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154回-衆-武力攻撃事態への対処に関する特別委員会-12号 2002/05/29 (2/3)

■福田国務大臣
先ほど、この法制の基本理念というのを申し上げました。憲法のことも申し上げました。そして、憲法の範囲内で行われる、こういうことなんですね。

今御指摘あったことについては、これはもう個別に法制整備をする、そういう中で具体的に規定をしていくということになりますけれども、国民の権利制限の内容は、そういう個別具体的に対処措置を決めていく際に、制限される権利の内容、性質、制限の程度などと、それから権利制限によって達成しようとする公益の内容、程度、緊急性、そういうようなことを総合的に勘案して定められるべきでございまして、当然その場合には、国会で十分御審議をいただかなければいけない問題だと思っております。

■前原委員

要は、この法律が本当に憲法に合致しているものかどうかというのは、理念だけでは担保できないわけですよ。具体的に、今申し上げたように、どの権利、自由というものが制限され得るのか、されないのか、され得るとすれば、どういう状況で、どの程度なのか。その前提がないと個別の法案を審議しても仕方がないじゃないですか。だから、そこがしっかり出せないのに個別の法案を審議してくれと言ったって、それはできないですよ。それを出していただかないと、だって、憲法に基づく法案かどうかがわからないじゃないですか、それがないと。これから審議するなんて、そんないいかげんなことはだめですよ。

■福田国務大臣
それはそうではないんじゃないでしょうか。今申し上げているとおり、そういう法整備をこれからしていくわけですよ、国民との関連に関するような問題については。そのときに、今申し上げたような基本理念にのっとって憲法の範囲内で法整備を行っていくということを申し上げているわけでございますから、これから行う法整備がそういう理念とか憲法の範囲とかいうものを逸脱することはないんだというように御理解をいただきたいと思います。

■前原委員
では、別の角度から質問いたしましょう。

この間、法制局長官が、つまりは理念の部分しか書いていないと、この法律自身。つまりは実体的な規定が置かれていないと。ということになれば行政不服審査というものにはならないと。適用除外じゃなくて、ならないと。具体的な法律に基づいてそういう不服審査というものが行われるんだということでありましたけれども。

では、今官房長官おっしゃったような部分で、整備されるまでにこういう事態が起きたときに、全く、憲法の保障する権利、自由が侵害をされた、明らかに侵害されたとしても、そういう個別的な規定がないためになすがままになってしまう、そういうことになってしまうんじゃないですか。

■津野政府特別補佐人

先日前原先生の御質問にお答えしましたが、要するに、個別法ができるまで不服申し立てができないというようなことを私の方で申しました。

それはどうしてかといいますと、現在御審議いただいておりますこの武力攻撃事態対処法案でございますが、この法案の中身で特に先生が御意識されているのは、三条四項の基本的人権の関係で御質問をされたんだと存じます。そういうことでございますので、この三条四項といいますのは、基本理念を、武力攻撃事態への対処における基本理念を定めたものであります。したがいまして、この規定に基づいて国民の権利義務に直接影響を及ぼすことはないが、その一方で、対処措置として行われる行政処分に対する不服申し立てがこの規定に基づいてできるというものでもないわけでございます。

今後制定されることとなります事態対処法制におきましては、この基本理念にのっとってその法整備が図られることとなりますが、それぞれの法制の中で、個別の行政処分に対する不服申し立ての可否、あるいは、可能となる場合における手続等が定められていくわけでございます。しかし、その個別の行政処分に対する不服申し立てに関しまして、今後整備される法制において特に規定を設けなければ、行政不服審査法が適用されまして、一般的には公権力の行使を行った者の上級行政庁等に対して不服申し立てができるわけでございます。

さらに、二条六号に規定されておりますとおりに、武力攻撃事態における対処措置は法律に基づいて実施されるものでございまして、対処措置には、今後制定される事態対処法制のみならず、既に存在する法律に基づくものも含まれるわけでございます。

このような既に存在する法律に基づく対処措置にあっては、行政処分に対する不服申し立ての可否や、それが可能である場合における手続等は、現行法に従うということになりますから、当該対処措置としてなされた行政処分に対する不服申し立ては、新たな法律が定められなくても、既存の法律の定めに従い行うことができる。これは既に法律の規定がある場合です。

なお、以上は行政上の救済措置について申し上げたものでございまして、このほかに、行政事件訴訟法とか国家賠償法等の規定に基づいて裁判所に司法上の救済を求める道が当然開かれていくということになります。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕

