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前原誠司の『直球勝負!』

前原誠司の「直球勝負」(16)

教育を考える1
〜コミュニティースクールの勧め〜

今国会の最重要法案と位置づけられているのが、教育基本法改正案だ。小泉政権の約5年半で、最初の所信表明演説で「米百票」の精神が語られたものの、それ以降、教育が政策の中心として語られたことは全くなかった。その意味では、教育問題が国会の中心テーマに据えられ、熱心に議論されること自体は大変望ましいことである。

しかし、国の根幹である教育問題について、衆議院では与党だけで委員会、及び本会議での採決が強行されたのは残念だった。与党は「野党の審議拒否だ」「少数政党の横暴だ」などと批判をしているが、私はそうは思わない。教育基本法の改正案もさることながら、未履修、いじめ、タウンミーティングでの「やらせ質問」など、具体的な問題が堰を切ったように次から次へと出てきている。特にいじめの問題は深刻で、毎日、子供や校長先生の自殺が後を絶たない。そんな中で、一定の審議は行ったので採決に踏み切るというのは、如何なものだろうか。

さらに言えば、民主党も対案を国会に提出したのに、与野党による修正協議が行われなかったことも残念だった。自民党は修正協議に応じる気配を一時は示したが、連立与党の中で合意をしたものを変えることは難しいとの理由があったのかもしれない。特に、我が党案は「国を愛する心」を明記しており、この点では自民党内でも、民主党案に賛同する意見が多かったと聞く。我が党の中でも、労働組合への配慮や、対決の構図をより強めるために修正協議は行わず、反対すべきだとの意見があったことも事実だ。国家の基本政策である「教育」というテーマにおいて、与野党それぞれが党利党略で足の引っ張り合いを行っているのだとすれば、極めて憂慮すべき事態だと言わざるをえない。

私は、教育基本法を約60年ぶりに改正したからといって、今の教育に関わる問題が解決するとは全く思っていない。政策論や、ましてや観念論ではなく、地に足がついた、具体的な運動論でしか「現場」の問題点は解決しない。学校を変える。先生の意識を変える。親の意識を変える。地域を巻き込む。その意味で、平成16年9月から施行されている「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」は特筆すべき制度である。

一体、コミュニティ・スクールとは、どのような制度か。簡単に言えば、保護者や地域の代表者で構成される学校運営協議会が、学校の運営に一定の責任を持つ学校のことだ。総合学習の内容を提案したり、教師に対する評価を学校長や教育委員会に行うことも出来る。今まで、子供に何かが起きれば学校と親は対峙する関係だった。学校は親の責任だと決め付け、親は学校の責任に擦り付けようとする。しかし、学校運営協議会を作ることによって、学校と親、地域の方々が子供の教育に共同責任を負う状況が出来上がった。私は、京都市立の御所南小学校と西総合養護学校という2校のコミュニティ・スクールを視察させてもらったが、大変素晴らしいシステムであり、運動論としてのコミュニティ・スクールを増やすべきだとの思いに至っている。

私なりに、コミュニティ・スクールのメリットを3点挙げてみたい。第一に、学校運営協議会が作られることによって、常に先生が、親や地域の方々の評価の目にさらされるという点だ。第二に、学校運営協議会に参加する保護者自身が、自らの子供への接し方、家庭教育の行い方について確認、学習ができるという点。第3に、定年退職を迎えた方など、第二の人生を歩もうとされている方々にとって、学校運営協議会に入ることは、子育てや社会人としての経験・体験を発揮する場を得ることができ、生きがいを感じることができるという点だ。

平成18年10月11日現在、公立学校におけるコミュニティ・スクールの指定校(予定も含む)は103校で、平成18年度中には134校になり、来年は300校近くにまで増える予定だ。もちろん、コミュニティ・スクールに問題点がないわけではない。学校運営協議会に、個性の強すぎる人が入って混乱してしまう可能性があるとか、学校の事務量が増えるという面も排除しえない。しかし、モデル校の成功事例をデータベース化し、それを広めてゆく努力をしなければならない。

私も出来るだけ個性的で、素晴らしい教育を行う学校現場を訪れ、それを他に広める伝道師的な役割を、今後も果たしていきたいと思う(平成18年11月14日に衆議院教育に関する特別委員会で質問を行ないました。その議事録も是非、お目通し下さい)。