154回-衆-武力攻撃事態への対処に関する特別委員会-12号
2002/05/29 (3/3)
■前原委員
初めからその答弁をしてくれたらいいんですよ。要は、制限され得る権利、自由、制限されない権利、自由を今初めて突っ込んで御答弁いただいたんです。内面的な自由でも、内面でとどまっている限りは絶対に不可侵だ、そういう話をしてくれということを先ほどから言っているわけですよ。
ただ、法制局長官、先ほどの答弁の中で、つまりは、個別の事柄、具体的な事柄についてはいろいろな状況が生じ得るのでという話がありましたけれども、政府の統一見解のときは、そこまで突っ込んで、ある程度かなり類型化をした上で出していただきたいというふうに思いますよ、そこらを具体的に。どういう権限がどういう場合に制約され得るのか、そこら辺はしっかりと私は政府見解で出していただきたいというふうに思います。
今の話も、政府の統一見解が出された上でもう一度質問をするということで、次の質問に移らせていただきます。
防衛庁長官、ちょっと具体的なことで、武力攻撃事態に当たるかどうか、二、三質問をしたいと思います。
尖閣列島が他国に占拠をされたとき、あるいはその予測があるとき、これは武力攻撃事態に当たるんですか、当たらないんですか。
■中谷国務大臣
当然、その背景とか国際情勢等がありまして一概に言えませんが、一般論として申し上げれば、例えば尖閣列島というような、無人島でございますけれども、我が国の領土が他国に占拠されたという事態がこの法律案の武力攻撃事態となり得るかどうか。これは、あくまでこの占領が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるか否かの問題であります。仮にこのような占拠が武力攻撃に当たるとしても、その占拠が予測される事態が本法案の武力攻撃事態に該当するためには、そのときの国際情勢、相手国の動向、我が国への武力攻撃の意図が推測されることなどから見て、武力攻撃が発生する可能性が高いと客観的に判断されることが必要でございます。
なお、自衛隊による武力の行使は、自衛権発動の三要件を満たした場合にのみ可能であることは当然でございます。
■前原委員
では、もうちょっと絞って質問します。
尖閣列島が占拠された場合、しかし、ほかのところにその国が武力攻撃をする意図がない場合、とにかく尖閣だけ占拠したい、実効支配をしたいという場合は、武力攻撃事態なんですか。
■中谷国務大臣
これは、その占拠したものの対象にもよると思いますが、兵士じゃない場合、他国の文民が我が国の領土の一部を占拠したというような事態が本法案の武力攻撃事態となり得るかどうかは、あくまでこのような占拠が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるかどうかという問題でございます。
■前原委員
国がと言っているんですよ。国が占拠した場合、つまりは、実力組織をもって国が占拠した場合。
■中谷国務大臣
これは防衛庁長官の判断ではなくて内閣の判断でございますが、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるか否かという問題でございます。
■前原委員
官房長官、同じ質問です。
■福田国務大臣
今防衛庁長官から、そういう場合における占拠が武力攻撃に当たるかどうかということであれば、それは防衛庁長官の答弁のとおりであります。
■前原委員
この国は本当にだめですね。つまりは、みずからの領土が実効支配を他国にされて、それについて武力攻撃事態だと認定するかどうかはわからないと。みずからの国土が占拠されたんですよ。実効支配している。そして、その周りの領海、接続水域、排他的経済水域、全部実効支配されるということですよ。それでもいわゆる武力攻撃事態にならないんですか。
■福田国務大臣
これは想像の話ですからね、まず。想像の話でございますから……(発言する者あり)いや、もちろんそうですよ。だけれども、そういうことが起こるか起こらないかわからない想像の世界の話でありますので、ですから、具体的に相手の国を思い浮かべということであるかどうか。
これは、結局、形として組織的、計画的な武力の行使になるかどうかということでありますけれども、しかし、同時に、その占拠がどういう意図でなされているのか、そのときの国際情勢とか相手国がどういう考え方をしているか、それからまた、もし武力攻撃が伴うということであれば、そのことについてどういう意図があるのか、そういうことを勘案した上で判断すべき問題であるということを言っているんです。
■前原委員
ちょっと、具体的にもっと詰めましょう。
例えば、組織的に尖閣列島を占拠するということになれば、前ぶれがあるわけですよね。そのときには自衛隊はどう動くんですか。そのときに、みずからの領土を占拠されないために、例えばスクランブル発進したり海上自衛隊の艦船が出るわけでしょう。そのときに黙って見過ごすんですか。そのときに、実際問題何も起こらなくて占拠されるということはあり得ないでしょう。
有事法制というのは全部仮定の議論ですよ。仮定の議論の中で有事法制、備えあれば憂いなしということで小泉さんもやっておられるわけですから、その前提で話をしてもらって、可能性のあることを私は質問しているわけですよ。ですから、無人島であっても、尖閣列島、これが占拠されるあるいはそうなるときには、どういう動きをして、どう認定するんですか。