■前原委員
この間答弁されたとおりで、時間のむだですので、もう繰り返しはやめていただきたい。

ない場合はどうするんだという議論をしているわけですよ。ある場合はそれでいい、適用除外でない限りはそういう個別法をすればそういう対象になる、それはこの間御丁寧に答弁されたからわかりました。わかりましたけれども、ない場合はどうするんだと、そういう空白は、ないとは言えないわけでして。

ですから、何度も申し上げているように、官房長官、この議論を審議する前提として、少なくとも、個別法の設定まではいいけれども、どういう権利、自由が制限されて、どういう権利、自由が制限され得ないのか、あるいは、されるとすればどの程度なのか、あるいは、どういう回復措置があるのか、類型ぐらいは政府で示さないと議論ができないじゃないですか。

■福田国務大臣
この法律が成立しまして、そうしたらどうなるのか、国民の保護とかそういうことについてどういうように進めていくのかということなんだろうと思いますけれども、それはまさにこれからの法整備の中で、法整備でもってその考え方を示すということになるわけでございまして、それまではそういうようなことはないんですよ、そういうような取り決めはないんです。これからやるわけですよ。(前原委員「ないときが問題だと言っているんです」と呼ぶ)ですから、例えば警報とか、国民に対する警報を鳴らすとか、そういったようなことはできないんですよ。それはこれからのことなんです。

ないときにどうするかといったらば、それは現行法で対応するしかない。そして、この措置法が通りますれば、ここの中でできる分で対応する。それから、自衛隊法の改正もございますし、そういうことをあわせてやるということになるわけですね。

■前原委員

ですから、言いわけを聞いているんではなくて、官房長官、なぜ議論の前提として類型化を出されないんですか、少なくとも。どの権利、自由が制限され得て、絶対不可侵なものは何なのか、どういうときにその権利、自由が制限されるのか。それは、この理念を議論する上で示されないと、白紙委任状に判こを押せと一緒ですよ。そのことを私は何度も申し上げているんです。だから、その類型化を出してくださいよ、政府の統一見解を。

■福田国務大臣

これから法整備をする。例えば、法案の二十二条に、警報の発令とか避難の指示、被災者の救助、消防等に関する措置、施設及び設備の応急の復旧に関する措置、いろいろ書いてございます。そういうことをこれからやるわけでしょう。ですから、それはそれで、そういうことを対象にしてやるんだと。もちろん、ここに書いてないものも当然出てくるかと思いますけれども。しかし、具体的な対処措置が決まっていないという現段階において、制限する権利と制限しない権利を確定的に区分して定める、これは適当ではない、まさにこれからの議論の中身だと思います。

■前原委員

質問通告しているわけです。質問通告していて、その類型化をしてくれと言っているわけです。類型化をしないと私の質問ができないと言っているわけですから、質問しません、これから。出してください。

■福田国務大臣
それは、なかなか難しい質問をされているんですよ。難しいということは、それは、項目ごとに、類型化、類型化とおっしゃるけれども、一つ一つ、権利の制限とか、そういうことの程度とか範囲とかいろいろな状況があると思うんですね。それを一緒くたに類型化というのは難しいということを申し上げているんです。

■前原委員

これは日本の最高法規の憲法にかかわる問題なんですよ。憲法に保障されている権利、自由というものが、具体的に、ではこの法律を通したときにどう制限されるのかされないのかということを類型化できないというのは、これは、官房長官、失礼ですけれども、答弁者として失格ですよ。

それは、答弁をする前提としてそういうものは政府で用意しておかなきゃいけない話じゃないですか。それが出せないで、後でやりますから判こ押してくれ、賛成してくれなんていうのはむちゃくちゃですよ。だから、それを出さないと私は質問しませんから。

■福田国務大臣

それを、全体に対して、先ほど申し上げたような基本理念、憲法上の根拠等によりまして、その今おっしゃった権利の程度とかそういったようなことについては、今申し上げたその基本理念を中心に考えていくしかないわけです。その基本理念から逸脱することは許されない。

そういうことでありまして、例えば権利の制限について定めるという場合には、その制限が、武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続のもとに行われることとなっているかどうか、適切な救済措置が確保されているかどうか等について、これは政府においても十分に検討し、さらには国会において御審議をいただく問題であるということです。

■前原委員

それは、理念だけ示して、そして、ちゃんとやるから後の個別法を通してくれという議論なんですよ、今の話は。

ですから、憲法に書かれている権利、自由、そういうものを、どれが制約されるのか、どれが制約されないのか、何度も言っているじゃないですか、それを示してくれと言っているわけです、質問通告しているんですから。

それについて、憲法の条文の中で、どの条文が制約されてどの条文が制約されないのか言ってくださいという質問をしていて、これからやるんですという話だったら、全体の法律の根幹にかかわる問題で、今後の質問できないじゃないですか、個別の質問が。それを言っているんですよ。(発言する者あり)

