前原誠司の「直球勝負」(25)
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地方の実情を視察する 和歌山県白浜編
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去る 1 月 19 日、私は和歌山県の紀伊田辺市を訪問した。同僚で親しくしている、我が党の大江康弘・参議院議員が国土交通委員長に就任され、地元で開かれた就任祝賀会へ出席させてもらった。その時、多くの地元の首長さんや議員の方々とお会いし、ご挨拶させていただいたが、その中でも白浜町の立谷誠一町長さんからは、かなり真剣に、地方の実情について話を聞かせて頂くことができた。それは、地方の悲鳴に近い切実な声だった。京都に戻ってからも立谷町長さんから白浜町の現状に関するメールを頂いた。一度じっくり白浜町を視察させていただこうと考え、2月5日に再度、白浜町を訪れた。
前日の夜遅く、白浜に入ったが、翌朝8時にわざわざ町長さんが自らホテルまで迎えに来て下さり、30分ほど車で白浜の観光名所、町並みを見せてもらった。私がまだ小さい頃、「ハマブランカ」というレジャー施設の、個性的なコマーシャルが関西ローカルで流れていたが、2年ほど前まで営業していたと聞き、その息の長さには驚いた。白浜を訪れる観光客は年間300万人超。日帰り客も含まれているが、古くから有名な観光地としては頑張っているほうである。しかし、その白浜町でさえ、行政運営が極めて厳しいと聞き、他の地方の市町村は「推して知るべし」だと感じた。
8時半過ぎから白浜町役場で町長さんや助役さんをはじめ、町の幹部の方々から町の概況についてレクチャーを受けた。その後、旧日置川町役場を訪れ、話を伺うと共に、さらに山間部に入った川添という集落で、地元の方々に集まっていただき、意見交換会も開いていただいた。白浜町は昨年、旧白浜町と旧日置川町が合併して、人口は現在 2 万 4 千余人。面積は約 201.02k uだ。産業は天与の恵みである温泉と、風光明媚な土地柄を活かした観光が主な産業だが、他には農業・林業・漁業がある。地方自治体が自由に使えるお金を一般財源と言い、その中でどれだけ人件費などの固定費が占めているかを示す指標を経常収支比率と言うが、白浜町の経常収支比率は約 94.9 %。財政力の高い自治体ほど経常収支比率は低く、80%ぐらいが一つの目安になるだろうか。自治体独自の収入を支出で除したものを財政力指数というが、白浜町の財政力指数は 0.504 。当然、財政力指数は高ければ高いにこしたことはない。合併前は、旧白浜町は人口約 2 万人。面積は 64 ku。財政力指数は 0.67 。職員数は 258 名。年間予算約 74 億円。一方旧日置川町は人口約 4 千 5 百人。面積は 136.3 ku。財政力指数は 0.18 。職員数は約 109 名。年間予算約 34 億円だった。
合併特例債を梃子にした市町村合併、いわゆる「平成の大合併」が全国各地で行われてきた。その結果、約3300あった市町村は1800余りにまで集約された。旧白浜町と旧日置川町の合併も例外ではないが、合併の効果というのは、そんなに早く表れるものではない。多くの自治体が職員数の削減をはじめ、様々な行財政改革に取組んではいるが、厳しい財政運営を強いられている。率直に言えば、市町村合併によって破綻しかかった自治体は一息をつけるようになったものの、そういった自治体を抱えたところは以前より厳しい状況に直面している。繰り返しになるが、合併特例債という「にんじん」がなければ合併のインセンティブが生まれてこなかったのだが、「にんじん」はあくまで一過性だ。多くの自治体が新規事業をほとんど予算化出来ず、国・県の補助のある事業で組み立てている。つまり、町独自の事業はほとんど出来ないのが現状だ。しかも、国からの交付税は年々減少しており、地方のやる気と活力を大きく削いでしまっている。しかし、地方自治体では行政サービスの確保のみならず、地震や津波・台風等による備えをいつもしておかなければならない。だが、その予算がなかなか取れない。橋の修繕や塗り替え、役場や小学校の耐震補修にも四苦八苦しているのが、多くの自治体の現状だ。
地方自治体を苦しめている根本的な問題に、少子高齢化の進展と働く場・雇用の場の少なさがある。働きたくても働き場所がない。だから高校を卒業した子供さんたちは都会に就職、あるいは大学へ進学したきり、故郷へは帰りたくても帰って来れない。雇用対策を含め、根本的な施策を打ち出さなければ、地方の崩壊はより深刻な問題となる。文末に、立谷・白浜町長の手紙の一部を紹介させていただき、地方を預かる方の叫びをお聞きいただきたい。
「私達の地域は旧日置川町で、ここ 40 年程で人口はほぼ半減致しました。旧白浜町でも昭和 42 年から、人口がほとんど増加していません。例えば旧白浜町でもこの間、たくさんの新生児が生まれ育ちましたが、そのほとんどの子供達は都会へ出て行ってしまいました。それでも残された方々で町を守り育んでまいりましたが、これ以上の少子高齢化の進行は、考えた事のない苦しみが始まるのではないかと予感させられますます。少子高齢化現象とは、歴史や文化や行政の取り組みなど全てのものを破壊していくと考えています。換言すれば今日の経済や行政の仕組みは次の世代の存在を当てにしている側面があります。例えば介護保険制度。これは人口僅か 2 万 5 千人足らずの町が保険者にならなくてはなりません。これは小さな自治体では無茶です。保険制度は基本的に分母と分子の仕組みで成り立っていますが、その分母が減少し続けていて、分子が急激に増加しています。保険会計が赤字になれば分母から回収する事になっていますが、地方では年金の収入が全てという方々がほとんどです。又平成 20 年より後期高齢者の健康保険制度が始まるなど、負担の限界を超えようとしています。中央官僚の方々に一度年金収入のみの暮らしの体験をしてみて頂けませんか?よく分かると思います。
都市は地方によって成り立っているという事を深く理解してほしいと思います。都市が活気付くのは当たり前です。地方が若い優秀な人材を供給し続けているのですから。その分、地方は痩せ細ります。一例を申し上げますと、友人の家族は夫婦と子供 3 人です。その子供 3 人は大学へ送り、そのまま都市で就職致しました。もう古里に帰る日はお盆とお正月の数日だけです。これは一般的な私達地方の町の姿です。ところで 3 人の子供を大学へ送り育てるのに、平均して一人 4 年間で約 1200 万円掛かります。 3 人で 3600 万円です。両親はくたくたで子供達の巣立った家庭にはもう何も残っていません。こうまでして都市が求める優秀な人材を育て、供給する役割を担い続けてきましたが、もう息切れ状態です。国において都市と地方の在り方を真剣に考えるべきです。この事を政争の具にしないでください。地方が死んだら都会は成り立ちません。都市と地方がお互い共存・共栄し、少しずつ譲り合う事によりはじめて成り立っている事を考えるべきだと思います。
人間の身体と一緒で、要らない所は1つもありません。必要なものばかりです。地方の活力があってはじめて国が、都市が成り立つ事を再認識して欲しいと願うものであります」
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