156回−衆−予算委員会−20号
2003/03/03 (2P/3P)
■藤井委員長 その前に、答弁をもう一度。
川口外務大臣。
■川口国務大臣 今の委員の御質問についてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、まず、これは一四四一の決議の中にこの六八七という決議が生きているということは、ちゃんと書いてあるわけでございます。それから、九八年の十二月にアメリカ、イギリスがイラク攻撃をした。そのときに、これは先ほども申し上げた、この地域における国際の平和及び安全を回復するためにとられた措置であるという説明がされていて、この時点で、国会でも議論がなされて、政府の御意見は申し上げたということです。
■前原委員 そういうことも含めて、統一見解を出していただきたいと思います。
■藤井委員長 理事会で協議をいたします。
■前原委員 それでは、法律的な議論は、それを見た上でまた改めてさせていただきたいと思います。
今回、アメリカに行かせていただいて、これは総理、聞いておいていただきたいんですけれども、アメリカの戦争観が多分変化したんだろうと私は思っています。
つまりは、九月十一日のテロ以降、特にそういう考え方が強くなったと私は思うんですが、もともとの戦争の形態というのは、一般的には、ある国が、主権国家が他国に宣戦布告をして、そして攻撃をしかける、こういう戦われ方が過去の戦争においては一般的であったんだろうと思います。
ただ、アメリカが唯一の超大国、特に軍事的な超大国になって、面と向かってアメリカに宣戦布告をして攻撃をしかける国はなくなってきた。しかしながら、面と向かっては攻撃をしないけれども、いわゆるテロ組織などに武器や資金を横流しして、そして間接的に戦争をしかけるということが新たな戦争の概念とアメリカはとらえているんじゃないかという思いを、私は今回訪米して強く感じました。
アメリカ自身も、川口外務大臣は先ほどロジックの話を、私の質問にお答えをいただいて、かなり綿密にしていただきましたけれども、一般的なアメリカ人は、国務省の高官も含めて、パウエルさんやアーミテージさんは別ですよ、その下のレベルの方々というのは、とにかくやるんだ、イラクに対しては。そして、それについては国連決議とかそういうものは関係ない、我々は自衛権の行使をやる権利があるんだ、あるいは、イラクについては我々はやるという国内的な手続をもうとっているんだ、だからやるんだ、こういう言い方が国務省やペンタゴンの高官も含めて、あるいはいろいろなシンクタンクの方々の意見も含めて、一般的でありました。国務長官や国務副長官は、そこら辺は法律的な精緻な議論を詰めてやっておられると思いますけれども、雰囲気としてはそういう議論であったということはお伝えをしておきたいと思います。
実際問題、この後の、この決議がなされるかどうかというのは予断を許しませんけれども、仮に、先ほどの六七八というものが辛うじて今までの解釈に当てはまって、何とかこの急場はしのげたとしても、アメリカの今後の問題、つまり私は、イラクにとどまらない可能性があると思いますよ。
つまりは、先ほど申し上げたように、戦争観が彼らは変わっているわけですよ。つまりは、テロ支援国家に対しては、徹底的に我々はいわゆる敵対国として戦争をしてもいいんだ、そうしないと自国の安全を守れないんだ、そういう考え方に立っているわけですね。
私は、先ほど一番初めに総理に御質問をいたしまして、総理がお答えになりました。自衛権の行使と国連安保理の決議をよりどころにしない限りは国連加盟国が他国を攻撃することは許してはいけない、こういう話で、日本もそう思う、こういう話をされました。
しかし、昨年アメリカが出したいわゆる国家安全保障戦略、プリエンプション、つまりは先制攻撃、先制行動という概念がありますけれども、多分私は、先ほど申し上げた戦争の形態が変わったわけで、そういう新たな脅威に対応するためには、その二つの概念にとらわれなくても、他国を攻撃することはアメリカはやるべしという考え方に立っていると私は思っています。
そのことについて総理はどうお考えなのか、評価されるか。アメリカのことは理解できるというふうにおっしゃるのか、いや、今までの国際法の二つの枠にはめるべきだとおっしゃるのか、あるいは、私が答えを言うのはあれですけれども、一をとるのか二をとるのか、三番目は、アメリカの言うことも理解できる、やはり新たな国際的なルールづくりが必要だというふうにお考えなのか。この三つから選んでください。もし三つに当てはまらない、四つがあるんだったら四つ目で結構です。
■小泉内閣総理大臣 前原議員が指摘されたように、九月十一日のテロ以来、やはりアメリカの自国を防衛する、自国民の安全を図るという考え方に変化が出てきた、私もそう思っています。
アメリカのそういう国民感情、あれだけの多くの犠牲者を出し、しかも本土、ニューヨーク、国防省、そして他の地域にも同時攻撃がなされたということから、その国民感情は理解できますが、やはり武力行使ということに対しては、先ほど申し上げましたように、国連安保理決議あるいは自衛権の行使、国際社会から理解されるような行動が望ましいと思っております。