■金子(一)委員長代理
速記をとめてください。
〔速記中止〕

■金子(一)委員長代理
速記を起こしてください。

前原誠司君。

■前原委員

実は前回も要求したんですが、憲法で保障された国民の権利、自由、どれが制約され得るのか、あるいは絶対不可侵なのか、制約され得るとしたら、どの程度なのか、また、それはどういうふうに補償、救済措置があるのか、それをすべて類型化してくださいということをお願いしたはずです。ぜひそれの政府の統一見解を出すように理事会でお諮りをいただきたいと思います。

■金子(一)委員長代理

それでは、理事会でお預かりします。

■前原委員

では、それをもとに、また、官房長官、あらかじめ事前通告しておきますから、その必要最小限度というのは、だれがどのような基準で判断するのか、そのこともしっかり答えられるようにしてくださいよ。

それから、公正かつ適正な手続ということでこの間官房長官は御答弁されましたよね。そのときに御答弁された内容というのは、当事者にはあらかじめその内容を告知し、当事者に弁明と防御の機会を与えなければならないということで、かなり悠長なことが書いてあるわけですよ。

例えば、旧ソ連があったときに、大規模直接侵略というものが予期をされて十分な準備をされるときはこういう回答はあり得たかもしれないですけれども、これ、後で質問するような、具体的な、テロが有事であったというようなときに、こんな悠長なことをやっていられないじゃないですか。その場合の公正、適正な手続というのはどうするんですか。

■福田国務大臣
具体的に当事者に事前の告知をする、また弁明、防御の機会を与えるか否かというのは、行政処分により制限を受ける権利の利益、内容、それから性質、制限の程度、行政処分によって達成しようとする公益の内容、程度、緊急性などを総合的に比較して決定されるべきものであります。

そのような機会を与えられないような場合にも、その根拠が法律に規定されることが必要であると考えておる、そういう考え方をしているわけであります。

■前原委員
法律に根拠は示されても、急な事態の場合には適用されない場合もあり得るということですね。

では、改めて答弁を求めますが、戦闘地域においては、この間防衛庁長官は、八十八条の世界である、こういう話でしたけれども、戦闘地域ではほかの法律は適用されないということになれば、この基本理念というものも、人権、権利、自由というものも担保されない可能性がありますよね、戦闘地域では。この場合は、措置といいますか、法律というのは守られるんですか、守られないんですか。言ってみれば、適用されるんですか、適用されないんですか、戦闘地域においては。

■津野政府特別補佐人
お答えいたしますと、戦闘地域ということがいかなる御趣旨で言っておられるのか必ずしもはっきりわかりませんが、憲法の保障する国民の自由と権利というものは、いかなる状況のもとでも尊重されるべきものであるということは言うまでもありません。その意味で、法案三条四項の原則は、すべての地域に適用されるというものであります。

この点は、自衛隊法第七十六条の規定によりまして防衛出動を命ぜられた自衛隊の行動に係る地域でも同様であり、当該地域において国民の自由と権利を制限するためには、法案第三条第四項の理念に従った法律の定める内容と手続によることを要するものである。現在審議中の自衛隊法改正案等が、お願いしておりますけれども、このような考え方に立った改正内容を盛り込んでいるわけであります。

そして、自衛隊法第八十八条第一項の規定に基づいて自衛隊が武力を行使するに際しまして、これは、戦闘行為にはさまざまな活動が含まれ得ることから、その態様によっては国民の自由や権利を制約することも想定されますが、同項の規定は、国民の自由や権利について、地域による制約、地域によるという制約を許容することを定めるものではありませんで、同条第二項に規定する要件が満たされている場面に限って武力行使を認めるという限定的なものでありまして、法案第三条四項の趣旨に反するものではないというふうに考えております。

■前原委員

ということは、国民の権利、自由というものが制約され得る可能性があるときは、戦闘地域にしてはいかぬということですか。そういうふうに今の御答弁では聞こえますよ。戦闘地域というのは、だれが望む望まないにかかわらず戦闘地域になり得るわけですから、そこに巻き込まれて、憲法の保障した国民の権利、自由が侵害される場合は、今の御答弁でいいんですか。

■津野政府特別補佐人
お答えいたします。

自衛隊法の八十八条は、武力を行使することができると第一項で書いてありまして、第二項で、国際の法規、慣例によるべき場合にあってはそれを遵守し、事態に応じて合理的な限度内で行使しなければならないということが書かれているわけでありまして、まさに武力の行使についての規定でございまして、特定の地域とかいうことで違法性が阻却されるとかいろいろなことが定められているわけではございませんで、まさに武力の行使という行為に着目して規定されているということでございます。

