前原誠司の「直球勝負」(32)
〜 年金の制度設計を根本的に議論すべきだ 〜
(「消えた年金」だけが年金の問題ではない)
我が党の長妻昭・衆議院議員が1年以上かけて調査をした結果、5000万件以上の支払先不明の年金記録(いわゆる「消えた年金」)があることが明らかになった。さらに6月6日の衆議院・厚生労働委員会で、これも長妻議員の質問に答える形で、柳沢・厚生労働大臣は新たに約1430万件もの年金記録が未入力であることを認めた。長妻議員をはじめ、厚生労働委員会で頑張った同志の議員には、心から敬意を表したい。
それにしても、社会保険庁の年金管理の杜撰さには呆れるばかりだが、安倍総理も情けなかった。総理自らが街頭演説などで「このシステムを導入したときの大臣は菅・厚生大臣だ」などと臆面もなく主張し、議院内閣制における自己責任を放棄・転嫁するような発言を行った。政府の最高責任者としての自覚や誇りもないのかと思わざるをえない。政府で起きるすべての問題は、自らの責任だと常に認識してもらいたいものだ。このことを一つとっても「宰相の器にあらず」と感じざるを得ない。
中川幹事長も同様だ。社会保険庁の労働組合は民主党支援だから、一生懸命に働かないしこのような問題が起きた、といった趣旨の発言を繰り返している。労働組合があろうがなかろうが、何党支援で、どのようの活動をしようと、政府の一組織をしっかりと統治・管理できなかったのは内閣の責任であり、議院内閣制において与党は内閣に連帯して責任を持たなければならない。それを棚に上げて、与党の幹事長が責任を労働組合、民主党に押し付けるのは「美しくない」し、「品格」に欠ける。
いずれにしても政府の責任で、すべての「消えた年金」の全容解明に努力してもらわなければ困る。保険料を払ったか払わなかったかの挙証責任を国民に求めるのではなく、社会保険庁が全責任を負うべきだ。当然、年金に関わる問題は「消えた年金」だけではない。国民年金保険料の未納者の増加や、生活保護と年金の逆転現象。年間48万円以下しか支給されていない人が約400万人も存在するという。どうやって老後の生活をしていけというのだろうか。
そして、自民党は3年前の参議院選挙にマニフェストに掲げながら、未だに手がつけられていない「年金一元化」(被用者保険の一元化。我が党は国民年金も含めた一元化を主張)。そして何よりも、保険料主体から税主体の財源転換など。「消えた年金」問題が起きたからこそ、根本的な議論を行う素地が整った。各政党は年金を政争の具にすることなく、今後の年金のあり方、制度論を参議院選挙のマニフェストに入れ、国民に信を問うべきである。
その際、政府・与党が今国会に提出した社会保険庁を「日本年金機構」に改組する案も、同時に問われなければならない。職員を非公務員化すると言っても、給与は税金から支給されるし、第二の人生の生活費を特殊法人に任せるのは如何なものか。今回の「消えた年金」問題もあり、やはり国が責任を持って管理すべきではないか。しかも、「日本年金機構」のトップは国会に参考人として出席する義務を負わない。今以上に、国会のチェックが受けにくくなるのである。保険料の未納者には国税庁に徴収を頼むということであれば、我が党が主張するように社会保険庁と国税庁を統合して、国が責任を持つと同時に、効率的な組織にするほうが国民にとって、より良い制度だと考える。
国民の最大関心事である年金を、国民が安心して支給されるような仕組みに変えるべく、政治家、政党は、その中身を競い合わなければならない。
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