158回−衆−イラク特別委員会−03号
2003/12/15 (4P/4P)
(国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会)
■石破国務大臣 現在、それでは、バグダッドは戦闘地域かと言われて、そうではありませんともそうですともお答えすることは適当ではないと思っています。
私が申し上げておりますのは、二つあるんですね。一つは、国または国に準ずる組織であるかどうか。それは主体の問題です。起こっていることは同じであっても、それが国または国に準ずる組織である場合とそうじゃない場合と違います。それが一つ。もう一つは、その攻撃自体が……(発言する者あり)ごまかしていません。よく聞いてください。これは、法律というのはそういうもの。定義をきちんとしないで議論しても意味がありません。一つは主体が何であるかということと、もう一つは、その攻撃自体が行われるのか行われないのか、この二つで判断をしなければいけないと思っています。
その場合に、バグダッドにおいてそのような攻撃が行われるのか行われないのか。行われないということは、抑止が行われているということを逆に言えば意味すると思いますが、どういう場合にその攻撃の抑止が行われているか、そういうことからして判断をすべきものと考えています。
■前原委員 先ほど一番初めに総理は、主要な戦闘は終わったけれども、まだ戦闘状況にある地域はある、したがって、非戦闘地域もあれば戦闘地域もある、こうお答えになって、それについては石破防衛庁長官も同意をされているわけです。つまりは、そこがまさに出発点で議論をしなきゃいけない。
そして実際問題、先ほど申し上げたように、スンニトライアングルと言われるところに、これは政府からの説明で伺いましたけれども、九三%のいわゆるそういうテロというか、そういうゲリラの襲撃というものがあるわけですよね。ということになれば、そしてまた、イラク、バグダッドでも相当人数が今もまだ、米兵も含めて、残念なことながら亡くなられ続けているわけですよ、実際問題。
ちょっと古い資料ですけれども、十二月八日、つまり一週間ほど前でありますけれども、アメリカ自身の戦闘終結宣言が行われて以降、米兵で亡くなられた方は百九十二名、しかし敵対行動以外で亡くなられた方は百十四名おられて、全部でいうと三百六名なんですね。事故とか、あるいは自殺という方もおられるみたいですね、自殺されている方がおられる。
そういうことを含めると、また、さっき申し上げたように、そういう襲撃とかが行われているのは、バグダッドも含めたスンニトライアングルです。もう一遍言いますよ。バグダッドも含めた、バグダッドも全然治安上安全な状況ではない、なかなか守れないような状況にあるということは、これは長官も御存じだと思います。
しかし、そのバグダッドに航空自衛隊を送るということになれば、バグダッドが戦闘地域か非戦闘地域かということを明らかにしなければ出せないわけじゃないですか。今、先ほどおっしゃったのは、要は実施要項を出す、そして最後に出すときに、バグダッドは戦闘地域か戦闘地域でないかということを明確に国民の前に示す、その理由もちゃんと明らかにするということですか。今言えないということをおっしゃいましたよね、先ほど防衛庁長官は。
■石破国務大臣 現在作成中でございますので、それがバグダッドということになるのか、あるいはバグダッドの特定の地域を指したものになるのか、あるいは特定の施設を指したものになるのか、そのことは今決まっておりません。いろいろな議論がございます。
いずれにしても、その地域というものを、これは基本計画ではなくて実施要項でございますから、その地域をすべて明らかにして、これがなぜそのような指定をするに至ったのかということをすべてつまびらかにすることが必ずしも適当だとは思いません。それは逃げておるわけではございませんで、その地域ということを明定し、そしてなぜその判断をするに至ったかということを表に出すことによって、それを判断するに至った経過における外国との関係、つまりいろいろな情報を交換し、その判断をするに至るわけですね。そしてまた、それを明らかにすることによって、手のうちという言い方をしますのは委員に対して失礼な言い方なのかもしれませんが、それを明らかにすることになる。しかし、いずれにしても、我々が行動を行うところが非戦闘地域でなければいけない、それは相手の主体、あるいは攻撃の有無、この両方から判断をされるということなのだと私は思っています。
そういうことで、私の理解が足りなければお許しをいただきたいのですが、委員がそこに意味といいますか、非戦闘地域でなければいけない、それは隊員の安全を確保するということなのか、憲法に抵触してはいけないということなのか、どこに着目してそういう御議論をしておられるのか、御教示いただければまたいろいろなお答えの仕方があろうかと思います。
■前原委員 いや、簡単なんです、防衛庁長官。
要は、この法律には、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施されている活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域にしか出せないと法律が書いてあるんですから。だから、そのことをちゃんと説明責任は要りますよと。失礼かもしれませんけれども、結果的に逃げておられることになりますよ、国民に対して。