■福田国務大臣
委員のおっしゃるような事態が一体いつ起こるのかということもあるでしょう。それは、きょうあした起こるということを想定しているわけではないでしょう。十年、二十年先なのかもしれない。ですから、そういう仮定の話をされても具体的にお答えするのは難しい。いろいろな条件を考えて判断すべき問題である。そのために、安全保障会議のもとに事態対処委員会というものをつくりまして、そういう情報等を収集して、その時々の状況、国際情勢等々よく調べた上でいろいろな判断を安全保障会議に求めよう、こういうふうなことになっているわけですから、そういう仮定の話をされても困るんですよ、実は。お答えしようがない。
■前原委員
私、もうこの委員会で質疑するのがばからしくなってきた。情けなくなってきた。つまりは、具体的なことを質問して、そういうことを想定されないんだったら、有事法制やめたらいいよ。有事法制なんか整備しなくていいよ、こんな議論をするんだったら。何考えているんだ。そんな答弁する内閣に、僕は質問を続けることはできません。
■中谷国務大臣
我が国の場合に、自衛権の発動として、武力の行使については三要件がございます。その中の二項目に、「これを排除するために他の適当な手段がないこと」とされておりまして、一つは、外交があるかもしれません。また、もう一つは、対領空侵犯措置とか海上警備行動とか、海上保安庁とかそれなりの国家の組織があるわけでございますので、そういったものによって対処をいたしますし、領空侵犯措置につきましてはそれぞれの手順に従って実施をしますけれども、最終的には、自衛権の発動をするか否かという点につきましては、この武力攻撃事態対処法等に基づきまして政府で決定をするわけでございます。
あともう一点。その行動がいかなる行動かということでありますが、やはり他国の武力による侵攻であるか否かという点で、その事柄、組織的、計画的なものであるのかどうか、これはよく見きわめて判断しなければならないわけでございます。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
■前原委員
個別に聞いているわけですよ、具体的に、防衛庁長官。そんなことは、ある程度勉強した人だったらだれでも答弁できますよ。防衛庁長官の答弁じゃない。実際、みずからの国の主権が、ある部分が脅かされそうになった場合に武力攻撃事態になり得ると一言答弁したらいいんですよ。僕がそっちへ行って答弁してあげましょうか。つまりは、みずからの国の主権が侵されるかもしれない中で、その可能性があるということを言い切ったらいいんですよ。それを言わないというのはどういうことですか。そのことを聞いているんですよ。
■中谷国務大臣
他国の武力による侵攻で、かつまたそれが組織的、計画的な場合におきましては、この武力攻撃事態になり得るわけでございます。
■前原委員
初めからそう答えたらいいんですよ。ですから、みずからの国の一部が占拠される場合、これは主権侵害ですよ、領土を占拠されるというのは。それを武力攻撃事態と認定するかどうかについて答弁できない国なんて、内閣なんて、本当にもうやめた方がいいですよ。それは、まさしく武力攻撃事態に認定をする可能性の高いものですよ。だから、あり得ると初めから答弁してもらったらいいんですよ。
では、第二問に行きましょう。
サイバーテロ、サイバーウオーがあって、金融とか電力、水道、交通などの経済活動が壊滅的な打撃を受けて、それがある国のしわざであるということがわかった、また、それによって交通事故やあるいはいろいろな問題で死傷者がたくさん出ている、つまりは、極めて日本に対してのダメージが与えられている、この場合は武力攻撃事態と認定されるんですか、どうなんですか。
■福田国務大臣
ある事態が武力攻撃事態に該当するか否か、あるいは自衛権を発動し得るか否かということは、個別具体的な状況を踏まえて判断すべきものでありまして、今のような仮定の問題について断定的に申し上げるのは、これは適当ではないと思います。
したがいまして、一般論として申し上げますけれども、サイバー攻撃のようなものが武力の行使に当たるか否かについて、現状は、その法的性格について国際的には定説がありません。このため、これが武力攻撃事態に該当するかどうかは、現段階で確たることを申し上げることは困難であります。このように、我が国に対する武力攻撃であると認定できなければ、自衛権発動の三要件は満たされないため、自衛権を発動することはできない、こういうことになります。
■前原委員
今の御答弁ですと、今私が申し上げたような事態においては、武力攻撃事態と認定され得ない、こういうことですね。ということは、法の不備じゃないですか。
つまりは、今後、テロ、ゲリラ、そういうものに対しての対処というものを考えていかれるということでありますが、ある国が組織的にサイバーテロ、今はサイバーウオーと言ってもいいかもしれない、その場合は武力攻撃事態ではないかもしれないけれども、しかし、多大な人的、経済的なロス、損失が起きているということについて武力攻撃事態には認定され得ないというのは、私は法的な不備だと思いますよ。
そのことについてどうカバーしていくのか、その点について御答弁いただきたいと思います。
■福田国務大臣
