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156回−衆−予算委員会−07号 2003/02/06 (1P/4P)

■前原委員
 民主党の前原でございます。
 まず、総理にお伺いします。簡単な質問ですのでお答えをください。
 国連加盟国で、他国を攻撃できる法的根拠というのはどういうものがあるんでしょうか。挙げていただきたいと思います。

■小泉内閣総理大臣
 自衛権の行使、それから国連安保理決議ですね。

■前原委員
 そのとおりです。自衛権と国連安保理決議、国連憲章の二十五条、この二つしかありません。
 では、次に伺いますけれども、大量破壊兵器、またその運搬手段を保有している国、その理由のみで自衛権の発動の要件になりますか。御答弁をいただきたいと思います。

■川口国務大臣
 今委員がおっしゃった条件だけで自衛権の発動が可能かどうかということを言うのは困難であろうかと思います。

■前原委員
 予防線を張られていると思うんですが、自衛権発動の三要件というのは、急迫不正の侵害があるということ、それから他に手段がない場合、それから必要最小限度、この三つが自衛権発動の三要件です。したがって、私からお答えをすると、大量破壊兵器を持っている、あるいはその運搬手段を持っているだけで自衛権発動の要件にはなりません。

 イラクの今の現状で、国連加盟国が自衛権を発動する要件に当てはまりますか。

■川口国務大臣
 イラクについては、今国際社会で、平和的に解決をしたいということで一生懸命に対応をしているわけでございます。

 それで、そういった状況、我が国も一生懸命外交努力をしている、米国も武力行使をするとは決めていない、そういう状況で、武力行使が行われるということを前提にして質問にお答えをするというのは、まさに今国際社会がやろうとしていることの結果を、それがうまくいかないだろう、そういうように先取りをするということになって、私は不適切であるというふうに思います。

■前原委員
 それは詭弁なんですよ。
 イラクを擁護するつもりは全くありません。シロだということは全くないでしょう。限りなくクロに近い。
 そういう前提で言いますけれども、私は今聞いているのは、国際法に基づいて国連加盟国がどういう行動をとれるのかという話を聞いているわけです。ですから、どういう状況を生み出すかどうかなんというふうなことをあなたに判断してくれなんて言っていないんです。国際法に基づいてどういう条件が整えば攻撃できますかと。ですから、今のイラクの大量破壊兵器を保有している、運搬手段を持っているかどうかわからない、その時点だけで自衛権発動ができますかどうか、イエスかノーかで答えればいいんです。

■川口国務大臣
 先ほど総理がお答えになられましたように、武力を行使できるということは二つ、一つは自衛権の行使、あるいは安保理の武力行使の決議ということですが、今回の件について、自衛権の発動によって武力行使が議論を、国際的になされるという議論は国際社会では今行われていない、そういうことでございます。

■前原委員
 初めからそう答えていただいたらいいんです。

 つまりは、イラクの問題というのは自衛権の行使で物事が図られる話ではないということなんですね。ということは、もしイラク攻撃が可能であるならば、国連決議がなければできないんですよ。国連決議も、国連の決議の中に武力の行使を認めるかどうかの文言がなければだめなんです。そこを私は言いたかったんです。

 では、次に聞きますよ。

 国連決議の一四四一、この中にはイラクへの武力攻撃を認める文言が入っていますか、入っていませんか。お答えください。

■川口国務大臣
 これにつきましては、さらなる重大なる違反がイラクの側においてあったとき、これは、安保理に報告をされるということになっているわけです。

■前原委員
 ということは、入っていないということですね。
 重大な違反があった場合に報告があるということは、また国連安保理が開かれることを想定していて、国連決議の一四四一で武力攻撃を行うということを認めているわけではないということですね。イエスかノーかで答えてください。

