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156回−衆−予算委員会−23号 2003/03/24 (1P/5P)

■藤井委員長
 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。
 次に、前原誠司君。

■前原委員
 民主党の前原誠司でございます。

 総理初め出席をいただいている各大臣に質問させていただきたいと思います。

 まず、今回のイラク攻撃につきまして、我が党の考え方というものをしっかり述べさせていただきたいと思います。

 湾岸戦争以降、十二年間にわたり十七の国連決議違反を繰り返してきたのは紛れもなくイラクであり、イラクが責められるべきである
、また、イラクが自浄作用というものをしっかり発揮してこなかったということは、これは大前提として指弾されるべきであろうというふうに考えております。

 さはさりながら、国連、国際社会のルールというものの中で、国連による査察が行われておりまして、そして、その真摯な努力が、UNSCOMからUNMOVICに変わりましたけれども、行われてきたわけでありまして、イラクも、もちろん国連の努力とともに、総理が時々おっしゃっているように、アメリカのおどしというものも効果があったのは間違いないことだと私は思っております。

 実際問題、イラクが、化学兵器弾頭では、廃棄実績が四万発以上、しかしまだ九百発残っている、そして、VXなどの化学剤、廃棄したのは六百九十トン、しかし、今川口外務大臣が前の委員に答弁されたように二・四トン以上残っているということで、この残っているものについての査察というものが行われていたわけであります。

 したがって、我々の立場というのはあくまでも平和的な解決を求めるべきであり、どうしてもイラクが最終的に、おどしても、国際社会のルールの枠組みの中でも協力しないということであれば、新たな国連決議をもって、そして国際社会として正式なルールの上でイラクに対応するのが筋であろうというのが我が党の考えであるということを、まず明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、総理に幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回のイラク攻撃の法的な根拠、正当性について、もう一度ポイントを絞ってお話をいただけますでしょうか。

■小泉内閣総理大臣
 これは、一連の決議と言っておりますが、昨年十一月の国連におきます一四四一、もちろん六七八、六八七を含んだ一連の決議に根拠をなしているものと私は考えております。

■前原委員
 総理はよく、危険な大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったらどんな危険な目に遭うかわからない、日本も他人事ではない、こういう答弁あるいは説明をされておりますけれども、では、これは、法的根拠とは関係なく実際の問題をおっしゃっているということで認識してよろしいんですか。

■小泉内閣総理大臣
 これは、実際の脅威をどう感じているかということで、危険な大量破壊兵器を危険な独裁者が握ったらどのような危険な状況になるかというのは、多くの国民が、また全世界の人々が認識していることだと思っております。

■前原委員
 それでは、その一四四一やら六七八、六八七という国連決議に基づいて、今回のアメリカ、イギリスなどによる武力攻撃というものは国際法上正当性がある、こういう御答弁ですね。
 ということは、裏返して言えば、国際法上正当性のない攻撃については、たとえ同盟国であるアメリカであっても日本としては認めるわけにはいかないということを意味されているのかどうか、そのことについて御答弁ください。

■小泉内閣総理大臣
 私は、正当性があるから支持しているわけであります。

■前原委員
 もう一度御答弁いただきたいと思います。国際法上正当性のない行動については、同盟国であっても支持しないということですね。

■小泉内閣総理大臣
 私は、どういう事態が正当性がないかということでありますが、正当性のないものは支持すべきではないと思っております。

■前原委員
 そこは、これ、ずっとこれから今の総理の答弁というのは有効性を持ち得るわけでありますので、ぜひそのことは肝に銘じて、これからの外交をやっていただきたいと思うわけであります。

 なぜこういう話をするかといいますと、二月の末にアメリカに私も行かせていただきまして、いろいろな方々にお話を伺いましたけれども、正当性の問題について、やはり九・一一テロの後に、アメリカとしては戦争の概念が変わったんだと。つまりは、テロ支援国家に対しては先制攻撃も辞さないんだ、こういう考え方の中で今回のイラク攻撃を説明される方が非常に多かったんです。

