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第155回国会 安全保障委員会 第7号 2002/12/05 (2/3)

■川口国務大臣
頭にあることを申し上げたので、あるいは余計な修飾語をくっつけたかもしれませんけれども、私が申し上げたかったことは、五人の帰国とそれから食糧支援をバーターにする、取引にするということは考えていない、そういうことでございます。

■前原委員
防衛庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、工作船の問題、これはおっしゃりにくいことかもしれませんけれども、日本独自の情報収集で昨年暮れの工作船が奄美大島沖にいるということがわかったことではないということに私は認識をしております。また、核の開発については、これもまたアメリカはかなり前の段階からわかっていて、九月の十七日以前にもアメリカから情報提供があったということであります。

そもそもの情報収集能力、日本の、いろいろな意味での。つまりは、そういう工作船なり工作員がうようよしているという情報収集の能力と、あるいは、これは情報衛星がなければなかなか難しいのかもしれませんが、他国の動きというものをリアルタイムに察知をして、そして外交政策なり安全保障政策を組み立てるというその能力について、私は根本的に欠けていると思うんですね、今の日本の体制は。やはりその点をどういうふうに今後の課題としてとらまえていくかということは、極めて重要な話だと私は思います。

後ろ向きの話をしているのではありません、前向きの話として、日本の安全保障としてどのレベルまで情報収集能力は持つべきだと考えて、それを例えば今後の中期防なり防衛大綱の見直しも含めてやっていこうとするか、そういうやはり壮大な思いがないと、この日本の情報収集能力の欠如というものは私は是正されないと思います。新大臣というか、新にはもうならないのかもしれませんが、ぜひ大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。

■石破国務大臣
基本的な認識は、私は委員と同じ認識を実は持っています。これで十分だと思ったことはありません。それぞれの任に当たっておる者が、もちろん当庁だけではありません、公安調査庁もございましょう、警察もございましょう、あるいは外務省もございましょう、それぞれの部署の人間が精いっぱいやっておるということは別にいたしまして、システムとして今のままでいいかといえば、今のままで万全だという認識は持っていません。

例えば情報収集衛星を四機上げるというお話がありますが、これもその改善の一環ではございましょう。あるいはエリント、シギント、ヒューミントでどの部分が足りないのかということはよく考えてみなければいけませんし、もう一つ重要なことは、その情報をどのように分析、評価するかという点なんだろうと思っています。

それは、現場においては本当に山のような情報はあることはあるんです。その中でどれが価値ある情報として上がってくるのか。そして、それが最後まで、これが正確ですよというのが上がってくるまで待っておっては遅いこともありましょう。幾つかある中でどうなんだということを判断するというようなシステムも、それは必要なことなんだろうと思っております。

あるいは、これはもう大臣の立場を離れて申し上げますと、では、機密費をどうやって使うのという議論にもなってくるんだろうと思います。情報は一体何の対価としてとれるのかという、余り清く美しくない世界の話だって私はあるんだろうと思っています。

国家がどのように生き残っていくかということは、そんなに生易しいことだと思っていません。どの国も、本当に国家の生存をかけて情報を収集し、分析しておるというような姿勢、認識、その部分を強く持っておりますだけに、今御指摘のように、これから先、あり方検討でありますとか大綱でありますとか、そういうことも将来議論になるわけです。そのことは事柄の一つの根幹的な部分になるだろう、そうしていかねばならない、このように思っておる次第でございます。

■前原委員
今、アメリカあるいはフランスから衛星の画像をもらって、そして、それを分析する。当然ながら、タイムラグがあります。

今おっしゃったように、四機打ち上げをして、これは建前は多目的衛星という、安全保障の目的のみに使われるものではないということですから、そういったところの充実ということは今後も考えていかなくてはいけない話だと思いますし、それに伴って、まさに大臣がおっしゃったように、分析ですよね。では、情報本部が今の人数でいけるのかといったら、多分いけないと思うんですよね。リアルタイムで情報が入ってくるようになったときには、なかなか今の体制でいける話ではないというふうに思いますね。情報本部のあり方についても、もう一度御答弁いただきたい。