■川口国務大臣
 一四四一に基づいて武力行使を行うということはできない、そういうことでございます。

■前原委員
 この一四四一については、アメリカの国連大使ネグロポンテさんも、今川口さんがおっしゃったことと同じことを言っています。つまりは、この一四四一の中には隠されたナイフはない、武力攻撃の自動性はないということをアメリカ自身も言っているわけです。つまりは、この一四四一の決議の中では、武力攻撃を認める文言を与えていないんですね。

 一番初めに総理が答弁されました。国連加盟国が他の国を攻撃することのできる要件というのは、自衛権の発動か国連決議、国連憲章の第二十五条でしかない。一四四一には武力攻撃を認める物事が、文言が入っていない。ということは、新たな国連決議なしでは、どの国も国連加盟国はイラクに対して武力攻撃できないということになるんではないですか。

■川口国務大臣
 一四四一にはそういうことでございますけれども、まず最初に申し上げたいことは、最初に戻りますが、国連の平和的な努力、これが失敗をするという先取りをして議論をしているということでは決してないということを申し上げたいと思います。これはとても大事なことだと思います。

 その上で、一四四一自体ではそういうおっしゃったようなことでございますけれども、国連の決議、過去において国連の決議六七八、六八七、すなわち六八七でございますけれども、それに基づいて武力行使が行われたという過去においてのケースはございます。

■前原委員
 そのとおりなんですよ。一九九八年の十二月にアメリカとイギリスがイラクを空爆しているんですね。砂漠のキツネ作戦ということで空爆をしています。そのときに求められた国連決議が六七八と六八七なんですね。でも、川口さん、外務大臣、六七八、六八七を根拠にすること、無理があるんじゃないですか。
 私、六七八も六八七も何度も読んでみました。確かに、六七八については武力攻撃を容認する言葉が書いてあります。「イラクが一九九一年一月十五日以前に、」途中省略しますけれども、「クウェイト政府に協力している加盟国に対し、安全保障理事会決議六百六十及び全ての累次の関連諸決議を堅持かつ実施し、同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与える。」つまりは、武力攻撃の根拠になっている文言はここなんですよ、ここ。
 でも、六百六十という決議も読んでみると、これは、湾岸戦争のときにイラクがクウェート侵攻して、原状復帰しろという決議なんです。つまりは、クウェートを侵攻したイラクに対して、原状復帰しなさい、それを守らないとあらゆる手段を与えますよということなんです。

 その後の六八七については、武力攻撃を容認する言葉は入っていないんですよ。これは大量破壊兵器のことについて書いてありますけれども、六百八十七にはそういうあらゆる手段を与えるなんということは書いていない。

 ということは、六七八、六八七とおっしゃったけれども、それをもとにして武力攻撃をする、容認するということは、日本としておかしいんじゃないですか。法的にはあり得ないじゃないですか、国際法的に。それを認めるということは、どういうことですか。国連憲章違反ですよ。

■川口国務大臣
 ただいま委員が、日本として容認するのはおかしいのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、先ほども申しましたように、武力行使をするという決定もなければ、どのような理由でそれが行われるかということについての議論は全くない。したがって、容認するとかしないとかいう議論ではない、そういうことを申し上げたいということでございます。

 その上で、委員の御質問についてのお答えですけれども、六七八、これは一四四一の前のところをずっと読んでいただきますと、決議の六七八を含むずっと累次の決議、これについてきちんと書かれておりまして、したがって、これはいまだ有効であるということでございます。

 それから、先ほど申しましたように、具体的に、では何で、もし武力行使が万が一あったとして、どういう理由で行われることになるかというのは、まさに安保理が今議論をする、そういう段階でございまして、それは今後のイラクの姿勢その他いろいろなことによるわけでして、今そのお話をしているのは、単に論理的なといいますか、法理的なそういう解釈の話だけであって、現実との関係でそういうことだということを申し上げているわけでは全然ないということを改めて申し上げたいと思います。