その規模にもよるわけでありますけれども、例えばサイバーテロとかいろいろなインフラを攻撃されるとかいうようなテロですね。これは、現状では現行法で対応するということしかないわけですね。現行法で対応します、そういうこと。そしてまた、それが委員のおっしゃるような場合には、これからの法整備を行うということについて、これは二十四条に規定をしているところでございます。
■前原委員
テロ、ゲリラというのは有事に至るまでということでありますが、これだけインターネット等いわゆる情報通信社会になった以上、単に弾が飛んでくるとかいうことだけがテロあるいは戦争じゃないわけですよね。そういう観点からすると、今後整備をされるということでありますが、この点については極めて旧式の法律になっているんじゃないですか、この法律というのは。その点しっかりとぜひ議論をしていただきたいというふうに私は思いますし、その点についての有事法制の中での取り扱いというものも私は政府に求めていきたいと思いますが、その点について御答弁ください。
■福田国務大臣
サイバーテロのようなものについては、これは極めて可能性の高い部分であるということは、我が国においてもそういう懸念を持っておりまして、それに対応する方策はいろいろと政府内でも検討いたしておるところでございます。
先ほど申しましたように、この法案に規定されない緊急事態対処のための措置ということで、今後このことについて、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処、これは、迅速かつ的確に実施するための必要な施策を今後講じていく、こういうことで、今後鋭意検討させていただきたいと思います。
■前原委員
最後に、自由党の提案者の方に御質問したいと思いますが、自由党案と政府案の違いというのはどこにあるのか、また、その中で、自由党案の特徴はどこにあるのかということをまず一点御質問したいのと、それから、武力攻撃事態の定義が違うということですが、自由党案と政府案とどう違うのか。その二点について御答弁いただきたいと思います。
■東(祥)議員
お答えさせていただきます。
第一点目は、けさ、午前中に自民党の林先生からもお話があった質問でありますが、まとめてお話をさせていただきたいと思います。
まず、自由党案は、安全保障基本法によりまして、安全保障についての基本的な考え方、自衛隊の行動の原則を明示いたしております。政府案には、自衛隊をどういう場合にどのような活動をさせるのか明確な方針がないため、自衛隊の活動範囲がなし崩し的に拡大していく余地を持っている。
二つ目といたしまして、非常事態対処基本法において、政府案のいわゆる、先ほど来前原先生が御指摘なされているところに関連するわけでありますが、古典的な意味での有事、すなわち、戦闘機や艦船を使って行われる我が国への武力攻撃事態を想定しているのに対して、我が自由党案では、我が国への武力攻撃事態を含めた直接、間接侵略、また、大規模テロ攻撃や大規模なサイバーテロ、地域全体を席巻するような大規模災害、全国的な疫病の大発生など、国民生活に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じる事態について非常事態と認定し対処措置を講ずるもので、政府案とは対象、内容を異にするものであります。
第三点目として、政府案では、武力攻撃事態に至ったとき、基本方針を決定して対策本部を設置することになっておりますが、我が非常事態対処基本法では、内閣にあらかじめ常設の非常事態対処会議を設置することとしており、迅速性、統率性の面で決定的に異なると思われます。
そして四点目に、非常事態対処基本法では、非常事態に際しての内閣の権限を限定的に強化して、内閣の判断で迅速的確に非常事態に対処することを認めておりますけれども、それは、国会による厳格なコントロールのもとに行われることになると思います。
具体的には、一つ、原則として国会の事前承認を必要とする。二つ、不承認の議決があったとき、国会が非常事態の布告の廃止を議決したときは、直ちに布告を廃止しなければならない。三つ、国会の承認を得た日から六十日ごとに国会に対し報告しなければならないこととしており、国会の議決により内閣の権限行使にいつでも歯どめがかかるようにしているところであります。
二点目の御質問でありますが、つまり、武力攻撃事態の定義は政府案と自由党案ではどう違うのか、こういう御質問でございます。
二つあると思います。
第一点目は、非常事態対処基本法は、我が国への武力攻撃事態だけではなく、大規模テロ攻撃や大規模災害など国民生活に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じる事態について非常事態と認定するものであって、武力攻撃事態に対処する政府案とは基本的に異なります。
二つ、その上で、安全保障基本法において、自衛権の発動による武力の行使は、我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態、いわゆる周辺事態が生じた場合に限りこれを行うことができるとしており、従来の自由党の見解とは何ら変わっておらず、自衛権の行使は極めて抑制的に解釈すべきであるというのが私たちの見解であります。
以上であります。
■前原委員
時間が来ましたので、終わります。
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