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前原誠司の『直球勝負!』

前原誠司の「直球勝負」(30)

〜 オーストラリアを訪れて考えたこと 〜

4月中旬の約1週間、オーストラリア政府から招待を頂き、国会の承認を受けてオーストラリアを訪問した。約3年前から招待を頂いていたのだが、なかなかタイミングが合わず、今回ようやく実現の運びとなった。「どこに行ってもらっても構わない。会いたい人には出来る限り会わせる」との有り難いオファーを頂いていた。メインに位置づけていたダウナー外相との会談は、私の訪豪が休暇週間にぶつかったため実現しなかったが、大変充実した視察になった。改めて、オーストラリア政府には心から感謝を申し上げたい。

私の希望は、肩書きのある人への表敬訪問ではなく、中身のある議論を責任ある立場の人と行いたいというものであった。外務貿易省の北アジア局長、国家審査室審議官、政府に政策提言を行っているシンクタンク ( ロウィー国際政策研究所やオーストラリア戦略政策研究所 ) の研究者や学者 ( オーストラリア国立大学 ) 、与野党上院議員、日豪双方で資格を持つ弁護士らとは、 (1) 日豪FTAの是非、 (2) 日豪防衛協力の中身と可能性、 (3) 北朝鮮の核問題、 (4) 中国に関する認識、 (5) 日本版NSCと国家審査室の比較、 (6) 日本における核武装論、 (7) 新たな日豪協力の分野などについて、個別にそれぞれ1時間を超えるディスカッションを重ねた。すべての議論が、極めて有意義なものだった。また、西海岸のパースでは海軍基地、大手エネルギー開発会社なども訪れ、オーストラリアの国防の実態、エネルギー開発と日本や中国との関係についても詳しく話を聞くことができた。

日豪関係を強化することは、両国、特に日本の国益につながる。一つには、オーストラリアが日本にとって、鉄鉱石、石炭や天然ガスといった資源のみならず、牛肉や小麦などの食糧の面でも、最大の供給国の一つであることだ。世界の人口増加や経済発展によって、今後ますますエネルギーや食糧の争奪戦が加熱するだろう。日本もそれに備えるには、自らの食糧自給率を高めたり、省エネをさらに進めるだけではなく、今までの実績と信頼関係をベースに、日豪の連携をより密接にする必要がある。そのためには、農業分野がネックとなって日本が躊躇している日豪FTA(あるいはEPA)は、大局的な判断に基づいて積極的に進めていくべきであると考える。

また、ともにアメリカと同盟関係を結んでいることもあり、情報や戦略、あるいは訓練や相互交流の面で協力できる分野が広がっている。オーストラリアは、国際平和維持活動などにおける分野では日本よりも経験を積んでいる。PKOや世界各地で起きる大災害に対する救助で、協力して対応することも大切な選択肢になりうる。

さらに言えば、オーストラリアは地方分権と民活導入が進んでいる国家だ。これから地方分権を本格的に進めていかなければならない日本にとって、手本の一つになりうる。

今回、出会えた人達とのコンタクトを今後もとりながら、日豪関係の更なる強化にも尽力していきたい。