154回-衆-武力攻撃事態への対処に関する特別委員会-12号
2002/05/29 (1/3)
■瓦委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。前原誠司君。
■前原委員
民主党の前原でございます。
法律論に入る前に、一点、在外公館の問題について質問を、防衛庁長官、外務大臣にさせていただきたいと思います。
陽の問題が起きまして、在外公館のいわゆる警備の問題というものがクローズアップをされてまいりました。日本の在外公館には、言ってみれば軍隊は駐留をしておりません。アメリカの在外公館ですと海兵隊が在外公館を守るということをやっておりますけれども、日本の場合は、その土地で雇ったガードマンなんかを警備に当たらせるということでありますが、今回は、表に立っているのが中国の武装警官、中にいたのが中国のガードマンと。ああいうお国柄の体制でありますと力関係は歴然としてくるわけでありまして、その警備体制あるいはだれを警備に配するかという問題も大きな問題になると思います。
例えば、もちろん法律を改正しないとできないということはありますが、必要性の議論として、防衛庁長官にまずお尋ねしたいと思います。
ウィーン条約で担保をされた治外法権、在外公館の治外法権というものを確保するために、やはり自衛隊の隊員が在外公館の警備に当たるという可能性について、防衛庁長官、どう思われるか、御答弁をいただきたいと思います。
■中谷国務大臣
在外公館の警備の面につきましては、外務省が責任を負ってやっているわけでございます。
現在、防衛庁からも、在外公館の警備対策官という身分におきまして、外務事務官でありますけれども、自衛官の身分をあわせ持ち、保有しつつ勤務をいたしておりますが、企画、計画での仕事をいたしておりまして、現実に警備の実任務には当たっておりません。
この点につきましては、現在、自衛隊の中にそのような法律がございませんのでできないわけでございますが、実施する、しない等も含めまして、外務省から要請があったり、また、憲法的にできるのかできないかという議論を見つつ、対応したいと思っております。
■前原委員
法律論とか実態の話をしているわけではなくて、あるべき姿として長官どう思われますかということをお尋ねしているわけです。
■中谷国務大臣
よく国際法との関係で検討してみなければなりませんし、また我が国自体も、警察官が実施するのか、また自衛官が実施するのかという問題もございますが、警察官が実施することにつきましても、現在まだ実際に警備任務についておりませんので、その辺、政府部内で検討が必要だというふうに考えております。
■前原委員
同じ質問ですが、外務大臣、実態論、法律論はもう結構でございますので、必要性、今回の事件を踏まえた必要性についてどうお考えですか。
■川口国務大臣
今度の瀋陽総領事館事件がもたらしたさまざまな教訓のうち、一つ大きいものとして、在外公館の警備体制がどうあるべきかという問題があると思います。
欧米の主要国の中には、自国の武装した警備の人を在外公館に配置をしているということを行っている国もございます。我が国としても、今回のことに学びまして、警備体制の強化ということは必要であると思っておりまして、既に、例えば増員ですとか、それからハード面の、カメラを据えつけるとか、そこに実際にフィルムを入れておくとか、そういうようなことを含めまして、いろいろ、どういったやり方がいいかということについては検討を始めております。
おっしゃっていらっしゃる、自衛隊の人を入れるということが必要かどうかということについては、先ほど長官がおっしゃった自衛隊法の問題もございますし、それから相手国との、接受国との関係で、相互主義といいますかそういった問題もございますので、これは広く検討をしないといけない問題であると認識しておりますけれども、警備について見直していく必要があるということは、おっしゃるとおりだと思います。
■前原委員
もう一度外務大臣にお尋ねをしますが、ハードなどの面での見直しを進めるということでありましたが、別に自衛隊員に限らなくてもいいと思うんです。先ほど防衛庁長官が御答弁いただきましたように、警察官ということで十分だということであればそれでもいいと思うんですが、しかし、他国のガードマンを雇うよりは、自国の、いわゆる治外法権というものをしっかりと在外公館で堅持するためには、自国の自衛隊員とかあるいは警察官などがそういう警備に当たる方が私はいいと思うわけでありますが、それも含めて御検討いただくということで結構なんでしょうか。
■川口国務大臣
とりあえず、早急に改善をできること、これをやっていくことが重要だと思っておりまして、そういう意味で、カメラですとか、それから、可能であれば人員を増加するということも考えております。
例えば警察官、例えば自衛隊といった話は、時間的には恐らく、それがいいとしても時間がかかると思いますので、とりあえず今必要なことは、今できる範囲でできるだけ警備の見直しを行うということだと考えています。
■前原委員
いや、だから、その先の話を聞いているわけです。一言で結構です。
■川口国務大臣
どこまで一挙に視野に入れるかという問題はあると思います。
いずれにしても、やりやすく、コスト的にも、さまざまな意味でコスト的にもそれほどかからなくてできることをまずやっていって、それで状態を再度検討するということではないかと思います。
■前原委員
本題ではありませんのでこれ以上やりませんが、たまたま亡命者であったから、こういうような、マスコミ報道も含めて国民の世論になっているわけです。逆にあれが、テレビに映っていない、あるいはテロ、ペルーの大使館等でありましたけれども、ああいう占拠をする人たちであった場合には全く逆の対応をしなきゃいけないということで、危機管理の専門家というものを在外公館に置くということは必要だと思うんですね。
