156回−衆−イラク特別委員会−09号
2003/07/16 (2P/3P)
(イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会)
■石破国務大臣
じくじたるものは感じません。しかし、相当に過酷であるということは私自身よく認識をしておるところでございます。
その前に、先ほど委員がおっしゃいました、ただだからニーズがあるのじゃないのかという御指摘です。私は、それを全面的に否定するつもりはありません。有料よりもただの方がいいに決まっておるわけでございます。しかし、ただだからニーズが発生しておるのかと言われますと、私は、それは違うのじゃないかという気がいたします。
この議論は参議院でも御党の委員から御指摘をいただいて議論をしたことでございますが、それでは、例えばアメリカにしてもあるいはドイツにしても、いろいろな国が艦船を派遣しております。やはり今委員御指摘のように、その国だって、暑くて非常に過酷な中で海軍の軍人たちが従事しているわけですね。たとえ油がただだって、やりたくないという人はいるのだろうと思います。
私は、確かにただだからありがたいということはございますが、だからニーズが発生しておるわけではない。仮にただだからといってやるということじゃなくて、やはりそこに、我が国と同じように、テロの根絶ということに共通の国益あるいは国際社会の一員としての責任、これを見出して活動しているというふうに私は思っておりまして、論理が逆転しているとは私は考えておりません。
お話戻りまして、過酷ではないかということをおっしゃれば、そのとおりだと思います。補給艦「はまな」などは三回ということになっておりますし、三回行っておるという隊員もたしか一部おるはずでございます。彼らは、本来任務、三条のために自衛隊に入ったんだ、確かにそうですが、テロ特措法というものも国会において議決をされ、国の法律としてあるわけでございます。国の方針として、法に従って自衛官たちは行っております。それが本当になぜ我が国の国益に資するものなのか、そして我が国がなぜ国際的責務の履行としてこれをやらなければいけないのか、そういう目的意識を隊員の一人一人に持っていただくという努力は私は必要なのだと思っています。
同時に、飲酒事案の御指摘がございました。規律規律とだけ言ってもだめだ、そのとおりでございます。しかしながら、一番過酷な任務を行っておる補給艦においては飲酒事案は発生をいたしておりません。一番つらくて苦しい任務をやっている船においては発生をしていない。飲酒事案が発生したのは初めての船でございます。
確かに過酷だと思います。飲まなきゃやっていられるかということを私は全面的に否定するつもりもありません。しかし、法に基づいて、そのような武器を有して国際的責務の履行のためにやっている集団、私は、自衛隊というのは国民が一番信頼してもらえる集団でなければいけないと思っています。そういう意味で、規律規律というようなことを申し上げる、それだけ申し上げるつもりはありませんが、そういう責任感を持って行動している人間たちに範をとるべきではないか、私はそのように思っています。
しかし、自衛官の過酷さが少しでも軽減できるように、そして、何のためにおれたちはこんなことをやっているんだということをきちんと認識してもらうように、私もきちんと努力をしたいと思っています。
■前原委員 ニーズの話、ちょっと私も反論しておかないといけません。
別にオール・オア・ナッシングの話をしているのではありません。ただでやってもらうことがあるから、その部分については甘えようかということは当然出てくるわけですよ。ただでなくてもそういったミッションがあるのは事実です。事実だけれども、ただだからこそ、そちらに行こうかとかあるいは活動を拡大しようかというインセンティブが働くのも事実であります。だから、そういうことを申し上げているんです、私がニーズが生まれると言ったのは。
それで、私、なぜ運用面の話をしたかというと、何か、さっきちょっとやゆして、働いて、任務についてくれている自衛官の人には申しわけないんですが、インド洋上の炎天下のガソリンスタンドと申し上げました。私は、これが特別措置法だったら仕方がないと思いますけれども、さっき、いつになったらこのテロ特措法のけじめがつくんだというふうに申し上げましたけれども、例えばアフガニスタンにおけるテロの問題が仮に何らかの形で片づいたとしても、多分、戦争あるいはテロのたぐいというのは、歴史が続く限り永遠に続く話なんだろうと私は思うんですね。
