154回-衆-内閣委員会-06号
2002/04/12 (2/4)
■石原国務大臣
後段の方から議論をさせていただきたいと思うんですけれども、道路はどうあるべきか。国にお金があれば、無料で有料道路を間違いなくこの国はつくったと思います。ですから、償還主義の後に無料開放というものがくっついているんだと思います。そこを確認させていただきたい。
ということは、私は償還主義が歯どめになると言っているんじゃないんです。償還主義の年数を五十年に限って、それの短縮を目指すということを初めて閣議決定したわけであります。委員が再三再四御指摘されておりますように、これまで三十年、四十年、五十年と延ばしてきた。これは、償還期間というものを何年にしてもいい。ですから、こういう議論がその一方にあるわけですね。償還期限を例えば百年、百二十年にしよう、そうすれば現行の倍ですから、料金が半額になるじゃないか、世代間の負担になるじゃないか。
しかし、そうすると、今言ったように、むだなものもつくってしまうんじゃないかといって、償還主義を前提に、償還主義の年限で五十年から短縮を目指す。今までは上に延びていったものを下に延ばすということで、歯どめをかけた意味で、採算性を確保する観点からここに意義があるということを申したのであって、償還主義が私は絶対であるということではなくて、その仕組みにキャップをかぶせたところに一つのポイントがあるということを申したというのが第一点。
第二点目は、多分委員のお考えは、株式会社であるならば、何年かたったらその物がとられちゃう、すなわち道路がとられちゃう、無料開放ですから、ツールがとられちゃう、それはおかしいんじゃないかというお話だと思うんですね、委員の御指摘というものは。
でも、考えてみていただきたいんですけれども、株式会社というのは永遠じゃないんですよね。リスクを絶えず持っている。十年でつぶれちゃう株式会社もあるし、五年でつぶれちゃう会社もあるし、百年、二百年、未来永劫続いている株式会社もある。
ですから、各国の道路の民営化の事例を見ますと、コンセッション契約あるいはリース契約といったような、年限を区切って、その後は国にあるいは地方団体に戻すという形で民営化を行っているものがあります。ですから、その五十年という期限で、しかも上限としてできるだけ短縮を目差すんですけれども、その五十年マイナスアルファの年限株式会社であるということは、株式マーケットにおいてその株式が売れるということですから、私は矛盾しないんじゃないかと考えております。
■前原委員
二つの点とも論理的にはお答えになっておりません。
一つは、今まで三十年、四十年、五十年という償還期限を延ばしてきた、プール制と償還主義で要はごまかし、そしてわからないような仕組みでやってきて、それが破綻をしかけている、こういうことで、しかし、五十年というキャップを決めて、今度は五十年をさらに短縮する方向で延ばすんじゃないかという話がありますけれども、それは全く違う議論なんですよ。
なぜならば、先ほど国土交通省の道路局長がお答えになったように、国費投入してでも九千三百四十二はやると言っているんですよ。ということになれば、償還主義で、つまりは通行料金というものを大前提にしてきた。そしてまた借金で新たなものをつくって、借金も返すこともやってきた。その仕組みというものに大きな穴があくんですよ、国費という穴が。そうしたら、償還期限なんというのは何ぼでも短縮できますよ、税金投入するんだったら。だから、今までと違う仕組みにしないと九千三百四十二キロにならないんです。
もっと言えば、国費がどれだけ投入されるかどうかによってこの民間会社というもののあり方が全く変わってくるわけですよ。だから、私の感覚で言えば、国費投入を前提にした民営化議論ならやめなさいという話ですよ。そんなもの民間会社じゃない、国費の額によって民間会社の行動基準が変わるんだから。上下分離方式の大きな問題点はまさしくそこなんですよ。だから、その穴があく話で、今までとの償還主義の形が変わるわけですから、だったら、償還主義をとるというのはおかしいじゃないですか。それが指摘したい一つ。
もう一つの問題は、私が一番初めに申し上げたように、償還主義ということは通行料金が高コストになるということですよ。借金の返済、建設費、あるいは維持管理費、修繕費、災害復旧費、そういうものをトータルにまとめて償還期限を決めて通行料金を設定するということでしょう。もちろん、これは国費をどれだけ入れるかという話によってまた変わってくるけれども、結局、国民負担ということになると、広く薄く国民が負担するか、あるいは利用する人だけがその負担をするかという違いであって、国民負担については全然変わらない。つまりは、償還主義をとる以上、通行料金が高くなって、民間会社として極めて必要な競争力という観点が欠落をするんじゃないですか、こういう話をしているわけです。
その二つ、もう一度御答弁ください。
■石原国務大臣
先ほど私、ちょっと冒頭確認させていただいたのは、道路は本来無料で一般に供用されるものであるけれども、日本に財力がなくて有料道路のこの方式ができた。そこは委員も前回の議論の中でお認めになっていると思います。