■前原委員

しかし、実際問題、武力の行使が行われていて、ドンパチが行われている戦闘地域というのがあったときにどうするんですか、今申し上げた権利、自由は守られるんですかという話をしているわけですよ。法律論の話じゃなくて、実態が戦闘地域になっている場合に、守られない場合はどうするんですかという話をしているんです。だから、そういう地域にも適用されるのかどうかという話をしているわけですよ。御答弁ください。

■津野政府特別補佐人
自衛隊法の武力行使の規定は、まさに武力の行使をすることができるということで権限を与えているわけでございまして、それによりまして武力の行使を行いました場合に、それはいわゆる正当行為として違法性が阻却されるということをこの前からるる御説明しているところでございまして、戦闘地域といいますか、そういう地域に直ちに着目してすべての事柄を決めているわけではございません。

■前原委員
では、戦闘行為が行われている場所、まあ結局、でも地域になるわけでしょう、どうしたって、人間は浮いてやることはできないんだから。だから地域があるわけですよ、それは。地域でドンパチが行われている、その活動根拠は自衛隊法の八十八条だと。その場合に、憲法で定められた国民の権利、自由というものは、さっきの話だと除外されるんですか、つまり適用されないんですか。もう一遍、イエスかノーかだけ答えてください。

■津野政府特別補佐人
お答えいたします。

憲法十三条の規定は、まさに、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大限尊重しなければならないということが書いてあるわけでございます。したがいまして、その規定が、およそ特定の場合に排除されるなんということはあり得ないわけでございまして、すべて、およそいかなる場合においても憲法十三条の規定は適用されるということでございます。

■前原委員
つまりは、公共の福祉ですべて逃げるという話なんですよ。要は、戦闘地域になった場合には、それは公共の福祉で、いわゆる憲法で保障された権利、自由というものが制約され得るという話ですけれども、そうなると先ほどの話に戻るわけです。絶対に不可侵のものがあるという御答弁がこの間あったわけですよ。絶対に不可侵のものがある、それから、制約され得るものがあると。その中で、今のお答えだと、絶対不可侵のものについて、では戦闘地域ではどうなるのかという話になるわけですよ。

■津野政府特別補佐人
先ほどの、基本的人権が制約され得る対象を類型化しろというふうなお話と絡んでくるかと思いますが、基本的に、憲法が定める国民の権利、自由が制限され得るのは、どういう場合であり、どの程度であるかというような事柄につきましては、これは、憲法十三条で「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定め、公共の福祉のため必要な場合には、合理的な限度において国民の基本的人権に対する制約を加えることがあり得ると解されているところでございます。

このような権利の制約がどの範囲で認められるかは、当該権利の内容、権利を制約する必要性、その要件、制約の態様等により異なるところでございまして、どの範囲まで国民の基本的人権を制約することが許されるかを一般的に明示することは困難なわけであります。

そこで、先ほどおっしゃられました、国民の権利、自由が絶対に制限され得ないようなものがあるではないかということでございますが、例えばそれは憲法十九条の規定する思想、良心の自由、あるいは二十条の信教の自由のうち信仰の自由の保障については、それが内心の自由という場面にとどまる限りにおきましては、これは絶対的な保障であると考えていいと考えられるわけであります。しかし、思想、信仰等に基づきまして、またはこれらに伴いまして外部的な行為がなされた場合には、これらの行為も、それ自体としては原則として自由であるものの、絶対的なものとは言えず、公共の福祉による制約を受けることはあり得るということでございます。

さらに、憲法二十一条二項が禁止する検閲でございますけれども、検閲というのは、行政権が主体となって、対象とされる一定の表現物につき網羅的、一般的に発表前にその内容を審査した上、不適当と思われるものの発表を禁止することをその特質として備えるものであるというふうに考えておりますが、そういうものは、公共の福祉を理由とする例外を設ける余地は全くないものと解されているところでございます。

他方で、このような絶対的な保障と考えられていない国民の権利、自由につきましては、当該権利の内容、権利を制約する必要性、その要件、制約の態様等において、制約を受けることもあれば、あるいはそうでない場合もあるわけでありますけれども、仮に制約を受けることがあり得るとしても、その範囲、程度につきましてはさまざまな場合があり得るわけでありまして、どのような権利、自由が制約を受けるか、また、その制約を受ける場合における制約の範囲等をあらかじめ一概に示すということは現段階においてはできない。これは将来、何度もお答えしておりますけれども、事態対処法制等、これから個別法制で整備していく上でいろいろ内容的に検討させていただくということであり、それについて国会での御審議を受けて、それについての判断をしていただくということでございます。