つまりは、そういうものが起きちゃいかぬし、起きない努力はしていかなくてはいけないけれども、それに対する、私は日本としての考え方というものが、単に特別措置法ではなくて、国のスタンスとして問われているんだ。だから、アフガニスタンの問題がある、そしていつ終わるかそれについてわからないということでありますけれども、そもそも、では日本としては、テロに対してどういう備えあるいはどういう活動、協力というのじゃなくて、主体的にどういう活動をしていくのかといった視点が不可欠だと私は思うんですね。また、そういう部分がなければ、誇りを持って自衛官も仕事をしてもらえないと私は思うんですよ。今のガソリンスタンドと申し上げたことについて、私が込めたかった意味はそこなんです。
そこで、特措法の延長だという話になっていますけれども、内容を見直す、あるいはそもそも日本がテロに対してどういう活動をするかというような、言ってみれば一般法、恒久法という話があっていいと私は思うんですね。イラクの問題についても恒久法という話がありましたけれども、このテロ特措法についても、テロに対してどう日本が活動していくのか。
もっと言えば、日本は貿易立国、資源のない国、いろいろな国々から資源、特に油を輸入したり、あるいはまたそれを積み出してもうけている国ですよね。そういった海洋国家が、例えばシーレーン防衛みたいなものをしっかりやる、つまりは、マラッカ海峡なんか海賊船が多発をしているわけでありますから、そういったところに対して、テロではありませんけれども、海賊あるいはテロに類したものに対して、日常的にみずからの利害の絡む、国益の絡む問題に対して対処する、それは私は特措法ではだめだと思うんですね。
そういう意味で、私は、このアフガニスタンの二年の期限が切れるときに、やはりしっかりとした恒久法、一般法というものを政府として考える、こういう必要性があると思いますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
■福田国務大臣 特別措置法というものを別途、イラクに関して御審議をいただいているということもございます。このテロ特措法も特別措置法でございます。それは、限定的な分野においてその地域のための、言ってみれば国際社会の平和、安定、しかしそれはその地域のためのという、そういうような限定的な法律を今もお願いし、また新しい法律もお願いしているということでございます。
それは、基本的には国際社会の平和と安定のために日本が何をするかということに尽きるわけでございまして、そのことがひいては我が国にとって大事なことなんだ、我が国の存続のために大事なことなんだという基本的な考え方に根差しているわけでございます。
ですから、そういう目的のために、今御審議いただいている法律も含めて、一般法として何かできないかというようなことはかねがね考えておるところでございまして、その内容的なことにつきましては、先般出ましたいわゆる明石レポートにも詳細に出ておるわけでございます。このことにつきましては、やはり今後検討すべき課題であると私どもは考えております。
そこで、今後どういうふうにするかということも含めまして、この課題というのは非常に大きな課題だというように考えております。それは、日本の今後のあり方といったものに関係するから大きな問題だというふうに申し上げたんですけれども、そういう観点から、やはり国会でも十分な議論が必要だろうというように思います。また、政党もそうでございます。与党ももちろんいたしますが、政界全体でもって日本のあり方というものを一回議論していただくということも必要なのではないかと思っております。
そういうことで、今後、そういう議論を十分していただいた上で、本当に何をすべきかということに絞って一般法をつくる、もしくは恒久法と申しますか、そんなふうな作業に入らなければいけないというように今考えておるところでございます。
■前原委員 防衛庁長官、今官房長官が一般法、恒久法の必要性について言及をされたわけでありますが、ある程度の哲学、ある程度というか、ちゃんとした哲学が必要だと私は思うんですね。テロは許さない、これも一つの大きな哲学、それと同時に、日本における総合安全保障の考え方をもう一度確立するということが必要だと思うんです。