だって、この法律に基づいて、まさに今焦点になっているのは、イラクのどの地域が戦闘地域で非戦闘地域なのかということの区別がなかなかつかないといったところで我々議論をしているわけです。法律に基づいて送られるんですか。法律に基づくかどうかというところで、まさにバグダッドの空港に航空自衛隊を送るとすれば、バグダッドが戦闘地域か戦闘地域でないかをしっかりと説明することは、これは防衛庁長官の説明じゃありませんか。
先ほど、施設とかおっしゃいましたね。では、そのことについて私もつけ加えます。後で質問しようと思ったので。この間、バグダッド空港でC17が被弾しましたね。つまりは、陸は危ない、空は大丈夫だろう、こういうふうに初めは言われていたけれども、実は空も危ないんじゃないかというふうに言われているわけです。だから、そのことも含めて、さっき防衛庁長官がおっしゃったことをなぞらえて言うのであれば、隊員の命も考えて私は質問しているわけです。
空も危ないかもしれない。つまりは、今、らせん状におりてくる、らせん状にまた上がっていって、できるだけロケット砲など、あるいは地対空ミサイルなどの当たらないような状況の中で訓練をしているという話を聞いていますけれども、実際問題、バグダッド空港の周りですらそういう状況ですね。ということは、もし国民に対して、この法律に基づいてしっかりと説明責任を果たして、バグダッド空港にも行けるんだという説明をするには、まさにバグダッド、あるいはバグダッド空港、あるいはその近くも含めて、どこが非戦闘地域なのかということをやはり明らかにしなきゃいけないと思うんですよ。そうしないと、私は、法律にのっとって自衛隊を出すということにならない。
ここは大事なポイントなんですよ。ここのポイントが、まさに自衛隊をどこに出すか出さないかの大きなポイントですから、そのことについてはちゃんと説明されなきゃいけないでしょう。
■石破国務大臣 繰り返してのお答えで恐縮でございますが、実施要項に示すことになります実施の区域、それをすべてお示しするということは、先ほど申し上げました理由によりまして、必ずしも適当ではないと考えておるところでございます。
なぜそのような情報を得るに至ったのか、そのことは委員も御経験が深いからよく御案内かと思いますが、なぜそういう判断をするに至ったのかということを決める間にいろいろな情報の交換がございます。それを明らかにすることは、これから先の情報の入手、交換、隊員の安全を確保するものにならないと私は思っています。
もう一点は、C17の御指摘がございました。同じ考えは、私自身、委員と共有するものでございます。スパイラルでおりてくれば大丈夫だということを言った場合に、それでは、あのカーゴ機、あるいは今回のC17、これを攻撃した兵器が何であり、その射程距離がどれくらいであり、射高がどれぐらいであって、どのようにすれば本当にあのような攻撃ということから守ることができるのかということはきちんと明らかにする必要があると私は思っています。その点は、いいや、わからないからそのままというようなことにはなりません。この点については、私も強い問題意識を有して、確認作業を今最大の努力を傾けて行っておるところでございます。
■前原委員 個別の場所をしっかり示すことによって、それが隊員の安全の確保につながらなくなる可能性があるという理屈は一面わかるんです。わかるんですけれども、それは、一番初めに総理に対して私が質問をした政府としての説明責任、では、戦闘地域と非戦闘地域に分けて、非戦闘地域には出しますというふうなことを言うわけですね。そうすると、送られる地域が本当に非戦闘地域かどうかということは説明責任を果たす義務があるじゃないですか。そのことが、まさに隊員や国民への説明責任じゃないんですか。それを隠してしまえば、どこに送ったっていい、この法律がまさに前提として成り立たないということになりませんか。それはやはり隠していること、逃げていることになりますよ。
そのことが明らかにならないと、私は、それを実施要項でも明らかにしないということになれば、それは大変大きな問題になると思いますよ。
■石破国務大臣 委員は決して比較考量という意味でおっしゃっておられるのではないと思います。私は、それを明らかにすることが隊員の安全確保につながらないのでということを申し上げているのであって、それは決して説明責任と比較考量で論ずるべきものだとは思っておりません。
■前原委員 では、簡単に防衛庁長官に聞きます。実施要項の中に地名は入らないんですか。
■石破国務大臣 現在、策定中でございます。
■前原委員 入るか入らないかを聞いているんです。そこのポイントは大事なんですよ。よくわかっておられるでしょう。入るか入らないか、イエスかノーかで結構です。
■石破国務大臣 地名というのにどこまで限定をしておっしゃっておられるのか。すなわち、テロ特のときは、行いました活動が洋上でございましたので、東経とか北緯とか、そういうふうな使い方をしたという経緯があったのかもしれません。私も、当時の責任者ではございませんので、つまびらかには存じませんが。ただ、今回は陸上ということを考えましたときに、今、委員が地名とおっしゃいますのは、どこまでを指しておっしゃっておられるのか、お教えいただければと存じます。