■前原委員
 現実は国際法の厳格な解釈に基づいて行われなきゃいけないんです。その上で今までの国連決議。

 国連決議というのは、今までの国連決議を想起し、想起しと何ぼでも書いてあるんですよ、幾らでも書いてある。それは今までのスタイルなんですよ、それを想起しというのは。だから、それをもって根拠になるとは書いていない。

 私が聞いているのは、一四四一には武力攻撃を与える文言は書いていないと認められたんですね。ということは、一四四一に基づいて武力攻撃をすることはできないわけです。では、過去の国連決議において、この間のいろいろなイラクの違反行為に対して武力攻撃をできるような法的根拠のある決議があるかどうかという話をしているわけです。だから、それについて答えてください。

 別に現実の話を、現実もオーバーラップしていますけれども、今は法的な解釈の話をしているんです。つまりは、他国を攻撃する場合は、自衛権でない限りは国連決議が必要なんです。国連決議で、ではどの国連決議をもとにやれるのかという話を聞いているわけです。

■川口国務大臣
 単にロジックの議論だけをしているということの前提でお話をさせていただきますと、先ほど申しましたように、一四四一自体は武力行使についての自動性はない。ただ、一四四一で引用をされているということでございますが、それは、単に委員がおっしゃったように想起をしているということだけではなくて、ここで言っておりますのは、イラクは国連査察団及びIAEAに対する協力及び決議六八七のパラグラフ八から十三に基づき要請されている行動の完了を怠っていることにより、決議六八七を含む関連する決議に基づく義務の重大な違反をこれまでも犯し、また依然として犯しているということを決定している、そういうことでございます。

 したがいまして、単に委員がおっしゃったように想起をしているということではなくて、それに違反をしているということでございますので、解釈としては、そういった過去において行われたように、一度使われたように、そういうことはあり得るであろう、そういうことでございます。

■前原委員
 誤解を生まないために何度も言いますけれども、イラクを守るために言っているんじゃないんです。攻撃というものが国際法に基づかれて行われないとなし崩し的になるということを心配して言っているわけです。イラクはクロであろうということは、私もそれは思いますよ、イラクがけしからぬ国だというふうには思います。

 だけれども、今おっしゃった六八七に、ではどこに武力行使を与えるという文言がありますか。確かにこの決議の中には六八七はありますけれども、六八七に武力攻撃を容認する文言はない、六七八にはあるけれども。

■川口国務大臣
 六八七というのは、いろいろなイラクが守るべきことがたくさん書いてあるわけですね。それをイラクが守って初めて停戦だ、そういうことになるわけですね。したがって、イラクがそれを守れていないということを国連安保理で決定しているわけですから、その結果として、それは六七八に戻って武力行使、そういうことが可能であると論理的にはなる、そういうことでございます。

■前原委員
 今の、物すごく大きな間違いを犯しておられますよ。六八七が武力攻撃を容認していると今おっしゃいましたね。いや、今そうおっしゃったじゃないですか。六八七が武力攻撃を認めているとおっしゃった。いや、今そうおっしゃいましたよ。それは、でも、もし間違いだったら訂正された方がいいですよ。六七八にはありますけれども、六八七にはないんですよ。

■川口国務大臣
 六八七をイラクが守っていない、したがって、これは、六八七に書いてあることを守って、それで停戦ということになったわけですね。それをイラクは守っていない。したがいまして、六七八にこれは戻る。そうすると、六七八には、あらゆる必要な手段を使用する権限を付与する、そういうことが書いてある、そういうことでございます。

■前原委員
 六七八に戻るというのはどこに書いてありますか。国連決議六百八十七に、どこに戻れと書いてありますか。どこに、戻って、それで六八七に基づいて武力攻撃ができると書いてありますか。

■川口国務大臣
 要するに、停戦が合意されていない……(前原委員「どこに書いてあるかを聞いているんです」と呼ぶ)ですから、六八七には書いていないですけれども、六八七には、これを守れば停戦だと、これを守って停戦になると書いてあるわけですね。それが守られていない。六七八はずっと生きているわけです。したがいまして六七八になる、そういうことでございます。