総合安全保障というのは、単なる防衛のみならず、資源あるいは食料それから環境、こういったものに対してどう日本が主体的な役割を果たしていくのか、主体的な役割というのは、我が国の国益に資するあるいは世界の平和に資する、こういう大きな哲学というものが必要なんだと私は思うんですね。
そういう意味でこのテロ特措法をもう一度見直したときに、私は、艦船の油の補給ということだけではなくて、テロ掃討のために日本が何ができ得るのか、さっき申し上げたシーレーン防衛も含めて。あるいは、一時期、基本計画の変更の議論のときに、P3Cを出したらどうかという議論がありましたよね。つまりは、日本の得意なものを、例えばそういう海外にテロ組織、集団が出ている、そしてその船を見つけなきゃいけない、そしてテロの拡大を抑えるんだということであれば、哨戒活動においては日本は極めて優秀な能力を持っている。例えばそういうことも含めての内容の変更、ひいては恒久法、一般法、そしてシーレーン防衛を総合安全保障の観点から恒久法の中に入れ込んでいくということが必要だと私は思いますが、防衛庁長官の答弁をいただきたいと思います。
■石破国務大臣 この点につきましては本当に時間をとってまた委員と議論をさせていただきたいと思っていますが、私は一つ考えていますのは、これは私が個人的にということでお許しをいただきたいのですが、恒久法といったときに、テロ恒久法なのか、国際貢献恒久法なのかという議論がまずあると思っているのですね。PKOまで含んだ国際貢献恒久法というものを考えたときに、一体どういうような法律ができるのかということをちょっとイメージしてみると、なかなかこれが難しい。では、PKOはPKOとして、テロ対策はテロ対策として恒久法をつくるのかという議論がまずあるだろうと思っています。
その中において、いずれにしても必要なことは、委員がおっしゃるように、日本としての哲学をどうつくるんだ。それは憲法九条との関係と、憲法前文との関係と、あと、国連というものをどう考えるかということについて、やはり一貫した考え方が必要だと思っています。
PKOの場合には、これは国連決議、人道支援のように要請に基づくものもございます。そうですね。では、テロ対策はどうなのかといえば、国連決議に基づいて行動している米英そのほかの軍隊を支援する、こういう形ですし、では、イラクの場合にはどうなのかというと、国連決議一四八三、これにはいろいろな御議論があることは承知しておりますが、一四八三というものが出てきます。では、それをどうやって一つのものにできるのかということも議論をしなきゃいけないし、それぞれの恒久法をつくるならつくらなければいけない、そこの議論が一つございます。
もう一つは、集団的自衛権は使えないという立場でございます。これを内閣として変更するつもりがないというのは、従来から総理もおっしゃっておられるとおりですし、私もそうです。
だとするならば、何ができるのですかねということです。委員がおっしゃるように、では、海賊対策、海上におけるテロ対策、海賊行為ですとか麻薬ですとか密輸ですとか。しかしながら、集団的自衛権は使えない。では、そうすると、警察権というものが、海軍の警察権的利用ということを本当に真剣に考えてみるべきことではないだろうか。では、海上保安庁との役割分担はどうなるんだろうか。詰めなきゃいけないことはたくさんあります。しかし、私は、先般シンガポールで開かれたIISSという会議でそのことは個人的に問題提起をしてまいりました。これは長い間我々の防衛研究所で研究をしてきたことでございます。
この問題もある、あの問題もある、ああでもない、こうでもないと言っていても話はちっとも前に進まないのであって、日本が集団的自衛権は使えない、では何ができるんだということを一つ一つ議論して詰めていきませんと、日本の総合安全保障というのはできない。世界のために日本が何をするのかということも大事です。あわせて、日本の国益のために日本ができることは何があるんだということを、一つ一つ議論しているのではなくて解決していかなければ、グランドデザインはかけないと私は思います。
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