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前原誠司の『直球勝負!』
前原誠司の「直球勝負」(22)

〜 新年のご挨拶 〜

新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりまして誠にありがとうございました。本年も宜しくお願い申し上げます。

○捲土重来を期して

平成17年9月17日から203日間、民主党の代表を務めさせて頂きました。あのような形で途中辞任することになり、ご期待、ご声援、そしてご心配をいただいた皆様には心からお詫びと御礼を申し上げます。政治家にとって失敗は、時と場合によっては国民に不幸をもたらします。「良い経験をした」だけで済まされるものではありません。そのことの意味、重さをしっかり噛み締め、「一からやり直し」との思いで日々、政治活動を行っております。

ただ、代表を経験して、政治を見る視点が大きく変わりました。これは何物にも代え難い経験だったと感じます。皆様のおかげで得ることの出来た有形・無形の財産を無駄にせず、「撤退は他日を期す」という言葉を胸に刻み、捲土重来を期して頑張りたいと思います。今後とも、変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

○あるべき民主党像

私は代表就任時、以下の4つの柱を掲げて取り組もうとしました。

@「批判のための批判を行う」従来型の野党像から脱却して、自らが政権に就いて
  いればどうするかを常に国民に示すため、重要法案、重要政策については「対
  案・提案」路線を貫くこと。
A「寄り合い所帯」との批判に答えると共に、政権交代を成し遂げた暁にはどのよ
  うな国家を目指すのかを示すため、内政と外交・安全保障政策の基本ビジョン
  をまとめること。
B 前回の総選挙で大敗した原因のひとつが、選挙区において自民党候補よりも運
  動量が少ない、いわゆる「風頼み」候補が多かったとの認識の下、候補者の定
  年制や戦績などを踏まえた客観的な物差しを導入して、候補者を大幅に入れ替
  えること。
C 支持団体である労働組合とは、緊密な政策協定は行いながらも、考え方が異な
  る場合はお互いが「是々非々」で判断すること。

これら4つの柱は、今でも間違っていなかったと確信しています。特にAについては、民主党が乗り越えなければならない最重要課題です。わが党にはもともと自民党だった人から、日本社会党に所属をしていた人まで、右から左まで幅広い考え方の人たちが集まっています。

国民からすれば、考え方、特に安全保障政策については「バラバラ」だとの意識が強いでしょう。内政や外交安全保障ビジョンをまとめることによって、この「バラバラ」感を払拭しなければ、政権を担いうる政党とは国民は見なしてくれないでしょう。

○「この国のかたち」を考える

政権交代はあくまで手段であって、目的ではありません。目的は「かくあるべし」という国家像を実現することに他なりません。私は「住民参加型分権社会」を創ることが政権交代の大きな目的だと考えています。

今の中央集権体制は多層的(国、国の出先機関、都道府県、政令都市、中核市、市町村)で、補助金や交付税などによって国が細部にわたって地方をコントロールする仕組みが出来上がっています。それに伴う無駄・ロスは想像をはるかに超える莫大なものでしょう。

それぞれの地方の特性を活かした独自性を発揮できないばかりか、外交・安全保障といった国が専権事項として行う分野を曖昧にしてしまっています。

したがって、政令都市並み、あるいはそれ以上の権限を与えられた基礎自治体(目安は人口30万人)に財源を与えて、できる限りの自治が行える環境を作り、河川改修や道路整備といった広域調整が必要となる分野は道州が担い、国の役割は絞り込むという、いわば平成の「廃県置藩」を行うべきだと考えます。

これは、今の霞ヶ関の解体と再生を意味し、官僚組織にべったり依存している自民党には絶対できない「大改革」、いや「革命」だと思います。

単なる地方分権ではなく、「住民参加型」という点も重要です。これから日本は高齢化が進んでいきます。2007年は、いよいよ団塊の世代が定年退職を迎え始める年です。

しかし、前向きに捉えることが重要です。今どきの60歳や70歳の方はお元気な方が多く、また、今まで培われた経験や生きるためのノウハウ、さまざまな知識を豊富に持っておられます。その方々を放って置く手はありません。

子供の教育や登下校時の安全確保、環境美化、介護、観光案内、農業など、その地域事情にあった「公の分野」を、ボランティアもしくは安い報酬で担っていただく。そのことにより、行政は「低コスト」で「高サービス」を住民に提供することが可能になります。

また同時に、第二の人生を歩まれる多くの方々は、公の一端を担うことによって、やりがいや生きがいを感じることが出来、心身ともに健全な状況を長く保つことも可能となるでしょう。高齢化社会は決して暗くないのです。

○「効率的で、人に温かい政府」を

公務員の多さと高すぎる賃金、天下りと官製談合、国と地方の複雑な関係、不明瞭で無駄を生じやすい特別会計など、霞ヶ関に依存している自民党には出来ない「真の改革」を、税金の無駄を省くという観点から徹底的に行う必要があります。

同時に、「小さな政府」という掛け声の下で、削られ続けてきた年金・医療・介護・障害者支援といった社会保障や教育にはもっと税金を使って、充実させる必要があります。改革を標榜した小泉政権でさえ、各省庁の予算枠という既得権益に大胆に手を突っ込むことは出来ず、各省庁間の予算のシェアはほとんど変わりませんでした。「政治のリーダーシップによって、税金の使い道を大きく変える」。このことが政権交代をした暁に、民主党に求められる真骨頂だと思います。

○保守2大政党の一翼を担う

私が国会議員になって最も驚いたことは、この国には「国家戦略がない」ということです。エネルギー、食料、環境、自国の防衛や地域安全保障、そして自由貿易政策。すべてが執行機関である各省庁任せで、内閣としての統一した意思が欠如していました。その結果、例えば食料自給率はカロリーベースで40%を切るという体たらくです。

求められる「対立軸」は戦略性であって、昔ながらの「右か左か」「保守か革新か」という対立ではありません。政権交代によって外交・安全保障政策が大きく変わるようでは、国民は安心して政権交代を求めることは出来ません。言い換えれば、現実的、戦略的な外交・安全保障政策を民主党が提示をすることで、はじめて民主党は政権党へ脱皮が出来るのです。民主党は良好な「保守・中道層」をターゲットにすべきなのです。