そうしますと、委員の言っていることに矛盾が出るのは、必要な道路を国費でつくるということは否定できないんですね、高速道路も含めて、必要であるならば。仮の話ですけれども、交通量は少ないけれども、山脈を隔てて南北を貫いて、緊急事態にそこをバイパスにしてそちらに避難するというような場所が仮にあったとしたら、それを交通量が少ないという名のもとに有料道路をつくらないという議論はないのではないかということをまず御指摘させていただきたいですし、先ほど大石局長が答弁いたしましたように、新たな組織によって建設する道路というものは、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行って優先順位を決める。その一方で、その他の直轄方式とかA'とか新しい方法が今もうできているわけです。それは国交省で決めることであって、毎年度の予算の中で編成して、それがむだであるかむだでないかということの与党のチェックは予算でチェックをいたしますし、行革の総キャップのところでもチェックをする。二重三重にチェックができるようになっていて、それはもちろん、今までのとおり幾らでも道路をつくろうという予算を幾ら国交省が出しても、国の予算を見ていただいて、五十兆円の税収で八十五兆円の歳出をやっているわけですから、そんなことがいつまでも通らないし、いつまでもそんな要望が国交省から出てくるとは私は思えません。
それと、もう一つ御質問があったのは、償還主義を使う限り、料金設定が高くなるというんじゃなくて、料金設定に枠がかかるということは私は認めます。もちろん、償還主義がなければ、例えば、さっき言いましたように、期限がなくなれば、借りた金を百年で返す、二百年で返すと言えば料金は下げられる。そういう意味での料金の自由度というものは高まりますけれども、今回の原点は、延ばしてきた償還主義に歯どめをかけて限られた年限で返すことによってむだな投資を行わないというような切り口で整理をされていると御理解をいただきたいと思います。
■前原委員
極めて矛盾が多いんです。これはしつこくこれから質問しますが、今の大臣の御答弁を聞いていると、そうしたら道路公団は民営化しなくていいじゃないですか。何で民営化しなきゃいけないんですか。その議論に突き当たるんですよ。国費でやりゃいいじゃないか、税金で。そんなことになったら何で民営化の議論をするんですか。どこにそのメリットがあるのかわからなくなるんですよ、今の答弁だったら。
確かに、採算が合わないけれども絶対につくるという国家意思があっていい、あるいは地域の要望があっていい。地方分権が進んで、地域がそれは絶対つくるという前提に立っても、それは構いませんけれども、それを一たん認め出して、そしてどんどん投資が国費で行われるということになれば、この民営化された道路公団というのはどういう国との関係になり得るわけですか。
つまりは、民営化と言いながらも、違うところではどんどん国が予算で道路予算をつけてつくるんだということを言い続けるならば、それは償還主義とかそういう問題とは別個にして、この道路公団を民営化する組織の意味がなくなるんじゃないですか。そこは、この民営化する議論のインセンティブは私は全く生まれないと思いますよ。それがお答えをいただきたい一つ。
それから、償還主義の話です。
■石原国務大臣
済みません。議論が集約しないで拡散しちゃいますので、一つ一つ。いいですか。(前原委員「どうぞ」と呼ぶ)
委員の議論を突き詰めていくと、これからの道路は国でつくって、道路公団は廃止しろということですよね。両方でつくる必要がないというわけだから、予算でつくれという話をされているわけですから、それは一つの考えだと思うんですよ。ただ、道路公団という組織があって、道路公団がつくっている事業もあって、それを新たな組織によって徹底的な費用対効果分析と需要見通しをもう一回やって優先順位をやり直していく。これは民営化されなかったらできないわけですよね。ですから、そこに大きな意味があるんじゃないでしょうか。(前原委員「そんなことないじゃない。今までもやっていたよ。昔、むちゃくちゃな需要見通しやっていたじゃない」と呼ぶ)いやいや、それをおっしゃるならば、その需要見通しが悪いという批判があるから、第三者機関がやるということで組織を改革していくわけでございます。
■前原委員
十分御理解をして答弁をいただきたいと思いますが、つまりは、民営化の議論をする、そして、民営化というのはコストパフォーマンスをどのようにしていくかということを求めていく、そして、先ほどおっしゃったようにむだな投資をなくしていく、こういう話だったわけです。しかし、今までは曲がりなりにも道路公団でやってきたのは、藤井総裁、国費、補助金とそれからいわゆる借入金、それで新線建設をやってきたということですよね。その中で償還主義というものをとって、しかし、それがつじつまが合わなくなってきたからどんどん償還期限を延ばし、そしてプール制で、ごまかしてきたと言ったら異論があるかもしれませんが、私からするとごまかしてきたわけですよ。
しかし、それを国費投入をするということになれば、大きな穴があくことは事実なわけです。国費で絶対つくるなということを言っているわけではありません。ありませんけれども、国費投入の一定の約束というか、一定の規則というものをつくらなければ、今までは、国費も投入されないということだから借金だけにします、借金と通行料金で何とか、しかし通行料金は借金の返済に充てていたわけですから、これからの道路建設、国費が入るということになれば、先ほどの償還主義のところで答えられたむだな投資が抑えられるということにならないんですよ。そのことを私は言っているわけです。
■石原国務大臣
道路公団並びにこれから新しくできる組織には国費を投入しないんです。
■前原委員
