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159回-衆- 事態特 (武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会) -03号 2004/04/14 (3P/5P)

■井上国務大臣
 委員のおっしゃるようなお考えも私は決して否定するものではございません。そういうお考えもあると思うのでありますけれども、二十五条につきましては、御案内のとおり、これは与野党で協議をいたしまして修正した条文でありまして、あの書き方というのは大変微妙な書き方になっていると私思うんです。

  つまり、武力攻撃事態に関する部分の規定ぶりと若干違っているわけですね。今回の国民保護法制の中で緊急対応措置、これを規定しておりますけれども、まさに私どもは二十五条の趣旨をそのまま具体化すればこういうような規定じゃなかろうか、こういうことでこのような法律をつくらせていただいた次第でございます。

  したがいまして、どちらかといいますと、国民保護法制、これを頭に置きまして整理をいたしておりますが、私は、二十五条の修正の経緯から見ますと、まず皆さん方、今回の国民保護法制の中で期待されておりますのは、政府が提案いたしましたような中身のものじゃなかろうかというふうに理解をしております。

■前原委員
 その理解は私はちょっと違うと思うんですね。よりいいものということで、与党と民主党の間で修正をしてきて、二十五条もあると。しかし、これは大臣御承知のとおり、武力攻撃事態対処法というのは、基本法的な要素がある、それから、対処に関する具体的な規定があって、そして最後は、今後整理すべきというプログラム的な法律が書かれているわけです。

  二十五条の規定というのは、全くそのプログラム法規定だと思うんですね。今後整理することについて問題意識を書いているというのが二十五条だと思うんです。

  ということになると、ちゃんと整理をするということになったら、二十五条も変えて、そういう親法のところに緊急対処事態の規定をしっかり設けて、そして国民保護法制に、まさに緊急対処事態における国民保護措置というものを落としていく。やはり武力攻撃事態対処法も三つの段階に分けて、プログラム法的なものは時間の経過とともに整理しなきゃいけないわけですから、ここに緊急対処事態というものを書いて、そして今申し上げたような、保護措置については国民保護法制におろすというのがあるべき姿ではないですか。

  そうしないと、井上大臣、要は、国民保護措置だけに矮小化されてしまうわけですよ。自衛隊をどう活用するのかとか、あるいは省庁間調整をどうするのかとか、あるいは市町村、都道府県を越えるような広域で問題が起きたときに関する調整事項なんというのは、僕は国民保護法制の中にそれが書いてあるだけでは対応できないと思うんですね、法の枠組みとして。

■井上国務大臣
 緊急対処事態における武力攻撃事態等を規定するその規定の準用だと思うのでありますけれども、法律としましては、それぞれの規定を準用するということでありますので、これはもちろん武力攻撃事態と緊急対処事態とは事態が違いますが、これは事態に応じてそれらの規定に基づいて対処できるものと私どもは考えております。

■前原委員
 いや、準用するものであればなおさら、武力攻撃事態対処法にそういうスキームがあるわけですから、それを準用する形だったら、武力攻撃事態対処法に準用した形で緊急対処事態を設けるのが普通じゃないですか。今のおっしゃるのは逆ですよ。

■井上国務大臣
 ですから、委員がおっしゃるような法律の立て方、制度の仕組みはあると思いますけれども、今政府が提案しておりますようなこういう規定、つまり本体の法律に基づく国民保護措置の規定を準用するというやり方も、決してそれはあり得ない対応じゃないと私は考えています。

■前原委員
 ここはちょっと真剣に議論させてもらいたいんですが、つまりは、法律の体裁とかそういうことで申し上げているんではないんですね。私はそう申し上げているわけです。

  つまりは、本当に、この国民保護法制の中で緊急対処事態という規定を盛り込むだけで、さっき申し上げたような、自衛隊をどう活用するかということが万全を期せますかということを言っているわけですよ。あるいは、各省庁間の調整というものが国民保護措置に矮小化されるんじゃないですかと。

  保護措置じゃないですよ。だって、問題は、事態の対処とかあるいは再発の防止、広がりをどう抑えるかということも含めて緊急対処事態にはやらなきゃいけないわけで、それは国民保護措置だけじゃないと思うんですよ、やるべきことは。ということは、国民保護措置にそういうものを矮小化して書くということになれば、私は、その効果が極めて限定されて、そしてその緊急対処事態にまさに対処できないんではないか。