■前原委員 いや、私が質問しているんです。つまりは、どういう書き方か含めて、地名は入るのか入らないのかと。それを決めるのは政府なんです。私に聞かれても困りますよ。入るか入らないかを聞いているんですよ。
■石破国務大臣 基本計画で書いておりますのは、イラク南東部ということを書いております。これも地名といえば地名なのですね。
それで、実施要項になりましたときにどこまで書くのか。例えば、何々県あるいは何々市、あるいは、日本のように何丁目ということはないでしょう、しかし、何とか地区というような形になるのか。そこにおいて、実施要項の中で定められる実施区域というものがどのような意味を持つのか。すなわち、ある幅を持たせて、つまり、ニーズは可変的なものですから、例えばある地域に水のニーズがあった、それがほかの地域に移るかもしれないということも含めまして、どこまでの範囲で書くのかということを現在検討しておるということでございます。
そういう意味で申し上げれば、地名という形で、区域を区切った形の定め方になるということは当然あり得ることでございます。
■前原委員 それを初めから御答弁いただければもう少し話が進んだと思うんですよ。つまりは、我々が、本当に戦闘地域、非戦闘地域でないのかということについて、やはり説明責任を果たしてもらわなきゃいけない。
それと同時に、これは総理にお答えいただきたいんですが、きのう、フセイン元大統領が拘束をされて、どういう状況になるのかわかりません。しかし、フセインの残党とともに一番怖いのは、アルカイダなどのテロ組織がイラクに結集をしてきていて、そして、八月ぐらいから、いわゆるソフトターゲット論というのが出てきた。つまりは、アメリカのみならず、アメリカに協力をする、それは国連であろうが民間人であろうが、すべてを攻撃の対象にするということを言って、そしてまた、ブラフかどうかわからないけれども、日本の自衛隊がイラクに足を踏み入れたときには東京がテロの標的になる、そういう話がありました。それは万全を期してもらわなきゃいけないということはありますけれども。
そういうことを考えると、例えば、今安全だと言われているサマワでも、仮に安全だ、非戦闘地域であると言われても、そういうソフトターゲットをねらうというテロ組織がいる以上は、必ずつけねらわれることになりますね。そのことが、まさに、先ほど総理がおっしゃった、主要な戦闘は行われていないけれども、そういったつけねらうという形での戦闘が行われる可能性というのはあるわけです。
そうなる可能性がある中で、本当に自衛隊をそういう危険を冒して出す決意をされているのかどうか、もう一度答弁いただきたいと思います。
■小泉内閣総理大臣 イラクの南東部においても、可能性を言われれば、私は、ないとは言えないと思っています。だからこそ、安全面には十分配慮しなきゃいかぬ。自衛隊を派遣する際には、いろいろ情報を調べて、安全面に十分配慮する。今、比較的安全な地域においても、場合によっては、可能性はどうかと聞かれれば、全く可能性はないとは言い切れないということはやはり認めざるを得ないと思うのであります。そういうことを前提にして、安全面については十分配慮していく、これが私は必要だと思っています。
■前原委員 時間が参りましたので最後にいたしますが、私は、実は、今の安全面の確保と、先ほど情報のことを申し上げました、これは極めて私は重要だと思うのは、今回亡くなられた二人の方の遺志を継ぐという言葉が、私からすれば、少し軽々しく言われ過ぎているのではないかという気がしてならないんですね。私は、この二人の方々の殉職というものをむだにしないためには、やはり同じ間違いをしちゃいけない、そういう思いを持っているんです。
つまりは、特に奥大使についてはCPAの中で本当に主要な役割を果たしておられて、そして、ロシアなんかは大使館からまさにイラク人を外すぐらい、どこから情報が漏れているのかわからないということを、本当にぴりぴりし始めているわけですね。つまりは、CPAに出入りしているイラク人もいっぱいいるわけです。その中で、例えば黒のランドクルーザーで移動していたのはこれは奥大使であるということが、もうCPAの中では明らかになっていたわけですね。そういった意味で、私は、外務省の危機管理に対する甘さというものがあったんだろうと思います。
私は、本来ならば、お二人に敬意を表し、またお二人の遺志を継ぐということであれば、その安全確保に誤りがあった、あるいは非常に遺漏があったということをしっかりと認めた上で、今後どうしていくのか、情報管理、情報収集、そして危機管理、送った自衛隊員が本当にそういう目に遭わないための準備というものをやはりやらないと、私は、広い意味で、お二人の遺志を継ぐことにならないと思います。
今、総理がおっしゃったことを、言葉だけではなくてしっかりと、我々はイラクに今自衛隊を派遣することについては反対ですよ、反対ですけれども、もし政府の意思としてやるということであれば、それは、少なくとも今の言葉というものの重みを総理自身がきっちりととらまえて、そして遺漏なきよう努力していただきたい、そのことを私は最後に申し上げまして、質問を終わります。
|