組織には投入しないのはわかります。高速道路建設について話をしているんです。
■石原国務大臣
もう既に高速道路を、さっき言いましたけれども、A'というような方法でつくっているわけですね、国費が入って。それは国交省の所管であって、今回の道路公団を民営化するという議論とは一つ離れているということを先ほどから申しているわけでございます。
■前原委員
A'方式というものがもしこの議論の突破口になっているんだったら、国土交通省は極悪人だと思いますよ。つまりは、税金を使って高速道路をつくるという風穴をあけたから、今後も高速道路は、今までのものは別個に切り離して、今までのものはいわゆる民営化するところで管理維持しなさい、しかしつくるものについては税金でやりますよ、こういう話になれば、国全体の問題として、なぜ道路公団を今民営化しなきゃいけないのか。それは、まさしくさっき大臣がおっしゃったように、むだな高速道路がつくり続けられているということに歯どめをかけることにならないじゃないですか。
昭和五十六年を境に、道路公団の収支でさえ、減価償却、除却が計上されていない収支率でさえ、昭和五十六年以降につくられたものは大体一〇〇をオーバーしているわけですよ。つくり続けたらどうなるか。どんどん累積借金が膨らんでいくわけですよ。その問題意識で民営化するんじゃないんですか。それを切り離してしまったら、全く民営化する意味がないんじゃないですか。今までの道路公団でも十分やれますよ。それはちょっと大臣の後に答えてください。切り離すんだったら簡単に今の道路公団でできる。何で民営化しなきゃいけないのか。
■石原国務大臣
今の道路公団でどうしてもむだな道路をつくる方向にあるから、採算性、コスト、国民の皆さん方の目が行き届く、経営者の責任が明確化される民営化という手法をとるということで一つの歯どめをかけます。
それと、先ほど来話しております直轄方式で、すなわち、本来、国にお金があれば、高速道路は道路公団なんかつくらないで税金でつくったわけですから、税金でこれからどれだけの道路をつくるかということは、国会という大きな監視機関があるわけで、予算という形で直接ここにどれだけの道路予算がつくかということで審議できるわけです。
しかし、道路公団のこれまでどれだけの道路をどういうふうにつくるのかというような議論は、旧建設委員会等々でそんなに、私も議事録すべてを読んだわけではございませんけれども、どこの道路がけしからぬとかどこがむだだとかいう議論がなかなか行えなかった。やはりアウトソーシングされていて、一応独立した特殊法人がつくっていただけに目が行き届かなかった。それが、予算の中に入ってくる、あるいは、民間会社といって、経営者、株主が出て株主責任というものが出る中で、これからむだなものがつくられなくなるというのが今回のそもそもの改革の基本でございます。
■藤井参考人
恐縮でございますけれども、ちょっと道路公団の経緯のところの一点だけ言わせてください。そうしないと、後を言えませんので。
それは、高速道路を有料道路でつくったときに何で現在の矛盾が出たかといえば、国費の投入を今の高速道路の整備のときに極力抑えよう、それは国費負担を抑えよう。そうすると、料金で全部カバーしていた。ところが、料金も限界がきた。そこで、償還期間を延ばしてやってきた。その結果が、それでも無理がきたからA'手法というものが生まれてきた。これが簡単に言えば現在までの経緯なんでございます。
そこで、道路公団、そういう中で、いわゆる供用の路線、ストックというのが七千キロできました。このストックというのは、これから投資しませんから、これからはどんどん収入を生む、言ってみれば原資になります。
この既存の、もちろんそれの償還のための期間はありますけれども、それが小さい間は、例えば、百キロとか千キロの間の道路公団の経営の問題と七千キロまで来たときの経営の問題は、おのずから違ってきたんです。七千キロのストックを持ちながら、さらにこれからどういう路線をやっていくか、この問題は国全体としてお決めいただくわけですが、私どもとしての公団の立場で物を考えるとすれば、この前、石井先生に怒られましたけれども、ネットワークを結んだ結果、料金収入がふえる、黒字になってふえる、こういうような路線は、私どもから見れば、むしろやった方が経営という意味では得するんです。
ところが、そうじゃなくて、やっても、プール制の中で、むしろプール制を利用しないとなかなかできないものもあるんです。そういうものについては、これをどうするかは国全体でお決めいただく。そういう中にこの民営化の一つのものがあります。これが一点。
二点目は、最後に、関連事業と……(前原委員「質問に答えてください」と呼ぶ)はい。そういう意味で……(前原委員「新線建設をしないんだったら公団でもできるでしょう、今おっしゃったようにストックがあるんだったら」と呼ぶ)新線建設につきましては、これの考え方は二つあります。今、仕掛かり品があります。九千三百四十二キロというのは、言ってみれば、熟度はありますけれども、仕掛かり品です。この仕掛かり品をどうするかという問題が一つあります。やめるというのも。したがって、建設をやめろと先生がおっしゃる意味合いは、仕掛かり品までもやめるという概念と、仕掛かり品は工夫してでもやるというので考え方が変わってくるんです。その点だけ、ちょっと御理解いただきたいと思います。
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