  もう一つ大きな欠陥を申し上げましょうか。これは提出大臣ですからもちろん御承知だと思いますけれども、私権制限については武力攻撃事態対処法と同じようにできるわけですよ、しかも、そのことについては閣議決定で。武力攻撃事態という本当に日本が大変だというときには国会承認が必要で、予測事態、こういう緊急対処事態においての私権制限については閣議決定だけでできる、そういったひずみも出てきているわけですね。

  私権制限をやるということであれば、武力攻撃事態においてさえ国会承認をやるわけですよ。ということは、ここにおいても国会承認の枠組みをつくらなきゃいけないという本旨からすれば、シビリアンコントロールを働かせるとすれば、武力攻撃事態対処法に緊急対処事態の規定を設けて、そして親法から国民保護法制ができるような仕組みに変えるというのが本筋じゃないですか。

■井上国務大臣
 私は、前原委員のようなお考えがあるということは決して否定しませんし、そういうことも有力な一つの方法としてはあると思うのでありますけれども、要は、武力攻撃事態等と緊急対処措置の事態というのは違うわけですね。違うんです。

  違うことに応じてその対応が違うということは、当然あってもいいわけでございまして、武力攻撃事態等なんかの場合は、これはやはり国会とのかかわりが私は必要だと思うのでありますけれども、この緊急対処措置なんかの場合は、これは通常警察でありますから、自衛隊を動かす場合だって治安出動ですね、治安出動でもってこれはいいわけでありますから、それでもって対応していくということでありますから、事態の差異に着目して、例えば国民の権利制限なんかも当然そういうぐあいにあるわけでありますから、立場の相違とか考え方の相違はありましても、それはそれとして御理解いただけるところじゃないかと思うんです。

■前原委員
 大臣、立場の相違とかじゃないんですよ。緊急事態に対処できますかということの中で議論しているわけです。

  先ほど、一番初めに類型化の話あるいは定義の話で申し上げたように、これが入り口で武力攻撃事態に発展するかもしれないわけですよ。そうすると、武力事態の対処と緊急対処事態の対処が違うということは言い切れないんです。つまり、そこからエスカレートする可能性があるわけですね。

  つまりは、その連続性というものを担保しておくためには、逆に言えば、それを武力攻撃事態対処法という親法に載せておいて、国会承認もかけて、そして、私権制限の項目については閣議決定ではなくて国会承認だ、あるいは自衛隊をどう動かすなどということも対処基本方針に載せるというような大きな枠組みをつくることが、エスカレーションするかもしれないという危機の不確定性に対応するために必要なものじゃないか。見解の相違とかじゃなくて、私は、根本的にこの法律の欠陥だと言っているわけです。

  検討していただけますか。

■井上国務大臣
 それは十分に検討させていただきますが、ただ、緊急対処事態から武力攻撃事態等へ深化するといいますか転化する可能性はあるわけでありまして、その場合にはそれとしてまた措置をとるわけでございまして、緊急対処事態の措置でもってそのまま武力攻撃事態等への措置にするということではないわけでありまして、その点はひとつ御理解をいただきたい点だと思います。

■前原委員
 検討していただくということでありますので、これについては検討してください。これはきょうが初めてですので、ぜひここは検討していただきたいと思います。

  川口大臣、一つだけ、今の緊急対処事態について質問したいんですが、米軍はこの緊急対処事態においては協力できるんですか、できないんですか。

■川口国務大臣
まず、安保条約、これに基づいて我が国を防衛する義務が米国にあるわけですけれども、それに該当するかということでいいますと、緊急対処事態というのは、定義上、我が国に対する武力攻撃が発生した場合というのが安保条約の五条ですから、それに該当しないということで、安保条約による権利義務関係というのは生じません。

  緊急対処事態というのはどういう事態かということですけれども、安保条約上の権利義務の関係ではないんですが、例えば、阪神・淡路大震災のときに米軍は行動をしたわけでございまして、そういった状態で我が国が米軍に対して協力を要請するかどうか、これについては、どういう事態でするかということは一概には言えないということでございます。

  ただ、権利義務関係ではないけれども、そういうふうに米軍が行ったという例はありますし、安保条約あるいは地位協定がそれを禁止しているということではないということです。