あとは、私は、情報衛星あるいは物理的な画像なんかの情報だけではなくて、まさに機密費の使い方まで言及されましたけれども、人による情報収集というのは極めて重要ではないかというふうに思っています。その上で、人の情報収集というものを、よりやっていくために、裏返しの議論として、私は、日本のスパイ活動というか、情報漏えいに対する法整備が極めてお粗末ではないかと思います。

二つ目の質問として、昨年の自衛隊法の改正で、ある程度の情報漏えいを防ごうということにはなりましたけれども、それだけで十分かどうか。その二点についてお答えをいただきたいと思います。

■石破国務大臣
情報本部がどういう経緯でできたかは、委員御案内のとおりであります。これは、結局、統合の運用のあり方検討というのを今やっております。その一環として議論がせらるべきものなのだろうというふうに思っております。

情報本部は統幕の一部という形に今なっておるわけで、そのこと自体、私は誤っておると考えてはおりません。それが本当に有効にワークするというのは、統合運用というものをどのように見直していくか、法律をどのように変え、組織をどのように変え、そしてその実効性をどう担保していくかという中にあって、議論として、私は強い認識は持っております。今の情報本部の位置づけとしてはこれでよいと思いますが、さらに有効にワークするような手だてというものを現在考えております。

それから、機密漏えいに対する法制が今のままで十分かというお尋ねでございます。

これは、かつて、いわゆるそういうようなものに対して包括的な法制を設けることについてどうかという議論がございました。いろいろな人権の問題でありますとか憲法論ですとか、そういうようなお話がありました。そういうことで、そういうことについて語ることが今やや抑制的になっておるのだろうということがございます。

もちろん基本的人権というものが損なわれることは決してあってはならないことでございますが、一方で、情報を保全するということにおいて得られる国益というのも当然あるわけでございます。そして、委員が一番御案内のことでありますが、日本は情報が全部漏れるよという話になれば、だれも本当のことは教えてくれませんねということも、一方において認識をしなければいけないのだと思っています。

昨年の自衛隊法の改正は、とにかく自衛隊の部分だけでもきちんとしようよ、ほかにもたくさんあるけれども、まず自衛隊の部分だけきちんとしようよという議論をいたしました。では、これで万全かといえば、そうではない。

そして、その情報が漏えいするような国家、ある意味スパイ天国と言われるような我が国が、今のこういうポスト冷戦後の世界において生き残ることができるのか。先ほど申し上げましたように、どの国も情報というものは国家の死命を決するんだという認識のもとでやっております以上、この議論は必要だと思っております。

基本的人権の尊重が必要であることは、申し上げるまでもございません。

■前原委員
認識は一緒なんです。とにかく自衛隊法の改正だけでは不十分です。
ただ、憲法の問題などをあわせて、包括的な機密漏えいを防止するための法律というものを、今の問題意識に立って、それは大臣の責任として、他の役所にまたがる話かもしれませんけれども、ぜひリードしていただきたいということは要望しておきたいと思います。

さて、また外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

少し広がった観点からお話をしたいと思うのでありますが、私は、イラクの問題と北朝鮮の問題は、ある程度相関関係があると思っています。後で防衛庁長官にお尋ねするイージス艦の問題もそういった部分があるかと思いますけれども、北朝鮮の核開発のいわゆる実験場とかいろいろな技術交流などは、パキスタンがかなり絡んでいるということが言われております。

日本の国益を損なうような交流が北朝鮮とパキスタンとの間であるのであれば、日本はパキスタンに対してはしっかり物を言っていかなくてはいけない。しかし、御存じのように、昨年の九月十一日以降、パキスタンがアフガニスタンあるいはテロ撲滅のための一つのキーの国になっていることは間違いがない。したがって、言うべきことは言わなきゃいけないけれども、しかし、かといってパキスタンを追い込む、あるいは敵対視をするということにもなかなかいかない。

この相対がまさに外交の妙味なのかもしれませんけれども、今の観点で、核開発のパキスタンと北との関連について、九月十一日以降のパキスタンの協力が不可欠という点も踏まえて、どう物を言っていったらいいのか、どうつき合っていったらいいのか、その点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。