているんですね。例えば補助金の問題に一つ取りましても、滋賀県に豊郷小学校という小学校があって、昔その建物をどうするかという話があったけれども、これは改築と改修で補助率が全然違った。だからこそ、そういう意味では何かお金を使う方にインセンティブが使われる補助制度になっているということ。そういうことを、例えば地方に財源を移譲すれば、しっかりとそういうものについては私は、無駄がなく行われるような形になるし、もっと言えば、その地方分権を進めていけば、例えば地方分権の中で、学校の仕組みにしても、地域の方々を……

■会長(今泉昭君)
  持ち時間を経過しておりますので、発言をまとめてください。

■前原誠司 
  その意味でも、どうですか、自民党総裁としてお伺いしますが、国会に特別会計を調査する特別委員会のようなものをつくって、徹底的にそれを調べて、むだを国民の皆さん方に暴き出す、私はそういう特別委員会をつくった方がいいんではないかと思いますが、自民党総裁として答弁をいただきたいと思います。

■内閣総理大臣(小泉純一郎君)
  私は、このような議論をするのがまさに予算委員会だと思うんです。そして、予算委員会においては特別会計の議論をしてもいいんです、一般会計のみならず。そういう点について、この予算委員会でどしどし議論をし、いい案なり提言をしていただきたい。
  私は、行政改革ではありませんけれども、国会にこれだけ多くの委員会があるのに、あえてまた別の委員会をつくって果たして機能が向上するのかどうか、これもありますので、まさに特別会計というのは予算の問題ですから、予算委員会の中で議論すべき問題だと思っております。

■前原誠司
  どのように入れさせていくかというようなこともしっかりと地域地域で考えられるわけですね。
 じゃ、最後にまとめますが、(発言する者あり)いや、先ほどとうとうとしゃべられたので私の話す時間がなくなったんですが、総理はこの国のあるべき形というものを全く考えておられないで、地方分権、地方に任せることは地方にということをおっしゃっているにすぎない。正にゴールを示さずに、どこに連れていくかということを分からずに分権分権とおっしゃっている。中身のない分権、分権あるいは行財政改革をやろうとしているということがよく分かりました。
 またこのことについても議論させていただきたいというふうに思います。
 終わります。(拍手)