■前原委員
 では、日本が米軍に協力を求めることはあり得るんですか。

■川口国務大臣
在日米軍による、日米安保条約、日米地位協定上、本来予想されている活動ではない活動につきましても、我が国の要請あるいは同意ということに基づいて行われ、そして、在日米軍の駐留目的、これに反しない、反しないというか損なわない活動につきましては、それはあり得るということでございます。

■前原委員
 あり得ると。先ほど大臣が御答弁されたように、条約上の権利義務関係ではない、しかし、同盟関係という中で協力を要請することもあり得る、こういうことですね。

  その場合の国内法上の根拠はどうなるんですか。例えば、今回は有事において動くという意味での米軍関連法案というのは出ていますけれども、その場合、緊急対処事態において米軍に協力してもらうという国内法上の要件は何になりますか。

■川口国務大臣
おっしゃっている国内法上の根拠というのは、政府がそういった要請をする、その根拠をおっしゃっていらっしゃるわけでしょうか。(前原委員「はい」と呼ぶ)ということであれば、特段のそういった国内法は要らないということであるかと思います。

■前原委員
 要請をする場合は、国内法上の根拠は要らないということですか。もう一度確認。

■川口国務大臣
政府が要請をする国内法上の根拠ということについては、特段の国内法上の規定は必要ではないということであると思います。

■前原委員
 では、米軍が緊急対処事態において国内で活動する法的根拠は何ですか。

■川口国務大臣
これは、先ほど申しましたように、我が国の要請または同意に基づいて行われ、かつ、駐留をしている在日米軍の本来の目的、これを損なわない、駐留目的、これを損なわないという活動については、日米安保条約、日米地位協定によって認められるということであるということです。

■前原委員
 要は、地位協定から引っ張ってくるということですね。緊急対処事態においても米軍の協力を要請できるし、その活動においてのベースになる法律的な根拠というのは地位協定によって定められた法律に縛られる、こういうことですね。――はい、わかりました。

  これも、きょうは初めですので、今の御答弁をちょっと精査して、さらにまた質問をさせていただきたいと思います。

  さて次に、態勢、これについて、情報あるいは対処のあり方も含めて少し議論したいと思うんです。

  つまりは、今回は七法案三条約ということで法律の問題を議論していますけれども、私は、法律とあわせて大切なことは、態勢の整備だと思うんです。態勢がしっかりしていないとその法律がうまく動かないということになろうかと思います。

  その態勢の中に、私は二つの点を問題点として挙げたいと思うんですね。一つは、初動態勢というか、どのように総合調整を行うかという態勢です。もう一つは、情報収集をどのように行うかという態勢。この二つが極めて重要だと私は思うんですね。

  現在、例えば大規模自然災害、テロ、有事、それも含めて、どういう動きになるかということを少しシミュレーションでお互い考えていきたいと思うわけであります。

  内閣官房に官房副長官補室というのがありますね。それで、内閣官房副長官補室には今大体八十名ぐらいおられるということです。ただ、半分ぐらいは法制担当ということで、こういった今の法律なんかを一生懸命つくってこられた方々がおられるわけですね。その約半分については、それぞれの役所、警察とか防衛庁の内局あるいは陸海空から人が出てきて、そしてそれぞれの担当をしている、こういうことなんです。

  それで、私が伺いたいのは、この態勢で、例えば、先ほど申し上げた緊急対処事態というものの初動態勢、そしてそれを総合調整する態勢として本当にこれでうまくいきますかということを伺いたいわけです。

  危機管理体制においては、安全保障会議というのがありますね。これはしかし、大臣が集まってやる会議ですね。これは常設ではない。安全保障会議というのはあるけれども、安全保障会議に出席する大臣がいつもそんなことを議論しているわけではないわけですね。では、その下に事態対処専門委員会というのがあるわけですけれども、これは次官級でつくられている。これだって、大臣級の安保会議と同じように、しょっちゅう集まって、そんな危機のことばかり考えているわけじゃないわけですね。では、局長級の連絡調整会議というのがありますけれども、果たしてそういうものが恒常的なものかといえば、そうではないわけですね。

  となると、内閣官房副長官補室の、その法制面を入れたら八十名ぐらいで対処しなきゃいけないということですけれども、この態勢で本当に危機に対して、まさにエスカレーションしていく可能性のある危機に対して、この態勢で本当に対応できますか。