■前原委員 今後どういう世界情勢の転換になっていくかわかりませんけれども、私はさっき申し上げたような見通しを持っています。つまりは、今までの自衛権の行使の急迫不正の侵害という狭い範囲の自衛権の行使を認めるという考え方と、あるいは国連決議だけでは、なかなかアメリカの今後の行動というものが本当に制御し切れるかどうかというところが大きな問題があります。それが先ほど申し上げた昨年の国家安全保障戦略の新たなプリエンプション、先制攻撃、先制行動という概念だと私は思うんですね。
同盟国として、あるいは国際法、国際社会の正義というものを重んじる国であれば、先ほどイスラエルあるいはコソボの介入の話もさせていただきましたけれども、やはりそういう例外があってはいけないわけです。国際法のルールにのっとった行動をすべての国がとれるような国際社会をつくっていくことが、もし日本が特に国連の安保理常任理事国入りを目指すとすれば、そういった崇高な考え方もやはり設立をしていく、建設をしていくというような視点に立たないと、すべて起こったときに能動、あえてきょうはそれほど掘り下げては申し上げませんけれども、何とか昔の国連決議に当てはまったからよかった、こういう古い考え方では、私はアメリカの戦争観の変化にはついていけない。
ひいては、ひょっとすれば今回はよかったかもしれない、何とか昔の決議で当てはまったから。では、そうじゃない場合においては日本はどうするんだと。今から質問しますけれども、北朝鮮の問題があるからアメリカとは共同歩調をとらなきゃいけないんだということを言い続けて、国際法の正当性に反したことを、自国の現実の問題があるからといってそれに引きずられてしまえば、逆の立場で国際法を破られたときに日本がどういう態度をとるのかという、その対照性の問題で私は正当性を持てないと思うんですね、国際社会の発言において。
そういう意味で私は、先ほどの総理が、新たな概念というよりは、今までの自衛権の概念あるいは国連決議というものしか他国を攻撃できないんだとおっしゃいましたけれども、私は、本当にそれで今後できるかどうかということは非常に懸念をしているところでありますので、これはもう意見として申し上げておきますが、ぜひ、将来的な問題としてもお考えをいただかなきゃいけない問題だということを指摘しておきたいと思います。
最後に、防衛庁長官に質問をしたいと思います。
先ほど伊藤議員が質問されたことで、少し私も突っ込んで話をさせていただきたいと思います。
今お話をしたように、北朝鮮の問題があるからイラクには協力をしなきゃいけない、あるいはせざるを得ないんだという議論が政府・与党のかなり有力な議員から聞かれるたびに、私は非常に情けない思いをしています。先ほど申し上げたように、現実の問題と国際社会の大義、正当性というものを照らし合わせてどう判断するかということが全く検証されていないまま、短絡的な議論になり過ぎているという嫌いがして私はなりません。どちらも対応においても同一性がなければいけない、ベースにおいては。
つまりは、国際法に基づいて、あるいは、国連というみんなが支えなきゃいけない組織の運営に基づいて、イラクの問題、北朝鮮の問題も、どちらも同じように照らし合わせて考えなきゃいけない。自国の利益不利益があるからイラクに対してはアメリカを支援するというような言い方をするのは、余りにも情けないというふうに私は思っています。
そこで、長官に質問したいのは、盾と矛の役割分担というのがありますよね。つまりは、ニクソン政権のときに、日本の安全保障についてはいわゆる盾だ、専守防衛。大規模着上陸侵攻があったときには、日本の自衛隊がまずは対応すると。しかし、矛の役割分担については、日米安全保障条約に基づいてアメリカに任せると。こういう形で昭和三十一年に決められたような、弾道ミサイルが来た場合においての敵基地攻撃なんかは、日本は自衛権の範囲、憲法の範囲の中であるけれども、日米安保条約に基づいてアメリカに頼るという今まで考え方で来たわけです。
果たしてそれでいいのかということは、私は、今から申し上げることでやはり真剣に考えていかなきゃいけないと思うんですね。
つまりは、盾と矛の関係というのは今成り立たないんですよ。先ほど申し上げたように、大規模着上陸侵攻なんというものがあるかどうか、これからわからないわけですよ。つまりは、旧ソ連というものを前提として日本の安全保障が今までニクソン政権時の役割分担で来たわけですけれども、大規模着上陸侵攻なんというのはあり得ないかもしれない、ひょっとしたら。ミサイルが急に飛んできたり、あるいはテロ、ゲリラが急激に日本の国内で起こる。テロ、ゲリラの内容にしても、サイバーテロのような武力を伴わないようなもので、しかし日本が大混乱して人が死ぬかもしれない、あるいは日本の経済に大きな損失が与えられるかもしれない。そういうものに対しての盾と矛の役割分担、自衛隊は今果たせないような状況になっているじゃないですか。
つまりは、北朝鮮の脅威があるからイラクには協力せざるを得ないというすべての前提が、その役割分担の旧態依然とした今までの前提では成り立たない状況から生まれてきているんだと私は思うんですね。今のままの自衛隊の体制あるいは日米の役割分担で本当に長官はいいと思われるんですか、未来志向の問題として。その点についてお答えください。
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