ですから、私は、ぜひそういうことも視野に入れて、必要であれば法改正を行うなどの、積極的な在外公館の治安維持というものに対して幅広く政府部内で御検討いただきたいと思いますが、官房長官、その決意を最後にお願いします。
■福田国務大臣
これは、今回は中国で起こりました。数年前にはペルーで起こりました。ペルーで起こったときには、大公使館の警備ということについて見直しをするということになりまして、これはひとえに、接受国の政治情勢、治安情勢等々いろいろな、そういう国によって事情が違うということがあるわけでございまして、私は、中国の場合には、これは安全な国の方に分類されるんじゃないかと思うんですね、どちらかというと。
そういう意味において、接受国の責任で警備をするというようなことが、今外務大臣からも答弁ございましたけれども、そういう中で、今回のように、その警備をかいくぐるか、もしくは強引に飛び込んでしまった、しかし、それがもしかして危険な人だったといったようなときにどういう警備をやるのかというようなこともございますから、そういうことも踏まえた上での検討というのは、これは必要なんではなかろうかというように私は思っております。
■前原委員
しっかり御検討いただきたいと思います。
それでは、法律の中身について議論させていただきたいと思いますが、先般、途中で切れております事柄に、基本的人権の尊重ということがございました。
速記録をいただきまして、私なりに前回のポイントというのはこういうことだなと思うわけでありますが、官房長官が御答弁になったことで、制限される権利の内容や制限の程度と、達成しようとする公益の内容や緊急性を総合的に勘案して、その必要性を検討するということになっている、その内容については、今後整備される個別法制において個別具体的に規定をするということで、具体的内容はこれには書かれていなくて、先送りされているということが一つ。
二つ目には、公正かつ適正な手続というのはどういうことかということで、官房長官がお答えになっていることで、具体的には、当事者にはあらかじめその内容を告知し、当事者に弁明と防御の機会を与えなければいけない、また、不利益を課す根拠規定が法律で定められなければならないなどなどということで、適正かつ公正な手続というのは、かなり周到な準備というものが必要とされるという答弁をされたということ。
最後に、津野法制局長官がお答えになったことで、この法律自身、つまり武力攻撃事態法でありますが、この法律は、国民の権利を制限したり、あるいは義務を課したりしている直接的な、実体的な規定が置かれていない、したがって、それに関連して、この法律自身に関しまして、不服審査とか行政事件訴訟とかいうものはありませんと。
これが、前回三十分間で議論をした大きな私はポイントであろうというふうに思っております。
さて、それを踏まえてさらに質問をしたいわけでありますが、この間、官房長官に、ある意味で関連質問であったので、準備不足だったと思いますが、もう一度お尋ねをいたします。
憲法が定める国民の権利、自由の中で何が制限をされ得るのか、あるいは何は絶対に不可侵なのか、また、制約され得るとしたらどういうものがあるのか、そのことについて御答弁をいただきたいと思います。
■福田国務大臣
基本的には、この法案で、理念として、憲法の保障する国民の自由と権利の尊重について明記してございます。
この基本理念は、国及び国民の安全を保つという高度の公共の福祉のため、また、必要最小限の範囲において人権を制約し得るとするにとどまっておりまして、「国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」という憲法十三条の規定などを含めまして、国民の自由や権利の保障に関する規定の趣旨に沿ったものであるということであります。
権利の制限を伴う対処措置については、今後、個別の法整備において、この基本理念にのっとって、制限される権利の内容とか制限の程度と、達成しようとする公益の内容や緊急性を総合的に勘案して、その必要性を検討する、こういうことになっておりますので、したがいまして、制限される権利やその内容については、この事態対処法案の枠組みに従って、具体的に個別法案において検討する、こういうことでありまして、基本理念ということでもってこれを規定しているわけでございます。
■前原委員
この法案の一つの大きな欠陥というのは、今まさに官房長官が御答弁をされたことなんですね。
つまりは、憲法にのっとった法案だと、憲法に明記された国民の権利、自由。では、武力攻撃事態になったときに、どういう権利、自由が制限されて、どういう権利、自由が制限されないのかというものについては、今、まだわかりませんと、これからの個別の議論にゆだねていきますと、そういう前提になっているわけですね。私は、こんないいかげんな話はないと思うわけです。
では、例えば、別の角度から質問させていただきますが、前回の質問の中で官房長官が御答弁になったときですが、公正かつ適正な手続というのは、当事者にはあらかじめその内容を告知し、当事者に弁明と防御の機会を与えなければならないということを御本人がおっしゃったのですよ。御本人がおっしゃったにもかかわらず、個別の制限され得る権利、自由というものが今明らかにされていないというのは、まさしく論理矛盾じゃないですか。
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