プロフィール記事・論文活動写真館国政報告会行事のお知らせ議事録リンク開票結果直球勝負!質問主意書
前原誠司の『直球勝負!』

前原誠司の「直球勝負」(13)

行革なくして増税なし

9月29日、衆議院本会議場で安倍首相の施政方針演説が行われた。何点か安倍さんが関心を持っている課題に言及はあったが、総花的で、美辞麗句が並び、かつカタカナが多すぎて(テレビでは100以上あったと報道されていた)、正直言ってインパクトにかけるものだった。私は今国会から、予算委員会と外務委員会の所属が決まったので、今後の国会論戦の中で、具体的な中身をしっかり議論していきたい。

日本が抱える最重要課題の一つは財政赤字だ。国と地方を合わせた長期債務は1087兆円超、国民一人当たりの負担は約870万円にも上る(リアルタイム財政赤字カウンタによる。2006年10月1日現在)。もはや天文学的数字となってしまった。しかも、社会保障により費用がかかる超高齢化社会が進展し、将来、税金を納めることが期待される子供の数は減少し続けている(合計特殊出生率は約1.25)。今回の自民党総裁選挙でも、候補者の一人である谷垣禎一・前財務大臣は消費税率のアップに言及していた。また、今回の所信表明演説でも安倍首相は消費税について言及している。ただ、「逃げず」「逃げ込まず」との表現を使い、どうしたいのかがさっぱり判らない。安倍首相の「八方美人」「両論併記」の最たるものであり、極めて曖昧だ。私も、将来の消費税率見直しは不可避だと考える。財政再建のおおよそ7割は行革に求め、3割は増税に頼らざるを得ないのではないか。ただ、徹底した行財政改革が先行されるべきであり、行財政改革も、生き物である経済の実態・動向をシビアに睨みながら弾力的に行われなければならない。景気の再失速を許した橋本行革のように、原理主義に陥ってはならないし、行財政改革は数十年の長いスパンで取り組むべき息の長い課題だ。要は、現実的に対応し、財政赤字をしっかりマネージメントすることと、弛まぬ行革の取組みが重要だ。  

その上で、徹底した行財政改革をまずは行う。私は、「安易な増税、特に消費税率アップは認めない」という確固とした政治姿勢を貫いていきたい。中曽根政権のとき、三公社五現業の民営化を軸に、行財政改革が熱心に取り組まれた。その先頭に立ったのが、当時の経団連会長・土光敏夫氏であった。大学時代に「土光さん、やろう」という本を読んで、財界のトップでありながら質素な生活を送り、気概を持って行革に取り組んだ土光敏夫という人物に、憧れと、尊敬の念を抱いたのを今でも鮮明に覚えている。それ以来、私の政治信条の一つが「行革なくして増税なし」という土光さんが使ったキャッチフレーズになったのである。  

翻って、日本には税金の無駄遣いがいたる所に見受けられる。まずは、公務員制度だ。何も公務員の一人一人が悪いといっているのではない。悪いのは現在の仕組みだ。高すぎる給料、膨大な人数。実質的には公務員は約380万人おり、その人件費は約38兆円といわれている。一人当たり年間約1000万円の人件費がかかっていることになる(退職金も含まれているので、単純に年収とは言えない)。地方分権を徹底的に行い、現在の国、国の出先機関(地方支分部局)、都道府県、政令市、中核市、そして市町村という多層的、複雑かつ無駄の多い行政体制を簡素化すれば、相当数、公務員の削減は可能になると考えられる。当然、国会決議で無用に縛られている公務員の解雇についても、労働三権を公務員に基本的に付与した上で、民間並みに是正されるべきである。

地方分権が徹底されれば、公務員総数の削減のみならず、補助金や交付税の改革も行われ、事業選択そのものが効率的なものに誘導される。つまり、補助率が高いから、自治体の自己負担が少ないからといって、トータルで考えれば高いものにつく、あるいは非効率的な事業が採択されにくくなるというメリットも生まれる。要は、親方日の丸、国頼みではない、自己責任意識、言い換えれば経営感覚が生まれるはずである。  

公共事業も、まだまだ無駄が多い。不要な事業の採択が未だに行われているだけではなく、談合体質によって、同じ事業を行うにしても1割から2割近く、高いコストを強いられている。しかも、官製談合が蔓延し、天下りを引き受ける見返りとして官の側が談合を仕切り、落札価格の高止まりを許している。得をしているのは、天下りを受け入れてもらう役人、競争せずに利益率の高い公共事業を落札できる業者、そしてその業者から献金をもらっている自民党だ。私は地方議員を含めて約15年間政治を行っているが、土建業界をあげて応援してもらったことは一度もない。有意の会社は、個別に応援して頂いているが、総じて談合体質を批判し、メスを入れ続けた私には、土建業界は冷淡だ。かつて、カミソリを議員会館に送ってきた業者もいた。これが政治の現実である。私は、個別の業界に利益誘導してこなかった、自分のこの姿勢に誇りを感じている。

特別会計も無駄遣いの宝庫だ。特別会計は、一般会計を親会社と見立てれば子会社に過ぎないはずである。その子会社が今や親会社の6倍規模にも達し、無駄遣いを繰り返している。元財務大臣の塩川正十郎氏も「母屋(一般会計)ではおかゆをすすっているのに、離れ(特別会計)ではすき焼きを食っとる」という名答弁を残している。原則、特別会計はなくして一般会計と統合し、わかりやすい会計制度にするとともに、無駄遣いの一掃を図りたい。

安易な消費税アップは認めない。「行革なくして増税なし」。徹底的に無駄は削りながらも、財政の健全化はもとより、教育や社会保障など、人への投資として不十分な分野に対しては、重点配分できるような政治のリーダーシップが求められていると痛感している。