 確かに、アメリカの政府高官、特に戦闘が始まって以降の説明は、先ほど総理が答弁されたような、国際法の根拠に基づいているということをおっしゃっていますけれども、しかし、アメリカの国内でいえば、例えば議会がイラク解放法という国内法をつくっている。そして、ブッシュ大統領に対して、戦争をしてもいいという権限を上院、下院が渡している。その流れの中で来ていて、国際法上の正当性、特に、国連決議の解釈というのは後からついてきているものだと実は私は解釈をしています。これは私なりの解釈でありますから、それが正当性を持つかどうかは別の話でありますが。

 ということは、イラクに対しては、うがった見方かもしれませんけれども、たまたま国連決議があったと。しかし、これからテロへの脅威という中で、アメリカが他の国を、例えば先制行動、後でまた質問しますけれども、先制行動というものを前提にした行動を起こした場合、これは、今総理が答弁されたことからすると、正当性がなければだめだと。もちろん、その先制攻撃については後でしっかり詰めたいと思いますけれども、そういうことをおっしゃっているということで、ぜひその御発言は、私は重きを置いていただきたいと思います。

 さて、国連決議の六七八の解釈なんですが、今総理が御答弁されたように、国連決議の六七八というものが武力行使の根拠になっていると。確かに、これを読ませていただきますと、つまりは、二番目の決議のところでありますけれども、国連決議の「六六〇及び全ての累次の関連諸決議を堅持かつ実施し、」これは要は、クウェートから撤退しろという話。それから、もう一つ書いてあるのは、「同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与える。」こう書いてあるわけです。

 それで、多分お答えになっているのは、後段の同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与えられている、だから武力行使の法的根拠はあるんだ、こういう話になっているんだと思いますが、総理、では、この解釈というものは、それぞれの国連加盟国が勝手に行っていいものなんですか。つまりは、この解釈というものを、ある国が、同地域における国際の平和と安全を回復しなきゃいけないというふうに考えたら、こういう決議があるから、どの加盟国もこの行動をとっていいんですか。御答弁ください。

■川口国務大臣
 六七八の解釈でございますけれども、例えば、一四四一を読んでいただきますと、ここに……(前原委員「いや、六七八の有権解釈権だけ」と呼ぶ)有権的解釈は、もちろん国連の安保理の決議については安保理でということでございますが、我が国としては、我が国の解釈もしております。
 それから、国連の安保理の決議の安保理における解釈という意味では、一四四一において、この六七八について、ちゃんとその前文に書いてあるということで、安保理もそのように解釈をしているということが明確に言えると思います。

■前原委員
 今御答弁されたことなんですけれども、要は、有権解釈権は国連安保理にあるとおっしゃったんですね、今。そのとおりなんですよ、国連安保理にある。
 しかし、アナン事務総長が、アメリカ、イギリスの行動は国連憲章違反である、こういうことを言っているわけですよ。事務総長が言っているんですよ。事務総長が言っていて、今おっしゃったように、安保理がその有権解釈権を持っているとすれば、アメリカ、イギリスが勝手に、いや、これは同地域における国際の平和と安全が回復されていないんだ、だから攻撃できるんだと言うことについては、おかしいんじゃないですか。

■川口国務大臣
 アナン事務総長は、何回かその発言をしていらっしゃいます。その最近の発言で、ちょっと引用させていただきますと、もう少し長くやったならば、査察をやったらば、世界は集団的な決定により、今よりも大きな正当性を持って、したがって、より広範な支援を得てこの問題を解決するための行動をとることができたかもしれないということでして、より大きな、今よりもより大きな正当性を持ってと言っているわけですから、アナン事務総長の前提は、今のことが正当性を持っているということでございます。

■前原委員
 都合のいいアナン事務総長の発言だけを取り上げてそういう説明をするのは、私はおかしいと思いますよ。国連憲章違反だと明確にアナン事務総長はおっしゃったじゃないですか。
 では、その一四四一のどこを指して一四四一が認めておるとおっしゃるんですか。だったら、なぜに他の安保理事国が、つまりはイギリス、フランス、スペインなど以外はすべて、そういう解釈によらずに、新たな国連決議が必要だ、そして一方的な武力攻撃には反対すると言ったんですか。