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前原誠司の『直球勝負!』

前原誠司の「直球勝負」(5)

三沢基地視察

7月10日、六ヶ所村の日本原燃を視察した後に、航空自衛隊及び米軍の三沢基地を訪れた。三沢空港は軍民共用空港で、滑走路は一本のみ。この一本の滑走路を日本航空と自衛隊、米軍が共同使用している。意外に思ったが、基地面積は約1600haもあり、かなり広い。国内では米軍嘉手納基地に次ぐ広さを誇る。しかし、米軍の独自使用地域は全体の66%もあるのに対して、航空自衛隊が独自に使える区域はたったの2%しかない。残りの32%は日米で共同使用しているが、米軍が管理する地域だ。

在日米軍基地全般に言えることだが、管理はすべて日本側、つまり自衛隊が行うべきだ。戦後60年も経っているにもかかわらず、アメリカが戦時中に占領した地域が、未だにアメリカが管理する施設・区域として使用されている。これでは胸を張って「日本は独立した主権国家です」とは言えない。なぜ、日本がアメリカに「使わせて欲しい」とお願いしなければならないのか。少なくとも日本が管理する地域に戻し、米軍に貸与する仕組みに変えるべきだ。また、横田・岩国・嘉手納上空の空域は、未だに米軍が航空管制権を握っている。特に横田空域は首都圏の大部分を占める、日本にとっては心臓部に当たる空域だ。一部の例外を除いて民間機はこの空域を迂回せざるを得ず、非効率であると同時にニアミスなどの問題も絶えない。早急に日本への返還を求めるべきである。繰り返しになるが、現状は、日本は独立した主権国家であるとは到底、胸を張って言える状況にはない。

ソ連の脅威が存在しているとき、この三沢基地は北の守りの拠点だった。ソ連の脅威はほぼなくなったとはいえ、北の守り、また朝鮮半島情勢などを睨んでの役割は引き続き大きい。現に、領空侵犯を未然に防ぐためのスクランブル発進は、冷戦下ほどではないにしても、この10年は毎年150〜250回で推移をしている。昔はソ連機が多かったが、現在は中国機が増えている。三沢などから行う「北空」方面のスクランブル発進は今でも年間約90回を数える。今回もスクランブル発進が下令されれば5分以内で飛び立つべく出動態勢にある隊員を激励し、スクランブル発進用(予備機)のF2戦闘機をコックピット内も含めて見せてもらい、説明を受けた。速度の速い戦闘機の領空侵犯を防ぐには、1分1秒が大切になる。隊員は、いつ命令が発せられてもいいように、24時間交代しながら、戦闘服に身を包み、緊張感を持って待機している。整備をする隊員の役割も重要だ。

私は今まで、様々な基地を視察しているが、いずれの基地も隊員の動きがきびきびとしていて気持ちがいい。精強さを維持するために、しっかりとした訓練を受けているのだと感じることが出来る。戦後、実戦が幸いにもなかった日本で、これだけの練度と精強さ、志気を保っているのは誇っていいと思う。万一の場合に備えて、これからもしっかりと訓練を行い、士気を高めてもらい、精強さを維持し続けて欲しいと思う。

私たち政治家の責任として、特に2点、今回改めて考えなければならないと痛感した。一つは、防衛費が削減される中で、自衛隊の最大のしごとである訓練費用も削減されているということだ。これだけは何とか考えなければならない。そうでないと現在の防衛水準を維持できない。ただ、これだけの財政難にあって、防衛費だけ例外だと言うつもりはない。例えば、防衛施設庁の官製談合、天下りの問題にメスを入れれば、200〜300億円ぐらいは十分削れるはずだ。無駄を削って本当に必要なところに予算をつける。そのための政治のリーダーシップが問われていると感じた。

もう一点は、対領空侵犯措置に関わる法律やROE(交戦規則)をさらに整備しなければならないという点だ。自衛隊法84条に対領空侵犯措置について書かれているが、あくまでも領空侵犯がなされてから対処できる解釈になっており、それまでの行動は基本的に自制しなければならない。しかし、かなりの速いスピードでやってくる戦闘機やハイジャックされた飛行機などは、領空に入って対処しても手遅れになる確率が高い。ハイジャック犯が核などの大量破壊兵器を携行していたり、戦闘機が原発に体当たりをすることを企図する場合などを想定し、事前に対処できる法律改正、もしくはROEの見直しが求められる。

防衛庁の省昇格を定めた法律案が通常国会に出され、継続審議になっている。省になれば何が変わるのかという実務的な議論も必要だが、国民の生命と財産を守るという、国政の主要な柱である国防が、内閣府の外局で行われていること自体、この国の気構えが問われていると言っても過言ではない。「自分の国は、自分で守る」。その意識を国民が共有するためにも、省昇格に私は賛成だ。ただ、国民の理解を得るとともに、無用な心配を払拭するためにはじっくり時間をかけて議論したほうが良い。拙速に走らず、堂々と時間をかけて国会で議論されるべきだ。

省に昇格することで、今までは、ともすれば肩身の狭い思いをしてきた自衛官も、自らの仕事によりほこりと尊厳を持ってもらえるに違いない。この人たちは、何かあれば国民のために命を投げ出す覚悟を持った人たちなのだから。